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減塩は大間違い!塩味を楽しんでイキイキ元気!

2012年08月17日 | 漢方栄養学

減塩は大間違い!塩味を楽しんでイキイキ元気!
(最新追記 2020.1.27)

 減塩は間違っていることを3回シリーズで書いてきましたが、その締めくくりとして、漢方理論と生活の知恵が相まって出来上がった「食養道」を、まず紹介しましょう。
 明治になって、文明開化により、様々な西洋文化が雪崩のごとく日本に流入し、食においても首都東京などでは洋食化が進み、健康を害する人たちが出てきました。
 これに危機感を抱いた人たちは、食の見直しを行い、正しい食生活をいろいろと提唱していますが、その中で有名なのが、西洋の理論も取り入れた石塚左玄で「食物養生法」を著しています。その基本が「食養の5原則」で、次のとおりです。

1 食物が健康と幸福の基礎である
2 ナトリウムとカリウム、陰と陽の2つの拮抗が基本的要素。
  ナトリウム=陽、カリウム=陰のバランスが大事だということですね。
  だから、食物の陰陽を組み合わせ、働かせて、効果を上げていく。
3 穀類が人間の一番正しい主食である。
4 「一物全体」の完全なバランスと調和のあるものでなくてはいけない。
  一物全体というのは、食材を丸ごといただくということを言っています。
5 「身土不二」、三里四方に採れる物がよい。
  生まれ育った風土でできた食物が大事だと言っているんです。

 この石塚左玄は、「食育」という言葉を始めて使った人でもあります。
 この5原則は食育に必要なものでもあると言っていいでしょうね。
(以上、若杉友子著「体温を上げる料理教室」96,97頁から抜粋。若杉さんが現代語に訳され、細字は彼女の解説文です。)

 ここで注目されるのは、食塩はナトリウムであり、野菜や果物にカリウムが多いという西洋近代科学を取り入れていることです。そして、漢方理論から、食塩(=ナトリウム)は陽の食品であり、カリウムの多い食品は陰の食品であるから、バランスよく摂取しなさいと言っているのです。なお、陽の食品は体を温め、陰の食品は体を冷やしますから、季節によって、バランス感覚が異なったものになってきます。これは、西洋にはないものです。
 このことだけからも、いたずらに減塩することは、大きな間違いとなります。

 そして、石塚左玄は、庶民に分かりやすいように、いくつもの「食養道・歌」を作っており、その中に食塩に関係するものがありますので、紹介しましょう。
(これも、若杉同著の100,101頁からの抜粋で、現代語訳も同様。ただし、※印は小生の補足です。)
・日本人は味噌と穀類を食べるのがよい。肉と魚の代用になる。
・減塩すれば体の中は病の大元になる。
(※ 食塩欠乏は、体が冷え、気力がなくなり、様々な疾病を呼び込みます。)
・塩のきいた味噌や漬物を毎日食べれば、病気が逃げていく。
(※ 食塩が充足すると、体が温まり、気力が出て、様々な疾病が改善される。)
・減塩をして大豆、ジャガイモ、果物を食べればたちまち具合が悪くなる。
(※ 例示されたものは、体を冷やす陰性食物の代表。体を極端に冷やしてしまう。)
・いい塩、いい米、良い水、これが日本の立て直し。
(※ 明治時代において、立て直さねばならないほど、既に食事に乱れが出ていた。)
(なお、これについては、のちほど若杉さんの解説を紹介します。)
・人々が寒さ、ひもじさに負けない働きは塩と米の力なり。

 次に、若杉同著から、食塩に関するお話の抜粋を紹介しましょう。なお、若杉さんは、1937年生まれ、野草の力に着目して独学で野草を研究し、漢方理論を取り入れて料理教室やセミナーを通し、生活の知恵を伝承しておられる、自称“ばあちゃん”です。

(28,29頁)塩分を控えめにすると活力も失われてしまう
 今の栄養学では、減塩をすごくすすめているでしょ。でも、この減塩が貧血、冷え症、低体温、便秘症の人を増加させているの。塩分を控えたら絶体絶命ですよ。
 人は高塩動物だから、昔の人は1日に30グラムぐらいの塩気を摂っていました。それで、精神的にも体力的にもバリバリ元気だったわけでしょ。みんなが塩分を十分に摂っていたから、世の中が元気だったわけですね。
 肉とか砂糖は貴重品だったし、ほとんど摂っていなかったけれど、塩気のものをよく食べていたから活力があったんですね。
 梅干や沢庵を毎日食べていたし、煮物も“煮しめ”と言って、しょっぱかった。…
 陰陽で言えば、塩気を持っている陽性の魚にも陽性の塩を振って、それを陽性の火で焼いて、そのうえから陽性の醤油をかけて食べていました。塩気をどんどん足して食べていたんですね。陽陽陽だから、みんな明るくて元気だったんですよ。
 わかるでしょう? 減塩というのは、貧血や冷え症になることを促進しているようなものですよ。そんな人が増えると、社会から活気が失われてしまうんです。
 味噌でも醤油でも、今は減塩ばやりだけど、それではむしろ体は虚弱になって、弱体化されていくだけですよ。
 味噌や醤油、自然塩、梅干などには、体温を上げ、新陳代謝を活発にして、血をきれいにする働きがあります。また、これらには造血作用があって、心臓に血液を送る静脈の流れを活発にするから、人間に活力を与えるわけですね。
 だから、減塩なんてする必要はない。自分でおいしいという適塩にして食べることなんですよ。

