国立大学職員日記
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国立大学職員日記:記事一覧





■新着記事(2012年5月7日更新)
世界大学ランキングの上位大学はどのくらいの予算規模を持つのか?


■重複している記事の最新のもの
<運営費交付金>
  ・平成24年度 運営費交付金 国立大学ランキング
<国立大学事務職員の年収>
  ・国立大学事務職員の年収(勤続1年目〜5年目)
<期末・勤勉手当関係>
  ・平成23年度「期末手当」「勤勉手当」情報 + 「役職段階別加算」と「管理職加算」について
<国立大学教員関係の情報>
  ・平成22年度 国立大学教員年齢別「平均年収」一覧
  ・平成23年度科学研究費補助金ランキング
  ・平成22年度「厚生労働」科学研究費補助金ランキング
<人事院勧告>
  ・平成23年人事院勧告について

■コメントへの返答が長くなったものでエントリーを作ったもの
(※似たような質問をするときにはなるべく事前に読み返してください)
国立大学職員になりたい皆さんへ(Re:はなぴんさん):私大出身者が国立大学職員になること
国立大学職員になりたい皆さんへ(Re:マイマイさん):学生の大学浪人と目標転換は評価されるか?
国立大学職員になりたい皆さんへ(Re:スヌーピーさん):内部登用試験か職員採用試験か


■過去記事(エントリー順)
【メモ】独法・国立大学もやっぱり国家公務員に準じて給与が引き下げられることになるのだろうか?
平成24年度 運営費交付金 国立大学ランキング
平成24年4月1日時点における若年層の号俸回復状況+前後数年の基本給金額推移
国家公務員給与削減法案:昇給復活と経過措置廃止に関する最終変更点について
国家公務員給与削減法案で国家公務員・国立大学教員・国立大学事務職員の給与はどれくらい減るか?
平成22年度 国立大学病院看護師「平均年収・人数」等の一覧
「寒冷地手当」について
平成23年度「期末手当」「勤勉手当」情報 + 「役職段階別加算」と「管理職加算」について
平成22年度 国立大学教員年齢別「平均年収」一覧
平成23年人事院勧告について
「旅費」における「支度料」について
平成22年度「厚生労働」科学研究費補助金ランキング
平成23年度科学研究費補助金ランキング
国立大学事務職員の年収(勤続1年目〜5年目)
平成23年度 運営費交付金 国立大学ランキング
平成23年4月1日における昇給について
東北沖地震被災者・避難者へのKKR宿泊施設の低廉提供について
行政法令から見た福島原発における被ばく線量限度について
国立大学における旅費について(その2)
国立大学における旅費について(その1)
平成21年度 科学研究費補助金 審査委員ランキング
平成21年度 国立大学教員の「人数・年齢・年収」一覧
期末手当と勤勉手当について
国立大学事務職員の初任給計算方法 〜各論〜
  初任給計算1 〜学部新卒〜
  初任給計算2 〜大学院新卒〜
  初任給計算3 〜民間3年〜
  初任給計算4 〜就職浪人3年〜
  初任給計算5 〜高校卒業後、民間10年〜
  初任給計算6 〜民間5年後、大学院修了〜
  初任給計算7 〜高校卒業→民間5年→大学卒業〜
国立大学事務職員の初任給計算方法 〜総論4〜
国立大学事務職員の初任給計算方法 〜総論3〜
国立大学事務職員の初任給計算方法 〜総論2〜
国立大学事務職員の初任給計算方法 〜総論1〜
平成22年度 運営費交付金 国立大学ランキング
平成22年度科学研究費補助金のランキングや分析
【小ネタ】国立大学のドメインを調べてみる 前編
【小ネタ】国立大学のドメインを調べてみる 中編
【小ネタ】国立大学のドメインを調べてみる 後編
文部科学省共済組合の共済積立貯金について
【小ネタ】春にやたら証明依頼がくる『免除職在職・異動届』について
国立大学事務職員の年収と労働環境(勤続4年目)
国立大学の教員に講演を依頼するには…
国立大学における非常勤職員の雇用期間の制限について(1)
国立大学における非常勤職員の雇用期間の制限について(2)
国立大学における非常勤職員の雇用期間の制限について(3)
国立大学事務職員の基本給は昇給で「何円」増加するのか
 ・続・国立大学事務職員の基本給は昇給で「何円」増加するのか
 ・1.最低限の昇給パターン
 ・2.出世下位グループの昇給パターン
 ・3.出世中位グループの昇給パターン
 ・4.出世上位グループの昇給パターン
期末・勤勉手当額まとめ 〜気がつけば4年目〜
解剖献体の慰霊祭について
国立大学事務職員は何歳で「昇級」するのか
国立大学で働く 〜非正規職員編〜 その1
国立大学12の真実〜国立大学の正しい理解のために〜
期末・勤勉手当は2009年6月にどれくらい下がったのか
データから見る公務員の高学歴化
人事交流と出向について
国立大学事務職員はどこまで出世できるのか?
国立大学事務職員の年収(勤続3年目の場合)
本府省業務調整手当について【追記】
国立大学事務職員なら読んでいる?各種購読物について
本府省業務調整手当について
運営費交付金から見る国立大学ランキング。
共済の救急薬品等の配布について。
昇給と本給表・俸給表について。
期末手当・勤勉手当(ボーナス)額の暫定まとめ
労働時間について
ワープロソフト「一太郎」について
学歴、学校歴について
夏休みについて
残業・残業代・サービス残業について
期末・勤勉手当について
キャリア組とノンキャリア組について
平成19年度年収の詳細を調べてみた。
異動で引越し。「餞別」を渡そう!
年度末。異動について。
国立大学職員採用試験(筆記試験)に関して
昇給抑制期間とは何なのか?
源泉徴収票をもらったので年収を出して見ました。
あけました。昇給です。
国立大学事務職員の給与引き上げについて
共済の傷害保険の掛金が増額されるそうですね。
いわゆる「検認」について。
国立大学職員採用試験(面接試験)の思い出 まとめ
国立大学職員採用試験(面接試験)の思い出 その5
国立大学職員採用試験(面接試験)の思い出 その4
国立大学職員採用試験(面接試験)の思い出 その3
国立大学職員採用試験(面接試験)の思い出 その2
国立大学職員採用試験(面接試験)の思い出 その1
「言い回し」は便利!
送迎会、「寸志」って何?
大学事務職員の季節物業務、入試監督員。
「ハンコ主義」その1 ハローワーク
「ハンコ主義」、各官庁の対応は?
手作業からエクセルへ。
「税金を使うことの面倒臭さ」について。
国立大学事務職員は公務員ですか?
国立大学病院の事務職員になるには?
三ヶ月ぶりに書きたくなったので。
パソコンをPCと書いてない時点で、ダメな気がする文章。
初年度の年収は?
出勤13日目に。
初日を終えて。
初出勤日の朝。

