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中国西安で奮闘する大学教師Mの日々

日本人教員として中国の陝西省西安市の大学生・大学院生に対し、「日本文化・社会」や「卒業論文」などを教えています。

嵐のような、新学期の幕開け

2016年09月19日 02時59分18秒 | とりあえず日記
済南での3年目も始まりました。
授業数・担当科目は例年と大体同じだったので、夏休暇に進めていた研究を引き続き、活字化する見通しでした。
しかし、全くその予想とは違う方向へ事態は進みつつあります。

現状だけで言うと、
①普段の大学の授業・準備+課外活動  40%
 *課外活動…今学期は日本語コーナー、三年希望者に毎週作文・日記を書かせ、その添削を開始。二年とはBBQなどのイベントを予定


②研究活動 15%(本来は30%以上は確保したいが…)
 *新たな課題で論文執筆するための文献・資料購読、関連する計画書の執筆。+学会参加と自身の発表

③プロジェクト発起人として、日本事情テキストの出版に向けた関連作業  10%

④日本人教師会の運営、10月のスピーチ大会の各準備  10%

⑤済南に来た父のあれこれ(苦笑)  15%
 *今年9月以降、済南に来てくれた父の様々な面でのお世話、関係各所への連絡・手続き

⑥千葉大特別研究員の業務  10%
 *今年は博士論文一本、修士論文一本を年末までにチェック

※他に済南の日本語新聞の校閲などの仕事もあるが、これは除く


④⑤は今学期から新たに加わったもので、予測できない動きをするものなので、やはり疲れます。
そのため、新学期が始まってまだ一か月も経っていないのですが、既に学期半分が終わったかのような感覚に陥っています。

まさに嵐のような、新学期の幕開けとなっています。
しかし、不思議と妙な充実感も感じています(苦笑)


そんな中、最近、一つ小さな喜びもありました。
「論説資料保存会(http://www.ronsetsu.co.jp/)」という団体に、私も執筆した共著論文が目に留まり、掲載が決まったのです。
上記の会が刊行する中国関係論説資料(書籍版及びCD-ROM版)に論文が載ります。
なお、私の論文(共に共著)を載せて頂けるのは、ありがたいことに二回目です。


論文名:現代中国における大学生に対する「日本事情」ニーズ調査
掲載誌:千葉大学国際教育センター 国際教育 8 (15.3)
執筆者:見城悌治+三村達也+中嶋英介+菅田陽平


この共著論文は、現在の仕事③に関わるもので、我々の日本事情テキストの構成・項目は本成果をかなり参照しています。
そうした論文が多くの方の目に留まることは、私にとって素直に嬉しいことです。

10月、研究報告をします(天津外国語大学)。

2016年09月16日 05時15分06秒 | 中国での「日本事情」テキスト出版
10月22‐23日、これまで進めてきた日本事情テキストプロジェクトに関して報告をする機会を得ました。

研究会の会場は、天津にある天津外国語大学です(これで二回目の訪問)。
研究会名は、「国际化视野中的日汉语言对比及翻译研究国际研讨会会议」とやや長め。

その報告要旨をさきほど事務局に送ったのですが、それをここにも掲載しておきます。

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題目:現代中国の大学生に向けた日本事情テキストの共同制作

 現代中国の大学における日本語教育関連科目の中に、日本事情(或いは、「日本概況」や「日本文化と社会」)がある。本科目では日本について、社会・文化・歴史・経済・政治などを幅広く学生に教授し、かれらの日本理解を深め、かつ、多角的な日本理解を進めることを主な目的としている。さらに、本科目は学生の日本語習得においても少なくない学習効果が期待できる。

 これまで中国国内において、日本事情の大学テキストは数多く出版されてきた。しかしながら、それらのテキストには依然、少なくない課題もみられ、改善の余地が残されている。それらの課題は、①記述内容の公平性、②内容の構成面、③使用されている日本語水準、④学生の学習ニーズの把握、⑤学習内容を発展・深化させる工夫、などであったと考える。日本事情は日本語科学生に対して、有意義な内容を多く含む科目でありながら、上記、日本事情テキストにおける課題が一つの要因となり、教育的効果が十分には上げられていない状況も見られた。その一方で、教師側が日本事情テキストを使用せず、全て自らプリント・関連資料を準備して教えるとなると、教師の負担は重くなり、現実的とはいえない面もある。報告者はこれまで7年半、中国の大学で日本語教育に携わってきたが、その中で日本事情テキストを巡る課題に直面し、その過程で、解決の糸口を新たな日本事情テキストの共同制作に求めるようになった。

 本報告では、現代中国の大学における従来の日本事情テキストの現状と課題を整理した上で、2014年1月以降、報告者が主導となって進めてきた日本事情テキストの共同制作の過程、さらに、我々の日本事情テキストを作る上で核に据えてきた幾つかの制作方針についても報告したいと考えている。

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当日得られたレスポンスなどは、後日、この空間で御紹介したいと思います。

なお、10月に報告させて頂く内容は私個人の成果ではなく、2014年以降、共同して進めてきたプロジェクトメンバーの協力によるものです。
今年8月5日(金)に千葉大で実施した会合が最近の活動なのですが、14年以降、毎年夏・冬は定期的に集まり、意見交換を交わしてきました。

メンバーの協力のお陰で、本プロジェクトはゆっくりではありますが、確実に進んでいます。

2014年1月の会合以降、毎年夏・冬に二度実施してきた会合とその後の執筆作業を経て、現時点では日本語原稿はほぼ書きあがりました。
今後はイラスト・写真の挿入、日本語水準の微調整を経て、中国語への翻訳作業を関係者にお願いし、中国語原稿を作成していきます。
ここまでの作業を来年7月には終えた後は、中国の出版社へ原稿を渡して「原稿チェック」、そして出版という流れになります。

現状ではまだやるべき事が残されており、外部意見もほしいので、10月の研究会で有益なコメントがもらえることを期待しています。



会合後の懇親会の様子