ちょびっと♪日記

映画やドラマ、好きなモノについて、日々のいろいろなことをちょびっと♪書いてます。

片目で笑って片目で泣いて

2011-03-24 | 雑記

自律神経を悪くしてから、というよりも多分元々だと思うけど
私は少し感受性が鋭い。良い意味でも悪い意味でも。
凝りはじめるとそればかりになって、寝食を忘れることもある。
誰かに評価されたくてムキになったりして、空回りすることも。

季節の変わり目のせいか、それが出てしまった。
なんだか毎日躍起になってピアノを弾いている。
今はシューベルトに凝ってるんだけど、ちょっと前はベートーベンだった。
ベートーベンのソナタを2曲くらい仕上げたところで
突然シューベルトを弾きたくなった。

ピアノを習ってたころにシューベルトのピアノソナタを弾いたことはなくて、
まあ普通ピアノをする人はショパンとかモーツァルトとかベートーベン、
技術が上がってくればリストやラフマニノフが主になるだろうし、
実際私もそうだった。
というか、左手が動かなくてショパンのエチュードの途中でピアノから逃げ出した。
いわば落ちこぼれたわけである。

そんな私にも案外優しくしてくれるのがベートーベンやシューマンだ。
そして出会ったシューベルト。歌曲が有名だけど、ピアノソナタもすごく味がある。
いわゆるピアノ曲メインの作曲家のような技巧とかスピードはあまり求められない曲も多いけど
その分表現力が求められる。
私は技術も半端で楽譜通り弾くのも苦手。
唯一の取り柄で一度聞いた曲のコードくらいはすぐに聞きとれたはずの耳は
自律神経失調の神経症状で、左は難聴になりかかっている。
そんな私が第一楽章だけで10分くらいある曲の譜読みを進めた。

シューベルトは私にとってとても共感できる作曲家だと思う。
「片目で笑って片目で泣いている」と言われる彼の作風は、私の性格に合っている。
今は短調の曲なので、少し陰気に繰り返される主題や、気が変わったように長調になる感じ、
やがて転調してまた繰り返される主題。
右手と左手で主題を交互に展開する。
弾いているうちに自分の内面に引き込まれるような錯覚。
シューベルトのピアノソナタは長いし敬遠しがちなんだけど、
若い時には分からなかった良さみたいなものがある。
もちろん私には技術的に難解だと思う部分もあるけれど。
他の作曲家の曲だと、仕上がった時の達成感みたいなものが感情の大部分を占めるが
シューベルトは違う。
弾きながら共感するような。(飽くまでも主観的な感想です

好きだなあ、シューベルト。心の友と呼びたい。
今の私は片耳は役立たず。残った方の耳の聴力を大切にしたいけど
でも音楽は辞めたくないと思う。
誰に求められなくても、評価されなくても好きなものは好き。
以前の私はいつも何かの目標に追い立てられるようにしてピアノに向き合っていたけれど、
今は、ただ音楽を楽しみたいと思う。
神が人間に与えたもうた音楽の、その片隅でも掴んでいたいと願う。

もし片目で笑って片目では泣いていたとしても、両目で笑っていられる人を羨むのではなく。
片目で泣いている者にしか分からないこともあると開き直って
今日もシューベルトの楽譜を開く。
いつかはショパン?いつかはリスト、ラフマニノフ?
いいえ、もう若い時のように右手だって動かない。左手は言うに及ばず。
だからこそ、いつまでも私のスピードに合わせてくれる旋律と共に。

もちろんシューベルトに限らず。