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“骨へんに豊”と書いて何と読みますか?その骨も硬骨と骨髄の両方が豊かでなければなりません。 

2012年03月13日 | 漢方栄養学

“骨へんに豊”と書いて何と読みますか?その骨も硬骨と骨髄の両方が豊かでなければなりません。
(最新更新 2018.5.15)

は、「(からだ)」の旧字です。
 この漢字ができた頃の古代中国の人たちは、老いも若きも皆が力仕事に精を出して、骨太(ほねぶと)で質実剛健な姿かたちをしていたことでしょう。
 よって、「“体”は、“豊かな骨”で成り立っている」とされたものと思われます。
 そして、骨細(ほねぼそ)であっては、“体(たい)をなさない”とされたのではないでしょうか。

 体を動かさない生活習慣が定着すると、骨は確実に細くなります。
 寝たきりの病人や地球の重力から開放された宇宙飛行士は、骨がだんだん細くなることは、皆さんご存知のとおりです。
 そして、健康の第1は、「毎日歩くに限る。1日1万歩を目標に。」と言われ、加えて日本では、カルシウムを十分摂って、お日様に当たってビタミンDを体内で作り、「硬骨を育てる」ことが目標にされています。
 たしかに、これは、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)にならない、つまり、骨折防止に、大変重要なことですから、大いにお勧めの健康法です。
 でも、栄養補給の面からは、カルシウム(※1)とビタミンD(※2)は、さして重要ではなく、丈夫な骨作りに必要なのは、良質のコラーゲン(タンパク質)です。
(※1 カルシウムは摂取不足でないことは、このブログの過去記事「カルシウム不足の米国人、充足の日本人」で詳述していますので、そちらをご覧ください。)
(※2 ビタミンDはUVB(中波長紫外線)に当たれば体内合成できますし、魚肉にけっこう含まれており、特にシラス干し、イワシの丸干しに多く含まれ、こうしたものを食べていれば不足することはありません。でも、冬季は紫外線が弱く、えてしてビタミンD不足に陥りやすいですからご注意ください。本文中の「ビタミンは、さして重要ではなく…」は言い過ぎでした。ここに訂正してお詫びします。→参照:2018.1.23の記事「冬はお日様に当たって健康づくり」)

 硬骨は、「鉄筋コンクリート」に例えられるのですが、「鉄筋=コラーゲン」で、「コンクリート=カルシウム」であって、「鉄筋=コラーゲン」を欠くと、「脆い鉄筋コンクリート=脆い硬骨」にしかならないからです。
 骨とて毎日リモデリング(作り替え)が行なわれているのですから、コラーゲンとカルシウムが新たに必要となります。古い骨が壊され、コラーゲンは分解され、カルシウムが遊離します。そして、新しい骨づくりのために、アミノ酸から合成してコラーゲンを作り、これに遊離したカルシウムが張り付くのです。
 ですから、良質のコラーゲンが必須のものとなり、これは基本的に体内合成できますが、加齢とともに生産能力が落ちますから、外から補給してやる必要があるのです。
 そうすると、着実に骨は丈夫になります。これは、骨密度測定などで臨床的に実証されていますし、当店のお客様で長年コラーゲンを飲んでおられる方もそうです。

 ところで、「体」は「いわゆる骨=硬骨」だけで支えられているものではありません。
 パイプ状の硬骨の中に骨髄があって、そこで毎日大量に赤血球や白血球が造られます。全身に十分な酸素を供給するための「酸素をたっぷり抱え込める赤血球づくり」が行なわれるのですし、病原菌やウイルスそして癌細胞をやっつけるための「ピチピチした元気な白血球づくり」が行なわれるのです。
 骨髄における、これらの支えなくしては「体」が成り立ちません。
 骨髄を含めて骨全体が豊かであって、初めて丈夫な「体」となるのです。

 ところが、我々は、その骨髄のことを案外おろそかにしているきらいがあります。
 このことについては、前号の記事「寝る子は育つ、大人も同じ」で、“引力に盾突くとは暴挙なり!一に横になり、二に骨休め”をサブタイトルにして、少し触れましたが、本号で詳しく説明することにします。

