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超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

超心理実験の社会心理学

2010-12-23 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(6-0)
・超心理実験の社会心理学

超心理学では、その実験状況における社会心理学的要因を
統制した実験は多くはないが、総じて心理学の実験状況と
同様な社会心理学的要因が認められている。

たとえば、快適な集団内、つまり友好的な仲間のいる場で
実験がなされた超心理実験は、得点が高い。また、実験の
ムード、結果に対する参加者の受容度、目的意識は得点を
左右する。


超心理学における実験者効果の評価

2010-12-18 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(5-6)
・超心理学における実験者効果の評価

心理学では暖かい実験状況や実験者の期待が高いときに
良い結果が得られるという実験者効果が知られているが、
超心理学でも同様な効果を探る12の実験のうち、9つで
予想通りの結果が得られた。また、良い結果を得る実験者と
そうでない実験者という、実験者固有の一定の違いがある
かどうか探る実験でも、6つのうち4つに予想通りの差異が
得られた。他の関連実験の成果も含めて、超心理学分野では、
心理学分野と同様の実験者効果があると言えよう。

しかし、実験者効果があるという主張にタイプ1のエラー、
つまり、本当はそうした効果がないにもかかわらず「ある」と
言ってしまう可能性はあるだろう。かといって、「ない」と言うと
タイプ2のエラー、つまり、そうした効果があるにもかかわらず、
ないとしてしまう可能性が生じる。両方のエラーをなるべく
小さくして慎重な主張をする必要がある。現在のところ、その
慎重な態度でもって「ある」と主張するのが妥当であるように
思える。ただ、将来の研究で、実験者効果は、もっと詳細な
要因へと解明が進むかもしれない。


超心理学における実験者固有効果

2010-12-17 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(5-5)
・超心理学における実験者固有効果

心理学でローゼンタールが実験者効果を提唱するより
ずっと前に、超心理学ではプラットとプライス(1938)が
実験者による固有の違いを実験的に検出していた。
プラットが実験者になって子どもたちにESP実験を
行なうよりも、プライスが実験者になって実験を行なう
ほうが、繰返し有意に高得点となるのであった。

これらには単に実験者としての対応の問題だけでなく、
超心理的要素があった。ある実験では、2人の実験者の
どちらかが隣室でもっているESPカードを当てるという
実験設定で、被験者はどちらの実験者がもっているか
知らない状況でも、同様な差が出た。

ウェストとフィスク(1953)は、同じESP実験でも、精神科医
のウエストがターゲットを準備すると平均得点であるのに、
工学者のフィスクが準備すると有意に高得点になることを
報告した。被験者は、実験者が2人いることさえも知らな
かったので、差が出たことは衝撃的であった。

70年代に、実験者を積極的に比較する超心理実験が
行なわれたが、パーカーら(1977)の実験者3人の比較も、
ブラウトンら(1987)の4人の比較も、差が出なかった。


超心理学における実験者効果実験

2010-12-11 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(5-4)
・超心理学における実験者効果実験

私(シュマイドラー)が知る範囲では、8つの報告で12の実験が
行なわれており、うち9実験で実験者効果が有意に見られており、
超心理学分野でも心理学分野と同様な実験者効果が見られると
断言できる。(以下は代表的実験例)

ホノートンら(1973)は、36人の被験者に長時間のESPカード実験
をさせた。半数には、実験者が気楽な感じで友好的な雰囲気で
対応し、合間の休憩時間には励ましの言葉をかけた。残りの半数
には、横柄に対応し、休憩時間には落胆させるようなコメントをした。
結果は、前者のスコアは偶然より有意に高く、後者のスコアは偶然
より有意に低かった。

タッディーノ(1976)は、6人の被験者にESP実験をさせた。うち半数
には、「実験はうまくいかないはずがない」と告げ、残りの半数には、
「実験の成功には疑問がもたれている」と告げたうえで実施した。
結果は、前者のスコアは偶然より高く、後者のスコアは偶然より低く、
両者の差は有意であった。

