中国西安で奮闘する大学教師Mの日々

日本人教員として中国の陝西省西安市の大学生・大学院生に対し、「日本文化・社会」や「卒業論文」などを教えています。

「日本事情」テキストの出版プロジェクト

2014年02月28日 17時52分15秒 | 中国での「日本事情」テキスト出版
今日から新しい記事のカテゴリーを設けることにしました。

私は2009年中国に来て以来、「日本事情」という科目を担当してきました。
この授業では主に、日本語科学生を対象に日本の社会と文化に関わる様々な分野の内容を約半年、一年かけて教えます。
授業を通して、より深い日本理解や日本語理解に役立ててほしいというのが授業者のある程度共通した願いだと思います。

「日本事情」は各大学の日本語科の中で開講していない、というケースはほぼありません。
一方、この科目は「必須」となっていないケースがある、或いは「教授内容は教師の裁量」など、曖昧な形で教えられてきたのが現状でした。
加えて、中国国内では「日本事情」のテキストが相当数出版されていますが、それらは地歴科など比較的古めな日本の教科書からの引用が大半でした。
さらに、テキスト出版にあたってはほぼ中国人が担当してきたため、「中国人から見た日本」というテキスト構成・叙述内容ではないか、と感じられるものも散見されました。

こうした問題を中国で教えながら実際に目にしてきた私は「このままではいけない!何とかしたい!」と常に思ってきました。
しかし、そうした思いと裏腹に自身の博論作業や仕事に追われることを言い訳に、ここまで来てしまいました。


その間、2010年と2012年の「衝突」を経て、日中関係は相当程度悪化し、先行きは全く不透明のままです。
このような事態を心より望んでいる日中両国の人々は恐らくゼロと私は信じます。

国家関係がこじれにこじれてしまっている今、事態を切り開く一つのカギは民間の相互交流、相互理解を進めることにあると考えます。
昨今の事態を見た時、その意義が益々強まっているのは明らかだとほとんどの人が感じているはずです。
そうした貢献を私自身もささやかながら担いたいと考えた時、このプロジェクトを考えるに至りました。
確かに、「日本事情」は各大学日本語科で開講されている一科目にすぎませんが、この授業を通じ、日本の色々な側面を発信する大きな機会となります。
また、教える内容だけなく、教え方などに配慮したテキスト構成にできれば、より多くの中国人学生が日本に関心を持ってくれることも予想されます。
ですから、このプロジェクトに本気で取り組む価値は極めて大きいと私は考えています。

2009年、中国に来て以来、感じてきたジレンマから解き放たれるためにも、そして日中双方でどんどん悪化していく相手国の、相手国民の相互イメージに少しでもメスを入れるためにも、本プロジェクトを完成まで持っていきたいと思っています。


そんな思いで、今年1月に第一回会合を千葉大学で有志メンバーにて開催しました。
話合いにより、今後3~6月にかけてまず、中国全土の大学で日本語科の大学生達が「日本」のどんな内容を学びたいと思っているのか、一斉調査を行うことになりました。

調査対象者は、①日本語科の大学生、②「日本事情」を教える日本人教員の二者としました。
特にメイン対象とする学生に対しては、2000名程度の調査を実施予定です。
現在は、この調査が先日始まったばかりで本プロジェクトは一歩目を踏み出したばかりです。

今後、この記録を本ブログで紹介していくつもりです。



最後に、先日、三年学生W君からプレゼントをもらいました。




肝心の中身は美味しいチョコレートでした、…可愛い豚さんの。
どうして? W君??

春の足音が聞こえる週末の上海

2014年02月23日 21時11分04秒 | とりあえず日記
本日は日曜、晴れて比較的暖かな日でした。
依頼された用事と、ここ数日の新聞をチェックしようと上海図書館へ足を運びました。
地下鉄一号線をすぐ出た高安路、衡上路の交差点には綺麗な花が咲き始めていて、春の足音が聞こえるようでした。



この近辺は旧フランス租界だった地域で、現在も当時の建築が残っています。
また、周辺一帯には並木通りが広がり、散歩にはなかなかお勧めの場所です。
私は上海図書館へ行く際、この道を往復しますが、この時間が大好きです。



図書館で用事を済ませた後、地下鉄10号線交通大学駅から徐家汇まで少し散歩をしました。
途中、デパート内に入っているH&Mで洋服を購入して、港汇广场まで歩きました。
港汇广场に入っている湖南料理の望湘园で、4月から東京外国語大学に留学が決まっているPさんと合流。
彼女には色々と去年半年助けてもらうことが多かったので、そのお礼も兼ねて御馳走しようと思っていたのです。
なお、このレストランは月一度は必ず来る場所ですが、日曜で、かつ、港汇广场にある店舗ということで大変混んでいました。



