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中国西安で奮闘する大学教師Mの日々

日本人教員として中国の陝西省西安市の大学生・大学院生に対し、「日本文化・社会」や「卒業論文」などを教えています。

日中関係の悪化(上海から見たその実態)

2012年09月16日 04時40分25秒 | 日中関係のあれこれ
お久しぶりです、Mです。
ここ一週間は色々と忙しく、ブログを更新できませんでした。

さて、ここ数日、日本でも(中国でも)報じられているように尖閣諸島を巡る両国の対立で、様々な影響が出ています。
特に12、13日には上海で日本人が中国人に罵声を浴びせられただけでなく、直接的な「危害」を加えられたとのこと。
これを耳にした時は、大変残念なニュースであると感じたと同時に、中国での反日意識の急速な高まりを実感しました。
もちろんこうした事態にまで発展したケースはごくわずかですが、今回は私も中国国内のピリピリした雰囲気を感じています。
(2010年の「漁船衝突」事件の際は、ここまで緊迫した感じにはなっていませんでした)

なお本日、そして明日も中国各地で抗議デモが予定されているようです。

また、中国在住の日本人には、大使館を通じて「外出自粛」や「日頃の行動の諸注意」が通知されました。
(私のところに大学を介して通知が来たのは13日でした)
2010年の際も、同様の通知が来たので特別驚きませんでしたが、「やはり来たか」という思いはありました。

こうした日中関係の悪化を受けて、中国で開催予定の日本人スターのコンサートの中止も続いています。
また、私にも関係あることで言えば、中国で10月に開催予定だった某国際学会(日中の研究者が参加予定)も中止となりました。

なお、2010年の際、私は安徽省阜陽市にいましたが、その際はほぼ「漁船衝突」事件の影響を感じませんでした。
また、市内や大学の近辺では普段通りの生活があったように記憶しています。
ですが今回、その阜陽でも抗議デモが相次ぎ、大学近辺でもデモが行われたとのことです。
(当時の教え子達から連絡を受けたことで知る)
ですから、今年度から勤務している新しい日本人外教は自分の寮でほぼ過ごさざるを得ないとのことでした。
そして、卒業を控えた日本語科四年生達は自身の就職に影響が出ないか危惧しているということでした。

こうした状況である以上、私も2010年の時よりも気をつけて行動しようとは考えています。
ですが、大学にいて生活しているとそんな影響はほとんど感じないのが実態です。
また、教師達(日本語科以外の方々も)、学生達ともに普段と変わりません。
ある学生達は私の身を心配し、上海のデモの日を教えてくれたり、外出を控えるようメールをくれました。
こうした配慮は大変嬉しく感じると同時に、何だか心強くもありました。

金曜日の夜は気分転換に大学四年達を誘って、大学の近所の韓国料理店へ食事にも出かけました。
そこでも彼らはいつもと変わらない様子で、ある学生達は、
「日本へ旅行へ行きたい。日本へ行ったら物価が高いから、M先生の家に無料で泊めて下さいね。ははは」
などとあまり周りを意識せずに話し、雰囲気はとても楽しかったです。

また、ある日本語科の学生は、
「中国人がデモなどで日本車を壊すなんて実は笑い話です。あれは大半が中国国内でつくられたものですから、自分で自分の首を絞めているだけです。」
などと私に話し、加熱する反日デモの事態を冷静に見ているようでした。

ただ良く町の変化に気を配ると、ある不動産屋の電子掲示板の脇には、
「釣魚島は中国固有の領土です。○○不動産も皆さんも一緒に頑張りましょう!」
と書かれていました。
普段は不動産の宣伝だけが記されるはずの電子掲示板ですが、こうした掲示も追加されているわけです。

現在は、こうした日中関係の悪化にあまりとらわれず、或いは冷静な視線で見つめている中国人もいれば、かなり熱くなり制御が効かないような中国人の存在もあります。
ただ、総合的にみればどんどん反日感情が高まっていることは間違いないでしょう。


今は今後の動向予測は出来ないのですが、一刻も早い事態の収束を願うばかりです。

日中双方の領土を巡る軋轢(現地から見た騒動の実態)