パーカー(1975)は、6人の被験者にESP実験をさせた。うち半数
には、「実験はESPを証明するものだ」と告げ、残りの半数には、
「実験はESPが存在しないことを示すものだ」と告げたうえで実施
した。前者のスコアは後者より高く、両者の差は有意であった。


実験者自身の要因

2010-12-10 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(5-3)
・実験者効果にかかわる諸要因

<実験者自身の要因>

実験者も社会の一員であるため、実験は社会的状況にあると
言わねばならない。たとえば、若い男性実験者が、魅力的な
女性被験者と、頑強な男性被験者に対しては、違った扱いに
なるのは当然である。接し方の暖かさや、威厳や、丁寧さは
異なるだろう。実験者が繰り返して作業していれば、疲労や
退屈、あるいは時間的な切迫感で対応も変わるというものだ。
現在のところ、実験者の思いやりや、実験結果への期待は、
大きく影響することが判明している。

では実験者がいないコンピュータによる全自動実験にすると
よいのかというと、そうでもない。人がかかわらない実験状況
では、被験者の意欲は大きく低下する。無実験者効果という
実験者効果が起きる。

実験者の状況について触れていない実験結果は、たとえ報告
されても、他の状況に対して一般化できない。実験者の状況を
体系的に把握した、諸実験の結果でもって実験結果とすべき
である。


被験者の要因

2010-12-09 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(5-2)
・実験者効果にかかわる諸要因

<被験者の要因>

大きく分けて、次の4つのタイプの被験者がいるので、実験者は的確に
判断する必要がある。この判断の良し悪しが、実験者効果に加わって
いる可能性がある。

(1)誠実な被験者
 実験者は、このタイプの被験者のデータを重視すべきである。

(2)過敏な被験者
 実験の状況や、実験の波及効果に不安をもつ、自意識が強い被験者は
 実験教示に従わずに実験を行なう可能性がある。実験者は、被験者の
 不安を取り除き、誠実な被験者になった段階で実験をすべきである。

(3)反抗的被験者
 いたずらや反抗心から、意図的に偽りの反応をする被験者がいる。
 実験者は、インタビューの過程などを通して、こうした被験者を発見し
 実験から排除する必要がある。

(4)良い子の被験者
 実験者の期待する仮説を推測して、それに合う応答を(無意識にも)
 する被験者がいる。前項と同様、こうした被験者も排除する必要がある。


実験環境の要因

2010-12-08 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(5-1)
・実験者効果にかかわる諸要因

<実験環境の要因>

ガリレオの物理実験では、斜塔から「風船」を落とすことはなかった。
風船を使った重力実験は仮説の実証には向かないことがわかっていた
からだ。このように実験者は、実験が行なわれるときに環境からの
要因をうまく統制する。その結果の環境は、しばしばかなり「人工的」
である。

心理実験では、たとえば環境の音を統制するために無音室に被験者を
隔離する。これは日常の環境と異なるので、日常の心理を探る目的に
実験結果を安易に一般化できない。しかし、生物学では、試験管の中
での生化学反応をもとに、生体内のでの反応を推測するのは、ひとつ
の効果的方法として使われている。

人工的な環境は、影響している要因を把握することには向いているが、
思わぬ要因を損なっている可能性に、実験者は留意しなければならない。
こうした状況把握が実験者効果の背後で働いている。


実験者効果

2010-12-07 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(5-0)
・実験者効果

実験者効果とは、どんな研究者が実験をするかによって実験結果が
変わってくることである。これだけ聞くと、「実験者が未熟である」
といった、否定的な感じがする(とくに自然科学分野ではそうである)。
しかし、心理学分野での実験者効果は、実験者が熟練してもなお
起きる効果であり、避けることができない。

心理学ではローゼンタール(1966)の指摘以来、実験者効果は重要な
話題となっている。実験者の期待や感情が、心理実験の結果を左右
することは衆知の事実である。実験対象が人間ではなくネズミでも
顕著に出ることがわかっている。