店の外は待っているお客がずらり…


他の店舗も幾つか行ったことがありますが、これほど込み合っている店舗は初めてでした。
店員にどのくらい待つ必要があるのか聞くと『半个小时(30分)』との返事。
近くのKFCで温かい豆乳を飲みながら、Pさんと近況報告をしながら暫し待ちました。

満席で熱気すら感じさせる店内で食事を終え、さきほど帰宅しました。
明日から学期の二週目が始まりますが、授業のない日は授業準備を除き、基本的に研究に徹するつもりです。
月曜と火曜は上海市档案館へ出かけ、久々に档案収集をしてくる予定です。



東アジア文化交渉学会(第6回年次大会)にて報告します。

2014年02月20日 22時37分06秒 | Mの研究活動や成果
今日は今学期初回の授業日でした。
大学三年、二年生を対象とした4コマ授業を丸一日してきました。
久々の授業でしたが、不思議と疲れはほぼ感じませんでした。
若い学生達のエネルギーを吸収して、私も頑張らせてもらっているのでしょう。


さて、先日、去年学会発表の申請を出していた国際学会から「報告を採択した」との連絡がきました。
学会名は東アジア文化交渉学会といい、2014年の今年は第6回年次大会にあたります。
大会テーマは「東アジアの知識生産・企画・流通と影響」となっています。

学会HP
http://www.sciea.org/meeting06

5月8日(木)、9日(金)に復旦大学で開催されますが、当日は大学の授業がモロかぶり(涙)
これは当日の授業を振替えてもらうしかありません。
なお、今回は私個人の報告ではなく、研究者同士計5人でパネルを組み、申請を出しました。
パネル名は「東アジアにおける学術界の知識・技術の交流」です。

特に近代以降、日中間で展開した学術界の人の移動と交流、それに伴う知識や技術の伝播について考えようとするものです。
この共通テーマに対し、4人の報告者が自身の研究課題から迫るのが我々のパネル報告となります。
上海での学会発表は私自身は初めてなので、今から大変楽しみにしています。


最後に最近もらったプレゼント。
こちらは学科主任H先生が国際学会で北海道へ行った際に買ってきてくれた白い恋人。


また、こちらは先日まで札幌へ短期留学に行っていて、今学期大学に戻ってきた学生達のお土産。


皆さん、ありがとうございました!


飲食店にあるはずのトイレがない!?(中国)

2014年02月18日 22時19分11秒 | 現代の中国社会
今週から新学期が始まっています。
今学期、私の担当授業は木・金(四科目)に集中しました。
去年締結したばかりの千葉大との全学協定により、今年秋から千葉大へ学生を留学させることが可能となりました。
留学希望者の中からその定員を選ぶ校内面接は明日予定されています。

ちょうど目覚まし時計が壊れていたので、中国のアマゾン(亚马逊)で新しく二つ購入しました。
今学期の授業計画、授業の準備も無事済ませたので、新学期のスタートが気持ちよく切れそうです。



さて、今日は中国国内の飲食店に関する話。
中国に来たことのある日本人であれば誰もが経験したことがあるはずですが、中国の飲食店にはトイレが完備されていないところが目立ちます。
それが小さな食堂などのみなら分かるのですが、マックや比較的大きなチェーン店でもトイレがないケースがあるのが中国です。
安徽省で働いていた時、さすがにマックにはトイレがついていたのですが、上海ではトイレのないマックが結構あることに気づきました。
一方、KFCではトイレがない店舗は今まで見たことがなく、ほぼどの店も完備されているものと思われます。

トイレがない飲食店では、大抵「近くにある」と店員さんに言われ、場所を説明されます(苦笑)
大型ショッピングセンターやデパートのレストラン街なら外に出なくてもよいのでいいのですが、個別の店舗では外に出ないといけません。
ですから、雨の日や冬は店舗外のトイレに行くのが「面倒だなぁ」と感じてしまうのです。
加えて、その教えられたトイレがなかなか見つからずに困る!というケースもあります(笑)

ちなみに、上海では各コンビニが林立していますが、これも日本とは違い、コンビニでトイレを借りるという文化はありません。
日本では外出中トイレに行きたくなったら、「コンビニはどこかな?」と探すものですが。
ともかく、各店舗にトイレが完備されているのが当然の日本から中国に来ると、この違いになかなか慣れません、私は。

中国では飲食店の仕事はあくまでも「料理を提供すること」と意識されており、他の「サービス」は一段下に見られているのでしょうか。
その象徴的なケースが、中国の飲食店にトイレが必ずしも完備されていないということにつながっているのでしょうか。
一言で言えば、「肝心なのは料理。それに近くにトイレがあるなら、敢えてコストをかけてトイレを店舗に設けるほどのことはない」と考えているからなのでしょうか。