 骨に重力負荷を掛け続けると、硬骨のパイプの部分は丈夫に育つのに対して、骨髄は重力負荷でまいってしまい、働きをガクンと落としてしまうのです。
 骨髄が働いてくれるのは、重力負荷から開放されている時間帯なのです。
 よって、体を横にし、十分な睡眠を取ることが必要です。
 その辺りのことを、西原克成氏がその著「健康は『呼吸』できまる」(実業之日本社)及び「2週間で美人になる本」(マキノ出版)で書いておられますので、その抜粋を紹介することにしましょう。

<健康は『呼吸』できまる>(P.78)
▼人間が骨休めを必要とする理由
 骨が力学的な刺激を受けると、それに対応してリモデリングの機構が自動的に作動します。骨の中心は空洞になっていて血液で満たされており、ここで造血が行われています。ところが、二足で立って活動している人類は、ほかの四つ足の哺乳類と比べて体を支えるエネルギーを使うために、歩いたり仕事をしているときには骨髄での造血が止まってしまいます。つまり造血にまで手が回らないわけです。
 造血は骨休めをしているときに骨髄でスイッチが入るようになっているのです。寝不足では造血がうまくいかなくなります。造血とは血液細胞のリモデリングのことです。古くなった血球が肝臓でどんどん消化される一方で、それを補うのが骨髄の造血です。…

<2週間で美人になる本>(P.197~199)
■じゅうぶんな休息が必要不可欠
…健康を維持するために必要な睡眠時間として、「大人は8時間、子供は12時間」と提言しています。また、体を酷使するような過激な運動ももちろん禁止です。なぜなら、直立二足歩行で生活している私たち人間には、重力の負担が強くかかるため、じゅうぶんな骨休めをしなければ健康を維持できないからです。
 免疫の要となる白血球の製造工場…(中略)…が造血作業にとりかかるのは、私たちが眠っている夜間です。人間が寝ている間受ける重力は、たった1Gにすぎませんが、立っているときは位置のエネルギーが作用して2G近い重力を受けることになります。昼間、立った姿勢でいるときは、関節頭に絶えず重力の負担がかかるため、関節頭は体重を支えるのがやっとで、造血作業まで手が回りません。体を休める夜間、重力から開放されてはじめて白血球作りが進むのです。
 したがって、過激な運動を続けたり寝不足が習慣になると、関節頭に負担がかかり、白血球をじゅうぶんに作ることができなくなります。幼稚園児や小学校低学年の子どもたちは、運動会や遠足の翌日にしばしば熱を出します。これは「疲れが出た」という単純な問題ではなく、骨に負担がかかりすぎ、免疫システムにダメージが与えられた現われなのです。これは大人でも同じことがいえます。夜更かしをして遊び歩いたり、残業で夜中まで仕事をしていたら、骨はいつまでたっても休めません。現代人がガンにかかりやすくなったり、結核などの感染症が重症化したりするのも、睡眠不足でじゅうぶんに骨休めができていないため、免疫の要である白血球を作る能力が落ちているからなのです。
…(中略)…寝不足が続くとリモデリングが正常に進まず、できそこないの白血球や赤血球が作られ、血液中に出回ることになります。つまり、睡眠不足はすでに半病人と同じ状態になっているといえるのです。不良品の白血球は細胞の消化能力もなく、古くなった細胞やガン細胞、ばい菌を消化することができません。
 一日のスケジュールを組み立てるとき、まず睡眠時間を確保して、残った時間に仕事や趣味を割り当てる。そのくらいの気持ちで、ぐっすり眠る工夫をしてみましょう。あお向けになって…(中略)…ぐっすり眠っている間に、ピチピチした元気な白血球や新しい細胞が作られます。…

 いかがでしたか。
 このように、「骨を豊かにする」つまり「体」づくりには、両面が必要になるのです。
 昼間は、骨に適度な力学的刺激を与えて骨のパイプ部分が頑丈になるようにして
やり、夜間は、骨に力学的刺激を与えないようにして骨の空洞部分の骨髄が活発に活動できるようにしてあげねばいけないのです。

