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mitakeつれづれなる抄

普段いろいろ見聞き感じ考え、そして出かけた先で気になることを書き綴ったブログです。

筝・尺八・そしてピアノの三重奏演奏会

2012年10月27日 | 音楽

 久しぶりの音楽関連記事です。秋も急速に深まり、名古屋市中区の宗次ホールでは、ランチタイムコンサートとして、「彩音りの秋」と題した演奏会がありました。

20121027munetugu  これ、いつもお世話になっているピアニストのakoさんから、この演奏会のお誘いを頂きました。楽器はなんと、筝と尺八とピアノの変わった組み合わせ。筝はいわゆる御琴のことで、それぞれ主張が大きい三つの楽器、そして和楽器が二つと西洋の楽器の組み合わせも又珍しいのではないかな。どんな演奏か、よりもどんな調律合わせをするのか、そのほうが気になっていました。

 演奏曲です。

  • サン・サーンス 白鳥 (筝・尺八・ピアノ)
  • 賛美歌アメージング・グレース (尺八・ピアノ)
  • 栗林秀明 海へ (筝)
  • 作曲者不詳の手向け (尺八)
  • 福田蘭童 春麗 (尺八・ピアノ)
  • 千秋次郎 午後のバッハ (筝・尺八)
  • フレデリックショパン バラード1番 ト短調 作品23 (ピアノ)
  • ラフマニノフ ヴォカリーズ (筝・尺八・ピアノ)
  • 伊藤エイミーまどか 月夜の古城 (筝・尺八・ピアノ)

  演奏者
   筝 浦沢さつき、尺八 矢野司空、ピアノ 平山晶子

   名古屋市中区 宗次ホール 午前11時半始まり1時間

 上にも書いた通り、筝、尺八、ピアノという自己主張の強い楽器。しかも和楽器でも尺八は音階を一定に保つのは難しいはずで、それをどうピアノと合わせるのか。色々大変だったと思います。いや、そう思うのは素人だからかもしれませんが、尺八はあのように演奏できるものなのですね。

 6曲目の「午後のバッハ」。これはバッハのメヌエットト長調 BMW Anh.114の有名な曲を、この尺八など邦楽器で演奏できるようにアレンジしたもので、要するにバッハのメヌエット変奏曲です。拝聴していて尺八の音が段々、パンフルートの音に聞こえてきました。

 もう一つ尺八の印象。五曲目の手向け。作曲者が不明とのことですが、尺八と言えば虚無僧、すなわちお坊さんです。仏界と現界それぞれへの回向として演奏が受け継がれたとのことで、伊勢が発祥だともお話がありました。最初と最後の部分、ピアノもびっくりのスーパーピアニッシモ。あ、そんなスーパーなんて付く言葉は無いですよ。それくらい細く弱い音。特に最後のところは私、聞こえなくなりました。でも矢野さんは演奏しており、聞こえないほどの音を出しているのか、それとも仏たちに聞かせているのか。ここまでの尺八の音(ね)は初めてでした。
(ピアニッシモ=とても弱い音:楽器「ピアノ」の語源)

 筝、すなわち御琴は、こうした演奏会で聴くのは初めてでした。大きい筝、それより小ぶりの筝をそれぞれ使い分けての演奏でした。同じ筝でも音色が違いますね。弦を弾く筝でも邦楽器ゆえ、調律は難しいのではないいかと思います。あの衝立のようなもの、しきりに動かされていました。

 ピアノは、いつものakoさんなので、安定感抜群。その中でブログに書いてもいいだろうと思う気になった点で、バラード1番の始まりのところ、私の好みとしては僅かに早かったと思います。いや楽譜通りだとあの速度になりますけど、ショパンの曲には私のこだわりがあるものでして・・・。すみませんakoさん、勝手な事書いて。

 でも久しぶりに聴くショパンのバラード1番。曲自体はほぼ毎日聴いてますが(PCでBGMとして)、やっぱり生音で聴くバラード、感動してしまいました。あの圧力はなかなか再現できませんね・・・ってそういう問題ではなく、同じ場を共有してこその演奏会、すなわちコンサートで奏でられる音楽なんです。昔の人は生演奏しか聴けなかったので不便だという考えもありますが、逆に言えば、常に生音に耳を傾けていたわけで、その感性は我が現代人とは違っていただろうと思います。