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■はじめに
 前回のエントリーで平成24年度運営費交付金のランキングを作成しましたが、大学の収益というものは運営費交付金以外にも授業料収入や科学研究費補助金収入等、いろいろなものがあります。例えば東京大学は平成24年度で運営費交付金が850億円程配分される予定ですが、これに対して全収益は前年度実績で2400億円程もあり、運営費交付金以外の収益は運営費交付金以上に多くあるのが現状です(全収益における運営費交付金の割合は各国立大学により異なってもいますが)。
 学外の人間から見ると、この運営費交付金以外の収益の存在は少し意外かもしれません。私立大学ならまだしも、もともと国家機関であった国立大学が税金以外からの収益を多く持っているイメージはあまり世間に定着していないような感じがします。また仮に大学関係者だとしても、大学間でそれがどのくらい違うのかはこれまであまり考慮されてこなかったかも知れません。
 そこで「こういうものを一覧にしてみたら面白いんじゃないかな?」と思い立って作り始めたのが今回のエントリーで、ついでに「国内だとどこも同じ雰囲気でつまらないから財政事情がいろいろ違う世界各国の大学、それも世界大学ランキングの上位大学を比較してみよう!」と無駄にハッスルして出来上がってしまったのが以下のものです。自分の英語力の無さを最初に少しでも考慮に入れていれば作ろうとはしなかっただろうなと今更ながらに後悔できる出来ですので、面白かったら褒めてくれるととっても嬉しいです。

■内容について
 「予算規模」と題していますが、正確には「収益(Income)」と書いたほうが良いかもしれません。ただ、大学ごとによって収益の表記が「Income」「Revenue」「Operating revenue」と様々なため、今回は予算規模ということで一括しました。また自分には会計上の知識が無いため、もしかすると比較すべき対象を間違っている可能性もあります(例えば「収益として比較するならこの項目は含めちゃいけない」等の指摘があるかも知れません)。そこらへんは相変わらず大目に見て欲しいのですが、一覧の他に各項目の元々の英文や、参照データのURLもまとめておいたので、ここらへんは特に事後確認が出来ることを持って細々とした誤りはご容赦ください。本格的に正確に作ろうとしたら渡米してMBAでも取得してこないと無理そうですから。
 なお全ての情報は各大学がホームページで公開している「年次報告書(Annual report)」や「財政報告書(Financial report)」の収益と思われるページから取得しました。
 「世界大学ランキング」と呼ばれるものは複数ありますが、今回は「QS World University Rankings 2011/12」を利用して上位30大学を選びました。このランキングを利用した特段の事情はありません。Googleで検索したら最初に出てきたので利用しただけです。

■世界大学ランキング・トップ30大学の予算規模



【寸感】
 「世界ランキングトップに入るためには最低限どのくらいの財政規模が必要なんだろうか?」と思ってデータを作成してみましたが、簡潔な答えは出てきませんでした。ちょうど25位に東京大学が入っているのでこれを日本の大学の最も財政規模が大きい大学として比較すれば分かりやすいと思います。東京大学も遥かに凌ぐ大学がある一方で、日本の地方総合大学クラスの財政規模で世界ランキングに入っている大学もありました。もちろん、少ないとは言っても大学界全体で見ればどれもそこそこに大きい財政規模ではあるとは思いますし、このあたりはその大学の形態である私立・公立・国立等によっても事情が違うので、一概にはまとめられないとは思います。しかし、とりあえずこういったランキングに載るために必ずしも財政規模を肥大化させなくてはならない、という訳ではないようです。日本で言えば、旧帝大学や大学病院を持つ総合大学であれば、どの大学も世界ランキングに載ってもおかしくない財政規模かも知れません。

 むしろ「財政規模」そのものより、その「内訳」の方が世界上位大学になるために必要な何かを与えてくれるかも知れません。という訳で各大学の収益の内訳を下記に載せておきます。
 「財政規模」と同様、やはり「内訳」も単純に比較することはかなり困難なはずです。これは特に、私立・公立、また州立や国立の違いに加えて、各国における大学財政のあり方がかなり違うからだと思います。ただ、それでもこれらのデータから日本の大学の「大学としての国際競争力に何が足りないのか」は、なんとなく雰囲気だけでも伝わってきました。というのも冗談みたいな話ですが、今回各データを和訳する作業で、一番手間取ったのは実は東京大学のそれでした。英文と和文を一対一に対応させたデータが無かったので、英文の財務レポートを日本語に訳したのですが、それまで他の外国大学の和訳に慣れた状態でこの作業を行ったところ、想像以上に東京大学の収益の内訳がよく分からなくなってしまったのです。
 これは単に使っている英単語が他の外国の大学で使われているそれと少し違っただけかも知れませんが、それでも30大学のデータの和訳作業をして一番違和感を覚えたのが日本のそれだった、ということには少し薄ら寒いものを感じました。東京大学の秋入学の話もそうですが、寄付金や基金の充実、外部資金獲得を促す流れは、もしかするとこういった国際的な潮流に対する危機感みたいなものがあるのかも知れないと、いまさらながらに実感したので、このことは念のために書いておきます。
 内訳の詳しい説明は専門家に譲りますが、やはり「外部からの研究費の獲得」「政府支出に依存しない財政構造」あたりがポイントになるんだと思います。またこのあたりは私立・公立で大きく事情が違うとは思いますが、「投資による収入」「寄付・基金の存在」あたりも日本と外国では大きく違うようです。とは言え、日本の国立大学のように運営費交付金のような収益を受けている大学も思っていた以上にたくさんありましたので、必ずしも公的資金からの支出を減らせば良い、ということでもないようです。「じゃあ何が最終的な指標になるんだ」というのは正直自分程度の人間には分かりません。このあたりはそれこそ本職の研究者がたくさん論文を書いていると思うので、いつかそれらにも目を通してもう少し詳しい事情を確認してみようと思います。

■各大学の内訳





























































































■おわりに
 英語力の無い自分には難儀なエントリーでしたが、それでもつくづく、大学は国内だけに目を向けている状況では無いなということを実感しました。もちろん、世界ランキングの上位30大学と言えばエリート中のエリート大学で、これらの大学の状況が全ての大学に当てはまる訳ではないですし、国内の全ての大学が他の問題を先送りしても国際競争力の強化を最優先課題に据えなくてはならない訳でもないと思います。しかし、例えば地方の町工場であっても扱う製品の革新的な技術改良が外国で起これば影響を受けるのと同じく、国内のいかなる大学も「学術研究・高等教育」という分野で全世界の大学と密接につながっているため、諸外国で起こっているこれらの変化に対応できなければ国内ですらもその存在が危ういものになる、という考えは、あながち間違ってはいないと思います。
 こういった考え方に対してその「財政規模」や「内訳」がどのくらいの比重を占めているのかは自分には判断できませんが、それでも「無視は出来ないんじゃないかなぁ」くらいには考えても良いでしょう。あるいはまた、こういった諸外国との比較で立ち遅れている点や大きく異なっている点というのは、今回の「財政規模」に限らず、きっといろいろあるのだと思います(例えば秋入学の話なんかもこういった問題の一つなんだと思います)。

