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中国西安で奮闘する大学教師Mの日々

日本人教員として中国の陝西省西安市の大学生・大学院生に対し、「日本文化・社会」や「卒業論文」などを教えています。

中国の大学における校友会ネットワーク

2017年12月11日 03時43分23秒 | 中国の大学、大学生
今週末は次週の研究発表準備で半分以上を使った関係で、授業準備が後回しになりました。
その関係で久々に深夜まで作業する形となってしまいました。

なお今日夕方、作業がひと段落した後でスーツをクリーニングに出し、マッサージに行ってきました。
スーツは日本の研究会で着るでしょうし、最近は座る時間が長いので肩や腰が凝っていました。
(中国の場合、地元の家族やおじさん・おばさんが入っているマッサージ店なら安心)
本日の店は、肩・背中・腰、足つぼのセットマッサージが50分で40元でした。


それはそうと最近、自身が勤務している西安交通大学の日本校友会の方とつながりました。

ちなみに中国には交通大学は西安だけでなく、上海・北京・西南の計四つがありますが、
それぞれがまとまって「交通大学日本校友会」という組織をつくっています。
(12月10日。上野でその懇親会があったようです、かなり大規模なそれ)

西安交通大日本校友会の場合、最近、「留日交大人」という研究プロジェクトを開始し、
日本へ留学経験のある交通大の学者に焦点を当てて、研究を行っているとのことです。
まずは初代校長で、京都帝国大学に留学経験を持つ彭康(パンカン)を調べるとのこと。
交通大学の校史博物館の先生方も協力して進めているプロジェクトのようです。

私も最近、近代以降の留日学生についても研究を始めていたので興味深く感じました。
そもそも「西安=古代の日中交流の舞台」とばかり思っていた自己認識が大きく揺さぶられ、
西安(特に交通大の場合?)で近代以降の留日学生を軸に、当時の交流史を研究することの
可能性を感じました。


西安交通大学の場合、上海にあった大学を西安へと大規模な引っ越し(西迁)が実施されており、
当時、上海で教えていた大学教員たちはほとんどが皆、西安へ移ってきたわけです(1955‐)。
その中には初代校長となった彭康(パンカン)だけでなく、他にも元留日学生だった教員が
多数含まれていたと推測できます。

かれらが西安に異動後、留学経験をどのように生かして活躍していったのか、
或いは新中国建国後、国の発展に与えた具体的影響などを考える仕事は面白いテーマになるでしょう。
(この他にも、もちろん色々と研究課題の切り口はあるはずですが…)


「西安に異動しても西安とは無関係の研究を進めることになるんだろう」などと
やや悲観的に思っていた自分もいましたが、ココを舞台にした課題も見つかるかもしれません。

ですので個人的には楽しみが増えて嬉しい、今はそんな気持ちになっています。

大学卒業後の進路をどうするか?(in中国)

2017年06月27日 00時25分49秒 | 中国の大学、大学生
本日で今学期の大学業務が全て終わりました。

中国では卒業シーズンで、済南でもここ1週間~10日は送別会が繰り返されていました。
加えて、学生指導した某作文コンクール(スピーチコンテストも)に出場した学生らが、
食事会やカラオケ(徹夜…)を企画してくれたため、ここ暫くはやや酒量が増えています。

各コンクールで指導した学生らが開いてくれた食事会(久々に学生に御馳走をしてもらいました)


カラオケ



さて本日の話題は、去年・今年とやってきた自主ゼミナールのこと。
これは課外活動として始めた学習活動で三テーマがあり、その内、一つが経済です(他は文化と言語)。
そのゼミ企画として考案した活動の一つが、

“済南の日系企業で働く日本人社員から、労働現場の生の声を聞き、卒業後の進路選択にいかそう!”

というもの。

大学を挟むと去年のスピーチコンテストのような諸問題が出ると考え、今回、全く自主的な活動として実施しました。
逆に言えば、日系企業の方には完全にボランティアでやって頂く形になったので、ただただ頭の下がる思いでした。

済南日本人会の関係者と連絡をとり、事前に趣旨説明を行った後、開催日一週間ほど前に学生らの質問を送りました。
ゼミの学生たちには、「調べれば分かるような質問はしないように。直接聞かないと分からない質問を準備してほしい」
と伝えていましたが、想像以上によく考えられた質問が手元に集まりました。

当日は、それらの質問事項に合わせて駐在員の方が回答をして下さり、途中で適宜、質疑応答を挟む形式で進められました。
市内の喫茶店で、時間は約2時間ほど。でもあっという間でした。

