薬屋のおやじのボヤキ

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塩を取りすぎると胃がんになる?そんなことは有り得ません。

2012年08月13日 | 癌(がん・ガン)

塩を取りすぎると胃がんになる?そんなことは有り得ません。
 (最新追記 2020.1.27)

 国立がんセンタ-が1978年に発表した「がんを防ぐための12か条」の第7条に、胃がんと食道がん予防のために次のように示しています。
 胃や食道をいたわって:塩辛いものは少なめに、あまり熱いものはさましてから

 また、財団法人がん研究財団の「がんを防ぐための新12か条」の第5条に、胃がん予防のために次のように示しています。
 
塩辛い食品は控えめに
 食塩は1日当たり男性9g、女性7.5g未満、特に高塩分食品(塩辛、練りうになど)は週に1回以内に控えましょう
 塩分の摂取量を控えることは、日本人で最も多い胃がんを予防し、有効である

 国際的にも、世界がん研究基金が、胃がん予防のために、1997年、がん予防10か条で「食塩を1日6g以下に」とし、2007年には「目標5g以下、推奨6g以下」としました。

 “食塩の摂取を減らせば胃がんに掛かりにくくなる”と、日本も世界も、がん医学会は人々に啓蒙しているのですが、本当にそう言えるのでしょうか。
 胃がんの原因の一つは「ストレス」であると考える小生には、“無理して薄味にし、まずい物を我慢して食べる”ことは、食事ストレスを生み出し、かえって胃がんを発症させることになりはしないかと思えてしかたありません。

 そこで、日本や世界の研究者がどのような報告を発表しているのか、入手できたものを列記してみることにします。(国名、人名のないものは日本のものです。)

1963年 疫学調査により、塩辛いものは胃がんの原因になると発表される

1964年 食塩摂取量と胃がん死亡率に地域的相関があると発表される

1965年 塩辛いものが胃壁を刺激し、胃がんを発症させる可能性があるとの仮説が発表される

1980年 食塩摂取量と胃がん死亡率に地域的相関がないことが判明したとの報告
 (注)「塩」=食塩摂取量、「胃」=胃がん死亡率(地域割は全国12地域)
         (1位と12位のグラム数は、1日平均食塩摂取量)

・食塩摂取量上位3地域
 
東北(塩1位<16g弱>:胃4位)、関東2(塩2位位:2位)、北海道(塩3位:胃10位)
・食塩摂取量下位3地域
 東海(塩10位:胃4位)、近畿2(塩11位:胃2位)、近畿1(塩12位<11g弱>:胃8位)
(注)近畿1は、大阪府、京都府、兵庫県で、近畿2はその他の県

1983年 塩魚の摂取と胃がんの発症に相関があり、味噌汁が胃がんの予防になると発表される

1985年<コロンビア>胃がんの多い地区は食塩摂取量も多かった

1988年<ベルギー>食塩摂取量と胃がん死亡率に統計的に有意な相関があるが、そう強いものではない

1990年<イタリア>食塩摂取量と胃がん死亡率に強い相関はなかった

1990年 胃がん患者の食塩摂取量を調査した結果、胃がん発症率との相関はなかった

1991年 尿中の塩分分析による推定食塩摂取量を調査した結果、胃がん発症率との相関が認められた

1997年 A.J.コーエンとF.J.ロエが、膨大な文献(動物実験49、疫学調査44)をレビューして得た結論は次のとおり。
 食塩が本質的に体内のどこかで発がん物質となることを示す証拠はない。高い食塩摂取が必ずしも胃粘膜に損傷を与えることはない。過去40~50年間に世界中で胃がん発症率は著しく低下したが、食塩摂取量はどれだけも減っていない。胃がん発症率の低下は、食品の保存性が良くなったからであって、家庭用冷蔵庫の普及と関係しており、生野菜、果物の栄養的な品質が維持されるようになったことが大きな原因である。

 以上のとおり、研究機関なり学者によって、意見は分かれています。
 大勢は、“食塩摂取量と胃がん死亡率(または発症率)に相関あり”とするものですが、相関ありと言っても、それは極めて弱い相関のようであり、明確に言い切れるものではなさそうです。言えるとすれば、“1日に食塩を20gも30gも摂るのは行き過ぎである”といったところではないでしょうか。
 と言うよりは、胃がんの予防には「“食塩”はあまり摂り過ぎないように」ではなく、”塩”は無関係で「“食”はあまり摂り過ぎないように」でしょうね。当初のがん予防12か条に“胃をいたわって”とあるのは、“食はよく噛んで腹八分で”と解し、これだけで胃がん対策は十分です。あとは、ストレス対策でしょう。
 そして、食事は、塩味を楽しみつつ、おいしくいただけば、ストレスも解消されますから、日本人の現在の食塩摂取量(成人平均)である男12g、女10gであれば、何ら問題なしとしてよいと考えられます。

 最後に、胃がん予防のための最高の方法を紹介しておきましょう。
 これは、過去記事(2011.4.10「朝食有害論の歴史的推移」)の中で詳述しましたが、小山内博氏が、次のようにおっしゃっておられます。
 「胃がんの発症率が日本は欧米の10倍近い高率になっている原因は、たっぷりの朝食を急いで食べて直ぐに動くから、消化不良を起こし、胃が荒れるからである。今の日本人ほど朝食をしっかり食べる民族はない。その昔、日本人は朝食抜きの1日2食であったのであり、朝食は有害であり、朝食は抜きなさい。」
 よって、「がんを防ぐための12か条」の「塩辛い食品は控えめに」は、「胃をいたわるために朝食を抜きなさい」に書き換えていただきたいものです。
 みなさん、どう思われますか。
 間もなく9月。9月は「がん征圧月間」です。
 がんを正しく知り、がんに正しく対応したいものですね。左サイドバーのカテゴリー「癌(がん、ガン)の過去記事をご一読いただけると幸いです。

(2014.11.4追記)
 別立てでホームページを開設しました。がん対策についてまとめたページは次のとおりです。併せてご覧ください。
  生涯現役をサポート:三宅薬品のHP 健康情報 がんのコーナー

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