超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

あなたの帰りがわかる犬―人間とペットを結ぶ不思議な力

2006-11-15 | 読書ガイド
70番目は、シェルドレイクの魅力的な近著。ペットを愛する人、必読。

●ルパート・シェルドレイク『あなたの帰りがわかる犬―人間とペットを結ぶ
 不思議な力』田中靖夫訳、工作舎(2003)

タイトルからすると通俗書に見えなくもないが、生物学者としてちゃんと実証
的な方法論で取り組んだデータが載っている。結果としてペットが飼い主の
状況を超心理的に感知している(ANPSI、動物によるサイ)と主張している。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/3-6.htm

シェルドレイクは、20ページで次のように書いている。
 ペットをまじめにとり上げることへのタブーは、本書で論じる現象が体制
 的な科学により無視されてきたひとつの理由でしかない。もうひとつの
 タブーは、サイキックないし超常的な現象をまじめにとり上げることである。
 こういったことが稀有なことでも例外的なことでもなく、なかにはごく普通
 のこともあるのに超常的というレッテルを貼られるのは、従来の科学で
 説明できないからではない。機械論的な自然観と折り合いがつかない
 からである。
彼には、生物を機械とみる見方ががまんならないのだ。生物を「自然に」
見つめることによって、皮肉にも超心理学者の仲間入りをしたと言えよう。
それを支える理論はもちろん形態形成場である。彼のとり組みが「超」で
なくなる日が到来することを願いたい。

生命のニューサイエンス~形態形成場と行動の進化

2006-11-14 | 読書ガイド
69番目は焚書候補とされた問題の前衛科学書。

●ルパート・シェルドレイク『生命のニューサイエンス~形態形成場と行動の進化』
 幾島幸子/竹居光太郎訳、工作舎(1986)2000年に新装版

シェルドレイクは、繰り返される現象は、それだけでますます繰り返されるという
原理を提唱し、生命現象や進化を支える影の原理とした。たんなる憶測ではなく、
実証可能な理論である。一部隠し絵の実験などで支持するデータが得られている。

一見したところ生命論の本で、超心理とは無関係に見えるが、シンクロニシティと
並ぶ、超心理学の理論的可能性を拓くものである。第1章の7節にユング心理学
が、8章に超心理学が触れられている。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/5-5.htm


超常現象のとらえにくさ

2006-11-13 | 読書ガイド
68番目は、32番に次いでの笠原先生の大著(800ページ以上ある)。

●笠原敏雄(編著訳)『超常現象のとらえにくさ』春秋社(1993)
 
前項のバクスター効果は、それが超常現象であるとしたら、実験者効果
であると多くの超心理学者は考えている。実験者効果は、超心理学者が
もっとも確実視するサイの特徴である。つまり、植物に感情があるように
機器に信号が記録されるのは、機器を操作する実験者の超能力によると
いうことだ。実験者と実験機器の間には、占い師と占い棒のような関係が
あるのだ。だから、超心理実験で安定して肯定的結果が出るのは、一部
の超心理学者に偏るという。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/4-9.htm

実験者効果に予知の可能性を加味すると深刻な事態が予想される。実験
者効果があるのなら、実験協力者効果も、実験立会人効果もあるだろうし、
将来その実験結果を耳にする人々の効果も考えねばならない。すると、
超心理実験は閉鎖的に管理できない複雑システムであることに気づく。
誰でもが確認できるように公的に記録することが、現象の発現を妨げると
いうように。。。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/5-1.htm

この本では、超常現象が公になることをきらうというある種の原理がある
ように扱うが、たんに否定派の実験者効果なのかもしれない。どちらにして
も、とらえにくいことに変りはない。まさに超心理の奥義を知るには、本書
をおいて他にはない。それほどの重要性を秘めた本である。

著者の笠原さんは心理カウンセラーで「心の研究室」を主宰している。
http://www.02.246.ne.jp/~kasahara/


超心理と現代自然科学

2006-11-12 | 読書ガイド
67番目は、フランス、ドイツときたので、再度ロシアの本。

●ドゥブロフ&プーシキン『超心理と現代自然科学』竹本忠雄監修、
 金光不二夫訳、講談社サイエンティフィック(1985)

39番、40番の本以降の、東欧圏の超心理研究を紹介している。自然
科学の延長として超心理をとらえる傾向が強く出ている。サイコトロニクス
(意識工学)というのも、この発想から東欧圏でつくられた言葉である。