【おまけ:どうすれば外国関係業務を処理する能力が身に付くか】
 自分はプロパーの大学事務職員なので、さすがに上で書いたような財政規模の抜本的な改革に取り組める程の能力も権限も、今も無いですし多分将来も付与されないと思います。しかし、だからと言って日常的な業務の中で諸外国を意識してやらなければならないことが無い、という訳では全然ありません。いつの間にこうなったかは知りませんが、出張や兼業の各種処理をしている関係上、気づいてみれば英文の学会パンフレットや委嘱状、Webサイトを当たり前に読み、外国出張のビザ申請に掛かる英文証明書の発行をあまり苦もなくやれるようになりました。
 こういった業務は「勉強してやれるようになった」というよりかは、「しなくてはいけない必要性に駆られて身に付いた」ものなので、あまり積極的な評価の対象にはならないかも知れませんが、自分はこういう身に着け方でも別に問題は無いと思っています(最初から完全な知識を身につけるのではなく、OJTで発生頻度の高い問題から優先的に身に着けていくやり方)。またそういう意味では、大学は職員の英語力とか国際競争力を身に着けさせたければ、とにかくそういった業務をバンバン受注して事務職員に仕事をさせまくればいいと、個人的には思っています。つまり、教員や大学幹部は一種の「営業職」のように立ち回って欲しい、ということです。
 これは結構実体験に基づいた話です。というのも、自分が各種英語の文書を読めたり英文証明書を発行できるようになったのは「そういうことをしなければならない業務をしょっちゅう持ち込む教員」というのがたくさんいたからです。民間で言えばこれは「現場のことも考えずに無理な注文をとってくる営業職」みたいなものになるのでしょうか?忙しい時期にこういう注文はあまりありがたくないですが、それでもこういう業務を通して次第に諸外国とのやりとりの業務にさほど苦労を覚えなくなっていったのは紛れも無い事実です。そういう意味では、頼んでもいないのにこういった業務をもってきてくれる教員というのは、ある意味結構ありがたい存在だったりします。
 という訳で、自身の「国際競争力強化対応としての業務処理能力向上」と「大学全体の国際競争力強化」を図る意味において、大学は「やたら国外でなんか新しいことをしたがる教員」を一種の「営業職」と考えて割と大事にした方がいい、というのが自分の提案です。
 この「大学教員=営業職」仮説、別に国外業務に限らず全業務に当てはめても特に問題ないと思うんですが、どうなんでしょうか?今のところこの説の賛同者はいない状況ですが、個人的にはもっと流行ればいいなぁとか思ってたりします。



※データ作成に利用した各大学の財務報告書等のURL
1.http://www.admin.cam.ac.uk/univ/annualreport/2011/Statement.pdf
2.http://vpf-web.harvard.edu/annualfinancial/
3.http://web.mit.edu/facts/financial.html
4.http://www.yale.edu/about/docs/financial-report.pdf
5.http://www.ox.ac.uk/about_the_university/facts_and_figures/index.html
6.https://workspace.imperial.ac.uk/finance/Public/annual_report/annual_report_10_11.pdf
7.http://www.ucl.ac.uk/news/annual_review_2010.pdf
8.http://finserv.uchicago.edu/reporting/2011%20UC%20Financial%20Statements%20-%20F-47628CHI.pdf
9.http://www.archives.upenn.edu/primdocs/uph/uph4_5/2011fin_report.pdf
10.http://www.finance.columbia.edu/finance_statement.html
11.http://bondholder-information.stanford.edu/pdf/AR_FinancialReview_2011.pdf
12.http://annual-report.caltech.edu/documents/34-ar_09_10.pdf
13.http://www.princeton.edu/pub/profile/finances/
14.http://sitemaker.umich.edu/obpinfo/files/greybk_aasum_fy11.pdf
14.http://www.umflint.edu/financialservices/Budget%20Reports/flint_budget_10_11.pdf
14.http://www.umd.umich.edu/fileadmin/template/businessaffairs/files/Financial_Budget_General_Services_-_FILES/Budget_Coordination/DBN_Greybook_2011-12.pdf
15.http://www.dfa.cornell.edu/cms/accounting/reporting/annualstatements/upload/cufinancialrept1011.pdf
16.http://finance.jhu.edu/pubs/financial_reports/AnnualReport2011.pdf
17.http://www.mcgill.ca/principals-report/fact-book
18.http://www.ethz.ch/about/publications/annualreports/index_EN
19.https://finance.duke.edu/resources/docs/financial_reports.pdf
20.https://www.wiki.ed.ac.uk/download/attachments/68630228/uoe_reports_fin_statements_10-11.pdf
21.http://berkeley.edu/about/fact.shtml
22.http://www6.cityu.edu.hk/puo/newscentre/publication/annual_report/finance_5.html
23.http://www.finance.utoronto.ca/Assets/Finance+Digital+Assets/reports/financial/2011.pdf
24.http://www.northwestern.edu/financial-operations/annual-financial-reports/2011-Financial-Report.pdf
25.http://www.u-tokyo.ac.jp/en/about/data/finances.html
26.http://about.anu.edu.au/__documents/annual-reports/2010-anu-annual-report.pdf
27.http://www.kcl.ac.uk/aboutkings/facts/profile.aspx
28.http://www.nus.edu.sg/annualreport/2011/
29.http://documents.manchester.ac.uk/display.aspx?DocID=6178
30.http://www.bris.ac.uk/finance/statements/

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独法83団体の人件費削減へ=300億円、公務員給与減で−政府


「どうなるものやら」と思っていたらさっそく政府は国立大学法人も含めた独立行政法人の人件費削減を打ち出してきましたね。やり方としては「補正予算編成時に減額分を反映」「運営費交付金を削減」とあるので、当初提示された予算が後になって減らされる、という形になるようですね。

恐らくこのまま行くと、各国立大学法人は就業規則等を改定し、大学職員の給与を国家公務員並みに引き下げる処理を行うでしょう。そこで問題となるのはいわゆる「就業規則の不利益変更」の話と考えて良いと思います。手元にある「労働判例百選(第七版)」によれば、「就業規則の不利益変更が合理的なものである限り」、不利益変更は有効だと書いています。さらに、その「合理性の判断」には次の3つの要素、(1)変更の必要性と変更内容の相当性、(2)多数組合との合意と合理性判断、(3)経過措置、が関わってくるようです。以下、国立大学の場合におけるこれらの判断を、自分なりにしてみたいと思います。

