中国西安で奮闘する大学教師Mの日々

日本人教員として中国の陝西省西安市の大学生・大学院生に対し、「日本文化・社会」や「卒業論文」などを教えています。

「日本事情」テキストの出版プロジェクト その2

2014年04月25日 17時50分28秒 | 中国での「日本事情」テキスト出版
来週から中国は労働節、いわゆるGWに入ります。
私は今学期、毎週木・金曜日に授業が集中しているので、明日から5月3日まで8連休となります!
5月上旬に学会発表が入っていたり、論文提出を予定しているので久々に研究だけに専念するつもり。
その間、仕事に関することは暫く脇に置く予定です。


今回は、前回初めてブログで紹介した「日本事情」テキストの出版計画に関する進捗状況を書こうと思います。
あれから、中国各地の大学に学生達が「日本事情」に対するどんなニーズを持っているのかを調査すべく、調査票を配布している段階です。
また、同じく教員にも「日本事情」を教える際の問題・課題を中心に、どんなテキストが求められているのかを把握するアンケート配布の段階です。

現時点で、教員の方から回収できた調査票は約20枚で、教員の所属する大学がある地域は上海市・安徽省・山東省・南京市など。
調査してみて意外だったのは、日本人教員は必ずしも「日本事情」を教えているわけではなかった点です。
先日の上海の日本人教師会で分かった事ですが、「日本事情」を教えている日本人教員の方のほうが少なく、教えていない教員が大半でした。
この結果を受け、当初は「中国で日本語・日本を教える日本人教員向けのテキストを出版しよう」との方針を変える必要性を強く感じました。
むしろ、中国で日本語・日本を教える日本人教員と限定せず、中国人教員にも向けたテキストの出版を目指す、という方針の転換です。
いや、もっとはっきり言えば中国人教員向けにテキストを作成・出版すると表現した方がいいかもしれません。

この方針転換については、共同メンバーの中で決定したものではありませんが、恐らく、今後の話し合いで転換していくと思われます。
(あくまでも個人的な考え方なので、今後の方針が実際に変わるか否かは未定)
しかし、こうした中国での「日本事情」の担い手の多くが中国人教員である実態は、今回の調査のより明らかになったものでした。
その意味で、今回の調査を行った意味は確かにあったと感じました。


そして、学生への調査に関してですが、学生対象の調査票作成をめぐり二つ問題が発生してしていました。
一つは、調査者の意図が学生にきちんと伝わりづらいものになっていたため、記入の際、様々な誤記が目立ったということです。
もう一つは、日本語のみしか準備していなかったので、日本語が初級レベルの学生を調査対象に出来ていなかったことでした。
これらは調査を始めて、徐々に明らかになってきた問題だったので、調査を行いながら、対応策を講じていきました。

具体的には、
1、中国語版も作成し、学生の日本語レベルに合わせて各教員に調査票の配布をお願いする。
2、調査票の各質問の中で誤読・誤解されやすい箇所を修正し、新しい調査票を配布する(結局、二度修正)。

これにより、何とかその後はきちんとして調査結果が得られるようになってきています。
ちなみに、現時点では回収できた調査票は300枚前後と少ないのですが、既に各地方の各大学に配布済みです。
具体的にこれまで調査をお願いし、快諾を受けた地域は、上海市・北京市・山東省・安徽省・河北省・蘭州市・南通市などです。
それらが一斉に回収されれば、学生からの調査票総数は1000枚を超える見通しです。
当初は「2000枚を回収」と目論んでいましたが、まあ1000枚を超えればまずまずではないかと思っています。


これらを回収し終えれば、次は整理・分析作業が待っています。
どこまできちんとした成果として残すのかが一つの問題ですが、この点については他のメンバーと話し合いながら考えたいと思います。
(活字化するのか、それともしないのか。活字化するなら、論文にするのか、それとも研究ノート程度のものにするのか)
ただ、やはり実際に現場で「日本事情」を教えながら、日々悪戦苦闘している私自身としては、こうした結果以上に、もっと実践よりの議論をより多く行ったり、授業実践などもより多く吸収しながら、テキストの作成へ一刻も早く向かって行きたいと考えているところです。