 さて、若い方は睡眠をたっぷり取れば、骨髄の働きを正常化させられますが、加齢が進んで後期高齢者ともなると、何か手助けが必要となります。
 そこで、骨髄の滋養強壮になるもの(赤血球や白血球をピチピチした元気なものにしてくれるもの)はないのか、ということになるのですが、それにぴったりのものがあります。
 「腎」に効く「鹿茸(ろくじょう)」です。(なお、中医学において、「腎」とは、腎臓そのものを指すのではなく、「腎は、生命活動の源になる精氣を貯蔵したり、肺によって取り入れられた氣を納めています。発育や生殖の要で、水分の排泄や再吸収の働きの中心でもあります。」と解説されています。)
 「腎臓」と「骨髄」は無関係に思えますが、中医学(漢方)では、「腎臓」と「骨・骨髄」は密接な臓器・器官とされていまして、「腎臓」に効けば「骨・骨髄」にも効くのです。
 よって、鹿茸で、骨が丈夫になるとともに若々しい血球が供給されることになります。
 丈夫な「体」づくりは、「骨・骨髄」づくりなのですから、鹿茸はお勧めの生薬です。
 なお、鹿茸は、上薬に分類され、毎日飲み続けても副作用の心配がないものです。

 ところで、「腎臓」と「骨・骨髄」の関係ですが、生物発生学の見地からすると、脊椎動物の祖先をたぐっていくと、最初は腎臓で造血が行われ、その後、器官の分化が進む中で硬骨ができ、造血の仕事が骨髄へ移されていったようですから、互いに濃い親戚関係にある臓器・器官と言えるのです。
 我々は、腎臓と言えば、西洋医学の知識から、老廃物を除去する器官と考えてしまいますが、ヒトの腎臓にあっても、見方を変えてみれば、「有用物・不要物が混ざり合った血液から有用物を拾い出したり、再吸収したりして、生命活動の源になる新しい血液を生み出している」のですから、造血の重要な一分野を担っているとも言えるのです。そして、進化のその後の過程で、単に、血球づくりを「分化させた器官(骨・骨髄)に移しただけ」と捉えた方が良いのではないでしょうか。

 “春眠暁を覚えず”の季節の到来。
 たっぷり睡眠を取り、“骨休め”なさってください。若返ります!

(編集後記)
 それにしても、古代中国人は凄いですね。
 自然科学の知見がほとんどなかった時代にあっても、人の「からだ」に「體」という漢字を当てたり、「腎臓」と「骨・骨髄」は密接な臓器・器官と考えたりしていたのですから。
 中医学(漢方)の勉強を少しずつ始めたところ、生物学や医学の本質を衝くものがどんどん出てきて、ますますその凄さに驚くばかりです。
 ところで、原稿をここまで書いてから、記述内容について、一抹の不安がありましたので、中医学の師匠に添削を受けるとともに、更なるご教示を受けました。
 以下、それを補足させていただきます。

 中医学では、「腎」が一番よく働く時間帯は、「21時から翌日1時」にかけてとされていて、この時間帯に血液もクリーンにされますから、その時刻が迫ったら、"とっとと寝るが一番”です。
 現代医学でも、「21時から翌日1時」(若干のズレはありますが)の間に、成長ホルモンが一番多く分泌されると言われており、中医学における「腎」の働き(その一つが「発育の要」)の時間帯と一致します。
 この時間帯は、中医学からも現代医学からも、「骨」が作られる重要な時間帯ですから、大事にしたいものです。
 ところが、多くの受験生は、この時に一生懸命勉強をしています。しかし、この時間帯は、多くの血液が腎関係の臓器・器官に集中していますから、脳には十分な血液が巡らず、集中力・思考力が低下し、ちっとも身になりません。
 勉強するなら、午前2時、3時以降が一番です。これは、「肝」が働き出す時間帯で、新鮮な血液が十二分に脳へ供給されますので、能率が2、3倍違ってきます。
 元首相の鳩山家は代々、朝4時から勉強したそうです。そのお陰で、兄弟とも東大卒です。ただ、あまり良すぎると宇宙人になっちゃいますがね。

と、いうことです。
 これからも、折に触れて、中医学の真髄を紹介していきたいと思っています。

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