超心理学者がサイを人間のもつ高度な「能力」と見がちなのに対して、
東欧圏では、伝統的に生命エネルギーに似たものとして探究しようとして
いる。その典型が植物にも感情や認知があるとし、生理学的に検出しようと
するバクスター効果であり、本書第5章で議論されている。日本でも、大型
表示装置の特許などをもち、黄綬褒章を受賞した発明家、橋本健先生が
サボテンなどの植物と話す(とする)機械を作って知られている。
http://www.alphacoil.com/

なおこの本の132ページに、タバコやマッチを空中浮遊させたエルモラエフ
の実演写真があるが、これは手つきからしてヘリコプターカードと同様の
奇術に思える。http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/1-5.htm

振り子と占い棒の謎を解く―放射感知術ハンドブック

2006-11-11 | 読書ガイド
66番目には、占い本をもう1冊。

●ゲオルク・キルヒナー『振り子と占い棒の謎を解く―放射感知術ハンドブック』
 新井昭廣訳、ビジネス社(1990)

こちらはダウジングを中心にした、ドイツの占いの本。邦題にあるような、
「謎を解く」本ではない。が、占いについて知るにはよい。ときどき、振り子
の運動や電磁場の物理式が出てくるが、科学的に見せる目くらましのようで
思わず笑ってしまう。このへんは批判的に読んで欲しい。

振り子については、その形状・材質から糸の持ち方まで書かれていて、すぐに
試してみることができる。質問の答えは右回りでYES、左回りでNOだそうだ。
なんでそうなるのか考えると不思議に思えるかもしれないが、そうなるように
ひらすら練習するのだ。そうすると、無意識のうちにそのように振り子が振れる。
つまり、振り子が振れるのが超能力ではなく、通常能力(かまたは超能力)で
感知した結果を人間が振り子に表現しているのである。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/2-6.htm

後半には占い棒(ダウジングロッド)の解説がある。昔、東村山市の水道局で
古い水道管を探すのに、L字型の棒を2本使ったダウジングがなされていて、
学生時代に見に行った。そこで教わると確かに足元のエンビパイプに並行に
棒が2本開くのである。すっかり気をよくした仲間達と大学に帰り、教室の机
をみな一箇所に並べて、その下の無作為の位置に上から見えないようにパイプ
を入れて、机の上を歩きながらダウジングで見つけ出す実験を行なった。結果
は見事なまでの完全なハズレであった。占いは時と場所を選ぶらしい。。。

透視術―予言と占いの歴史

2006-11-10 | 読書ガイド
65番は占い系。

●J・デスアール&A・デスアール『透視術―予言と占いの歴史』
 阿部静子・笹本孝訳、白水社(2003)

フランスで書かれた透視術師(占い師)についての本である。実践的で
なかなか面白い。というのは、服装や顔つきからマインド・リーディング
する技能と、超心理的に感知する技能が並列して書かれている。どんな
方法を使っても当てないと商売にならないという切迫感がかいま見える。

透視術視を営業するためのいろいろなノウハウも出ている。占いの売り
上げから税金を払う、などという通俗的な話を読むと、神秘的な占いの
イメージが格下げになる。しかし、そのような目線で見ることが、こうした
技能や現象を取り扱う上で重要だと気づかされるのである。



共時性の宇宙観―時間・生命・自然

2006-11-09 | 読書ガイド
64番目は、東洋思想をベースにおいたシンクロニシティの解説。

●湯浅泰雄『共時性の宇宙観―時間・生命・自然』人文書院(1995)

前項のピートの本がどちらかというと自然科学寄りだとすると、こちらは
人文学寄りである。シンクロニシティが、物と心をつなぐ重要な概念で
ある証拠と言えようか。

故湯浅先生は、何度か登場している宗教学の重鎮。この本では実験
超心理学について重要な指摘をしている(24ページ)。
 ライン派の考え方について理論的な面で基本的な疑問をもつのは、
 超能力が原因で超常現象が起きるという因果性の考え方を素朴に
 前提としているという点です。これは、従来の物質的科学の考え方
 をそのまま心の問題に適用していることを意味しています。ここでは、
 心理作用と物理作用の間に原因―結果の関係を想定しているわけ
 です。こういうやり方では、主体の心の内面的体験の性質は無視され
 てしまいます。心は、一種の物のように対象化されていますが、その
 内容や性質、それに伴う心の働き方などは考察の対象にならない。

