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超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

その他の性格との関係

2011-01-21 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(7-4)
・その他の性格との関係

自信がある人はESP得点が高いという相関が見られることがある。
自信があるということは、不安が低いということなので、前節の議論に
含まれると言える。しかし、自信が極度に高いと、得点は低くなる傾向
もある。そうした人は心理的な調節能力が低いからと説明できるだろう。

他に自発性や、熱中性なども注目すべき性格だ。通常の性格検査は
一度にさまざまな性格特性を査定できるので、いくつかの特性を組み
合わせて、超心理実験で高得点をあげられる被験者を探し出せるだろう。


不安および心配性の高低

2011-01-20 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(7-3)
・不安および心配性の高低

不安を抱いている被験者や、心配性である被験者は、超心理実験
の得点が低い。パーマーが48のESP実験、私(シュマイドラー)が
10のPK実験を集計した結果、とくに個人実験について顕著にこの
結果が支持されている。

不安および心配性が低い被験者とは、状況変化に対する心理的な
調整能力が高いということだ。私のヤギ・ヒツジ群を区別した
ESP実験では、ヒツジ群で調整能力が高い被験者は低い被験者
よりも得点が高く、ヤギ群で調整能力が高い被験者は低い被験者
よりも得点が低かった。つまり、調整能力が高い者ほど、自分の
信念に合う形でESPを発揮できる傾向を示している。

http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/4-2.htm

3つの性格に関する相関をひとまとめに表現すると、超心理の
効果は、心理的な快適性にそって現れると言える。

http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/4-1.htm


開放性と防衛性の比較

2011-01-19 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(7-2)
・開放性と防衛性の比較

次の9種の研究から、開放的な被験者が高得点を、防衛的な
被験者が低得点を得る傾向が、およそ明らかである。

・初期の実験で、快活な被験者は高得点を、臆病な被験者は
 低得点をあげることが指摘されていた。
・シールズ(1962)は、引っ込み思案の子どもたちが、平均期待
 値より低得点をあげることを示した。
・シールズとマルダー(1975)の研究では、注目回避傾向の者は
 注目探求傾向の者よりも有意に低得点であった。
・ハンフリー(1946)の研究では、大胆な性格の者は、臆病な者
 よりも高得点だった。外向性/内向性と重なるところもある。
・ミチリとラオ(1980)の研究では、厳格な者が低い得点をとる
 傾向が見られた。
・シュマイドラーとルシャン(1970)では、壁を作る性向の者が
 低得点であった。
・防衛性向を調べた10の研究のうち9までが、それが高い者の
 ESP得点が低く、強い傾向性を示唆している。スタンフォード
 とシュローター(1978)では、実験のときに座る椅子の背を
 自分で調節させたところ、最大リクライニング状態に設定した
 (もっとも非防衛的姿勢にした)被験者群が高得点だった。
・スタンフォード(1964)は、ヒツジ群では、抑制的な被験者が
 低得点あることを示した。この抑制的度合いは、被験者に自己
 の状態を形容詞で表現させ、次に理想的な自己を聞き、両者の
 差異が小さいことを指標にした。
・ソンドウら(1982)の報告では、ガンツフェルト実験のターゲット
 に塀(防衛的な印象を与える)がある場合に、正答率が低い
 傾向が指摘された。


外向性と内向性の比較

2011-01-18 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(7-1)
・外向性と内向性の比較

私(シュマイドラー)がまとめたところでは、被験者の外向性と
内向性が、超心理実験にどのような影響があるか調べた研究
が38あり、うち29が外向性が高い被験者の得点が高かった。
そのうちの12には有意性がみられた。つまり、外向性が高い
被験者のほうが、超心理実験で高い得点を得られやすいと
確認されている。

しかし、このような実験をすると、必ず外向性被験者が高結果
を得るかというと、そうでもない。どうも外向性に適する実験
環境に限られるようである。外向性被験者は、新奇性の高い
課題で顕著に高い得点を出すが、退屈な課題では出さない。
また、個人実験よりグループ実験で高い得点を出す傾向があり、
これは、内向性被験者の場合、その逆になる傾向がある。

