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印象派を超えて―点描の画家たち ゴッホ、スーラからモンドリアンまで (その1)

2013-10-18 21:30:00 | 美術
見てきました

国立新美術館

2013年10月4日から2013年12月23日。

今回の展示は、

クレラー=ミュラー美術館所蔵作品を中心に
印象派を超えて―点描の画家たち ゴッホ、スーラからモンドリアンまで

というタイトル。長い。
タイトル長けりゃ私の文章も長い。
ということで(!??) 今回、2回に分けて書いていきます。
今回、HPで事前に出品リストをチェック。
どのような作品かを調べてメモをとり、会場で見て、さらにメモをとる。。
うん、意味不明に頑張った。笑

時代は19世紀末から20世紀前半。
このころのヨーロッパ絵画において、色彩は外界の事物を再現するという役割から解放され、一つの表現として自立していきます。
それらの表現は、印象派の筆触分割に、少し見出すことができます
ポスト印象派の画家、スーラはそれに飽き足らず、科学的な知識を基に、独自の点描技法を開拓。
この、色彩を純色の小さな点に分解して描く分割主義は、フランスを超えてヨーロッパ各地に広がります。
その後はシニャックによる理論化にも後押しされて、抽象絵画の創設にも大きく貢献。
オランダからパリに出たファン・ゴッホは、ポスト印象派の技法に大きな着想を得て色彩を探求。
モンドリアンは後年、三原色に分割された抽象絵画へと到達しました。
今回はそういった画家たちによる色彩の探求を検証するものです。

クレラー=ミュラー美術館ですが、1938年にオランダのオッテルオーにあるデ・ホーへ・フェーリュウェ国立公園の中に創設されました。
ここの所蔵品の中核はヘレーネ・クレラー=ミュラーが夫のアントン・クレラーの潤沢な資金をもとにして1905年から1930年初めまでに収集したコレクション。
うらやましいな、うん。。。
ここの目玉はゴッホ。
なんと269点(うち油彩は88点)を所蔵。
ほかにもスーラにシニャック、モンドリアンにピカソやブランクーシなどなど。
近現代美術の名品を所蔵。
野外には25ヘクタールにも及ぶ彫刻庭園があり、ロダンやムーアなどの彫刻作品を鑑賞できます。
い、行きたい。。
ここの所蔵作品を中心に、油彩画、水彩画、素描など約90点の展示です。

《Ⅰ.印象派の筆触》
身近な光景を生き生きと描いた印象派の画家たち。
ここでは風景を中心に美しい日常が展示されていました。

クロード・モネ「藁ぶき屋根の家」
まずは印象派代表モネの作品。
絵本の中に出てくるような家が描かれています。
雲の多い空、家の手前に咲く花々。
大きめの筆致で描かれています。

クロード・モネ「サン=ジェルマンの森の中で」
「藁ぶき屋根の家」よりも細かい点描の作品。
森の中の道が描かれています。
両側を木に覆われ、地面には落ち葉が。
緑と色づいた葉の組み合わせも美しい。
画面奥に向かってずっと続く道は迷い込んでしまいたいほど魅力的です。

アルフレッド・シスレー「舟遊び」
川に舟を浮かべ遊ぶ人々が描かれています。
といっても舟は小さくどちらかというと風景の中に舟遊びをする人々が描かれている、ちった印象。
川の向こうに橋が描かれ、左側手前に大きな木が。
シスレーは"空の表現は構図上とくに重要"と考えていたそうです。
その空は木々よりも大きめな筆遣い。
同じ青でも手前の川は小さめな筆遣いでした。

アルフレッド・シスレー「森のはずれ、6月」
こちらはもうすぐ森を抜けようかという場所から森の向こうが描かれた作品。
木々の間に見える空は青く晴れやか。
木の隙間から洩れる光の情景もいい。

アルフレッド・シスレー「モレのポプラ並木」
眩しいほどに光を感じる作品。
左側から射す強い光がポプラ並木を照らし大きな影を作っていました。
そして木の影に座る人々。
穏やかな午後の日常、といった感じです。
こちらも木々の隙間から見える青い空がきれいでした。

