超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

続「あの世」からの帰還―新たなる真実・47名の臨死体験

2006-11-25 | 読書ガイド
80番目は、前項の続編。

●マイケル・E・セイボム『続「あの世」からの帰還―新たなる真実・47名
 の臨死体験』笠原敏雄訳、日本教文社(2006)

前項の本の16年後に書かれた本。臨死現象はたんなる脳内現象である
とする説に対する反例とおぼしき、パム・レイノルズ事例が、第3章に書か
れている。医学的には、完全な脳停止状態にありながら、手術中に体脱
体験を伴う鮮明な臨死体験が報告された事例であり、一読に値する。

もうひとつ注目すべき本書のポイントは、ケネス・リングのオメガ・プロジェクト
の痛烈な批判になっている点である。リングは、臨死体験が伝統的宗教から
普遍的宗教へ導く傾向があるとするが、それはIANDSというニューエイジ的
指向性をもつ会員の多い団体から事例を集めているためであると指摘する。
セイボムの調査したIANDSとは無関係の事例では、伝統的宗教の信仰心が
増した例が多くあるという。

訳者あとがきでは、笠原さんが、このセイボム=リング論争のその後の展開
を解説してくれている。科学的方法の大切さが実感できる。