ボランティアでやって下さったにもかからず、非常に詳しい回答内容を準備して頂いただけでなく、
学生のことを考慮し、日中双方の言語で併記された資料を準備して下さった、駐在員Kさんには本当に感謝しかありません。

このゼミ後、参加学生たちに感想を書いてもらったのですが、そこに出てきた感想で一番多かったのは、

「当日の話で印象深かったのは、日系企業は自らの仕事にプライド(誇り)を持って取り組む企業が多いという話だ。
だからこそ、日本では老舗企業やブランドが形成されるのだと言う。これは私たちが学ばないといけない。」

という類の感想でした。
これこそが当日、Kさんがもっとも言いたかったことの一つで、中国の日系企業で働く中国人社員に伝えたかったことだと思います。
学生は柔らかい頭脳と持ち前の吸収力で、これを学びとってくれたのかなと思うと私も嬉しくなりました。

「どうすれば一流企業に入れるか」、「日系企業の面接でのポイント」など、「結果」や「上辺」の内容に関心を持ちがちですが、
そうではなく、この活動で日系企業の神髄を少しでも理解し、それに魅力を感じた学生がいたとすれば、まずは成功と言えるでしょう。

その時の様子



後日、これらの感想をKさんに送ると、Kさんも大変喜んでいた様子でした。
狭い大学という世界を時に離れ、それ以外の世界で暮らす人々との関りを持ちつつ広く深く学ぶ、そんな学生を育てていきたいです。

現代中国の大学四年生たちの「出口」

2016年12月11日 04時45分22秒 | 中国の大学、大学生
本日は久々に現代中国の事情についてレポートをしたいと思います。
テーマは中国各地域の大学生の就職事情とそれに関わるトピック。

私は安徽省、上海、山東と三つの地域の大学で教えてきました。
各地で就職を控えた大学生四年を見てきましたが、結構地域の特徴が出ていました。
例えば、

1 学生の「(教師への)従順度」は、山東>上海>安徽 の順
 *もちろん安徽も純朴で従順な子もいたが、波が激しく、ムラッ気有。

2 卒業後の就職事情の良さ 上海>山東>安徽 の順
 *圧倒的に上海は良い、山東は沿岸部の青島などは良いが、安徽は全体的に厳しめ


3 卒業を控えた四年時の授業の出席率の良さ 上海>山東>安徽 の順
 *上海は出席はとらずともほぼ欠席なし、山東は出席をとらないと欠席者が出るが、とればほぼ出席。
  安徽はとっても大半が欠席(たとえ人気教師の授業でもほぼ変わらず)

4 親の所得水準の高さ 上海>山東>安徽

5 自分の頭で考えて行動する、先を見てビジョンを描く習慣
 *全体的にこの点が弱い傾向があるが、大学の水準や家庭環境(経済水準、情報量、縁故)などで差が有。
  そして、この面でも上海の学生が一番秀でていた印象。

こんな特徴があったように思います。
もちろん、これは各地域の一校の事例から得た印象なので、全体傾向とみるのは危険なのですが…。

少ない事例ではありますが、ここからは各家庭の経済水準と、卒業後の出口がどの程度保証されているか、
これが四年時の大学授業・活動に対するかれらの態度と、ある程度関連していることが感じられます。


もちろん上記の理由の他に、
1 現代の中国人大学生の思考様式(卒業、進路に対する)
2 「1」の中国各地での差異と共通性
3 各時期、年ごとの違い
4 大学入学前の教育的影響(小➡中➡高の教育から大学教育への連続性)

などを細かく考えることも欠かせないと思います。

ともかく、進学した大学の水準(ランキング)、大学の有る地域(都市か否か)、家庭の経済水準、
さらには、自分自身で自主的・主体的に決めて大学生活を送ってきていないなどの要因も重なり、
それらが融合する形で四年次の学生たちの大学の生活態度が決まってくると私は考えています。


要するに、
①卒業後の進路に対する不安が大きい学生ほど、大学授業・活動には関心を持たなくなる(持てなくなる?)。

②進路に対する不安の大きさは、上記の様々な要因が重なり合って決まるものである(特に多面的意味での「経済」?)。

これが就職を控えた中国の大学四年生の大学授業に対する態度を決める、
主要なメカニズムの一つであると私には感じられます。


これに加えて、就職に向かう学生に対する大学側のサポートも各地域で差が結構あります。

例えば、上海では大学3年の終わりからインターンシップが始まっているのに対して(もっと早いケースも)、
現在の山東の大学では4年の侯学期からでないとインターンシップを始めることは禁止されています。
(理由は「学生が授業を休むから」というのが一番大きいものだとか)