(1)変更の必要性と変更内容の相当性
 「変更の必要性」について、「なぜ給与を減額するのか」と言われれば、今回の場合は「東日本大震災の復興財源の捻出が必要であるから」となるのでまず間違いないでしょう。より詳しく言うと「東日本大震災の復興財源を捻出する必要があり、そのために政府予算を変更して人件費を削減する必要があり、公金から運営費交付金を支出している独立行政法人においてもこれに協力する必要がある」という具合になると思います。これに対する考えうる反論は「人件費以外を削減することで復興財源を捻出することが本当に出来ないのか?」など、いろいろあるでしょうが、このあたりの反論が効力を上げるとは思えません。確かに人件費以外で財源を捻出する方法もあるかも知れませんが、それでも(独立行政法人を含め公務員系統の)人件費を削減することが一つの手段であり、そしてこの手段を政府が選択した以上、その合理性はその決定が「高度な政治的な決定」であるため、自動的に推定されても致し方ないと思うからです。この考え方は「合理性の判断」を「政府が決定したから」に丸投げしていてひどく無責任ですが、「じゃあ人件費以外の費用で持って今回の復興財源の捻出が可能であることを誰が、どのように立証するのか」「仮に立証が出来たとしても、それで持っても人件費を削減する方法が即座に不当であると言い切れるのか」などなど、実際に反論するには気が遠くなるような説明が必要であることを考えると、そこまで不当でもない、と、思いたいところです。また、予算削減が「高度な政治的な決定」であるか否かについて特に根拠は示していませんが、これについては「人事院勧告を実施せずに給与削減法案を成立させることの是非」が国会で議論になった際に、人事院総裁が「人事院勧告を上回る削減を行うことについては高度に政治的な決定であるため、その実行については両議院で決めていただき、人事院としてはその違法性については判断しません」みたいなことを言っていた記憶があるため、そこまで的外れな見解でもないと思っています(このあたりは両議院の各委員会の議事録のどこかに書いてあるはずですが、もし自分の記憶違いなら申し訳ないです)。
 「各国立大学法人の予算が減らされたからといって、即座に人件費を削るのはおかしい。まず国立大学は人件費以外の経費の削減が出来ないかどうかを検討してから給与引下げを行うべきだ」という反論は個人的にはアリだと思います。これについて、各国立大学は「政府がそう決定したから」という理由だけで人件費削減を行うべきではなく、まず政府が予算を削減したことを受けて人件費削減(あるいは労働条件の不利益変更を伴う処理)以外の手段を取れないか検討したが、やはり人件費を削るしかなかった、という具合(「具合」っていうも変な書き方ですが…)になるべきだと思います。これは特に、法人化して運営費交付金に使い道を裁量的に決めることが出来るようになった権利に付随する義務みたいなもののはずです。
 とは言え、「国立大学には人件費以外の費用を削減して今回の予算削減に対処する方法もあったはずだ」というのも、実際には主張しにくいと思います。国立大学にはそれぞれ「○○億円」という形で運営費交付金が配分されるものの、実際には「人件費はこれだけ、設備に掛かる費用はこれだけ」というように使い道を定めて予算を出している訳ですから、政府が「人件費として○○億円分、予算削減する」と提示すれば、やはり各国立大学もその削減分を人件費を削減して対処する、というのがもっとも合理的な方法だと思います。もちろん、独自に対処する大学があっても面白いと思いますが、「人件費○○億円分減らされたけど、給与を下げない。その代わり○○事業関係はやっぱり行わないことにするよ」とやると、それはそれでかなりの混乱を招くと思います。あるいは、日本ではあまり現実的ではありませんが、「給与下げない代わりに人減らすよ」として何人か解雇する、という方法だって、考えられない訳ではありません。この点、日本は簡単に解雇することが出来ないシステムになっているので、今回の予算削減で解雇が生じる、というのはまず考えられないと思いますが、これは逆にいうと「なかなか解雇されることが無いんだから就業規則の不利益変更くらい受容しなさい」とも言える訳で、下手にいろいろ考えると逆に給与引下げを是認する結果に終わる気がします。
 あとは「解雇が出来ないなら非常勤を雇い止めにする」という方法もあります。ひどいこと書いているな、と自分でも思いますが、それでも、強引にでも正規職員の給与水準維持を敢行するならありえる方法の一つであり、そして恐ろしいことに合法的にやれてしまう方法の一つです。もっとも、すぐに退職させる、という具合には行かないでしょうから、任期満了した非常勤の後釜に人を入れない、だとか、3年か5年が上限だったけど1年や2年で契約更新を停めることにする、という感じで、比較的緩慢に人員整理は行われると思います。今回は給与引下げの期間が2年だけであり、この方法はあまり現実的ではありませんので実施はさすがにされないと思います。しかし、給与引下げを行わずに無理して給与水準を維持しようとする場合には起こりえる事態として可能性もあることを考慮に入れれば、正規職員の給与引き下げもまた、割と現実的且つ温情的な予算削減への対処方法ではないかなと、個人的には思っています。少なくとも、自分は給与引下げがされるからと言って、「なぜ給与が下がるのか訳が分からない」等とわざと理解できない振りをして(あるいは意識的に無知となって)感情的に反対する方法は嫌いです。
 なお「変更内容の相当性」についてはあまり問題にならないと思います。今回の給与引下げについてはその計算方法も公開されており、「純粋に財源が減らされる分だけ人件費も連動して引き下げる」という大学が取るであろう処理事態には違法といえるほどの非合理性は無く、「国家公務員に準じて給与を引き下げること」には相当性がある、という内容で決着すると思います。

(2)多数組合との合意と合理性判断
 これを使って「これから行われるであろう給与引下げの合理性」を否定するのはほぼ無理でしょう。そもそも「従業員の大多数が加入している労働組合」を持っている国立大学なんて無いと思いますし、結局は過半数代表者の合意を得ることで、大学側はこの問題をクリアすると思います。また裁判判例自体も、必ずしも多数組合との合意を必須条件にしている訳ではないので、やはりこのことだけで給与引下げを阻止するのは難しいと思います。
 ただ、その決定過程において労働者に内容を説明したか否かの点は非常に重要だと思います。不利益を被る利害関係人に事前・事後の説明を行うことは説明責任の本質ですし、労働者には「負担を強いられるなら内容を知る権利がある」とも思っています。この点、個人的な経験上、大学事務局などは説明を蔑ろにする傾向があるのではないかと危惧しています。大学にしてみれば説明したところで引下げ内容が変わるわけではありませんし、いちいち忙しい合間を縫って内容を完全に把握するのは非常に面倒くさいとは思いますが、こういった説明は実施に伴う一種の手続き的義務だと考え、もう少し実施に力を入れて欲しいと個人的に強く思います(なんなら自分を2週間くらい、そういう説明をやる担当に入れてついでに資料を集める権限を与えてくれれば、給与引下げに反対している職員たちにぐうの音も言わせないほど完璧に説明し、なおかつその挙句にそのことをネットに公表してやる、とか思うんですが、実現しそうにありませんね)。

