RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

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カイユボット展 -都市の印象派- その1

2013-11-22 21:30:00 | 美術
見てきました

ブリヂストン美術館

会期は2013年10月10日から2013年12月29日。

カイユボットです。
ギュスターブ・カイユボットです。
モネ、ルノワール、ピサロ、シスレーら印象派の仲間の作品を購入することで彼らを経済的に支えたばかりではなく、自らも印象派展にも参加した画家でもあります。
アジア初の個展です。
だ、誰……!?となる方も多数でしょう。
私もぱっと思いつく作品はブリヂストン美術館所蔵の「ピアノを弾く男性」ぐらいしか思いつきません。
この作品、かなり好き
ではまず簡単にカイユボットについて。

ギュスターブ・カイユボット(1848-1894)
1848年に繊維業を営む裕福な事業家の息子としてパリに生まれます。
パリ8区の邸宅で青春時代を送り、法律学校へ。
その後、19世紀後半を代表する肖像画家レオン・ボナのアトリエに出入りするようになり、1873年にはパリの官立美術学校エコール・デ・ボザールに入学します。
そして若い画家たちと知り合います。
そして1874年、25歳のとき。
第1回の印象派展でモネやルノワールの作品と出会い衝撃を受けます。
彼らの作品を購入し、支援しながら、交友を持ち、第2回目からは印象派展に画家として参加。
45歳で亡くなったため、晩年が40代なのですが、そのころは印象派から離れて制作していたようです。
1894年の没後に遺言書は弟マルシャルとルノワールの手によって遂行されます。
それは彼がコレクションしていたピサロやモネ、ルノワール、シスレーにドガ、セザンヌ、マネの計68点をフランス政府に寄贈すること。
でしたが、当時の印象派は日陰者。
美術館に収めることに対して反対意見も多かったとか。
2年の紆余曲折を経て、ようやく国家に受け入れられました。
その中にはドガの「エトワール」やルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」もあったそうです。。。
カイユボット、近年は画家としての評価が上がってきていますが、最初はコレクターとしての評価のほうが高かったのです。
当時理解者の少なかった印象派の作品を買い集め保護し、国家に寄贈した点での評価です。

さて、カイユボットの作品についてですが、カイユボットは裕福だったため、お金のために絵を描いていたわけではないので作品も少ないそうです。
今回は再評価が高まってきた画家としてのカイユボットの作品をまとめて見る、貴重な機会となります。
メモを盛りだくさんにとってきたので、2回に分けて書いていきます。

展示はⅠからⅤとギュスターヴ・カイユボットの弟、マルシャル・カイユボットの撮影した写真を展示したⅥまでとなっています。
"その1"ではⅠとⅡについて書いてあります。

《Ⅰ.自画像》
ここには3点の自画像が並んでいました。
カイユボットは都市風景と室内画を得意としていたそうですが、自画像は5点しか確認されていないそうです。
展示されている3点はそれぞれ違う時代のもので、その年齢の特徴的なものが出ていました。
ものすごく貴重なものとなります。。

ギュスターヴ・カイユボット「夏帽子の自画像」
一番若い自画像です。
1870年代の画業を始めたころの作品。
麦藁帽子をかぶり、白い服を着て、口ひげをたくわえた自画像。
明るい色が多いからか爽やかな印象です。
また顔も微笑んでいるようで優しい感じを受けました。

ギュスターヴ・カイユボット「自画像」
2つめの自画像。
これは40代初めの頃だそうで、この頃は印象派の活動に一区切りつけていたそうです。
落ち着きがあり、凛々しい印象を受けます。

ギュスターヴ・カイユボット「画家の肖像」
こちらも先ほどの40代の自画像と構図は似ています。
少し年をとって前かがみになっています。
死があと少しで迫ってきます。
どこか達観したような、でもちょっと硬い表情のような、そんな作品です。

カイユボットは父の遺産で印象派の作家たちの作品を購入していたそうです。
有力なパトロンであったうえに、作品も他の画家と遜色ない腕前ってすごすぎです……
恵まれているというか。。

《Ⅱ.室内、肖像画》
カイユボットは1860年に父がパリ8区の高級住宅地に新築した邸宅に住み、ここを舞台として多くの室内画と肖像画を描いています。
この頃、プライベートに重きを置く思想が生まれたそうで、そういった新しい家族の形を描いたもの、とのこと。
また肖像画ですが、カイユボットはお金持ちのため作品を売ることがなく、注文で肖像画を描くことはなかったそう。
ですが、家族や親しい友人の肖像は描いていたようで、そういったものが展示されていました。

ギュスターヴ・カイユボット「昼食」
円卓を囲んで食事をするのは奥に描かれた母セレストと手前には描かれた弟ルネ。
食事を出す執事のジャン・ドレールも描かれています。
窓からは明るい光が差し、逆光となっていました。
この構図、「印象派を超えて」で見たポール・シニャックの「ダイニングルーム 作品152」ととても似ています。
(「印象派を超えて」の記事はこちら→「その1」、「その2」)
プライベートな食事というものが絵の主題としてよく扱われていたのかな。
画家の視点は鑑賞者と同じ位置となっていて、手前の皿は上から見たような構図になっていますが、机上の食器は斜め上から見下ろすかたちとなっています。
おもしろいです。
黒くピカピカなテーブルには机上のガラス器やパンも映っていました。
この作品、好き。
個人蔵とのことで今後なかなか見れないことが悲しい。。。