またインターンシップ先も上海では様々な機会が選べ、日本語科学生の場合は日本語を使う環境も多いです。
例えば上海の日本領事館・日系の大手でインターンを経験する学生は多く、これが次の就職にも有利になります。
一方、山東(済南)では数は相当減ってしまい、インターン期間は無給のケースもあるようです(上海は給与有)。
安徽のケースはあまり聞かずに異動してしまいましたが、どうだったのでしょうか…。


日本では大学四年時に書く、卒業論文が大学生活の総決算であり、結構重要だと思いますが、
こんな調子なので日本よりも中国の大学生たちは論文に余力がなくなってしまうケースも多いようです。
もちろん日本でも卒論はどんどん軽視される傾向にあり、書かなくても卒業できる学部も存在しますが。

大学四年こそ、ゼミや卒論で高度や教養を身に着けられる可能性が高いと思うので、
この時期に別のことに力を割かなければいけない学生たちは可哀想な気がします。
特に学術の世界で生きている立場として、この楽しさを学生と共有できないとすれば残念なことです。


結局、教育・研究を行う大学教員からの要望と、卒業を控えた学生の要望のギャップが大きければ大きいほど、
大学四年次の学生と教員との間でのフラストレーションはたまることでしょう。
だからこそ、そうした事態を出来るだけ回避するための措置を如何に講じるのか、
この具体的な方策が求められていると言えます。

個人として、或いは、各大学の日本語学科の組織としてどんな動きがとれるのかを、
大学生たちの「出口」の問題を考慮しながら、考えていく必要があると思います。



【写真】先週金曜は学生らとビールで乾杯



【今学期最後の授業前の様子】


中国に戻って大学の新学期が始まる

2015年03月13日 23時00分25秒 | 中国の大学、大学生
更新が遅くなりましたが、3月5日に北京入りして一泊し、翌6日に山東省済南に到着しました。
そして、3月9日から大学の新学期が始まっています。

今回は済南についてから、今までの日々を日記形式で更新します。
というか、最近は日記形式ばかりのような気もしますが・・・。

3月9日(月)
新学期一発目の授業の日。
なお、この日は90分が3コマ(大学二年の日本語会話、日本概況)。

学生達は相変わらず元気で、笑顔が絶えない。
この日、前学期病気で半年休学していた学生L君も戻ってくる。
また元気な顔が見れて、自分自身も気持ちが嬉しくなる。


3月10日(火)
午前は自宅で授業の準備。
この日は午後に、90分が2コマ(大学二年の現代日本社会・文化と三年の小論文)
二年生は相変わらずだが、三年生を担当するのはこれが始めての私。
学生達はなんとなくまだ緊張している印象だったが、これから授業でどんどん皮をとっていく予定(笑)

夕方は学生達と一緒に、学食で夕食。
今学期から一部の学食の値段が「二倍」に跳ね上がったという噂を確認するため。
実際に一部の値段はあがったようだったが、元々安かったというのが理由のようだ。
これから、中国はどんどんインフレで全体的に物価が上がっていくのだろうが、
その影響は当然、こうした学食の値段にも反映されていく。


3月11日(水)
この日は90分が3コマの日(大学二年の日本語会話、日本概況)。
ちなみに、今学期は地理と歴史を中心にやる予定だが、
地理に関しては都道府県や山や河川を無味乾燥に教えるのではない。
冬休みにも考えていたが、各地方の地誌情報を取り入れ、地理・政治・経済・歴史にまで話しが広がるように教えたいと考えている。
また、教師が教える時間に制限を決め、それ以外は学生の発表や作業を積極的に入れていくようにした。

そして、歴史は日中交流史(古代から現代まで)に話しを絞り、数回に分けて紹介することにした。
具体的な実践例、学生の反応などはこのブログでも紹介していきたいと思っている。


3月12日(木)
この日は外部の大学へ出講の日
自分の大学で、出講先の大学のスクールバスが止まってくれるので大変有難い。
私の大学より、郊外へバスを約20分ほど走らせると到着。