現代の超心理学者は、この点を自覚して、新しい方向性を模索している。


シンクロニシティ

2006-11-08 | 読書ガイド
63番目は、前項の文献ではわけがわからないという方に。。。

●F・D・ピート『シンクロニシティ』管啓次郎訳、朝日出版社(1989)

シンクロニシティをベースにした新しい科学を模索しようとする、物理学者
ピートによる評論。第1章は前項の本の背景の解説から入る。

そして最終章は次の文章ではじまる:
 シンクロニシティは鏡としてはたらきます。それは宇宙の、基底からの
 たえまないひろがりとおりこみが、うつしだされる鏡です。これまでの章
 では、実在がその創造的源泉によってささえられるあり方をしめすような、
 さまざまなイメージやメタファーが発展させられてきました。その創造性
 とは、空虚における純粋な無前提的知覚、最初の二元性に存在をはじめ
 させる知覚として、はたらくものです。

ピートの中でシンクロニシティが、単なる現象でなく、世界観を一変させる
意義をもっていることがわかる。超心理について考える際にシンクロニシティ
を理解しておくことは不可欠だろう。

ところで、シンクロニシティの研究で博士号をとった日本人がいるのをご存知
だろうか。田中彰吾さん(現東海大学)である。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/data/symp0310.htm
http://www.geocities.jp/bodyandsoul_institute/


自然現象と心の構造~非因果的連関の原理

2006-11-07 | 読書ガイド
62番目は、ユングのシンクロニシティ(共時性)の原典。

●ユング&パウリ『自然現象と心の構造~非因果的連関の原理』
 河合隼雄・村上陽一郎訳、海鳴社(1976)

もとは1955年に発行したユング研究所報告第4号所収の2論文の邦訳
 ユング「共時性:非因果的連関の原理」(河合訳)
 パウリ「元型的観念がケプラーの科学理論に与えた影響」(村上訳)

ユングの深層心理の働きの描写に重要な、共時性と元型にまつわる議論。
共時性については、本書では占星術を例にとって説明されている。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/5-8.htm

ユング稿を訳した河合氏は、ユング心理学の大御所で、日本における臨床
心理士ブームの火付け役で、現在文化庁長官(入院中らしいが)。パウリ
稿の訳者村上氏については前項で紹介した。まさにゴールデンコンビだ。

パウリは、量子の排他律を発見して1945年にノーベル物理学賞を受賞した
物理学者であり、ニュートリノの予言者としても有名。パウリが近づくと実験
器具が壊れてしまい、仕方なく理論物理学をやったという、いわくつきの人。
精神疾患を抱えており、じつはユングのカウンセリングを受けていた。

偶然の本質

2006-11-06 | 読書ガイド
61番目は、41番で紹介した本の前作。

●アーサー・ケストラー『偶然の本質』村上陽一郎訳、蒼樹書房(1974)

カンメラーやユングの奇妙な偶然の一致の研究から、因果性に代わる新たな
規則性の原理の可能性を探り、諸科学を見つめなおす意欲作。

第1章はESPの解説に当てられ、その新規原理がESPの説明になることを
目指したケストラーの思い入れが伝わってくる。彼が超心理学に遺産を捧げた
理由も見えてくる。

訳者の村上氏は、今ではよく知られた科学史・科学哲学の重鎮。
前東京大学先端科学技術センター長、現国際基督教大学教授。

奇妙な論理Ⅰ・Ⅱ

2006-11-05 | 読書ガイド
60番目は、同じガードナーでも別人の著書。

●マーティン・ガードナー著、市場泰男訳
 『奇妙な論理Ⅰ~だまされやすさの研究』現代教養文庫(1989)
 『奇妙な論理Ⅱ~なぜニセ科学に惹かれるのか』現代教養文庫(1992)

こっちのガードナーは、懐疑論者のライターで、サイコップの創立メンバー。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/1-4.htm

本書はトンデモ科学批判の古典である。原著はなんと1952年であるのに、
半世紀を過ぎた2003年にハヤカワ・ノンフィクション文庫から再版された。
科学の話題は古くなるのに、異例のロングセラーである。

ガードナーは、数学のパズルやゲームで驚異的な知識を誇り、1956-81年
の長期間、サイエンティフィック・アメリカンの同コラムを担当していた。邦訳
の日経サイエンスでの連載、私も若い頃愛読していた。