 全体としてはとてもよくまとまっていたと思います。個人的な感想だけですけど、尺八の魅力がさらに引き出せましたし、御琴の演奏を初めて聴きましたし。それぞれ単独(ソロ)のお時間もあり、音の彩りも十分堪能できました。

 でも最後にやっぱり疑問。この企画、どなたが考え出されたのでしょうか。

***2012年10月28日追記
 ピアノ演奏のakoさんから返信がありました。今年初めに筝の方と出会われ、それならばと尺八を加えたこの企画を考えられたそうです。

 尺八のところで弱い音のたとえとして、スーパーピアニッシモなどと書きましたけど、ピアニッシモのさらに弱い演奏は、「ピアノピアニッシモ」又は「ピアニッシシモ」です。これより弱い音でした。


岐阜大学の朝田健先生還暦コンサート拝聴記

2012年08月26日 | 音楽

Asada  もう二週間ほど前になってしまいました。岐阜大学の朝田健先生が還暦を迎えられ、卒業生有志で先生を囲む演奏会を開くので、聞きにこない?と、このブログでもお世話になっているピアニスト平山さんから連絡を頂きました。

 曲目は次の通り。今回は公式な演奏会ではないので、朝田先生と平山さんのお名前以外は伏せさせて頂きました。

  • クラリネット三重奏
    モーツァルト:アレグロ&ロンド
  • クラリネットソロ
    ジャンジャン:明るい朝
  • クラリネット三重奏
    メンデルスゾーン 演奏会用小品
  • クラリネット三重奏
    リース クラリネットとチェロとピアノのための三重奏より第1楽章
  • 七重奏
    ベートーヴェン 七重奏曲曲より第1楽章

    2012年8月12日午後1時半より じゅうろくてつめいギャラリーにて

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 すみません、曲は全て「はじめまして」で、評は書けませんが、いわゆる広くお客さんを集めてのコンサートとは違い、観客は何らかの形で朝田先生につながりのある方、早い話が内輪の会ゆえ、とてもリラックスした雰囲気でした。

 私も平山さんからの案内で伺いました。平山さんが朝田門下生で、朝田先生の担当外のピアノに進まれても、師弟の縁は深い関係なのだと以前、お話を伺い、今回の演奏会でも2・3・4曲目のピアノ伴奏をつとめられています。

 朝田先生はクラリネット専攻だそうですが、幾つかの楽器の担当教官だそうで、楽器ではないですが指揮者も努められるほどの幅広い音楽家でいらっしゃいます。

 今回演奏された曲の意味は、申し訳ありませんが私は分りませんが、演奏者さんもステージでの演奏とは違い、とても大切な何かを確かめるように、朝田先生と共に演奏され、時を共有されていたのでしょう。演奏を聴いている私にも伝わってきました。

 特に5曲目。祝還暦の朝田先生を囲む演奏会を5月に開いた際、朝田先生が7つの楽器による編成、七重奏曲をやりたいなとボツリともらしたところ、それならばと卒業生有志で今回の演奏会を企画し、そして演奏者を集めて実現したと、演奏会後の挨拶でお話されました。先生の漏らした一言が人を集め、そして演奏会に。いい話ですね。

 そんな演奏会。会場の「じゅうろくてつめいギャラリー」は元、十六銀行の建物。その一階部分をギャラリーにしたもので、演奏会会場ではありません。しかし昔ながらの重厚な石造り。音の響きはホールとはまた違っており、又明るくてさらにリラックスできたのでしょう。あ、akoさん、私、演奏会場ではすごく緊張しているんです。

 そんな演奏会でした。還暦を迎えられたという朝田先生、とてもそうとは見えない。まだまだ第一線でご活躍の事と思います。また御目にかかる事もありましょう。還暦おめでとう。そして今回の有志でもあり、私に紹介していただいた平山さんにも、お礼申し上げたいです。


宗次ランチタイムコンサート・三大ピアノトリオの楽しみ

2012年07月01日 | 音楽

20120630ako  昨日6月30日は、お世話になっているピアニスト平山晶子さんが演奏される、宗次ホールランチタイムコンサートがあり、拝聴してまいりました。平山さんの演奏会は、4月25日の「花尽くし」以来です。

 今回の演奏会は、トリオ(ヴァイオリン・チェロ・ピアノの)で演奏される代表的な曲(三重奏曲)を集め、しかも1時間に収める為にそれぞれ第一楽章だけを演奏するという、一寸変わった演奏会でした。第一楽章は、その曲の導入部であると同時に、曲のイメージを深くする部分でもあり、言い方を変えればエッセンスがギュッと詰まった部分かと思います。