初めての授業なので、30分以上早めに教室に入ったのだが、既に学生達が座っていて驚く。
聞くと、この大学では大半の授業で授業の20~30分前には着席し、自習をしているそう(!)
さらに驚いたのは、受講生の中に一人しか男子学生がいなかったこと。
日本語科とはいえ、ここまで男子学生がいない授業は初めてだったが、こちらの学生も雰囲気がいい。
お陰で楽しく授業をさせてもらい、あっという間に時間が過ぎた。

午後大学戻り、大学の印刷所で名刺を作成。
その後、部屋に戻って論文を読み、早速来週の授業準備を始める。
食事をとりつつ、学生から紹介された中国の番組を見る。


3月13日(金)
午前は前回書いた研究ノートの初稿が送られてきたので確認し、日本事情教科書構成の案に関してメンバーにメール。
教科書作成をしている各メンバーは皆忙しそうだが、本当に良く頑張っている方ばかりで自分の刺激になる。

その後、自分のアパートで来週の授業準備を進める。
夜、大体の準備が終わったためアパートを出て、市内のショッピングセンターへ。
そこで夕食、洋服を買い、帰宅。

日曜日は第二専門の授業が入っているので、明日は一日研究日とする予定。
恐らく、一般的な外国籍教員よりも1.5倍から2倍近い授業をこなしている私。
しかし、前学期もこのような状況だったので、もはや負担に感じなくなった(苦笑)
上がった給与で好きな本を買い、調査費用にまわせるのでラッキーとさえ感じている。

「大学の規定」とはいえ、何でも受け入れるわけには・・・

2014年12月20日 23時27分59秒 | 中国の大学、大学生
私の大学は既に試験期間に入っており、私は今学期の授業は全て終わりました。
(なお、別の大学で担当している院生授業は来年も続く)

私の担当科目の試験は今週・来週で全て終わり、その後は採点作業になります。
今学期はこれまで四科目の試験問題を作成してきました。
その中で面白エピソードというか、「ちょっとそれは…」という体験をしました。

どの大学でもそうですが、試験には色々と「規定」があり、原則的にはそれに従わないといけません。
私も安徽省、上海市の大学で勤務してきましたが、基本的にその「規定」通りにしてきました。
そして、こちらの大学でも試験の「規定」を事前に聞き、そのとおりに試験を実施する予定でした。

すると、一つだけ「ちょっとそれは…」という「規定」があったのです。
それは、

「どの試験であっても、問題用紙・解答用紙を作成し、学生には筆記形式で解答させること」

というものでした。
確かに、これは通常の科目試験であれば通用するのですが、会話試験では適用が難しくなります。
そもそも、会話試験は口頭で行うものなので、筆記試験は適さないからです。
しかし、これまでこちらの大学では「規定」に従い、教師皆が筆記試験を実施してきたといいます。
なお、真面目な先生は「会話の筆記試験」とは別に、授業内で口頭試験も実施して成績を出したとか。

これを聞いた時、「ちょっとそれは…」と耳を疑ってしまいました(苦笑)
筆記試験でどうやって学生の会話力をはかるのか、その方法が全くみえなかったからです。
また、筆記試験と別に口答試験を実施するのも学生の負担を増やすので、好ましくないと感じました。

そこで、日本語主任に連絡をし、学生の会話力をきちんと判定するには口頭試験が何より欠かせないこと、
加えて、仮に筆記試験をすると場合、学生の負担は増えるだけでなく、その方法では会話能力は判定できないと伝えました。


さて、その訴えに対する主任の反応ですが…

「分かりました、大学に聞いてみましょう。」

と快く対応してくれ、数日後、「大学側に先生の要求は通ったので、口頭試験だけを実施して下さい」と返事がきました。
「うん、常識的に考えればそうだよな」という思いが半分と、「正しいと判断した要求はすぐに受け入れてくれる大学はいい」という思い半分でした。
何より学生のことを考えれば、口頭で試験を実施するのが望ましいのは明らかなので、会話試験の形式が今後も変わることは良かったと思っています。
実際、学生も「これまでなぜ会話の筆記試験をしたのか分かりませんよ」と口にしており、学生側にも不評な試験形式だったことが分かります。

これまで、私は大学側にガンガン自分の要求を言ったという経験はありません。
しかし、「明らかにこれは…」と思ったことは、それが変更可能なら変えていくことが必要ではないかと思っています。
確かに「大学の規定」と言われると黙りたくなってしまうのですが、完全でないことは結構あったりしますので(苦笑)