本書には、ラインの超能力研究の批判があるが、このような批判を通して
超心理学は現代化してきた(トンデモ科学を脱してきた)のだという歴史を
理解して欲しい。この本だけではわからないが。。。


超心理の科学

2006-11-04 | 読書ガイド
59番目は、同じマーフィーでも別人の著書。

●ガードナー・マーフィー『超心理の科学』
 中野久夫・佐波克美訳、時事通信社(1975)

こちらのマーフィーは、ニューヨーク市立大学の心理学者だった。
ガートルード・シュマイドラーを大学に呼んで、1940年代から50年代、
実験超心理学の拠点とならしめた。

超能力信奉によって実験の成績が異なるヒツジ・ヤギ効果は、この
シュマイドラーが見つけた。今は心理社会的に調和を求める効果と
考えられている。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/4-1.htm

本書の内容は実験超心理学の黎明期の記述であり、ちょっと古くさい。
未来予知のところは、今はインチキであることが判明したソウルの実験
がまことしやかに書かれている。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/1-7.htm


スポーツと超能力~極限で出る不思議な力

2006-11-03 | 読書ガイド
58番目は、スポーツに伴うサイ能力について。

●マイケル・マーフィー&レア・A・ホワイト『スポーツと超能力~極限で出る
 不思議な力』山田和子訳、日本教文社(1984)

前項の本で、創造性の発揮にサイ能力が伴う可能性が論じられていたが、
こちらの本では、スポーツに際してである。自分の身体を理想的に動かす
方法を編み出すのは、創造性に通じる面があるだろう。創造性の一部が
サイ能力であるとすると、スポーツの上達にサイ能力が伴うのもうなづける。

マーフィーは、リチャード・プライスとともにエサレン研究所を設立した。
http://www.esalen.org/

ホワイトは、長らくアメリカ心霊研究協会の事務局を担当していた。
http://www.aspr.com/

創造心理学

2006-11-02 | 読書ガイド
57番目は、創造性にともなうESPについて。

●恩田彰『創造心理学』恒星社厚生閣(1974)

著者は、創造性研究の第一人者で、日本超心理学会顧問。次に写真あり。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/jspp/MM0610.htm

創造性の評価と超能力スコアに正の相関があることから、創造の一部は、
ある種の超能力発揮の結果ではないか、と考える向きがある。

本書第5章「未来人間の創造性と超心理能力}では、「創造過程はESP
過程を含むより高次の活動である」と記述がある。そして、創造性とサイ
能力の開発の促進条件として、次の9つがあげられている。
(1)心身のエネルギーの開発
(2)イメージの開発
(3)開放性
(4)探究の欲求
(5)注意集中
(6)内省的傾向
(7)受動的態度
(8)心身の弛緩
(9)純粋な心

本書は手に入りにくいので、11月5日の次の会にいらした方に恩田先生の
了解のもと、該当部分のコピーを配布します。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/jspp/MM0611.htm

サイ その不思議な世界

2006-11-01 | 読書ガイド
56番目は、前項に続いてもう1冊ライン夫人の著書。

●ルイザ・ライン『サイ その不思議な世界』笠原敏雄訳、
 日本教文社(1983)

この本の原著は、前項の本の10年後の1975年に出版されている。
前項の本と同様、エピソード主体で語りかけてくるような調子で、
超心理学の手ほどきをしてくれる。読み物が好きな方の入門書
として最適。

訳者の笠原さんは心理カウンセラーで「心の研究室」を主宰。
http://www.02.246.ne.jp/~kasahara/

「訳者あとがき」にいいことが書いてあるので、引用しよう。

 日本にはもちろん超心理学の専門家も必要ですが、それ以上に
 必要なのは、本当の意味で熱意のある、特に若い人なのです。
 超心理学会や研究会に入れば色々教えてもらえるだろうという
 受身的な態度でいては、超心理学の研究をするうえで必要な
 ものは全く身につかないでしょうが、本当の意味での熱意が
 あれば、超心理学の知識もきちんとした方法論もいつの間にか
 身につくものなのです。

超心理学に限らずどんな研究分野でも上のことはあてはまります。
研究に勉強は必要ですが、勉強ばかりしていても研究はできません。
研究に対する熱意と意欲をもって、まず始めてみることが肝要です。