私の行なった例外的な実験には、きわめて内向的な学生が、
20人の他の学生とそれぞれペアで行なった20試行の実験が
ある。その実験では、ペアの学生の外向性指標と負の相関が
得られた。内向的な学生同士で実験したほうが、心理的に
快適な状況であったに違いない。また外向的な学生は、気分が
乗るために、にぎやかな環境を必要とするようだ。


超心理現象と性格(人格)

2011-01-17 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(7-0)
・超心理現象と性格(人格)

心理学実験では、被験者の性格によって結果が違うことが
よくある。たとえば、数字を何個覚えられるかという単純な
課題を何度も繰り返す実験では、一部の被験者は退屈して
結果が悪くなるが、他方では忍耐強い被験者が結果を向上
させる。心理現象は大きな個人差があるということだ。そして、
こうした違いの一部には、性格(人格)検査との相関が検出
される。性格でもって、結果の傾向性を説明できることがある。

かなり生理学的な特性と思われるものの一部も、性格とかか
わっている。たとえば、回転している円盤を見つめ続けた状態
で回転を止めると、反対の回転が残像として見える。その残像
持続時間は内向性が高い被験者で長く、外向性が高い被験者
で低い傾向がある。

心理実験と同様に、超心理実験の結果にも被験者の性格の
違いで説明できる傾向性が現れる。主要な3つの性格について
議論していく。


価値意識とESP得点の関係

2011-01-10 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(6-10)
・価値意識とESP得点の関係

私シュマイドラー(1952)は、オールポート=ヴァーノンの価値意識
尺度にもとづいて、被験者の価値意識を、経済的価値、美的価値、
権力的価値、宗教的価値、社会的価値、理論的価値について大小
を調べたうえで、ESP実験を行なった。その結果、理論的価値に
正の相関が見られた。ナッシュ(1958)の追試では、宗教的価値に
正の相関がみられた。バズビー(1963)の追試では、何にも相関が
みられなかった。コリーモア(1978)の追試では、社会的価値に
正の相関がみられたうえに、経済的価値と美的価値に負の相関が
みられた。

実験結果が一定でなかったのは、ひとつには実験者の意味帰属
に関係するのかもしれない。たしかに私の実験は、授業で学生に
対して行なったのだが、学生にはいつも、ESPの存在が明らか
になると、科学理論に変革をもたらすと講じていた。理論的価値
に重きをおいている学生が、意欲を出して高い得点をあげたのは、
ありそうなことだ。

さらなる追試が必要なところだが、オールポートらの尺度はもう
古くて使えなくなってしまった。


現象の意味帰属の影響

2011-01-09 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(6-9)
・現象の意味帰属の影響

ロヴィッツ(1981)は、通常のESP実験を「ESPを証明する実験」
として説明したうえで行なうグループと、「意識されないわずかな
刺激を読み取ることが得点をあげている証拠を示すことでESPを
否定する実験」として説明したうえで行なうグループに分けて、同じ
実験を繰り返した。すると、前者のグループのヒツジは得点が高くて
ヤギは得点が低く、後者のグループでは逆に、ヤギが得点が高くて
ヒツジが得点が低かった。

実験における現象の意味はなんであるかという説明と、自分の信念
が整合的になるようにESPが発揮されるという典型的例になった。


生徒の態度と先生の態度

2011-01-08 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(6-8)
・生徒の態度と先生の態度

学校の生徒を対象に、担任の先生が実験者となってESP実験
する場合、生徒と先生の間の関係が結果を大きく左右する。

アンダーソンとホワイト(1956)の実験では、生徒と先生に質問紙
を配布し、それぞれ先生の好感度と生徒の好感度を暗黙的に聞く。
すると、生徒と先生の間が相互に良好な場合、その生徒のESP
得点は偶然平均より有意に高く、相互に反感をもっているときは、
有意に低かった。

その後の実験をまとめたホワイトら(1965)によると、当初の傾向
性は、高校生で顕著で、小学生や大学生では見られなかった。
だが、実験者効果などの他の要素がからんでいる可能性があり、
現状の研究の数では、確実なことはまだ言えない。