(3)経過措置
 これは一種の「緩和措置の存在」を不利益変更実施の要件とすることで、労働者が受ける不利益の度合いを弱めようとするものです。これについては、自分は「存在している」と考えます。「国立大学が独自に緩和措置を行う思う」ということではなく、そもそも「今回の給与引下げ自体に緩和措置が最初から付随している」と考える訳です。
 例えば、そもそも今回の給与削減は2年間の時限立法です。これ自体、かなりの緩和策だと個人的には思っています。なぜなら、そもそも今話題にしている就業規則の不利益変更は恒久的な引下げであっても全然不思議ではなく、それを考慮すれば「2年に限る」という給与引下げは必ずしも違法と言えるほどの不利益を労働者に課すものとは言えないと思うからです。さらに、若年層と中高年層では削減割合に差を設け、国家公務員給与体系で若年層の給与水準が民間に比べて低くなっている、ということへの対処も行うなど、このあたりは割りとポイポイ理由が出てくるはずです。というか、そもそも国を挙げての給与引下げに官僚達が言い分を準備していないわけが無く、今回の国立大学の給与引下げにおいてもその官僚たちの言い分が直接大学側の言い分になる訳ですから、これを論破するのもちょっと現実的ではないような気がします。


 以上のとおり、自分は今回の国家公務員給与削減法案を受けての独立行政法人の給与引下げについては、「恐らく実施されるだろう」、且つ、「実施されることには合理性がある」という見解を持ちます。
 「そもそも実施すべきかどうか」は「内容に合理性があるか」とは別の問題ですが、実はこれについても自分は「(少なくとも予算の削減は)実施されるべき派」です(完全肯定という訳ではありませんが、少なくとも実施に賛成の立場です)。これについて特に難しい主張はありません。国立大学法人の給与は「国家公務員に準ずる」という立場で良いと個人的に思っているため、今回の国家公務員の給与引下げに際しても、国立大学法人も準じて給与引下げをするべきであり、それに応じて予算の削減もするべきだと思っているだけです。ちなみに「大学の予算削減を受けてそれをそのまま大学職員の人件費削減につなげるか否か」はちょっと微妙です。上にも書きましたが、この点については各大学で独自政策があっても良いと思いますし、個人的にそういう方法を考えるのは大好きです。が、「とりあえず予算は減らし、その上でそれを人件費に反映させるかは各国立大学の責任で決定する。とは言え、現状を考えるならやはり人件費分を削減されたのだからそれにあわせて実際に人件費を削減するのが、最も現実的な解決策だろう」というのが、今の自分の立場な訳です。


 今回の政府の決定の受け、各国立大学がどのような動きになるのかは、今後も逐一調べていこうと思います。


 なお、今回は手元にあった労働判例百選を参考にしましたが、労働条件の不利益変更あたりは労働契約法の成立で少し変わっているかもしれません。今回の内容はちょっと古い判断枠組みで書いているかも知れないので、この点ご注意ください(不利益変更の有効性を考えるのに、その「合理性」を問うやり方自体は変わっていないようですが)。

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■はじめに
 本ブログでは平成21年度分から国立大学運営費交付金額のランキングを作っています。一番最初は「文教ニュース」から、その次以降は「旺文社 教育情報センター」が毎年公表している運営費交付金の記事からデータを取得していました。今年もそんな風にしてデータを取得しようと考えていたのですが、よく考えたら自分は国立大学運営費交付金額の「一次資料」を見つけておらず、「二次資料」データでランキングを作り続けるのもいかがなものかなと思ったので、今回はランキング作成前に国立大学運営費交付金額の「一次資料」を探してみました。
 とは言えどうやって手に入れたらよいものやら、最初はさっぱり分かりませんでした。そこで目的のために手段を選ばず、手っ取り早く文部科学省の情報公開制度に則って資料請求をしてみることにしました。
 まず最初に文部科学省の担当部署に問い合わせて事情を説明し、「国立大学運営費交付金の各機関へ配分する額が書かれた資料を請求することはできますか?」と聞いたところ、「その資料でしたら特に情報公開制度に則って資料請求するまでも無く渡すことが出来ます」という返答でした。これは僥倖とさらに「平成24年度予算が成立してすぐ欲しいのですが可能ですか?」と聞いたところ、「予算案は既に出来ていてこれが変更されることはほとんどないので今すぐにデータを差し上げます」という返答で、結局最初の問い合わせから2時間たらずでPDF資料を取得できました。
 まさかこんなに迅速に対応してもらえるとは思わず正直かなり驚きました。本省と言えば忙しい時期にやたら手間のかかる調査物を投げかけてくるやっかいなところ、くらいにしか思ってなかったのですが、決め付けは良くなかったかなと今では反省しています。次回からはもうちょっとやたら期限の厳しい調査物なんかにも気持ち協力的に返答しようと思います。

 そんな経緯で運営費交付金の平成24年度データが手に入ったので今回はかなり速報的なランキングです。これを書いている平成24年3月31日時点ではまだ暫定予算しか成立していませんが、本予算もそのうち成立するだろうと思うので少し見切り発車的に公表します。
 国立大学運営費交付金と言えば平成22年の概算要求(シーリング)で凄まじい削減がされるかも知れないと話題になりましたが、結局は例年通りの削減幅に落ち着いた件が記憶に新しいです(「元気な日本復活特別枠」があったおかげだったのかも知れませんが)。今回は特にそのような騒動はありませんでしたが、復興特会込みで対前年度削減割合は「0.91%」と、結果だけ見れば昨年度よりも減っています(復興特会無ければ1.4%減)。やたら騒いだ昨年度が法人化以後の対前年度削減割合の最も低い年で、今年は何の音沙汰もなく順調に昨年度よりも減っている、というのは何だかこれでいいんだか分かりませんが、とにかく効率化係数に基づく「毎年大体1%減」作戦は順調に進んでいるようです。




■平成24年度 運営費交付金 国立大学ランキング





 全体的に1%前後予算が減っていて、全国立大学中の順位は大体昨年度と同じという状況かと思います。震災にあった国立大学に対する予算の優遇があったのかどうかは分かりませんが、予算額が上がっていたり順位が上がっている大学には東北地方のものが多い印象を受けます。

■おわりに
 以上、平成24年度の運営費交付金のことでした。
 運営費交付金についてふとこれを「ジニ係数」で考え見たら面白いのではないかなと思ったので、今回とは別に国立大学を一つの国家と考えてジニ係数調査、つまり財の配分の公平性を調べてみようと思っています。いつかエントリーを作るかもしれないので、よろしければご期待ください。



※ここからは試論:「運営費の毎年度1%削減」の是非とそれが与える事務職員の人員配分ルールへの影響とか(例のごとくかなり長いので省略可能です)

 国立大学が法人化して9年、その間にもいろいろな社会情勢の変化はあったのでと思いますが、運営費交付金はなんだかんだ言っても「毎年大体1%減」で順調に減らされていっています。このことについて、採用された当初は「乱暴な削減方法だな」と思っていましたが、最近は「これで良いのかも知れない」と思うところも出てきました。あくまで「思うところも出てきた」であって、無条件に賛成する訳ではないのですが、ちょっとここのところを書いておこうと思います(また以下に述べることは自分が最近体験したことに基づく考えであり、あくまで「自分の勤務している国立大学の場合の話」ですが、似たような構造を持つ大学もあるのではないかと思います)。