※ ネズミの取り扱い方の丁寧さが実験結果を左右するということ
 であろうが、実験者の超能力の可能性もある。この点の違いは
 この章では議論されない。


超心理現象の心理過程理論

2010-12-04 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(4)
・超心理現象の心理過程理論

「超心理現象が心理過程と同様の過程をふんで現れる」という
理論を、第2部(次の第5章から13章まで)では、これまでの
一般人を相手にした超心理学実験と心理学実験を比較しながら、
評価していく。

第2部のこの議論は、歴史的な経緯を語るものではない。また、
超心理現象や心理学の分野を網羅するものでもない。だから、
超心理現象に対応しない心理過程の議論は出てこないし、心理
過程と対応しない超心理現象も出てこない。

では次章から、心理学のカテゴリーごとに見て行くことにしよう。


再現性とは何か

2010-11-30 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(3-4)
・再現性とは何か

厳密な意味での「同一の実験」はないのだから、「再現実験が
できない」という批判は、(人間や社会に関する)多くの科学に
あてはまる。そうなると、現実的な再現性とは「打率」のような
「統計的な再現性」になる。(自然科学では、そもそも「打率」が
高い現象を扱っているので、要求が高くなっているに違いない。)

より効果的な方法はメタ分析である。多くの実験報告の企画や
実験設定の問題点を洗い出し、優劣を吟味したうえでの統計的
分析をする。このメタ分析のうえで、仮説が再確認されることを
再現性として扱うのがよいだろう。


実験の定義

2010-11-29 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(3-3)
・実験の定義

そもそも「実験」とは何か。自然科学者が超心理学に対して
「再現実験ができない」というときに、「実験」の定義の混乱
が見られる。

初期(19世紀末)の「実験」とは、実験条件をすべて操作する
ものであった。たとえば、無音の部屋に人を隔離してどの程度
の音まで聞こえるか、である。ヴントの最初の心理学実験室
では、この種の実験が行なわれていた。

しかし、1950年ころには、注目する実験条件(たとえば部屋が
明るい)をコントロールし、その条件のみが異なる複数の群間
(たとえば明るい部屋での作業群と暗い部屋での作業群)の
差異を比較する、という定義に拡大された。コントロールでき
ない条件は、無作為に両群に割り当てないとならない。

ところが、心理学では操作できない条件に注目する実験が
しばしばある。たとえば、被験者の性別とか性格とかだけを
操作した実験はできない(被験者を女性から男性に変えると、
性別以外の条件も変わってしまう)。この意味で、心理学の
実験は、物理学や生物学における実験とは異なるのだ。


系統的再現実験

2010-11-26 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(3-2)
・系統的再現実験

前述のように直接的再現実験は難しく、それを行なったところで、
普通の論文誌からは「同じ結果で新味がない」と掲載を拒否される
のがおちである。そこで、一般には間接的再現実験、つまり系統的
再現実験がよく行なわれている。たとえば、ハトの行動について
実験的に報告された結果が、ネズミやサルや人間において同様に
見られないか、と実験企画する。そうしたひとつの変化は、実験
機器や進行手順など、さまざまな変化をもたらす。そうした変化は
必要な対処として正当化される。

超心理学の分野の例を示そう。子どもはESPカードテストをなかなか
長時間やってくれない。そこでシェラー(1948)は、色つきの玉菓子が
出てくる機械を部屋に置いておき、子どもが菓子が欲しくなったとき
に、事前に色を予測したうえで機械を操作させた。この実験のスコア
はきわめて高かった。自発性がスコアを高めたと想定できた。そこで、
ロスら(1952)は、子どもに自発性を問う質問をしたうえで、ESPカード
テストを行なったところ、自発性の高い子どものスコアが良かった。
自発性がスコアを高めるという仮説が、別々の実験で系統的に再現
されたのである。この仮説は、今日に至るまで何度も検証されている。