口頭試験のお陰か、口頭試験のせいでか(汗)、ともかく今回の口頭試験により、学生の会話レベルに格差が存在することは明らかになった気がします。
良くできた学生はこの調子で頑張ってほしいですし、今回「惨敗」をした学生はこの冬休みにきちんと復習をしてほしいと期待します。
そして、私はもっと学生が興味を持ちやすく、かつ、日本語運用レベルを引き上げられる授業をつくれるよう、準備したいと思います。

教師も学生も皆、それぞれの目標に向かって過ごす冬期休暇…

高いアンテナを持っている大学生かどうか(先日の就職講座から)

2014年12月08日 07時27分44秒 | 中国の大学、大学生
12月4日(木)、済南大学で日系企業の人事の方を招いて、就職講座を行って頂きました。
お願いした日系企業はNECソリューション様で、その中国の済南支社(正確には、現地法人)の人事部長さんをお招きしました。

済南に来てから月日は経っていませんが、狭い地域なので知り合いの数は上海よりも効率よく増えています。
そこで出会った一つのご縁を活用して、今回、済南大学の日本語科学生対象に就職講座をお願いしたのです。
(この件を相談した際、すぐに教室の手配や講座後の宴席などを手配してくれたL主任には感謝)

当日は大教室(100人程度を収容)が満席になるほど多くの学生が来てくれました。
そして、当日の講座では、日系企業が必要とする人材について幅広く語って頂きました。
いわゆる、就職本に書いてあるような‘就活テクニック’ではなく、就職活動に対する心構えに関する内容も含まれ、より本質的な内容でした。
元々、私も表面的なテクニックを聞くのではあまり意味はないと思っていました。
ですから、大変有意義なお話しをして下さったF人事部長にはただただ有難いと思っています。

なお、今後はこうした企画を済南大学単体ではなく、済南市の大学・日系企業が共同で開催できないかと考えています。
そうした提案をF人事部長にすると、「是非やりましょう」とのお返事を頂きました。


ちなみに、この講座後、F部長が私におっしゃった印象的な一言がありました。
それは、

「相当沢山の多方面からの質問がされるだろうと考え、こちらも準備して講座に望んだのですが、出された質問は意外と…でしたね」

でした。
これは「講座後の学生達からの質問が比較的控えめ」だったことに加えて、「それぞれの質問内容に鋭さがない」という意味の言葉でした。
確かに、質問の中には「それをこの場でわざわざ聞く必要があるのかい」と言いたくなるものも多少含まれていました。
ですから、私も部長の言葉にただただうなずくしかありませんでした。

確かに、こちらの学生達はまじめな学生が多く、性格も素直で純粋な学生が多いのが特徴です。
ただ、その一方で、見ている世界がやや狭いというか、固定した見方が強いというか、かれらの‘視野’に小さな疑問を感じていました。
もし、視野が卒業後をきちんと見据えている学生達であれば、こうした貴重な機会を見逃すまいと質問を事前に考えておき、
それらを次から次へと質問攻撃したのではないかと思います。
また、仮に100人という大人数の前で質問するのが恥ずかしいのであれば、講座後、教室に敢えて残っているF部長に自分から話しかけにいったはずでしょう。

しかし、そうした学生はほぼいませんでした。
また、「鋭い質問だな」とか、「きちんと事前に考えておいた質問だな」と感じさせた学生質問はほぼありませんでした。

アンテナを様々なところに張り巡らしている学生は、貴重な機会をものにしようとします。
しかし、様々な情報や社会の流れをキャッチするアンテナが低い学生は、目の前のチャンスを見逃す可能性を高めます。


いくら貴重な機会があっても、最後はそれをものにするかしないかは自分自身が決めます。
大学生は院生にならない限りは最後の学生という立場であり、卒業後は社会人デビューしないといけません。
そこでの自分の青写真をどのように描き、目標をどこに設定するかで大学生活何をすべきかが決まります。
逆に、自分の「出口」が明確でない、或いは、視野が狭い学生は、良くても大学で与えられた課題を我武者羅に頑張る勉強家にしかなれません。
そのような学生は与えられた課題がある間は力を発揮しますが、自分自身で考えて決定・進路を模索しろ、と言われると途端に迷ってしまうことが多いようです。
よって、勉強家であることは当然重要なのですが、それだけでは卒業後、それまでと全く違う社会人という世界で右往左往する可能性が結構高い印象があります。

もっと中期、長期的な視野にたって、自分自身の進路・目標を見定め、その中で今何をすべきかを考えて生活していく必要があると思います。
そして、恐らく、そうした学生はアンテナが高い学生になりうる可能性を大いに持っていると私には感じられます。

大学の一教員としてはどこまでかれらにコミットすべきか迷うところですが、かれらのアンテナをどのように高くしてあげられるか、ここには多少はコミットしたいと考えているところです。

山東省の大学生は忙しすぎ!?

