中国西安で奮闘する大学教師Mの日々

日本人教員として中国の陝西省西安市の大学生・大学院生に対し、「日本文化・社会」や「卒業論文」などを教えています。

日中双方の領土を巡る軋轢(現地から見た騒動の実態)

2012年08月20日 05時05分53秒 | 日中関係のあれこれ
2010年9月、当時、尖閣諸島付近における中国漁船の衝突事件が発生しました。
そして2012年8月、再び似た状況に双方の国がおかれ、対応に注目が集まっています。
以前、安徽省にいた際と同じようなブログの記事を書くべき状況となっています。

これは一言でいえば大変残念であり、双方の国だけでなく東アジア地域、或いは、その地域と関わる国際社会にとっても大きなマイナスでしかありません。

昨日、以前のブログを見返していると、その当時のことを書いた記事がありました。
それを以下で引用し、紹介したいと思います。

現在、ニュースでは中国の各都市で発生した抗議デモのことばかりが報道されています。これを見ると、全ての中国人(或いは日本人も)互いの国家に対して激しく抗議しているかのような印象を与えます。

でも、実際は2010年の時も今回のケースでも違うということを、この記事を読むことで皆様に理解して頂ければと思っています。


Mの中国通信 より
http://blogs.yahoo.co.jp/yoshiitem1008

「中国漁船衝突事件(2010年9月)の波紋 in中国

菅直人首相の民主党代表再選。
とりあえず、ころころと変わる日本首相のイメージが変わっていくことを祈ります。
そして、もっと国民に不安でなく、安心を与えてほしいものです。


さて今日は、今月7日に発生した尖閣諸島(中国名:釣魚島)付近での中国漁船衝突事件のこと。
日本でももちろんですが、ここ中国でもかなり報道が過熱してきています。

いや、ネットニュースを比較してみると中国側の報道の方が熱が入っている印象です。
ちなみに、私はほとんどのニュースを人民日報の記事からチェックします。
もちろん、そこにも加熱していく報道振りが明らかにみてとれます。

「人民日報」中国語版
http://world.people.com.cn/GB/8212/191606/202393/index.html
「人民日報」日本語版
http://j.peopledaily.com.cn/94474/100700/index.html


この影響を受けて、中国国内でもナショナリズムを刺激され、反日感情が高まっています。
実際に、既に複数の地域で反日行動が発生し、それらがニュースでも取り上げられています。


尖閣諸島を巡る今回の問題は、何より領有権を双方ともに主張していることが背景にあります。

ちなみに、日本の政府公式見解は以下の通り。

外務省(日本)の尖閣諸島領有権に関する見解参照
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/index.html

すなわち日本側は、尖閣諸島を領土問題として扱わず、日本が固有の領有権を持っているというもの。
(これに関しては先日、蓮舫氏の「失言問題」がありましたね。)
加えて、中国側が領有権を主張しだしたのは「1970年後半東シナ海大陸棚の石油開発の動きが表面化」してからだという見解です。


しかし、領有権を主張するのは中国も同様で、話し合いはかみ合うどころか白熱していく一方です。

今日会った日本語学科の大学四年生の話では、中国国内はかなりこの事件に熱くなっているとのこと。
そのことを心配して、学生のご両親が、

「あなた(学生のこと)は日本語を学ぶ学生なのだから、反日活動が起きても参加してはいけないよ。」

とおっしゃったそうです。
そういう方も中国にはいるのだという事を強調しておきたいと思います。



ただ個人的にやや懸念しているのは、今週土曜が9月18日、いわゆる柳条湖事件の日ということです。
(ちなみに、中国では「9・18事変」と呼びます。)

この日は日中戦争が始まるきっかけとなった日として、毎年中国ではナショナリズムが高揚します。
(日中戦争は、中国では「抗日戦争」)
去年、私が勤務する大学でもそれを祈念する行事が行われています。

そんな日と、今回の漁船衝突事件での国内の雰囲気が合わさると果たしてどうなるのか。
個人的には、ただ何も起こらずに時が過ぎることを祈っています・・・。



ちなみに、学生の話では私のいる阜陽や大学では、反日感情が急激に高まっている様子はないとのこと。
確かに、大学構内であっても学生や教師の方は皆変わらず親切で、優しいですね。

これは非常にありがたいことですし、良い土地に来ていることを改めて実感しています。」


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