 いつもの通り、演奏曲目です。

  • ハイドン
    ピアノ三重奏曲 第25番 ト長調 ハンガリー風 hob.XV-25
  • ベートーヴェン
    ピアノ三重奏曲 第7番 変ロ長調 Op.97「大公」
  • メンデルスゾーン
    ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 Op.49
  • チャイコフスキー
    ピアノ三重奏曲 「ある偉大な芸術家の想い出のために」

  演奏者 鳥居愛子さん(Vl)、外山純子さん(Vc)、平山さん(Pf)
  宗次ホール 午前11時30分始まり

 演奏順は、曲が世に出てきた順だそうです。ハイドンが18世紀の方、ベートーヴェンが18世紀後半から19世紀前半、メンデルスゾーンが19世紀、チャイコフスキーが19世紀後半。

 余談ですけど、メンデルスゾーンは1809年生まれで、ショパンより一つお兄さんなんですね。そして亡くなったのもショパンより2年早いとのプログラム記載。随分お若くして亡くなられたのですね。メンデルスゾーンといえば「夏の夜の夢」を直ぐに連想しますけど、若い時に作曲なされたのですね。何も知らない私です。

 曲は、ピアノトリオということで、ピアノも力強く演奏。平山さんのピアノ演奏はどちらかといえば伴奏の時が多く、久しぶりに力強い演奏を聴けました。やっぱりピアノは良いですねぇ。あのお腹にズンズン来る音の圧力がたまらなく好いです。

 ハイドン、ベートーヴェンと、演奏にどこか洗練された雰囲気を感じました。私がベートーヴェン好きもあるでしょうけど、「大公」はとても居心地よくさせてくれる曲。宗次ホールの座席は、背もたれが若干固いですけど、それでも体の力が抜ける魅力ある曲でした。これどこかで聴いたことあります。

 そして三曲目のメンデルスゾーンに入る前に簡単なメンデルスゾーンの紹介があり、ユダヤ人としての源があることから後の時代では一切の演奏が禁じられた事を話されました。しかしそれでもコッソリ演奏し、秘密警察も見て見ぬふりをしていたとのエピソードも。

 そしてメンデルスゾーンといえば、有名なヴァイオリン協奏曲ということで、ヴァイオリンの鳥居さん、始まりの部分を少しだけ演奏して頂けました。それだけでなく導入の部分をチェロの外山さんがリードし、事前に打ち合わせしていたのでしょう。

 最後のチャイコフスキー 「ある偉大な芸術家の想い出のために」は、長い曲ながらも全部で2楽章だそうで、第一楽章だけでも結構長かったです。すいません演奏中は時計を見ないので。ある偉大な芸術家とはニコライ・ルビンシテインのことで、その追悼音楽であり、曲全体(第一楽章ですが)が重々しかったです。追悼というと、能の「朝長」を思い出しますけど、追悼の暗い部分だけでなく、抑揚がいくらかあって、決して明るくはないものの、しっとりした堅実な曲との印象を受けました。

 そのような曲ゆえ、終了したらさっさと終わるのではなく、音が鳴り止んだ後も演奏者そのまま。余韻として音の無い音楽。しかしその時点で会場から拍手。「あーぁ静寂破り」と思います。楽譜に書いてあるかどうかは分りませんが、休符記号も立派な音楽です。

 

 ところでこのブログ、音楽カテゴリは平山晶子さんの記事で連続して埋められていますね。最近一寸ピアノ演奏会から遠ざかっている事がブログ記事通じてハッキリしてしまいました。先月初めは鈴鹿まで行ってきたのですが、あまりオープンな演奏会でもなさそうだったので記事化は見送りました。 


唱歌からフランス歌曲までvol.4・花尽くし

2012年04月26日 | 音楽

Munetsugu20120425  4月25日は、お世話になっているピアニストの平山晶子さん演奏されるコンサートがあり、拝聴してまいりました。「花尽くし」唱歌からフランス歌曲までvol.4と題しての、朗読が入った演奏会。

 演奏者は他に、ソプラノ、内田公仁子さん、詩の朗読、近藤よし恵さん。プログラムでは「vol.4」と書かずローマ数字ですが、これはインターネットでは使えない文字ですので「vol.4」といたしました。