 結論から書きます。自分が「毎年大体1%減」に賛成できる部分があると意思表明するのは「結局そうして外部から圧力をかけないと改善されない内部構造があると思うから」です。
 そしてその「改善されない内部構造」とは「大学内部における事務職員人員配分のルール」のことです(もちろんこれ以外にもあると思いますが、今回はこの問題を中心にして話を進めます)。そしてそれらは特に「規模という観点から見た人員配分」と「人件費抑制という観点から見た人員配分」、及び、「業務の公平性」と「業務の効率性」が競合しているという問題です。

 自分のいる国立大学では、各部局への人員配分は「規模という観点から見た人員配分」が優先されていると言えます。「規模」とは要するに「教員数」「学生数」「外部資金額」のように客観的に数値化しやすいものです。また客観的であるが故に人員配分を行う側としては「業務の公平性」を重視した方法とも言えます。
 しかし一方で「規模という観点から見た人員配分」は必ずしも「人件費抑制という観点から見た人員配分」と一致しません。なぜなら、例えば「教員100名・学生200名・外部資金額1000万円」と、「規模」が全く同じ部局が2つあったとしても、片方のA部局は毎日残業だらけで片方のB部局は毎日仕事を探すくらい暇、という状況がありえるからです。このような場合はB部局からA部局へ事務職員数を移すという「人件費抑制という観点から見た人員配分」を行う必要性があります。またこのような処置はA部局事務職員の時間外労働数を下げB部局事務職員の単位時間あたりの処理業務数を上げるという意味において、人員配分を行う側としては「業務の効率性」を重視した方法とも言えます。
 しかしまた一方で、「規模という観点から見た人員配分」を修正する「人件費抑制という観点から見た人員配分」は再度「規模という観点から見た人員配分」に修正、あるいは見直しを迫られます。なぜなら、例えば「教員100名・学生200名・外部資金額1000万円」と、「規模」が全く同じ部局が2つあったとして、片方のA部局は毎日残業だらけで片方のB部局は毎日仕事を探すくらい暇、という状況があったとしても、実はA部局事務職員は旧態依然として非効率な業務方法を改善せずに業務を行っている一方で、B部局事務職員は業務の効率化・省力化に全力で取り組んだ結果業務時間数を減らすことに成功した、という状況がありえるからです。このような場合、仮にB部局からA部局へ事務職員数を移すことによって「業務の効率性」を推進できたとしても、A部局はB部局の努力に「ただ乗り」した形となるため、「業務の公平性」を欠きます。また同時に、公平性を欠いた人員配分を放置すれば、それは各職員の意欲を下げるため、長期的に見て「業務の効率性」を下げる結果にもつながります。
 そして以後、再び重視された「規模という観点から見た人員配分」はA部局職員の業務効率化の取り組み具合の再評価に伴い、やはり再び「人件費抑制という観点から見た人員配分」に修正・見直しを迫られます。このように「規模という観点から見た人員配分」と「人件費抑制という観点から見た人員配分」は常に競合しあい、バランスを保とうとするのが本来の形であって、決して片方に偏るものではない、というのが理想形だと思います。しかし実際には現状の国立大学は「規模という観点から見た人員配分」に重点が置かれ、「業務の効率性」よりも「業務の公平性」が重視されることが続いて今日に至りました。その原因は「業務の公平性」と「業務の効率性」の「判断の難易度」及び「説得力の有無」にあると思います。

 一番最初に書きましたが、「規模という観点から見た人員配分」はその根拠となるものが客観的に数値化しやすいため、この数値化の作業さえ適切に行われ、且つその数値化の作業工程の事後確認が出来れば、「判断も容易」であり「説得力もある」ことになります。
 一方で「人件費抑制という観点から見た人員配分」は「労働時間数」という、一見これも客観的で数値化しやすいものを根拠にはしていますが、各職員の労働時間数というのは「人数」や「金額」と違って最小単位が必ずしも同じでは無い、つまり、A職員の1時間の労働とB職員の1時間の労働が必ずしも同じ価値を持つと限らないため、労働時間数だけでは説得力に欠けます。そこで「人件費抑制という観点から見た人員配分」を行う場合は、必ず「労働時間」が「適切に行われた労働時間」であることを「管理職の地位にある職員」が保証する必要が出てきます(あるいは「管理職の地位にある職員」はこの「労働時間」が「適切に行われた労働時間」であるように、普段から労働者を管理・監督しなくてはいけません)。この「管理職の地位にある職員の保証」が適切なものであれば良いのですが、あいにく現在の人類は「各労働者が労働時間に適切に業務処理を行ったかどうかを極めて客観的に数値化する方法」をまだ確立していないので、この「管理職の地位にある職員の保証」はあくまで「人間による手作業」となり、結果として「ある程度の困難」が付きまとい、且つそれに応じて「説得力の有無」も上がったり下がったりします。
 このように、「規模という観点から見た人員配分」と「人件費抑制という観点から見た人員配分」はその判断の正確性と説得力の有無が同じであれば常に適切にバランスを取り合いますが、「人間という誤りうる存在の度合い」が強い分、「規模という観点から見た人員配分」が優先され、結果として「業務の効率性」よりも「業務の公平性」が優先されてきました(特に「管理職の地位にある職員の保証」はその「裁量」で行われる部分が大きいために、評価の手順や事後確認に困難が伴い、結果としてその評価の正確性や説得力に「業務の公平性」の場合以上の労力を費やすため)。
 またここで重要なのは、過去国立大学において『「業務の効率性」よりも「業務の公平性」が優先されてきた』としても、それは決して各時代の人間が『「業務の効率性」よりも「業務の公平性」を重視してきたつもり』では無いかも知れないということです。つまり、各時代々々の人間はあくまで『「業務の効率性」と「業務の公平性」のバランスを取ってきたつもり』だが、国立大学が法人化される時代になって過去の経緯を見返してみると、その判断方法では『「業務の効率性」よりも「業務の公平性」が重視される方法であった』と「修正評価」された、あるいは、『完全に国家機関であった際に要求される「業務の効率性」と「業務の公平性」のバランスが、国立大学法人になる際に要求される「業務の効率性」と「業務の公平性」のバランスとは異なるものになった(国家機関は効率性がかなり劣るとしても時に絶対に保持しなくてはならない公平性とういものが特に観念されるため)』ため、過去の判断方法がもはや現代では通用しなくなった、ということです。

