牡蠣・カキフライ

「旦那、今日は良いのが入ってますょ！」たまに行く洋食屋の爺さんが声を掛けてくる。
　老夫婦でささやかにやっているお店で、爺さんが作って配達もしていた。婆さんはライスを盛る程度のことしかしない。

　月に何回かの当直明けの昼過ぎにはチョクチョク寄って「カキフライ」「バター焼き」などを食べていた。爺さんは若い頃、レストランで腕を磨いたらしく味にはうるさいようで私も満足していた。
　爺さんも私のカキ好きをよく知っており先制攻撃である。私も最初からカキフライのつもりである。

　此処のところ、食欲が失せていたが、少し戻り何故か急に「カキフライ」が甦えったのである。
　ファミレスでランチでも単品でも注文し、形もまあまあ、ジュージューと音がしているのが出てくると嬉しく、食欲も出てくる。大粒中粒は値段とも相談であるがそれ相当に満足するとこれまた嬉しい。

　新聞にファミレスの写真入り広告が入ると、ヨシ！ここ行ってみようと期待して出かける。

　この間、店頭の看板「ホクホクカキフライ、セットで１、２５０円」につられ飛び込みで「洋食屋」に入ったのはいいが、なんと腐ったようなカキを食わされた。　よっぽど文句を言ってやろうと思ったが我慢をして帰ってきてインスタント天ぷらソバを食った。

　あの爺さん婆さんの洋食屋のことは３０年前で、転勤で遠のいていたが１０年前通りかかったときには無くなっていた。それはそうだろう、あの時、７０歳は超えていたんだろうから・・・

　この冬は「カキフライ行脚」かいなー
　　　　　　　　今日はファミレスでこの間のリベンジである。