(106,107頁)五つの味をかしこく体に取り入れる
 食物には「酸っぱい、苦い、甘い、辛い、塩辛い」の5つの味があると言ったけれど、それらはそれぞれ次のような役割があるんですよ。…
 …塩辛さというのは腎臓を元気にします。でも、塩気は取りすぎても足らなくてもだめですよ。「塩梅(あんばい)」という言葉があるように、その人に合う「適塩」があります。陽性の子どもが塩気を取りすぎると、反動で甘い物や果物を要求してきますからね。…

(114)「塩梅はどう?」の本当の意味
 …昔は…体の悪い人には「あんた、なんの病気? どこが悪いの?」と聞かずに、「あんた、塩梅はどう?」って聞きました。
 この「塩梅はどう?」というのは、あなたの体に塩気は足りているかっていう意味なんです。それから、料理の塩の味加減を見るときにも「塩梅を見て」って言った。病気も料理も、塩梅はどう?って聞いていたわけです。
 面白いでしょう。昔の言葉には「塩」があちこちに含まれているわけ。それだけ陽性の塩が大事だということを、みんな生活の知恵として知っていたということなのでしょうね。…

(122,123頁)味噌汁は体の掃除をしてくれる特効薬
 昔の人はスイカや夏蜜柑(みかん)やイチゴといった夏の陰性の果物を食べるとき、塩を振って食べました。トマトもそう。これらにはカリウムが豊富に含まれていて体を冷やすから、バランスを取るためにナトリウムの塩をつけて食べたのです。
 ところが今は砂糖を振ったり蜂蜜をつけて食べるでしょう。ただでさえ陰性のものに、さらに陰性を加えているんです。夏にお腹を壊したりバテたりして調子を崩すのは、そういう道理に適わないことをしているからですよ。
 とくに食べ物というのは、それがすぐに体に表れるからわかりやすい。
 ところで、体調が悪いときにはお味噌汁を飲むといい。お味噌汁というのは体の特効薬だって私は言っているのだけど、すごいすぐれものなの。…
 味噌は血管の掃除もしてくれるし、腸の掃除もしてくれる。…味噌(は)…せめて2年以上は寝かせて熟成したものを選んでください。
 大豆は極陰で、陽性の体を温めるナトリウム元素1に対して陰性の体を冷やすカリウム元素が560も含まれているから、体によくありません。ところが、塩と火と時間によって原子転換をすると、「食薬」という大変な薬に変身するんです。だから、今日は味噌汁が飲めなかったという日は、味付けに味噌を使った料理を作りなさいって、ばあちゃんは教えています。味噌は健康維持の特効薬になるんですよ。

(118,119頁)なぜ病人にはお粥と梅干を食べさせるのか
 昔は病気をすると、行平(ゆきひら)という土鍋でコトコトと時間をかけてお粥を炊いて、それに梅干を添えて食べさせたものです。むしろ、それだけしか食べさせなかった。それで病気が治ったんです。
 今は違うでしょ。病気になると、栄養を摂らなきゃだめだといって、あれ食えこれ食え、これを飲んだら元気になるって、まわりがうるさいので困る。
 病人には、お粥と梅干で十分なんですよ。それはなぜかと言うと、梅干に含まれるクエン酸がものすごくいい働きをするからです。
 クエン酸というのは、…食べ物の毒とか血の毒とか、体に溜まったそういう毒素を動かして排泄する力を持っています。
 ここでも塩が働くんです。だから、お粥にも塩をちょいと入れて炊くといい。
 私たち日本人のご先祖様は、神棚にお塩と水とお米を供えて…たんです。これは、これだけのものがあったら生きていけますっていう教えなんですよ。…
 私たちのご先祖様は、世の中に大変な出来事が起こって立ち行かなくなったときも、これで生きていける、病気をしたときもこれで生きていけるんだよ、と教えてくれているんです。それがお供え物というしきたりになって、今にまで続いてきているわけでしょう。
 これはすごいことだと思うよ。私たちの先人たちは頭がよかったと思います。
 そういう伝統や習慣から私たちも気づいて、今の間違った食生活を変えるきっかけにしたいものですね。

