MELANCOLICO∠メランコリコ!

ゆめと心理と占いのはなし
Por donde, amor, he de ir?
 Rosalia de Castro

他者の外見を言葉にするとき。

2015-08-16 15:59:51 | 日記

人は他者の目に映る自分がどういったものなのか気になるもので、良くも悪くもそれで自分を意識している部分が大きい。純粋に自分で自分を見て作り上げたイメージとは何かと言われると、そんなものあり得ないと言わざるを得ないけど、いわゆる他者の視線や言葉を強く気にして取得した自己イメージは破壊的で、危険でもある。

先日、深夜番組でAKBの島田晴香という22歳の女性が体重が多めだということでいじられていた。アイドルの世界はあまり知らないのでトンチンカンな話しになるかもしれないけど、彼女は161cm、54kgで、画面で見た範囲ではそんなに太めではない。でも、160cm、42kgという指原莉乃や他メンバー、男性たちから「意思が弱い」と、何か罪を犯したかのように責められ、「たとえばグラビアの仕事するとか目標を立ててがんばったら?」などと“助言”されていた。島田さんは性格が素直というか、ボーイッシュというか、そうした“助言”をいなすようなことなく、正面から受けてしまっていて、最後は「誕生日までに48kgにします」とカメラ目線で約束してしまった。はたしてそれが本当に実行されるのかどうかわからないけど、22歳で54kgあたりにいる視聴者の女性たちには大きな影響を与えるのかもしれない。

適正体重って人の体質とか、その仕事なんかで異なってくる。161cmで100kgあると健康上も社会生活を営む上でも問題があって、確かにダイエットしていく必要があるだろう。でも、単にテレビ映りだとか、周囲の人間がどうだからとかいうことで体重減を強く勧めるのは正しいことなんだろうか。本人に明確なモチベーションがないままに周囲がそう思っているからそうしろっていうのはその後の本人の生き方に大きなストレスを加える。

日本人は相手の外見を言葉にしがちだ。相手の外見に関心が行くというのはどこの国でも同じだし、外国にもこれと似たような番組はあるんだろうけど、まじめなテーマを扱っている番組で、健康な若い女性に減量を強い、当人もそれをまじめに受け入れるという番組はあるんだろうか。見たことがない。ましてや、161cmで54kgの22歳の素直な性格の女性タレントに「痩せます」って宣言させるようなことは、怖くてできないだろう。人権の問題にも発展しかねない。

昔、通訳の仕事をしていた時期、日本人がよく外国の初対面の人へのあいさつ代わりに「お美しいですね」「ハンサムですね」とか言って、その言葉を訳すよう求めてくることがあって困った。仕方なくそのまま訳したら、「何でそんなこと言うのか。私はモデルじゃない」と、場に変な空気がながれたことが何度かあった。もちろんその日本人に淫らな感情があったわけではないし、前後の状況によっては違った反応があり得たとも思うし、日本人同士だったら、「いえいえ、そんな・・・」ってことで終わってしまうことなのかもしれないけど、いきなり外見的なことを言葉にしていい、してはいけないの境目が日本語を母語としている人たちと日本語以外を母語としている人たちとの間では明らかにずれがあると感じた。

とまれ、日本人は他者の外見に関する言葉に、子供も見ているかもしれないわけだから、もっと配慮した方がいいのではないかと、先日のテレビ番組で改めて思ってしまった。考えすぎか・・・。


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