私自身、この真意を確かめたことはありません。
もし御存知の方がいれば教えて下さい。


さて、今夜は知人と韓国焼肉“汉拿山”へ行ってきました。
先週土曜日は別の大学教員同士で同じチェーン店で別の店舗へ行くほど、私のお気に入りの店です。
そして、どちらの店舗内にもトイレはなく、少し離れた場所にあったことも書き添えておきます。

タイガービールで乾杯。

今夜も相当楽しめました。

2月10-2月13日のこと(日本での日誌として)

2014年02月14日 11時51分05秒 | とりあえず日記
2月10日(月)
午前は自宅で研究作業を進め、午後から外出。
夕方帰宅。
その後、安徽省時代の教え子で、現在杏林大学で翻訳学を学ぶZさんが我が家へ。
家族で一緒に食事をし、色々と近況報告や雑談に話が及び楽しい時間を過ごす。
安徽省時代の学生が我が家へ来るのは初めてだったが、今後もこうした機会を持てると嬉しい。
それにしても、Zさんの日本語は以前よりもさらに上達していて驚く。


少しぶれたが、留学生Rが入った写真も



2月11日(火)
上海へ戻る前に、一度両親を横浜中華街へ案内したいと思っていた。
ということで約半日使って横浜の石川町へ。
我が家からは電車で約1時間15分、意外に近い。



中華街大通りの入り口にある門


雪が降ったばかりで寒かったが、休日ということで人手が多い。


かなり寒いので、中華街のカフェらしき店に「避難」、そこで汤圆を頂く。
なお、これで400円!日本とはいえ、少し高いのでは??


その後、お土産などを買い歩いた後、お目当てのレストラン(食堂というべきか)へ。
店の名前は山東(サントン)。
水餃子の評価が高い店で、山東省を中心とした中国の庶民的な家庭料理の味が楽しめるところ。
http://tabelog.com/kanagawa/A1401/A140105/14000483/
青島ビールや杏酒、また水餃子や炒め物料理を中心にして5、6皿をお腹いっぱいになるまで食べて1万円と少し。
同じ料理を中国国内なら5分の1以下で食べられると思うが、日本では仕方ないか。


2月12日(水)
午前から千葉大へ、ある会合のため。
前日に降った雪がまだ残っていて、寒い。
会合を済ませ、大学院生Iさんと大学レストランのコルザで昼食。
食事中文学部史学科O先生とも遭遇、お元気そう。
大学を後にして、自宅へ。
上海へ戻る前に、散らかった書斎の本をある程度片付けておくため。
また、翌日上海へ経つ準備を簡単に済ませて、浦和駅へ。
そこで、学部時代からお世話になって居るH先生と食事と少しお酒も。
場所は、フレンチ居酒屋 Bon Tigger(http://r.gnavi.co.jp/gaeb000/)
短い時間だったが、色々貴重なお話しができ、上海へ元気に戻る前にパワーを頂いた。
なお、お店もなかなかよい雰囲気で、「次回もここで」と計画中。


2月13日(木)
朝早く両親に駅まで見送られ、空港へ。
問題なく日本を経って上海へ戻る。
戻ると自宅のネットが不通だったが、大学側に連絡し、先ほど復活。
今後は来週から始まる授業準備などを進める予定。



2月3-2月8日のこと(日本での日誌として)

2014年02月08日 18時45分28秒 | とりあえず日記
もうすぐ上海へ経つ日が迫っている。

2月3日(月)
昼前から東洋文庫で目当ての史料を閲覧し、閉館まで。
なお、東洋文庫のある駒込は私が高校時代を過ごした周辺地域。
卒業後、10年以上経つので少し変化はしていたものの当時が懐かしい。
文庫を後にして、浦和駅へ。
所用を済ませて、徒歩で自宅へ戻る。
夜は研究作業の続き。

2月4日(火)
予想外のトラブルがあり、一日それに時間を割くことに。
結果、この日予定していた用事は全てキャンセル。
皆さま、すみませんでした。
ただ、トラブルも夜には無事解決し、ほっと一安心。
夜は急遽入った外部からの「仕事」で明け方まで作業に追われる。

2月5日(水)
前日が明け方まで起きていた関係で、昼近くまで寝ていると突然電話が。
相手は東洋文化研究所にいる研究者の先輩Mさん。
夜、東洋文化研究所(東大)の若手研究者たちとの飲み会があるそうで、そのお誘い。
特に用事はなかったので、夕方から東洋文化研究所へ。
Mさんと東洋文化研究所内の研究室で一時間弱相談に乗って頂く。
計8人で本郷近くで飲み会、22時半頃まで。
帰って、研究作業の続き。