2014年11月01日 22時40分27秒 | 中国の大学、大学生
山東省の大学に着任して一番感じていることなのですが、山東の大学生は授業がかなり多いです。

具体的には、毎週の専門の授業に加え、選択授業(専門とは別)と第二専門の授業が入ります。
そして、選択授業は毎週平日の夜、第二専門の授業は週末に入ることが一般的のようです。
さらに、授業の他に班ごとに定期的に集まり、専門に関する学習活動をすることも大学側から指示されています。

写真は二年生のクラスが早朝集まって、校内で音読をしている風景。
私も一緒に起きて、見学しに行ってきました。


このため、かれらは平日はもちろん、週末においても授業がびっちりと入っており、授業漬け状態です。
授業中、学生達はよく発言しますし、きちんと教師の話す内容に耳をかそうとしており、印象も良いです。

先日、私の授業で撮影した学生たちの様子(会話発表)①


こちらは別のクラスの学生達の様子(会話の発表準備中)②



確かに、幅広く勉強をするという面ではプラスなのですが、それと半面の弊害も出ているようです。
たとえば、私がこれまで中国の各大学で行ってきた日本語コーナーを行う際、その弊害が見られます。

日本語コーナーとは、基本的に日本人教員と参加を希望する日本語科学生が集まって、自由に交流する時間を指します。
こうしたコーナーは、これまで学生達の授業がない平日夜のどこかの時間を使って行い、週末は教師も学生も互いにフリーでした。
確かに、上海では第二専攻の授業をやっている学生も数人いて、土曜日だけ授業に出ているという学生もいましたが、日曜日はさすがに休みでした。

しかし、山東省のこちらの大学では選択授業が平日の夜に散らばり、第二専攻の授業が土日両方に入っています。
ですから、平日夜では日本語コーナーをすることが全くできず、結局、現在は土曜日夜に隔週で行うようになりました。

本当は毎週やった方がいいのでしょうが、何より学生が授業漬けで疲れており、毎週ではなかなか参加が難しい状況のようです。
さらに、土曜日夜にしても週末一日授業漬けの学生も珍しくなく、日本語コーナーにまで余力が残っていないというケースも。

私もこのように忙しい大学生を見たのは、中国の教師生活で初めてです。
そして、かれらを見ていると「コーナーより、週末くらいは休んでほしい」とさえ思ってしまう自分がいます。
そうした学習状況下にありながらも、隔週でコーナーを準備する学生達、そして楽しそうに参加してくる学生達はすごいなと感心しています。
そして、この活動に毎回のように参加してくれる日本人留学生の皆さんには、本当に感謝しています。

本日の日本語コーナーの様子(司会のL君が和服を発表してくれ、その後、皆さんで輪になって交流)


今日のコーナーでは、日本語科だけでなく、日本語が好きだというエジプトの留学生、第二専門が日本語の学生など、約30人が参加してくれました。
皆さん本当にお疲れ様でした!

日本語会話を上達させるには?という質問に対して

2014年09月23日 01時06分13秒 | 中国の大学、大学生
中国で日本語教育界の端くれで仕事をしていると、よく学生さんから受ける質問があります。
その一つが、

「文法などは沢山覚えたけど、会話があまり上達していない。どうすればいいか。」

というものです。
先日も済南市内の各大学生が集まる日本語交流会で、同じような質問を受けました。
こうした質問を中国現地の学生達のおかれた状況に即して、回答したいと思います。


まず、日本語学習者が学習を進めるにあたり、目標とする一つがN1(日本語一級試験)です。
重点大学などでは四年次に8級試験というより高度な日本語試験を受験するケースもあります。
しかし、一般的にはN1が多くの日本語学習者の一つの学習目標に設定されているといえます。

この試験を受験するには、リスニング、言語知識、読解などの問題に回答する必要があります。
試験内容はなかなか高度で、言語知識(語彙、文法)は日本人でも区別がつけにくいものが混じっていることもしばしばです。
リスニングは日本人であれば当然聞き取れるものですが、やはり学習者にとっては複雑な面もあり、毎回点数は低い箇所です。
語彙も約1万語を覚えないといけないとされており、習得までには相当な時間を要するといえます。