先日、ある元公立学校の教員の方と話す機会がありました。
その時彼が話してくれたのは、

「教育分野にも研究者がいるし、現役の時に彼らの話しを聞く機会が沢山ありました。しかし、現場と彼らの話は離れていて、ほぼ役に立たないです。」

さらに、

「私達(現場の教員)には、研究者の話してくれた講演会の翌日に現場で授業があります。そこで、何か役に立つ話がほしかったです。」

と言う内容で、非常に重要な指摘ではないかと私には思われました。
もちろん、理論的な研究は欠かせないですし、それを否定していのではありません。
むしろ、私もそのような研究成果を蓄積することに喜びを感じる人間だと思っています。
ただその一方で、実際に教壇に立つ教員と研究者との間に橋渡しする機会、組織、人間が不足していること、また、それにより研究成果が現場で生かされていないことは問題です。

現在は私も一人の日本人教員として教壇に立つ立場なので、「現場で役立つもの・成果」を出したいと思わずにはいられません。

今回のアンケート結果の活字化にそれほど積極的でないのは、上記のような理由があります。



とまあ、何とかゆっくりですが一歩一歩プロジェクトは進んでいます。
これも、日本人と中国人教員・学生をはじめとした皆さんの御協力があってこそです。


最後に、前回の日本人教師会での集合写真を載せます。
皆さん、各大学・高校・企業で奮闘されている素晴らしい教員の方ばかりです。
なお、先生方には掲載許可を頂いていないので、顔の部分を隠しました。
消し方が下手ですみません。



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4月18日の校内スピーチコンテストのこと

2014年04月21日 17時00分00秒 | 中国の大学、大学生
先日、おとといと南通で奮闘する知り合いの日本人教員にお誘いを受け、百人一首の大会に参加してきました。
当日の一部の様子は微信に載せてありますが、こちらでは先日の校内スピーチの様子を載せたいと思います。

先日18日、私の働く大学日本語科が主催した校内スピーチコンテストがありました。
対象は日本語科三年生全員(!)で、当日欠席した学生を除いて計30人が発表を行いました。
テーマは学生からの意見を集め、最終的には投票を行い、「私の一番の宝物」に決定。

こうした類のテーマは自分の経験や思いを自由に、かつ、印象的なものを選択し、構成を組み立てる必要があります。
一方、知識や見識という教養のあるなしは比較的問われにくい性格を持ったものだと思います。
学生達は様々な「宝物」を披露してくれ、中には腹を抱えて笑えたり、涙が出そうに感動させられたりしたものもありました。
課題もありましたが、私はこうした機会を少しづつ進歩させながらも、確実に続けることが何よりも重要だと感じました。


なお当日、私は審査員の一人として参加し、試合最後には全体の講評も述べる機会も与えて頂きました。
しかし、参加してくれた学生達は三年生だけでなく、二年、一年、第二専門で日本語を学ぶ学生もいました。
ですから、一部の学生は私の講評だけでなく、他の先生方のお話も聞き取れなかったのでは、と感じています。

そこで、今日は改めて当日の感想を中国語で書いてみたいと思います(パチパチパチ)!



上周五的下午,在奉贤区举行了一场日语演讲比赛。由华东理工大学日语系主持这个比赛,日语系三年级的学生们都发表各位的演讲,日语系的三个老师,我以及一个日本的留学生是评委。

虽然在上周比赛的最后,我对学生们说了比赛的总结,批评,但是那时候说的内容只是一部分。而且,比赛的观众中,也有一年级的学生们。我觉得可能是他们听不懂我说的话(一部分)。所以,今天的博客记事中,我使用汉语。

第一个ポイント
比赛前,准备演讲搞的时候,有的学生准备的比较充分,很努力。比赛前天,有的学生们,自己的修改了全文。因为他们希望最好的演讲。虽然他们的并没有得奖,我觉得这个比赛发表,他们的日语水平能越来越高,还有他们对学习日语的能动性也越来越高。那就很好了。对我来说,最重要事不是获奖,是各位的日语水平的提高,还有他们这个比赛演讲的努力的事实。我觉得没有比这个更重要的事情。