2月6日(木)
昼前から千葉大の博士課程・特別研究員の研究室へ。
研究に関する文献購読、特別研究員の雑務などを19時頃まで。
その後、博士課程の後輩で中国人留学生L君と飲みに。
以前、彼には私の中国語論文を添削してもらったお礼、近況報告も兼ねたもの。
久々に後輩との飲みで遅くまで痛飲し、締めのラーメンまで頂く。
終電で帰宅してから研究作業の続きをしたかったが、さすがに寝る。

2月7日(金)
前日に続き、午前から千葉大へ。
昼に文学部Y先生と会い、昼食を一緒にとりながら歓談。
なお、「客人」として食事を御馳走になってしまった。
その後、千葉大人社研へ戻り、特任研究院Iさんと歓談した後、アジア経済研究所へ行き、閉館まで。
現在、執筆途中の論文関連資料を収集するため。
自宅に戻ると、下宿中のアメリカ人留学生Rがカラオケに行きたいというので家族と出かけ、11時過ぎまで。
どこの店とは言わないが、6人が一部屋で2時間歌い、9000円超えはちょっと高い気がする(ビールジョッキ二杯含む)。

2月8日(土)
関東地方は大雪。
お蔭で自宅から一歩も出ずに、研究作業の続き。
上海へ経つ日が近づいているので、さらに効率よく作業を進めないといけない。
なお、今日は上海の大学を出て日本の大学へ留学した学生達の大学院入試の日。
大雪の中、試験会場の大学側、そして受験生は本当に大変だったと思う。
大家辛苦了!


1月30-2月2日のこと(日本での日誌として)

2014年02月03日 00時16分42秒 | とりあえず日記
1月30日(木)
午後から国際交流基金国際日本語センターへ。
先日から引き続き翌日予定されている会合の資料収集、その分析と整理。
また、会合資料の作成なども。
帰宅してから、現在取り掛かっている研究論文の関連作業。

1月31日(金)
中国の皆さんは、新年快乐!
ほぼ寝ない状態で午前デニーズへ行って朝食(母が作り忘れたため)。
その後、大学院の研究室へ行って少し作業。
昼からはK先生の授業に参加、留学生と日本人学生の混合授業(日本事情の類の授業)。
日本人学生の発言はかなり控えめ、一方、留学生の発言は目立った。
日本人学生にも当然発言したい内容はあるはずだが、こうなるケースが多い。
相手を論破する必要はないが、自身の主張をきちんと冷静に相手に伝える能力はやはり必要だと思う。
その後、日本事情テキスト出版の会合を実施し、それに二時間強(第一回目)。
会合後はK先生、Nさんと一緒に飲み会(三人でワインを3本、日本酒も一本を半分ほど)。
日付が変わる頃、自宅に戻り、来ていた各メールに返事を返すなど。

2月1日(土)
昼前に起きて、論文作業の続きを進める。
しかし、歴史系の論文は関連史資料を収集しないとどうしようもなかったりする。
また、その分野の関連議論や知識をきちんと把握していないと的外れな議論になる。
私のように博士論文から路線変更し、新しい課題を進めようとしている場合、特に上記作業が課題である。
というわけで、現在はまた大学院生に戻って勉強し直している時間が多い。
夜はまた、母が不在の為、私が料理を担当。
この日は、モツ煮込み、親子丼、野菜炒め、カボチャの味噌汁。

親子丼

モツ煮込み


アメリカ人Rはモツが「苦手」だったが、他のメンバーには好評ですぐ鍋が空になった。

2月2日(日)
昼から出かけて、知人達と会う。
特に、日頃から私の研究成果に関心を寄せてくれ、色々と御指導を下さる一人Kさんから蔵書を頂く。

中村雄二郎『西田幾多郎』1983年、岩波書店
原彬久『岸信介』1995年、岩波書店

代わりに(なっていないが)、私が最近書いた論文を差し上げる。
また、同じく日頃からお世話になっている先輩Kさんには私の博士論文(簡易製本版)を差し上げる。
一年の大部分は中国にいるので、こうして帰国できる年二回の機会に皆と会える貴重な機会である。
夜は家族に中国食文化を紹介しようと、手作り餃子を家にいた家族・留学生と一緒に作った。
皮から自家製、餃子の餡も中国の味をなるべく忠実に反映させるようニンニクは除いた。
また、焼き餃子と水餃子の二種類を作り、家族と一緒に食べた。



結果、家族の意見は「水餃子の方が上手い」となった。
中国の餃子の場合、皮が特徴だが、この場合はやはり水餃子の方が皮のもちもち感が出てうまい。
中国でよく水餃子が食べられている理由の一つが分かった気がした。