 演奏曲などです。

  1. はる 谷川俊太郎 詞・團伊玖磨 曲
  2. からたちの花 北原白秋 詩・山田耕作 曲
  3. たんぽぽ 三好達治 詞・中田喜直 曲
  4. さくら横丁 加藤周一 詩・別宮貞雄 曲
  5. 花の街 江間章子 詩・團伊玖磨 曲
  6. 淡彩抄より“別後” 大木惇夫 詩・別宮貞雄 曲
  7. 抒情歌より“花季” 大木実 詩・團伊玖磨 曲
  8. 抒情歌より“藤の花” 大木実 詩・團伊玖磨 曲
  9. 「朗読」 私を束ねないで
  10. 「ピアノソロ」 ドビュッシー
     雨の庭
  11. 蝶と花 ユゴー 詩・フォーレ 曲
  12. リラに来るナイチンゲール
     レオポルド・ドファン 詩・レイナルド・アーン 曲
  13. 麦畑の花 アンドレ・ジロー 詩・ドビュッシー 曲
  14. 夕暮れのハーモニー ボードレール 詩・ドビュッシー 曲

   名古屋市中区 宗次ホール 午前11時半始まり

 1~8は日本の曲、11~14がフランス歌曲。そして1~9と13・14で朗読がありました。朗読は以前に鬼頭久美子さんのコンサートでも拝見しましたけど、音楽と語りの組み合わせは、立体的に感じます。

 後で書きますけど、実は私、ホール入りしたのが開演の直前。そのため受付で頂いたパンフなどは一通り拝見した後、カバン行き。地下鉄栄駅から大急ぎで歩いたもので、しかもこの春最高のポカポカ陽気。汗を拭き拭き身づくろいしたら開演2分前でした。直ぐに客席へ入りましたので、パンフ取り出せず(ゴソゴソ音を出したくない)。そのために朗読は全て耳で、つまり五感を耳に集中させての拝聴でしたので、言葉の持つ一つ一つの情景がとてもよく蘇りました。近藤さんの言われる「言霊」を感じます。

 からたちの花やタンポポは、よく知られている曲ですね。日本の良き自然の姿を伝えています。こういうの失われかけると初めて気が付くものですね。

 全ての曲でピアノ平山さんの演奏、というか伴奏。メインの演奏はドビュッシーの一曲だけですね。素朴な疑問ですけど、ソプラノと朗読は一度退席しますけど、ピアノはいつもずっと出たまま。お疲れになりませんか?・・・ってこれ愚問ですね。・・・追記・・・大丈夫だそうです。

 そして私はフランスのあの音楽が性にあい、後半の4曲はさらに心地よく拝聴しました。決して平和なものだけではないですが、フランス歌曲、私好きですし、ソプラノの内田さんの美しいフランス語による歌唱も、とても味わいがあります。

 

 さて今回の宗次ホール、いつもの1階席ではなく2階席。要するに到着が遅かったので1階はほぼ一杯でした。2階は席が3列。その最後部。随分高かったです。ピアノの鍵盤をそのまま延長した位置に座りまして、平山さんの手の動きがとてもよく見える位置でした。そうなんですよ~akoさん。

 その2階席の印象ですけど、ピアノの音の広がりは確かに好いものですね。音の残響をよく考えられている宗次ホールのいいところ。ただソプラノの声が、惜しいかな、少し音のエネルギーの届きが今ひとつでした。やっぱり声楽はあまり高くない位置の席がいいのでしょうね。

 で、そんな2階席に座る事となった遅れた理由。この4月25日に新たに名古屋~大阪間の高速バスが走り始めました。その大阪発第一便が名古屋着10時55分で、それを見届けようと10時58分までの僅かな余裕で待ってみました。本当に10時58分に来ました。第一便に知っている人が乗っており、僅かな交流時間を経て、地下鉄名古屋駅を発車したのが、11時11分。慌しいですね。

 教訓。やっぱり演奏会には早めに到着し、心を演奏に向けて準備しましょう!