カミーユ・ピサロ「エラニーの教会と農園」
手前に農園、その奥に教会の屋根が見えます。
水平と垂直を意識した線が独特の世界を作っていました。

《Ⅱ.スーラとシニャック -分割主義の誕生と展開》
スーラはドラクロワなどを研究し、光学理論書を読み漁るなどしました。
純粋色の点で描く「分割主義」という手法を考案し、視覚混合や補色の組み合わせ、コントラストやグラデーションなどがもたらす視覚効果を追求しました。
またシニャックはスーラから大きな影響を受け、点描画を描きます。
早くに亡くなったスーラに変わり、分割主義の理論を世に知らしめた人でもあります。

ジョルジュ・スーラ「入り江の一角、オンフルール港」
スーラといえば点描のイメージですが、この作品では線も描かれています。
水面の表現を点で描くなど細かく変化の多いところに点が使われていました。

ポール・シニャック「ダイニングルーム 作品152」
初期の代表作だそうです。
点描で描かれたテーブルにつく夫人と、新聞を持ってくる女中。
正面を向いている夫人はカップを手にし、夫は葉巻を手にしています。
描かれている3人とも感情のないような表情で、不思議で静かな世界を作り上げていました。

ジョルジュ・スーラ「ポール=アン=ベッサンの日曜日」
港町ののどかな日曜日が点描で描かれています。
点の向き、密度などは描く対象によって違い、空などの大きな空間は大きく描かれていました。
風に吹かれて翻る旗が動きを出していました。
この作品は赤・青・オレンジ・黄色などを使った点描で縁が描かれていました。

ジョルジュ・スーラ「グラヴリーヌの水路、海を臨む」
「ポール=アン=ベッサンの日曜日」と同じく、こちらも同じような色で縁が描かれていました。
全体的に薄く淡い色で海とそこに浮かぶ船が点描で描かれています。

ジョルジュ・スーラ「若い女(「グランド・ジャット島の日曜日の午後」のための習作)」
「グランド・ジャット島の日曜日の午後」はセーヌ川の島で休日を楽しむパリの人々を描いたスーラの代表作。
教科書などでも目にしたことがあるでしょう。
コンテとクレヨンで描かれたこの作品は光と影を考えて描かれたとても習作とは思えないほどの作品。

ポール・シニャック「ポルトリューの灯台」
スーラに似ています。
細かな点描で海に浮かぶ船と青く可愛らしい灯台が描かれています。
静かでその瞬間を切り取ったような作品。

ポール・シニャック「マルセイユ港の入口」
とてもシニャックっぽい作品。
シニャックの点描はだんだん大きくタイルのようなモザイク画のようになっていきます。
これもそのような作品です。
青、紫、黄色、オレンジ、ピンクなどの点で描かれた朝日が昇り明るくなったマルセイユ港です。

アンリ=エドモンド・クロス「人物たちのいる公園(「ラヌラグ公園」のための習作)」
大きめの点描で木陰で休む人々が描かれています。
これも習作とのことで油彩とチョークで描かれていますが、とても心ひかれました。
そしてなんだか、ゴッホにつながるところが見えた気がしました。

アンリ=エドモンド・クロス「サン・トロヴァーゾ橋(ヴェニス)」
大き目の点描で描かれています。
明るい日差しを感じる作品。
日のあたるところにはピンクと黄色の補色が入れられより強く光を感じます。
水面にうつる緑の鮮やかさと合わせて光あふれる作品でした。

マクシミリアン・リュス「パリ、モンマルトルからの眺め」
このタイトルの作品は様々な画家が描いた作品を見ていますが、この作品は今までと違いました。
小さめの点描で描かれた作品で、手前には緑鮮やかな木々。
その向こうには無数の煙突。
そしてそこから吐き出される煙。
マクシミリアン・リュスは無政府主義に賛同していたということで、労働者などに関心を寄せていたそうです。
描かれているのはサン=ドニ工業地帯です。

マクシミリアン・リュス「鋳鉄工場」
火の粉飛び散る工場内部が描かれています。
奥には大きな釜のようなものが描かれ、男性が取り囲んで作業をしていました。
火は明るいピンクや黄色で描かれ、煙か水蒸気か、、立ち上っていました。
明暗表現が劇的です。

モーリス・ドニ「病院での夕暮れの祈り」
静かに祈る人々が描かれた作品。
微動だにしない人々が描かれた画面下に対し、画面上は揺れ動く蝋燭の炎が描かれています。
静と動がはっきりと描かれた作品。

今日はここまでで。
明日はゴッホから始まります。



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