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印象派を超えて―点描の画家たち ゴッホ、スーラからモンドリアンまで (その2)

2013-10-19 21:30:00 | 美術
見てきました

国立新美術館

2013年10月4日から2013年12月23日。

今回の展示は、クレラー=ミュラー美術館所蔵作品を中心に、フランス、オランダ、ベルギーの画家たちによる色彩の探求を検証するもの。
昨日「その1」を書いたので、今日は続きです。

《Ⅲ.ゴッホと分割主義》
この章はゴッホが9点で、ゴーギャン、ヴラマンク、アンドレ・ドラン。
ゴッホはシニャックと共同制作するなど「分割主義」に触れる機会があったようです。
シニャックは話好きで陽気な正確のため、気難しいゴッホとも争いを起こすこともなく、制作したとか。
アルルでの共同生活には応じませんでしたが、ゴッホが耳を切り落とした事件の直後にはお見舞いにも行っているそう。
シニャック、、いいヤツすぎ。。。
で、分割主義に対するゴッホですが、スーラのことを"独創的な色彩家"と称していました。
ただ、"従おうという気はまったくない"と。
ゴッホのように大胆で素早い筆跡を好む画家に点描は難しいかったのかもしれません。

フィンセント・ファン・ゴッホ「ルビーヌ・デュ・ロワ運河の洗濯場」
これはペンやチョークで書かれた素描。
長さ、太さの違う線を組み合わせて描かれていました。
雲や太陽にゴッホらしさがありました。

フィンセント・ファン・ゴッホ「レストランの内部」
あら、珍しいと声を上げたくなる作品。
テーブルに椅子など描かれているのはよくあるレストランの内部ですが、壁が赤と緑の点で構成されています。
分割主義の強い影響が表れている作品です。
華やかで可愛らしい印象を与えます。

フィンセント・ファン・ゴッホ「種まく人」
「種まく人」はミレーの有名な作品でもあります。
ゴッホはミレーに畏敬の念を抱き、この「種まく人」だけでも30点ほどの作品を残しています。
人の後ろには黄色く大きな太陽が輝き、畑はオレンジと青で彩られています。
手前は大きく、奥は小さな筆致で表現されています。
厚塗りの絵の具がその勢いを表しているかのようです。

フィンセント・ファン・ゴッホ「麦束のある月の出の風景」
手前に麦畑、奥に山、そこからのぞく月。
うずうずしています。
ゴッホ特有の感じがよく出ていました。
色はシンプルで青、緑、オレンジなど。
ゴッホは麦畑を多く描きましたが、成熟して刈り取られていく麦の一生を人生の比喩としても考えていたそうです。

フィンセント・ファン・ゴッホ「自画像」
キャンバスいっぱいに描かれた自画像。
眉間に皺を寄せ険しい表情をしています。
目は赤の瞳孔に緑の瞳、明るい茶色の髪の毛に対し背景は緑色と補色の関係がうまく取り入れられています。
ゴッホの色彩に関する姿勢が読み取れる作品。

ポール・ゴーギャン「水飼い場」
綜合主義確率前の作品。
牛が池のようなところで水を飲もうとしている場面が描かれています。

モーリス・ド・ヴラマンク「小麦畑と赤い屋根の家」
ヴラマンクは1901年にゴッホの回顧展を見て純粋色で描くことに影響を受けたそう。
赤と青の街並みが厚塗りで力強く描かれています。

アンドレ・ドラン「コリウール港の小舟」
港に浮かぶ舟が描かれています。
三原色と緑を中心として大きな筆致で描かれた景色は明るく日常の暖かさが表現されていました。

《Ⅳ.ベルギーとオランダの分割主義》
ベルギー、オランダにも点描法は伝わりましたが、特にベルギーで多くの画家が影響を受けました。

テオ・ファン・レイセルベルヘ「満潮のペール=キリディ」
岩に押し寄せる波が場所によって大きさを変えた点で描かれています。
明るい色で描かれ爽やか印象です。

テオ・ファン・レイセルベルヘ「《7月の朝》あるいは《果樹園》あるいは《庭園に集う家族》
明るい色彩の細かな点で庭の木陰でくつろぐ人々が描かれています。
穏やかな休日の朝、といった雰囲気です。

ヤン・トーロップ「オルガンの音色」
これが不思議な雰囲気を放っていました。
聖堂のようなところでオルガンをひく女性。
ぼんやりと描かれていて幽霊のようです。
画面ひだりがわにはたくさんの頭蓋骨が転がっていたところも異質な雰囲気に拍車をかけていました。

ヤン・ファイルブリーフ「積み藁のある風景」
ヨハン・アールツ「砂丘の農家」
この2作品、まったく同じ構図、同じサイズで同じ場所を描いています。
2人はハーグの芸術アカデミーで一緒だったようで、1890年代に点描を習得しています。
そのため一緒に制作したのだと考えられているそう。
ヤン・ファイルブリーフの作品のほうが色は暗めです。
ヨハン・アールツのほうが明るい色で眩しい光を感じます。

アンリ・ヴァン・ド・ヴェルド「夕暮れ」
細かい点で描かれた作品。
一人の人物がこちらに背中を向け歩いています。
夕暮れの光の優しさが、その人に黄色や紫で影を落とし、情緒ある作品でした。
寂しげな雰囲気もよかった。

ヨハン・トルン・プリッカー「十字架の傍らで(チューリップの聖母)」
膝をつき祈るマリアが描かれています。
様々な模様で装飾的。
そのままステンドグラスにもできそうです。

《Ⅴ.モンドリアン -究極の帰結》
モンドリアンといえば抽象絵画の先駆者。
分割主義のつながりが分からない。。。
となりそうですが。
点描を通過したモンドリアンは後年、三原色に分割された抽象絵画へ到達しました。
黒の垂直と水平の線、三原色と白黒、灰色、これだけがモンドリアンが見つけ出した世界の本質をあらわす要素。
今回、分割主義の究極の帰結として展示されています。

ピート・モンドリアン「コンポジションNo.Ⅱ」
黒い垂直と水平の線、灰色、暗いピンク、緑の3色が使われた作品。
色使いからちょっとパウル・クレーを連想しました。

ピート・モンドリアン「赤と黄と青のあるコンポジション」
黒い垂直と水平の線に赤と黄と青と。
大部分を占める白。
シンプルな世界です。

今回、ここまで2時間以上かけて見てきました。
どの作品も素晴らしくてこんな作品を見れたことに感激。
ぜひぜひ、見に行って欲しい展示です。



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