直接的再現実験はもしうまくいかなくても、もとの仮説の問題点を
発見できる強みがある。しかし、系統的再現実験がうまくいかない
場合は、実験条件がかなり違うので、ほとんど仮説の精緻化に貢献
しない。だが、新しい実験企画に向けたヒントは得られることがある。


直接的再現実験

2010-11-25 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(3-1)
・直接的再現実験

直接的再現実験は、可能なかぎり同じ状況をつくった実験である
が、その実現はなかなか難しい。心理学の実験における問題点を
あげてみる。

被験者:たとえ同じ被験者であっても、2度目の実験は条件が
異なる。同じ年齢や性別の被験者を集めても、同じ条件は再現
できない。大学生についての集団実験でも、共通の学生が集まる
のか疑問だ。それに、義務で参加するのと自主的に参加するの
では、心理実験においては、かなり条件が異なる。

実験者:実験者の被験者への接し方は、心理実験では影響が
きわめて大きい。実験者が熱意をもってやっているかどうかは、
最初にチェックしておくべき条件である。

実験進行:実験の細部は論文に書かれてないことがあり、再現の
障壁になっている。被験者にかけたちょっとした言葉が結果を
左右することがある。実際、私(シュマイドラー)は、再現実験を
行なう際に、細部がわからず実験実施者に問い合わせることが
よくあった。その返事がないことも多いのが実情だ。

状況設定:論文には使用機器は書かれているものの、状況設定
は書かれてないのが普通だ。部屋の装飾や乱雑さ、実験者の
服装(白衣を着ている)などは、大きな影響要因である。

礼儀:被験者を迎えた段階で準備が整っていて、さらに談笑して
打ち解けている、などの対処は、決定的要因である。

中断:実験中に訪問者が来て中断させられるようなことがあれば、
被験者の気分は変化してしまう。

外部イベント:実験日に地域のイベントがあったり、政治的な
事件があったりすれば、被験者の心理状態に影響があることは
十分に考えられる。超心理実験では、実験者の集中が低くなる
要因や、不安を誘発する要因を、とりのぞかなければうまく
いかない。

以上のように直接的再現実験の実施は難しい。一番よい方法は、
実験実施者のところに丁稚奉公のように入って、実験方法を
身につけることである。


超心理学実験と再現性

2010-11-24 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(3-0)
・超心理学実験と再現性

「超心理学実験には再現性がない」などと言われる向きもあるが、
再現性についてよく考えての発言だろうか。再現性は、そもそも
超心理学に限らず、心理学をはじめとした、要因の統制に困難が
伴う諸科学に共通した問題である。

「誰も同じ河に2度入ることはできない」という格言は、河の水が
いつも変化しているので、「同一」の行動をとることができない
現実を思い起こさせる。再現実験は、まったく同一を求めること
ではなく、「同様」の実験を重ねることである。

再現実験には、直接的再現と間接的再現がある。それぞれをよく
考えていこう。


超心理学に理論はあるか

2010-11-21 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(2)
・超心理学に理論はあるか

「超心理学には理論がひとつもない」などと言われる向きがあるが、
それは誤りだ。私(シュマイドラー)がこの分野に入る前から理論は
さまざま提案されていた。だから「理論がひとつもない」わけではない。

たとえば「超心理プロセスは心理プロセスと同様である」というのは
典型的な理論である。超心理プロセスと心理プロセスの類似性研究
は生産的だ。これまで、両者は同様であるところも正反対のところも、
まったく無関係のところも見つかっている。しかし、まだ研究途上だ。
心理的注意にはおよそ7要素(チャンク)の上限があるが、超心理の
注意がどうなっているかまだわからない。

正しい批判は「超心理学には、その知見をすべて過不足なく説明する
理論がない」である。これは正しいが、どの科学分野も似たような
状況である。物理学は長らく、一般重力理論と量子力学の統合に
努力しているが完成していない。心理学に至っては、認知理論と
精神分析理論は整合的でないし、それらは条件付け理論とも、また
神経心理学理論とも整合的でない。

超心理学も、他の科学と同様、発展が期待されているのだ。