ギュスターヴ・カイユボット「マルシャル・カイユボット夫人の肖像」
椅子に座り縫い物をしている母セレストを描いた作品。
このとき母は58歳。
先ほどの作品に描かれていた弟ルネが26歳で急死した2年後になります。
黒い服を着て手を動かしているのですが、下を向き熱心なのか寂しさを紛らわしているのか。。
光が差し込んでいるので全体的に柔らかな印象です。

ギュスターヴ・カイユボット「読書するウジェーヌ・ドフレーヌの肖像」
ソファに座り読書する叔父を描いた作品です。
近くに窓がありそこから差し込む光が陰影を作り出していました。
部屋の中の壁や床も丁寧に描きこまれています。

ここでは他にカイユボットを撮った写真が展示されていました。
優しそうで好青年といった印象です。
写真は弟のマルシャルが撮ったそうです。
マルシャルの写真はⅥ.でたくさん展示されていますが、展示の途中途中でも展示されています。
弟は音楽院出身の音楽家だそうですが、兄同様、稼ぐ必要がなかったため音楽を専業とはしていなかったそうです。
写真は1891年から撮り始めたそうで、多くは兄の死後に撮られたもののようですが、共に行動し、芸術的感性を認め合っていたそうです。

カイユボットは先に書いたとおり、印象派の作品を蒐集していました。

ギュスターヴ・カイユボット「ポール・ユゴーの肖像」
薄い青の背景に身なりがきれいでステッキを持ち立つ男性が描かれています。
少しくらい表情なのがきになります。
彼は家族ぐるみで付き合いがあり、カイユボットの作品も所蔵していたそうです。

ギュスターヴ・カイユボット「アンリ・コルディエ」
書斎で執筆している男性が描かれています。
東洋学者のアンリ・コルティエはカイユボットの友人だったそうです。
机にもたれるように横向きの姿で描かれています。
背景には大きな本棚、そこには厚い本が並んでいて、いかにも学者の書斎といった雰囲気を出しています。

ギュスターヴ・カイユボット「ピアノを弾く若い男性」
第2回印象派展に出品された作品です。
モデルは弟のマルシャル。
ブリジストン美術館所蔵のため何度か見ていますが何度見ても素晴らしいです。
ピアノに映る鍵盤や指など細部まで丁寧に描かれ、また窓から差し込む光が柔らかな印象を与えます。

ここではエラール社の本物のピアノも展示されていました。
描かれているピアノとそっくりです。
対象をよく見て描いていることが分かります。

ギュスターヴ・カイユボット「ピアノのレッスン」
ピアノに向き合う2人の女性が描かれています。
帽子をかぶった婦人が生徒でその右にいるのが先生かな。
室内には花も飾られています。
この作品はカイユボットからモネへ贈られたものだそうで、モネはこの作品を生涯持ち続けたそうです。

ギュスターヴ・カイユボット「室内-窓辺の女性」
窓辺に立ち外を眺める女性と、ソファに座って新聞を読む男性が描かれています。
青や紺、黒でまとめられ落ち着いた雰囲気のある室内に対し、窓からは向かいの建物の看板が見え人影もあり賑やかな印象です。
この2人は同じ室内にいるのにまったく関係がない、というか相手のことを気にしていない印象を受けました。

ギュスターヴ・カイユボット「室内-読む女性」
手前には椅子に座って新聞を読む女性。
その奥にはソファに横になって本を読む男性が描かれています。
なんだかおかしいです、男性の大きさ。
小さい。。
遠近法で考えてこの大きさだと部屋はとっても広いけど、ソファの大きさから考えるとやっぱり男性が小さい。
これはワザと、なのかな。。。。
違和感ありありです。
この小さい男性は印象派の画家と親交のあった編集者だそうです。

ギュスターヴ・カイユボット「子供のモーリス・ユゴーの肖像」
白いワンピースを着た幼児が描かれています。
ちょっとむすっとした感じで
この頃、5歳ぐらいまでの男児は髪を伸ばしてワンピースを着用することがあったそう。
顔は丁寧に描きこまれていますが、他の部分は大きめの筆致で大胆に描かれています。

カミーユ・ピサロ「ポントワーズ、ライ麦畑とマチュランの丘」
青空の下、生い茂る麦が描かれています。
柔らかな色使い。
これはカイユボットがコレクションしていた作品だそうです。
現在の所蔵は静岡県立美術館。
印象派の作品を遺言によってフランス政府に寄贈するとしていましたが、全てが受け入れられたわけではなかったようです。
これは漏れてしまったのかな……
残念なことですが、きちんと美術館に所蔵され保管されていることはよかったな~、と思います。

ここでは他にもブリジストン美術館所蔵の印象派の作品が展示されていました。
もちろん、看板娘「シャルパンティエ嬢」もいらっしゃいました。笑

といった感じです。
もう最初からかなり楽しいです。
このあとも素晴らしい作品ばかりでうきうきです。
今一番おすすめです!!!!!
カイユボットが好きになる!!
明日は続きを書いていきます。



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