このため、多くの学習者はN1合格に向けて単語・熟語を一生懸命覚え、文法習得後は実践トレーニングを積みます。
また、リスニングと同時に書く練習も相当な時間をかけてこなさないと身につかないといえるでしょう。

ですから、中国の学習者を見ていると早くて大学二年、一般的には大学三年の終わりに、遅い方で四年時に合格するという感じです。
もっとも途中で学習をドロップアウトしてしまうケースもあります。

これだけの労力を費やす試験だけに、大半の学生は真剣に望みますし、複数回受験するケースも見られます。


私個人としては、中国の学生達がこの試験に臨む姿勢にこそ、良い面と悪い面が並存していると考えています。
良い面としては、周りの学生達が真剣に勉強するので、自分自身も影響を受けて勉強するようになることだと思います。
同時にその間、がむしゃらに多くの単語・熟語・文法を頭に叩き込むことが可能になっているといえるでしょう。

一方、負の面としてはN1が絶対的な目標になりすぎた場合、勉強する楽しさ、自身で目標を設定する姿勢などが弱めになるという点にあると感じています。
仮に学生が「とにかくN1に合格すればいい」という意識になってしまうと、合格するためには徹底的な暗記、リスニングの強化に走りがちです。
一方、N1には含まれないが重要性の高い会話レベルをある程度までの成長で止めてしまう、あるいは、それ以上関心を持たなくなってしまうケースが見られるのです。

つまり「N1至上主義」になる学生は、本来もっとも考えるべき、日本語の運用能力を忘れ、合格資格の取得こそが最重要という意識になってしまう場合があるわけです。
私は中国での仕事を通じて、こうした視野の狭い目標を掲げた学生は、総じて会話が伸び悩むという認識を持っています。

そもそも「N1至上主義」の学生は日本語学習を楽しいと感じていないケースが多く、まるで労働のように取り組んでいる場合さえあります。
逆に、日本語学習に関心を持っている学生は仮に伸びは遅くても、確実な力をつけるケースが多いですし、継続して日本語運用能力も上達していきます。
関心があればこそ、自分でどんどん課題を見つけて学び、その力を伸ばせるのだと思います。


「文法などは沢山覚えたけど、会話があまり上達していない。どうすればいいか。」

これが先ほどの質問内容でした。
でも、この質問少し内容が正確ではないと私は感じています。
正確には、

「文法などは覚えさせられたけど、会話はあまり上達しなかった。どうすればいいか。」

と言うべきではないでしょうか。

そもそも、きちんと文法などが身についている学習者であれば、会話トレーニングをより積んでいくようにすれば必ず話せるようになります。
会話は一つ一つ階段を上っていく作業と同じで、基本的には自分で目の前を課題を一つ一つ片付けていくことで徐々に上達していくものだからです。
もしN1に会話試験があれば、先のような質問をした多くの学生は「合格するレベル」までは一生懸命会話をトレーニングするのでしょう。
しかし、恐らくそれ以上は自分で目標を設定しないので伸び悩むのではないかと私は思います。


大切なのは「楽しいという興味・関心」と「自主的に課題設定する姿勢」だと思います。
まずはそれがないと会話レベルはもちろん、他の日本語運用能力も試験が定めた範囲から上のレベルにはいけないのです。

済南の大学生との第一回交流会

2014年09月12日 02時09分09秒 | 中国の大学、大学生
こちらに来て二週間目。
本来は今日から始まるはずの外部出講も、「休講」と告げられて未だ始まらず。
ということで、今日はゆっくり自分自身の研究関係の課題を進められました。

なお、昨日朝から今日の夕方まで済南市内で大規模な断水があり、それも今日の昼過ぎには復旧。
昨日朝、水がでないので大学に問い合わせると、「私達も知らなかったが明日夜までは断水のようだ」と返事(苦笑)
断水するとなれば生活には相当大きな影響が出ますし、通常であれば事前通知が欠かせないもののはず。
しかし、こちらではそうなっていないようで同僚に聞くと「突然断水ということは過去にも複数」あったとのこと。
もっともこれほど長い断水は初めてだったという話でしたが。