目的指向態度と過程指向態度

2011-01-06 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(6-7)
・目的指向態度と過程指向態度

たとえば、サイコロにPKをかけるときには、単純に念じた目が出る
ようにと、目的のみを意図するのがよいのか(目的指向態度)、
それともサイコロの回転などの特定の目が出る仕組みを想像して、
その過程に対して念じるのがよいのだろうか(過程指向態度)。

これは、前者の目的指向のほうが効果が高いと考えられる。
たとえば、モリスらの80年代初頭の一連の実験では、乱数発生器
でランプの点滅が移動する機器の移動方向を念じるに際し、
単純に移動方向を念じる場合と、ランプの点滅機構を説明した
うえで、その機構に念力をかけるという、2つの方法でPK実験を
行なった。その結果、前者の目的のみを意図した態度のほうだけ、
有意に高い得点が得られた。また、被験者に両方を練習してみて、
自分に合うと思う方法でPK実験をして欲しい、と依頼した実験
でも、目的のみを意図した態度のほうだけ、有意に高い得点が
得られた。

目的指向の態度が有効なのは、心理生理学の知見と整合的だ。
というのは、私たちがテーブルのコップを取るときに、腕の関節
の角度とかを調節する意図をもたない。単に、コップを取るという
目的を意図するだけである。迷路を抜けて走るのを学習した
ネズミは、迷路が水につかっても、泳いで抜けられる。かように
人間や動物の日常は、目的指向にあふれている。その意味で、
超心理現象の発現の仕方は、心理学と共通していると言える。


ヒツジの態度とヤギの態度

2011-01-05 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(6-6)
・ヒツジの態度とヤギの態度

私(シュマイドラー)が、1943年にヒツジ・ヤギ効果を提唱して
以来、この効果は多くの人々に注目されてきた。しかし、かなり
誤解が重なっている。私が提案した本来の定義では、ヤギが
「このESP実験が成功すると思えない人」であり、ヒツジが
それ以外の人であった。前者が偶然平均よりも低い点数をとり、
後者が偶然平均よりも高い点数をとることが、(個別実験で
いつも検証されるわけではないが)メタ分析で検証されている。
ヒツジとヤギというのは、変化しない個人的信奉ではなく、
実験状況に対するその人の態度といった、流動的な区分けだ。

ベロフら(1970)は、「自分はこのESP実験で成功できる」
と信じている人を「超ヒツジ」と定義した。「超ヒツジ」の場合は、
うまくいかないことに対する不安など、心理的な問題が伴う
ので、得点の高低にはゆらぎが発生する。ヒツジというのは、
たとえ自分はうまくいかなくても、他の人々の働きで、実験は
全体としてうまくいくだろうと思う人であり、実験状況に対する
肯定的な姿勢を指すのである。ヤギは、実験設定に対する反感
などを含めた、否定的な姿勢を指すのだ。

http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/4-1.htm


超心理現象の源は人か場か

2011-01-04 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(6-5)
・超心理現象の源は人か場か

本章では、超心理現象の発現には、社会心理的な状況が
重要だ、と述べてきた。すると、超心理現象の由来は
人なのか場なのか、という疑問が湧く。

一般に、超心理現象を起こす「能力」をもつ「超能力者」
がいる、とされる傾向がある。すると、超心理実験で高い
得点がとれれば、被験者の「能力が高く」、一連の実験で
高い得点が出れば、実験者の「能力が高い」のだろうか。
あるいは、人間はみな「超能力」があるのだが、それは
日常の状況では、発現しないように抑制されており、特定
の状況になるとそれが解放されるのだろうか。それとも、
一部の「超能力者」の「能力」が、特定の状況で伝染する
のだろうか。こうした考え方はどれも、超心理現象の由来は
人であると前提した考え方である。