第二个ポイント
学习日语的时候,我觉得最重要的事有两个。第一个是“日本語・日本に関わる何かに興味を持つこと(特には、オタクになるくらいに)”,第二个是“実際に日本人と一人でも多く交流すること”。我觉得第一个的问题是很难的问题。所以对我来说第一个问题还没完全解决,我也应该努力自己课的准备。其次,关于第二个问题。其实,在我们学校的日本留学生很少。还有,除了我没有日本人的老师。所以,平时大部分学生们和日本人交流的机会很少。但是,通过上周的比赛,学生们和我的交流的时间加了。还有,一个日本留学生也参加了这次比赛,学生们和他进行了交流的。我觉得这些对学生们来说是很宝贵机会。



4月7-12日のこと(上海での日誌として)

2014年04月13日 01時29分49秒 | とりあえず日記
今日は日誌形式で更新。

4月7日(月)

午前は洗濯や掃除をしてから、この週の授業準備。
昼食は出前。
午後から翻訳チェックの仕事、今回は約2万字の原稿をチェックした。
契約会社から依頼された文章の翻訳をチェックし、修正するのが仕事。
私が時間がある時、会社から文章を回してもらっている。
自宅にいながら自由に仕事ができることに加え、結構な手当。
夜食は近所で麻辣香锅を食べる。
その後、研究書購読に充てる。


4月8日(火)

午前から上海図書館へ行って、授業準備。
早めに行かないと席がないため。
4階のいつもの場所でノートパソコンを開き、ずっと作業。
昼は南昌路の日本料理店仁清でランチ。
戻って閉館まで図書館で仕事を続ける。
新聞では今後の中国元の推移予測が報じられている。
全人代の少し前から、人民元の対円レートが下がり気味だったが、年末頃には上がってくるとの予測。
1元が18円近かった今年の年明けに比べ、現在は一元約16円と少し。
どこまで下がるのと思っていたが、政府の人民銀行を通じた金融操作が働いているようだ。
現在、元で大半の給与をもらっている私としては一安心。


4月9日(水)

午前は授業の準備に充てる。
そして、午後は小保方氏の会見を中継で見る。
恐らく、特に研究者の方は会見内容に関心を持っていたのではないか。
まず、「清水の舞台から飛び降りるつもりで」会見を開いた小保方氏に対しては高い敬意を表したい。
研究成果に対する注目度が高かったが故に、その後の批判の在り方が度を越えている面があったと思う。
会見を見る限り、小保方氏は相当精神的に疲労困憊し、痩せ細った印象であった。
ただ、同時に会見を見終えた時、やはり消化不良の感が残ったのは私だけではないはずである。
会見での小保方氏の表情、語り口からは「STAP細胞はやはり存在した」とも感じさせるのだが、重要な根拠がいずれも示されていない。
幾ら小保方氏の主張を信じてあげたいと思っても、根拠が示されない以上、研究の世界ではやはり受け入れがたいとなってしまう。
今回の会見でもやはり真相は得られなかったというのが、大半の識者の認識ではないだろうか。
この会見でなぜ明確な根拠を示さなかったのか、或いは、示せなかったのかをきちんと説明してくれれば、より納得も出来たと思うが。

ともかく、この事件で研究者全体の倫理性・見識が大きく問われ、見直される契機になることは間違いない。
研究は成果のみが得られれば過程は何でもありではなく、きちんと過程を踏まえ、誠実に課題に向かう姿勢が成果と同じ位重要である。

夜は5月の国際学会のタイムテーブルが事務局から届く、発表は一か月を切った。


4月10日(木)

一日授業の日(90分×4コマ)。
最近、体力が戻って来たのか一日授業をしても疲れるどころか、逆に元気になるくらい。
授業を楽しんでやっているのを実感できているのが、嬉しいし、有難い。


4月11日(金)

大学の体育祭のため、この日の授業が全て休講。
午前は洗濯や掃除などをした後、翌日の研究会発表準備や研究書購読で一日使う。

夕方からは大学構内の運動場で留学生達3人と一緒にジョギング。
その後、シャワーを浴びてから大学近所の東北料理店で留学生達と夕食。
二人は北海道の大学から来ている若い学生、男子学生と女子学生。
もう一人は公立中学の英語教員を退職して、こちらに来た年配の学生。
若手の学生達は真面目に勉強をしているだけでなく、若者には珍しくかなり経済観念がきちんとして驚く。
年配の学生Yさんは年齢には見えない若さと、柔軟な考え方をしているのが印象的。
色々と雑務を片付けたかったのですぐに帰るつもりが、楽しくてついつい長居をしてしまう。