 ここまでが「構造的な問題点の話」で、これからが「対処方法の話」です。

 国立大学における人員配分のルールが「業務の効率性」よりも「業務の公平性」を重視してきたとされたため、国立大学はこれに対処しなければならなくなりました。結果としてこの対処には「運営費交付金の毎年大体1%減」という方法が取られましたが、これはあくまで一つの方法であり、これが唯一絶対という訳ではないはずです。なぜなら運営費交付金を減らさなくとも、例えば大学内で『「管理職の地位にある職員の保証」の精度を高める方法の採用』を開発することによって、機械的に運営費交付金を減らさなくとも自助努力で適切な人員配分を実現して人件費削減を行う、というような方法もまた観念し得るからです。また、実際にそのように主張した人間も多くいたはずです。
 しかし実際にはこのような自助努力案は採用されず、結果として「運営費交付金の毎年大体1%減」という方法が取られました。各国立大学が自助努力を行うよりも、「運営費交付金の毎年大体1%減」という方法を取った方が各国立大学法人の効率化は推進されると判断されたのだと思います。
 この方法を採用したことの是非については意見が分かれるかと思いますが、最初にも書いたとおり、自分は『この方法を取った方が「大学内部における事務職員人員配分のルール」を初めとする内部構造の見直しにつながり、効果的である』と考えます。もちろんこれは自分の考えです。その根拠は次に記しますが、人によっては『「大学内部における事務職員人員配分のルール」を初めとする内部構造の問題点は自助努力により解決した方が効率的だ』とするのも大いにアリですし、自分もそのような考えのあり方を否定する訳ではないので、念のために申し添えます。

 自分が「大学内部における事務職員人員配分のルール」の適切な実施を行うのに「運営費交付金の毎年大体1%減」を取った方が効率的だ、と考えるのは端的に言えば「そうやって外部から圧力でもかけない限り内部構造というのは早々に変えられるものでは無い」と考えるからであり、これはもう少し詳しく書くと上に書いた「管理職の地位にある職員の保証」の精度向上(それも短期間での精度向上)は自助努力だけでは非常に困難である、と思うからです。
 『なぜ「管理職の地位にある職員の保証」の精度向上が自助努力だけでは困難であるか』ということについて、自分は特に一般論(あるいは一般論と言われるような説)を超えるような独自の根拠はありません。先に書いた『現在の人類は「各労働者が労働時間に適切に業務処理を行ったかどうかを極めて客観的に数値化する方法」をまだ確立していない』でもいいですし、身内査定では評価が甘くつけられる傾向がある、機関と人に限らず過去に行った自己の行為は正当化したがる、公的機関には競争相手がいないため内部構造の効率化のインセンティブは民間のそれに劣る傾向がある、前例踏襲型とされる公的機関で短期的・抜本的な改革は望みにくい、新規一括採用・定期昇給等の日本型社会構造では横並びが重視されていたためそもそも管理職は「評価」という処理が苦手、等々、雑駁な根拠でも充分だと思います。
 「じゃあ1%削減し続ければ内部構造は修正されるか」という点について、その保証はありません。しかし「少なくとも自助努力よりかは期待できる」し、「やることありきで財源を配分するのではなく、配分できる財源に併せてやることを設定する」と考えても良いため、「運営費交付金の毎年大体1%減」が内部構造の修正を保証する必要もまた無いと、個人的には思っています。


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■はじめに
 平成17年の人事院勧告により実施された平成18年から平成22年にかけての国家公務員給与構造改革、特にその中の昇給抑制と、これの回復として実施される号俸回復、その平成23年4月1日実施分と、平成24年4月1日から実施される予定である分、またこれらと並行して行われる「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律(平成二十四年法律第二号)」に基づく平成24年度と平成25年度の給与削減と、ここ数年の国家公務員の基本給部分はなかなかに激しい動きを見せています。
 本エントリーはそのような状況の平成24年4月1日時点の情報を、特に「号俸が回復される若年層」に注目して整理してみようとするものです。とは言え若年層に限ったとしても職員ごとに千差万別の基本給部分を一括して整理することは容易ではないため、作成した内容や図はかなりモデル化してあります。この点、悪しからずご容赦ください。
 また制度の全体像だけでは各職員の具体的な給与状況のイメージがつかみにくいかも知れないと思ったので、これを補うべく、今回は自分自身の基本給を元にしてこれまでの経緯とこれから予想される推移もまとめてみました。
 法案も成立し4月1日から実際に始まる給与削減の衝撃はなかなか大きいですが、地震と違って事前に起こることが分かっているだけまだマシというもんで、本エントリーがそんな「転ばぬ先の杖」として役に立てば幸いです。


■平成24年4月1日時点における昇給抑制された号俸の回復状況
 本題に入る前に前提条件となるいくつかの点を簡単におさらいしておきます。また以下に関することは他のエントリーでも記していますので、よろしければ随時参照ください(参照リンク先は章の末部に記します)。

1.「昇給抑制」について
 昇給は通常「4号俸(C区分)」上昇するものだが、平成19年・平成20年・平成21年・平成22年の各1月1日における合計4回の昇給のみ、「1号俸」分の昇給が抑制されて「3号俸」であった。また平成19年1月1日の昇給は給与体系が平成18年4月1日より変わった関係上、昇給号俸の対象となる期間が通常のものより少なく、昇給が抑制されなければ「3号俸」(4号俸×(9ヶ月/12ヶ月)=3号俸)、抑制されれば「2号俸」(4号俸×(9ヶ月/12ヶ月)−1)であった。
 以上のことから、平成18年4月1日より勤務していた職員は、原則として全員「4号俸」分の昇給が本来より少ない状態となっている。

2.平成23年4月1日の号俸調整について
 平成23年4月1日において、平成22年抑制分の号俸調整がなされた。回復された号俸は「1号俸」であり、「43歳未満の職員」且つ「平成22年1月1日に抑制を受けた職員(初任給計算で抑制が考慮された場合も含む。以下同様)」全員に適応された。
 この時点で当時43歳未満(この平成24年4月1日時点では44歳未満)だった職員の回復されていない号俸は「3号俸」、43歳以上の職員は依然として「4号俸」が回復されていない状態となっている。

3.平成24年4月1日の号俸調整について
 平成24年4月1日において、平成19年から平成21年抑制分の号俸調整がされる予定。回復される号俸は(1)「30歳未満」且つ「平成19年から平成21年の抑制3回の内、2回以上抑制を受けた職員」は「2号俸」、(2)「36歳未満30歳以上」且つ「平成19年から平成21年の抑制3回の内、少なくとも1回は抑制を受けた職員」は「1号俸」、(3)「30歳未満」且つ「平成19年から平成21年の抑制3回の内、1回だけ抑制を受けた職員」は「1号俸」。
 平成24年4月1日時点では「44歳以上」は依然として「4号俸」、「44歳未満36歳以上」は「3号俸」、「36歳未満30歳以上」は「2号俸」、「30歳未満28歳以上」は「1号俸」だけ、抑制された分が回復されていない(下図の「回復されていない号俸」及び「抑制された号俸」の部分)。なお「28歳未満」は平成24年4月1日を持って抑制された全ての号俸が回復したことになる。

4.平成25年4月1日及び平成26年4月1日の号俸調整について
 「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律(平成二十四年法律第二号)」において上記2回においても号俸調整を行うことが決定しているが、具体的な号俸数・対象年齢は人事院規則により定めることとされており、現時点では不明。