こういう問題に対する行政の対応は中国と日本とでは相当違う感じがします。
ま、今回のお陰で水の有難さが身にしみて分かった私です。



さて、今夜はこちらに来て初めて日本語科学生主催で日本語交流会が行われました。

第一回目ということで参加者は40人超とかなりの数になりました。


主催の中心になってくれたのは教員ではなく、日本語協会という日本語科学生が運営する一種のサークルというのが素晴らしいです。
こうした活動は主に教師が中心になって行うことが多いのですが、学生が中心になると自主性がさらに高まるという感じがあります。
日本人教員と日本人留学生の方々は活動に参加し、交流会の流れに入れてもらうのが基本の流れなので教師側も負担が少ない。

協会会長のLさん(二年)は司会を流暢な日本語と中国語を操り、見事こなしました。


協会のメンバーの皆さんも笑顔で、せっせと自分の仕事をこなしていました。


今日は初回だったので、留学生と日本人教員の自己紹介を済ませた後、


それぞれの日本人と学生が輪になり自由会話 + 日本語ゲーム + 学生による日本語・中国語の歌 を行いました。


これで所要時間は二時間半。。。
ちょっと毎回これをこなすのは大変そうなので、会長Lさんには「継続が重要だと思うので、次回は少し短めに」とお願いしました。

今年は運よく日本から留学生の方が複数人いらしているので、御都合を聞きながら学生との交流機会を設けていければと考えています。
また、交流会の運営については、今後も活動を継続させ、発展させていくためにも、教師側からも時折アドバイスをしていくつもりです。

今夜の活動を見ている限りでは、少なくとも授業より(苦笑)、楽しく積極的に日本語を使おうとするような雰囲気がありました。
その意味でとてもいい活動になったと思います。

ただ、次回以降はもう少し一部の学生ではなく、全般的に参加者が話せるような仕組みを入れたほうがより意義深い活動にあると感じました。
そうした活動案を自分でも考えてみたいと思いますが、もし何か、よい考えのあるという方がいれば是非教えて下さい!

山東省の大学生達の様子

2014年09月09日 02時17分45秒 | 中国の大学、大学生
山東省済南市にある大学に来て、もうすぐ二週間。

今日(8日)は中国は中秋節で大学の授業はなく、大学構内はのんびりとしていました。
学生達からは中秋節を祝う携帯のメール、微信のメッセージを沢山もらいました。
大学や学生さんにはそれぞれ月餅(ユエビン)をもらい、それぞれ少し食べました。

なお、疲れがたまっていたのか、口に小さなヘルペスが出きてしまいました。
「上火(ヘルペスや炎症を指す)が出来た」と学生に話すと、薬局まで案内してくれました。
中国の学生達は色々と先生を助けてくれますが、特に済南の学生はそうでとても有難いです。


この中秋節連休も自宅で授業準備と、自身の書き物をひたすら続けていました。
ただ、済南に来たばかりなので学生とももっと親しくなっておきたいと考え、食事にも出かけてきました。

その皮切りは四年生達と。


こちらは一班の学生で、来週以降は二班と約束。
また、授業後などは別の学年の学生に誘いを受けたので、食堂でも食事ができました。
しかし、まだ学生の名前と顔が完全には一致しておらず、授業では名簿が欠かせません(苦笑)

四年生との食事会では大学院試験を受けるという学生が相当いたのが印象的でした。
具体的には各班の約3分の1強が受験予定者で、今も毎日院試勉強に励んでいます。
少しでも著名な大学院に進学し、将来の就職に有利にしたいというのが大半の院進学者の目的です。
逆に、博士まで進学して研究者になるという目的で院へ進学する学生は少ないのが一つの特徴です。


大学構内を歩いていると、大学院試験を受験する学生のために部屋を貸すという張り紙や、
中国国内のホテルチェーンが部屋をかれらのために貸すことを宣伝した看板も見ることができます。


中国において、特に地方大学生にとっての大学院進学は「将来の成功をつかむため」の一手段となっています。


話題変わって夕食ですが、ここ数日は大学構内のすぐ外に出ている露店で買うことが多くなっています。
「小吃街(種々の食べ物が売られている場所)」などと呼ばれる付近では露店が毎日沢山出ています。

露店の後ろ側


露店の店内の様子


ここでおかず四品とご飯の弁当を9元(約150円)で買うのがここ数日の日課です。
先日もここで買っていると二年の男子学生と遭遇し、そのままやや強引にかれらの寮へ案内してもらいました(笑)

なかなかりっぱな建物です。


一室で6人の学生が暮らしています。
ちなみに、女子の場合は8人で一部屋とのこと。



また、こちらの大学や学生の様子で新しい情報を紹介できればと思います。
それでは!