シュターミッツカルテットと平山晶子室内楽演奏会

2012年03月24日 | 音楽

Ccf20120324_00000 2ヶ月半ぶりにクラシック演奏会に行きました。ショパンイヤー(2010年)も過ぎ、季節も冬で私の好みの演奏会が無かったな。気づいてないだけかもしれませんけど。

 さて、日頃(このブログで)お世話になっている、ピアニストの平山晶子さん。本人はショパン好きだと(私の前だけかも?)お話頂けますが、演奏の主軸は室内楽に取り組んでいるそうで、チェコで活躍している弦楽四重奏団のシュターミッツカルテットと、ピアノの平山さんによる演奏会が今日、名古屋伏見の電気文化会館「ザ・コンサートホール」でありました。

 曲目です。

  • ドヴォルザーク
    弦楽四重奏曲 12番 ヘ長調 作品96「アメリカ」より、第1楽章
  • ボロディン
    弦楽四重奏曲 2番 ニ長調より、第3楽章
  • スメタナ
    ピアノ三重奏曲 ト短調 作品15 全3楽章
  • ブラームス
    ピアノ五重奏曲 ヘ短調 作品34 全4楽章
  • アンコールとして
     ドヴォルザーク ピアノ五重奏曲 作品81 第3楽章(スケルツォ)
     坂本九さんの歌 見上げてごらん夜の星を

    名古屋市中区 電気文化会館「ザ・コンサートホール」午後2時始まり

 感想は、一言。色艶のある音色が何とも言えないほど美しい!これに尽きます。最初の曲ドヴォルザークの「アメリカ」、ボロディンの弦楽四重奏曲は、日本でもテレビCMに使われた曲ですので、比較的馴染みがある曲です。それを生で目の前で演奏していただけたもので、不思議な感じがしました。不思議と言っても、それは何か別世界への途開けの様な雰囲気を醸し出す曲。それ故、CMに使われたのかな。

 スメタナの三重奏曲とブラームスの五重奏曲に平山さん、登場です。白を基調としたドレス。とてもよく似合っておりました。会場を一通り眺め、前の方だけだと思いますが、出席を取っていたみたいですね。(笑)

 毎年の夏にカルテットのメンバーと交流があるとのことで、大変に息の合った演奏です。本番に強いんですね。平山さんが間合いを確かめるために弦楽奏者の様子を伺うところは、やさしさが感じられ、演奏を聴く私になぜか不思議な安心感を覚えました。演奏はまさに脂が乗ったエネルギッシュな演奏で、聴く者を陶酔させます。

 彼女(ピアノの平山さん)、演奏を拝聴するたびに思うのですけど、舞台に登場する際の笑顔いっぱいの表情、そしてピアノの前に座り、演奏が始まってからの厳しい顔の表情、音楽を一つ一つ作り上げていく「職人」さんのような感じを受けます。モノを作る職人、モノの代わりに音楽を作る。ただ演奏するだけでなく、エンターティメント性も併せて持ち、そして厳しくも正確な演奏ぶりは、私は音楽職人というイメージがあると感じています。是非多くの方に平山さんの演奏を聴いて頂きたいところです。

 ところで弦楽器による演奏でも、ピアニッシモがあるのでしょうか。スメタナ三重奏曲では、カルテットの第1ヴァイオリンとチェロの方が演奏。第1ヴァイオリンの方、小さな音になればなるほど、とても力を入れての演奏。段々汗をかかれ、そして赤くなられます。これ、能の故先代観世銕之亟先生や、片山幽雪先生を思い出しました。地謡で吟が弱ければ弱いほど、力が入り真っ赤になられます。

 今回の演奏会は、シュターミッツカルテットが来日されての演奏会なので、休憩にワインが振舞われました。実はこれ、前回もそうだったのですが、休憩中に知っている方とバッタリ合い、平山さんの演奏の話で盛り上がり、ワインのところへ行ったら「無くなりました」でした。今回はちゃんとありつけましたよ。白と赤、両方頂きました。

 アンコールのドヴォルザークの曲スケルツォは、軽めのスケルツォの通り楽しくリズミカルな舞踊曲。これは以前にNHK-FMで聞いた事が有ります。この曲だったですね。お気に入りにいれます。

 そして坂本九さんの「見上げてごらん夜の星を」、チェコの弦楽四重奏団が演奏するという、とても感動的なシーンです。うまいこと編曲されているんですね。何方が編曲したのでしょうか。隠し玉のビックリ度は最高ですが、これは是非、正式な曲目に入れられてもいいような演奏でした。

 今回の演奏会は、午後2時からの昼間の演奏会でした。終了してから、久しぶりに上の階の、でんきの科学館をゆっくり見学させてもらいました。本当にゆっくり。この余裕は、演奏会の余韻なんです。

***2012年3月26日追補
 文章を少し修正しました。