 最後に、同著の第3章の締めくくりの2節の全文を紹介しましょう。
(126,127頁)陰陽を理解すれば、安全で健康な食べ方がわかってくる
 陰陽を知る一番大事なことは、何をどのように食べればいいかがわかってくるということです。陰性のものは体を冷やすからといって絶対に食べてはいけないというわけではなくて、要するに、かしこく工夫して食べる。これが大切なんですね。
 たとえば、大豆からできているお豆腐は極陰だけれど、陽性の火でゆっくり時間をかけて温めて湯豆腐にして、薬味をいっぱい散らして陽性の醤油をかけて食べれば、陰陽が調和するでしょう。そういうふうに食べ方を工夫することが大事なんです。それは私たちが健康に生きていくための知恵になるんですね。
 スパゲッティを食べるときも、ケチャップとかトマトはものすごく陰性だから、ナポリタンとかトマトスパゲッティというのはあまり食べないほうがいいのですが、ちょっとにんにくとか唐辛子とか野草の薬味を利かせて塩味のぺぺロンチーノ風にすれば、主食にもなって陰陽のバランスがとれてきます。また、トマトはサラダで食べたいという人もいるでしょう。そういうときは、塩をつけて少し陽性にして食べればいい。あるいは、火を入れてスープにして食べるようにすれば、これも陽性になるからいいでしょう。
 それから夏になれば旬の茄子(なす)を食べたくなるでしょう。そういうときは保温と殺菌作用を持つ生姜(しょうが)をいっぱいすりおろして、油でジュウジュウ焼いたところに醤油と生姜を少し多めに入れて炒めて、すぐに火を止める。そうすると、陰陽の調和がとれておいしくなります。陰性のものも、調理方法や食材を工夫して陽性になるようにして食べていくことが大切なんです。そのために陰陽を勉強しましょう、と言うわけです。
 料理とは、陰性の食物(野菜)を火や調味料(味噌・塩・醤油)を使って陽性にする仕事です。陰と陽は体のねじ回しで、陰性で緩んで陽性で締まる。これは宇宙の大真理です。真理を知って少しでも安全な状態にしてから食べてもらいたい。
 こういう考え方が理解できると、砂糖を入れると陰性になるけど、熱や塩や醤油で濃いめにすればいいのだとわかるでしょう。

(128,129頁)食べ物でどんな病気でも治る 桜沢如一の確信
 石塚左玄の食養理論を受け継いだのが、マクロビオティックを提唱された桜沢如一です。もともと病弱だった桜沢は、石塚左玄の食養生理論を実践して全身の改善に成功します。それがきっかけとなって、食べ物でどんな病気でも治るという確信を抱いて、左玄の理論に易の陰陽理論を取り入れ、発展させたのです。それが玄米を主食とし、野菜や漬物を副食として、陰陽のバランスのとれた食事をしていくマクロビオティックという考え方です。
 桜沢は左玄から受け継いだ日本古来の伝統食に関する考え方を世界各地で講義して、食養の普及運動を展開していきました。フランスでもイタリアでもアメリカでも、桜沢の行くところにはたくさんの人が集まって、熱心に講義を聞いていたそうです。
 フランスでの講義のとき、「あなたはどうしてこのような食養の研究を始めたのですか?」と聞かれた桜沢は、「僕は自分で研究をしておりません。我々の先祖が残した尊い伝統の知恵を発見して、紹介しているだけです」と堂々と答えています。
 桜沢は、日本に将来、食の乱れた時代がやってくることを予感し、それを見越して、食養の普及を世界に発信されたのではないかと思うんですよ。
 ばあちゃんも、食養というありがたい道に巡り合い、運が良かったと思っています。
 私たちの祖先は後世の私たちに、伝統の食文化という遺産を残しているんです。それを活かさない手はないと思うんですね。
 まず日本国民一人ひとりが食物の重要性を知って、間違った食生活を悔い改めていかなければいけないでしょう。毎日の食事に、子孫の運命と日本の運命がかかっていることを肝に銘じてもらいたいと思いますね。

 以上、若杉友子著「体温を上げる料理教室」からの抜粋ばかりになってしまいましたが、「塩」の重要性がご理解いただけたかと思います。
 なお、本書は、古来からの日本人の生活の知恵に基づく食養生が分かり易く書かれており、必読の書です。(致知出版社:本体1400円+税)

(2014.3.28 追記)
 本稿は、「食塩摂取のすすめ」となってしまいましたが、安易に食塩を多く取り続けると、やはり何らかの弊害が出てきます。そこで、少ない食塩摂取で十分にやっていける方法を見つけましたので、それを紹介します。このブログの過去記事です。
 2014.1.20 
減塩ではなく、1か月に1回「塩断ち」して「塩持ちの良い体質」に改善

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