4月12日(土)

あいにくの雨。
午前は研究書購読。
午後から五角場へ出かけ、上海の日本人教員達の勉強会で報告。
「日本概況」と言われる、日本の文化・社会を教える科目に関する報告・質疑応答で約1時間半。
その後、参加者と討論時間などを合わせて約3時間の勉強会。
勉強会後は懇親会、二次会を終えて帰宅。

この勉強会では普段私が縁のない日本語教育の最前線に立つ先生方の話が聞けて大変貴重。
また、大学・高校や中学・民間学校など職場の違いによる意見も聞けて、色々と考えさせられる。
やはりより多くの縁故をつくり、様々な立場や環境で働く人と意見交換をするのは重要。
研究者だけの集まりだと得られない知見・学び・気づきが、こうした会に参加すると得られることに感謝。

中国の大学で教員と学生をつなぐ“ツール”

2014年04月06日 10時04分18秒 | 中国の大学、大学生
現在、中国は清明節休暇の真っ最中(正確には、昨日が清明節)。
そのため今週土曜日から明日月曜日までは中国全土が3連休に入っています。
基本的に、この日はお墓参りをし、家族で過ごすのが多いようです。
しかし、大学生達は旅行に出かけたりするケースも結構目立ちます。

スーパーでは清明節に食べる青团(日本で言う「草団子」)が、清明節の約二週間前から売られていました。


さて、今回は中国全土で流行しているソーシャル・ネットワーキング・サービス(英: social networking service、SNS)を紹介します。
日本でよく使われているSNSと言えば、mixi、Facebook、Twitter、LINEなどがすぐに思い浮かびます。
こうした、ネット上で人と人とをつなぐことで社会的ネットワークを構築するSNSは世界で支持され、利用者は急増しています。

これは中国でも同じなのですが、中国では御存じのとおり、Facebook、Twitterなど一部のSNSサービスを利用することは出来ません。
それらに代わるSNSサービスとして、中国側で開発したものが中国国内で利用できるようになっているのです。
例をあげると、

・微博(ウィボ:いわゆる、中国版Twitter)
・人人网(レンレンワン:中国版Facebookだが、主に若者が利用しているのが現状)
・微信(ウィシン:微信と人人网の中間的位置づけ。若者も大人も共に利用している)

などがあります。
実は、これまで私はこうしたSNSサービスにあまり関心がなく、積極的に利用したことは皆無でした。
しかし、度々学生達や教員から勧められたことで、最近、微信のIDを取得し、利用を始めています。
ちなみに、微博や人人网も勧められましたが、そんな発信する内容はなく、他に仕事もあるので断りました(苦笑)


実際、始めてみて分かったこと、興味深い発見がありました。
まず分かったこととしては、

1 学生との交流は携帯メール、Eメールなどよりも相当円滑になり、距離もさらに縮まるということ
2 SNS上で、自分と「好友(友達)」になった学生や先生方の日頃の様子、気持や性格がかなり理解できるようになるということ
3 実際、SNSを通じて新しいネットワークが広がることが多く、それが自分の世界を広げてくれるということ
4 最後に、自分が書いた記事や載せた写真にコメントが相当集まるので、何よりやっていて楽しいということ

私はまた始めたばかりなので、利用の頻度も高くないですし、活用方法も十分に熟知していません。
ただ、実際に始めてみて、事前の予想をはるかにこえるメリットがSNSにはあることが分かってきました。
特に、現在の仕事をしている立場からみれば「1」、「2」の効果はかなり大きなメリットであると思います。


次に、中国の大学でのSNSの利用のされ方について、興味深いと感じた点について。
ある教員と話をしていた時、この教員が私に言いました。

「やはり学生の状態を把握、或いは、ある程度管理するためにも、こうしたSNSで学生達の様子を見ておくのです」

この話を聞いた時、SNS一つをとっても国によって、或いは、使う人の立場によって利用方法はこうも異なるのかと感じたものです。
もちろん、中国でSNSを利用されている先生方が全てこのケースには該当しないことは明らかです。
しかし、こうした観点でSNSを利用する発想は日本の大学教員には皆無ではないかと思われます。

国が違うからこそ、同じSNSに対しても利用方法や観点は違うのだ、という良い例を見れた思いでした。


最後に話題は変わって、最近学生達と撮った写真を幾つか紹介します!