【下図について】
 この図は「各年度において大学4卒後すぐに採用された、初年度で23歳になる職員(要するに留年・浪人等することなく22歳の時に就職した職員)」の、平成24年4月1日時点における抑制号俸の回復状況を示したものです。
 図中の数字は「採用された時を「0号俸」として、その後昇給毎に「4号俸」加えられると仮定した場合の、各時点における積算号俸数」を表しています。当然、いわゆる「特別昇給」である「6号昇給(B区分昇給)」「8号昇給(A区分昇給)」は仮定していません。また4月1日に採用された場合は初年度の期間率が4分の3になるため、号俸も初年度のみ「3号俸」です。
 このような昇給制度は平成18年4月1日より実施されたものですが、図ではこのような制度が平成18年4月1日以前にもあったものと仮定して作成してます。
 留年・浪人・空白期間などで生まれた年度と採用年月日が図のとおりにならない場合は「年齢」の行の数字に、抑制を受けた回数を考慮して自分の平成24年4月1日時点における「抑制された号俸」を計算しなおしてみてください。





 図をみて分かるとおり、平成24年4月1日時点で44歳の職員を区切りとして、若年層に手厚く号俸の回復を行っているのが分かります。この点について、号俸の回復は必ずしも若年層に限定することなく、前年齢層に薄く広く回復させても別に問題は無いのですが、平成22年人事院勧告の「民間よりも給与水準が下回っている傾向のみられる若年・中堅層を中心に、これまで抑制されてきた昇給の回復に充てることとする」、平成23年人事院勧告の「世代間の給与配分の適正化の観点から、昨年と同様、若年・中堅層を中心に、給与構造改革期間中に抑制されてきた昇給の回復に充てることとする」の文言に基づき、回復は若年層・中堅層が優先して行われることとなっています。
 平成25年以降の回復がどの年齢までを対象にするかが大きな関心事ですが、現時点ではよく分かりません。ただ、平成23年人事院勧告で示された号俸回復のイメージ図(最終頁)から、今回の特例措置による経過措置延長による原資の減少分(この過去エントリーを参照)を考慮して、最終的に30台前半あたりまでが全回復(4号俸回復)し、30台後半からは40台前半にかけて段階的に回復数が3号俸から0号俸と減ってゆくのではないかと個人的ににらんでいます。

【過去に記したエントリー】
・平成23年人事院勧告について(号俸復活の当初案について)
 → 平成23年人事院勧告について
・特例法案による号俸復活の変更について
 → 国家公務員給与削減法案:昇給復活と経過措置廃止に関する最終変更点について
・平成23年4月1日における号俸回復について
 → 平成23年4月1日における昇給について


■具体的な回復状況(自分の場合)
 号俸回復の全体像はともかくとして、「具体的にどのくらいの金額が増えるのか」を気にかける人もいるでしょう。実際に増える基本給金額については「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律(平成二十四年法律第二号)」の中にある改定後の俸給表から確認することが出来ます(現在自分が受けている級号俸の1号俸か2号俸上の基本給金額です)。
 またより詳しいイメージとして、今回は自分自身の「これまで受けてきた基本給」と「これから受ける基本給」の図を下のとおりに作成してみました。イメージに関する誤解を防ぐために、昇給などの時間軸の横軸と、基本給の金額の縦軸は最小単位を揃えてあります。
 「これから受ける基本給」について、特に平成25年以降の回復状況はまだ未定ですが、恐らく平成25年4月1日時点で29歳である自分はさらに1号俸の回復があるだろうと仮定して図を作成しました。また特例法案による削減は本来、今回の号俸回復とは別のものですが、これについて号俸回復との「相殺効果」もあるため、一緒に記します。なお特例法案は2年の時限立法のため、平成26年4月1日で終了させています。





 自分の場合は前回平成24年1月1日の昇給が「6号昇給(B区分昇給)」であり、さらに今回の号俸回復が「2号俸」ということもあって、幸いにも平成24年4月1日における基本給は1年前の平成23年4月1日における基本給を4,000円ほど上回っています。さらに次回平成25年1月1日における昇給を「4号俸昇給(C区分昇給)」と仮定しても、今回の特例法案による削減分はたった9ヶ月で回復することになります(もちろん、「得べかりし利益」分は損をしていますが)。
 特例法案によって実際に「受け取り損ねる金額」は前回のエントリーで記したとおり、自分の場合は約40万円ほどなんですが、こういう図にしてみると今回の特例法案によって「かつて受けていた基本給よりもその額が下がる期間」がたった9ヶ月というのはかなり意外です。正直言って「この程度なら大したこと無いな」ってレベルです。
 もっとも自分の場合は(1)特例法案によって削減される基本給が「4.77%」と最も少ない群であること、(2)2号俸の回復を受ける職員であること、(3)前回の昇給時に6号俸昇給していることと、すさまじく幸運が重なってこの状況であることには注意が必要です。これが年配の教授の場合だと(1)特例法案によって「9.77%」基本給が下がる、(2)号俸の回復は無い、(3)高年齢のため前回の昇給は2号俸しか上がっていないと、自分とは真逆の3重苦になります。こうやって書いてみると、確かに「国家公務員給与削減法案:昇給復活と経過措置廃止に関する最終変更点について」のエントリーで述べられていたように、高年齢層の経過措置を延長して今回の削減の影響を緩和させる、という提案もあながち的外れではないように思えてきます。このあたりは自分の早とちりを反省しないといけませんね。


■おわりに
 という訳で平成24年4月1日における号俸回復状況の整理と、この特例法案削減部分との関連についてでした。
 特例法案は現時点では2年の時限立法となっていますが、国会ではこれを恒久的に削減しようとする動きもあるようで、国会議員どもは他人の給与を下げる前にてめぇの給与と人数を引き下げて無駄な出費を節約したらどうなn今後しばらくはその動向に目が離せません。
 また最近は国家公務員の新規採用が大幅に減らされるかも知れなかったりと、公務員の人事関係についてはシビアな状況が続いています。こういう状況を考慮し、個人的には仕事の効率化を図って人件費削減につなげたいと思っているのですが、よく考えたら自分の大学では各部局や部署の人数配分はその事務室が所管する教員の人数とかによって決定されるので、個々の職員が業務を効率化して仕事量を減らしてもそれで人数調整がなされることはなく、あんまり意味がないなと分かってガックリきています。こんな状況で業務を効率化しても何の意味があるのか良く分かりませんが、それでも残業代が減ればまだ人件費節約の役には立つかなと思いつつ、残業代が減れば年収も減るというジレンマを感じざるを得ません。
 個人的には新規採用抑制なんかしなくても、用途のよく分からない項目ばっかり書いてある事務処理用の申請用紙の書式を見直すだけで節約できる部分はたくさんあると思うんですが、ここらへんどうにかならんもんですかねぇ。自分は国立大学のプロパー職員だから出世の程はたかが知れてますが、上に行って組織を変えたいと思うのはこういう小さな非合理が無数に放置されているのを見る時だったりします。

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