一方で、超心理現象の由来は場であるとする考え方もある。
超心理現象を起こす「能力」や「超能力者」などは存在せず、
特定の社会状況が満足された場において、超心理現象が
起きるとするものだ。「超能力者」とされる人は、超心理
現象が起きやすい場を作りだすのがうまい人、ということ
になる。人か場かを検証する実験は、ほとんど行なわれて
いない。しかし、これまでの研究から推測される有力仮説は
どちらか一方ではなく、中間的な「人も場も」という観点に
あるのではないかと思われる。


超心理実験にまつわる波及効果

2010-12-31 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(6-4)
・超心理実験にまつわる波及効果

ワイナーとジングローン(1986)は、実験結果の採点効果を
調べた。ESPカード実験を4ラン行ない、うちどれか2ランは
実験者が採点し、残り2ランは匿名の誰かが採点すると
被験者に伝える。誰が採点するだろうかとの予想をしたうえで、
ESP実験する。採点者が、被験者が正しく実験者が採点すると
当てたうえで行なったランの採点結果より、被験者が正しく
匿名者が採点すると当てたうえで行なったランの採点結果が、
有意に高かった。採点者が、被験者の予想を聞かされなかった
場合は、差異はなかった。

超心理の能力は、集団の中で伝染するというエピソードは多く
報告されている。この現象の厳密な実験はないが、シュマイドラー
(1970)は、事前にESP実験をして偶然期待値だった集団に
ヨガの行者が来て話をして、その行者の立ち会いのもと再実験
したところ、きわめて有意に高いスコアとなった。


集団での超心理実験効果

2010-12-30 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(6-3)
・集団での超心理実験効果

コンデイ(1976)は、集団のひとりが受け手になって、残りの人々が
送り手になるESP実験を行なった。多人数の集団と少人数の集団、
友達の集団と見知らぬ人々の集団でスコアを比較したところ、予想
した通り、多人数の集団と友達の集団でスコアが高かった。

集団の中で、ESP実験を同時に行なっていると、別のターゲットの
混信が起きることがたびたび示されている。

シュマイドラー(1961)によると、集団の他のメンバーが、スポーツの
試合のように応援するとESPスコアが高まる。スポーツの相手チーム
にするように、失敗をするよう応援すると、集団の他のメンバーが
友達関係のときは、期待通り有意に低いスコアになったが、敵対的
な関係の場合、逆に高いスコアになった。


気分と場の超心理効果

2010-12-25 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(6-2)
・気分と場の超心理効果

教員は誰でも、同じように対応しても、クラスの雰囲気が異なる
という経験をしている。重苦しかったり生き生きしたりするクラス
の雰囲気は、いったん決まってしまうと、容易には変えられない。

超心理実験の場もこうした雰囲気、あるいは雰囲気に応じた個人
の気分に左右されるのだろうか。Nowlis mood adjective checklistを
使って気分を調べたうえでのESP実験が、いくつか行われている。
気分とESP実験の関係はありそうだが、複雑で安定していない。
たとえば、自己中心的度合いは、受動的な集団ではスコアが低い
方向で相関するが、能動的な集団ではスコアが高い方向で相関
する、などである。

この話題は性格などの他の要因ともからめて議論する必要がある。
後の章で、再度触れる。


支配的な立場における超心理効果

2010-12-24 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(6-1)
・支配的な立場における超心理効果

ディーンとミハラスキーは、支配的な立場(たとえば経営者)に
あると、超心理効果が高いとする実験を行なった。フリードマン
ら(1976)は、男女の人数差の激しい11のクラスでESP実験
を行なったが、人数の多い性別の集団に所属している人々の
スコアが有意に高かった。

カンタマーニ(1966)は、同性の2人友達にペアになってESP
実験に参加してもらった。事前のアンケートで、2人のうち
どちらがその友達関係で支配的かを判定したうえで、実験した
ところ、予想通り支配的な人のスコアのほうが有意に高かった。

※ 読書ガイド(92)にあげた本のように、経営者のESPスコア
 が高い理由は、超能力を発揮して経営に成功したからだ、と
 解釈されやすい。しかし、本章のように、「経営者という支配
 的立場につけば、超心理現象が起きても社会的立場が危うく
 ならない」という、「現象に対する受容性」でも説明が可能だ。