先週日曜日に中山公園に学生達と行った花見の帰りに寄った焼肉屋で。


そして、桜。


木曜日の授業後、教室に残っていた学生達と。


先日の金曜日に学生達と一緒に行った大学近くの食堂で(なぜか学生との写真がアップできず…)。


おしまい。

中国では組織よりも人と人の関係が重要

2014年04月03日 23時20分00秒 | 現代の中国社会
「中国はコネ社会」などとよく言われることがあります。
「コネ」は「関係」と言い換えてもいいと思いますが、この評価や認識は私自身もかなり正確な指摘だと考えています。
こうした中国社会の背景には、公や社会制度に対する信頼が低いということが大きく関係していると言われます。

自国の公や社会制度が十分に信頼できないものだ、と中国の人々が認識しているからこそ、
中国では組織よりも人と人との関係に重点を置くようになっているのが実態です。
そうした具体例を日本と中国の比較を通して、今回は紹介したいと思っています。
 
まず、一つの例として挙げたいのが、日本人の会社組織に対する考え方と、中国人のそれとの違いです。
日本人は会社組織で様々な案件が動くので担当者が誰であったとしても、組織の方針や意志は不変であることが普通です。
だからこそ、担当者が誰であろうと、また人事異動で誰に変ろうとも、まずは会社組織の一員として対します。
何より日本の場合、「○○会社という大手の社員だから信頼できる」などというように、
まずは組織そのものを信頼するという傾向が強いことが特徴です。

一方、中国人の場合、日本とは対照的です。
すなわち、中国人は担当者が変われば組織も変わると考えることが多いものです。
だからこそ、担当者が人事異動で動く際には、「あなたは今度どこに?」と聞いてくることが多いようです。
日本では「後任はどなたですか?」と次の担当者を尋ねるのが一般的だと思います。
ここからも、中国人は会社組織そのものを信頼するというよりも、
社員一人との関係を重視していることが伺え、信頼できるものは組織ではなく人であることが理解できます。

私は中国生活5年ですが、この間、自然に人と人との関係を重視する生き方を身につけていくようになっていきました。
具体的には、自身の研究支援を中国で受ける場合、誰に頼めばもっとも案件が動くか、
仕事の環境を改善する為には誰に依頼すればいいのか、など様々な問題を組織に頼らずに、
個人的に「この人だ」と考えた人に依頼をし、各問題を解決するように心がけたものです。
もちろん、このためにはきちんと日頃から多くの人間との信頼関係を築いていく事が何よりも大切です。
ともかく、この方が迅速に、かつ高い確率で物事が動くので効果的でした。


中国人との信頼関係の築くために私が気をつけたことは二つあります。
一つ:誠実に仕事に取り組み、ごまかさない。
二つ:依頼を簡単に断らずに、可能な限り引き受けて精一杯やってみる。


ということでした。
一番目は日本でも世界でも共通することだと思いますが、二番目も中国では結構重要なことだと思います。
すぐに「できない」という人間を中国人は信頼してくれません。
まずは「やってみる」という熱意、その姿勢を見せ、実際に何とかやりとげていく人間を信頼します。
もちろん無理難題は断った方がいいのかもしれませんが、大抵の要求は出来るものです。
実際、厳しい要求を引き受け見事にやり遂げた時は、相手との強い信頼が生まれます。

日本と中国、組織を信頼する国と、もう一方は個人個人を信頼する国。
本当に対照的な国だと思います。
しかし、どちらの国でも「信頼」を何よりも重視して関係が構築されているのは同じことに気づきます。
要は、国のあり方が違うために、その「信頼」の構築形態が異なっているだけにすぎないと私は思います。