2012年08月20日 05時05分53秒 | 日中関係のあれこれ
2010年9月、当時、尖閣諸島付近における中国漁船の衝突事件が発生しました。
そして2012年8月、再び似た状況に双方の国がおかれ、対応に注目が集まっています。
以前、安徽省にいた際と同じようなブログの記事を書くべき状況となっています。

これは一言でいえば大変残念であり、双方の国だけでなく東アジア地域、或いは、その地域と関わる国際社会にとっても大きなマイナスでしかありません。

昨日、以前のブログを見返していると、その当時のことを書いた記事がありました。
それを以下で引用し、紹介したいと思います。

現在、ニュースでは中国の各都市で発生した抗議デモのことばかりが報道されています。これを見ると、全ての中国人(或いは日本人も)互いの国家に対して激しく抗議しているかのような印象を与えます。

でも、実際は2010年の時も今回のケースでも違うということを、この記事を読むことで皆様に理解して頂ければと思っています。


Mの中国通信 より
http://blogs.yahoo.co.jp/yoshiitem1008

「中国漁船衝突事件(2010年9月)の波紋 in中国

菅直人首相の民主党代表再選。
とりあえず、ころころと変わる日本首相のイメージが変わっていくことを祈ります。
そして、もっと国民に不安でなく、安心を与えてほしいものです。


さて今日は、今月7日に発生した尖閣諸島(中国名:釣魚島)付近での中国漁船衝突事件のこと。
日本でももちろんですが、ここ中国でもかなり報道が過熱してきています。

いや、ネットニュースを比較してみると中国側の報道の方が熱が入っている印象です。
ちなみに、私はほとんどのニュースを人民日報の記事からチェックします。
もちろん、そこにも加熱していく報道振りが明らかにみてとれます。

「人民日報」中国語版
http://world.people.com.cn/GB/8212/191606/202393/index.html
「人民日報」日本語版
http://j.peopledaily.com.cn/94474/100700/index.html


この影響を受けて、中国国内でもナショナリズムを刺激され、反日感情が高まっています。
実際に、既に複数の地域で反日行動が発生し、それらがニュースでも取り上げられています。


尖閣諸島を巡る今回の問題は、何より領有権を双方ともに主張していることが背景にあります。

ちなみに、日本の政府公式見解は以下の通り。

外務省(日本)の尖閣諸島領有権に関する見解参照
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/index.html

すなわち日本側は、尖閣諸島を領土問題として扱わず、日本が固有の領有権を持っているというもの。
(これに関しては先日、蓮舫氏の「失言問題」がありましたね。)
加えて、中国側が領有権を主張しだしたのは「1970年後半東シナ海大陸棚の石油開発の動きが表面化」してからだという見解です。


しかし、領有権を主張するのは中国も同様で、話し合いはかみ合うどころか白熱していく一方です。

今日会った日本語学科の大学四年生の話では、中国国内はかなりこの事件に熱くなっているとのこと。
そのことを心配して、学生のご両親が、

「あなた(学生のこと)は日本語を学ぶ学生なのだから、反日活動が起きても参加してはいけないよ。」

とおっしゃったそうです。
そういう方も中国にはいるのだという事を強調しておきたいと思います。



ただ個人的にやや懸念しているのは、今週土曜が9月18日、いわゆる柳条湖事件の日ということです。
(ちなみに、中国では「9・18事変」と呼びます。)

この日は日中戦争が始まるきっかけとなった日として、毎年中国ではナショナリズムが高揚します。
(日中戦争は、中国では「抗日戦争」)
去年、私が勤務する大学でもそれを祈念する行事が行われています。

そんな日と、今回の漁船衝突事件での国内の雰囲気が合わさると果たしてどうなるのか。
個人的には、ただ何も起こらずに時が過ぎることを祈っています・・・。



ちなみに、学生の話では私のいる阜陽や大学では、反日感情が急激に高まっている様子はないとのこと。
確かに、大学構内であっても学生や教師の方は皆変わらず親切で、優しいですね。

これは非常にありがたいことですし、良い土地に来ていることを改めて実感しています。」