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ゆめと心理と占いのはなし
Por donde, amor, he de ir?
 Rosalia de Castro

ロンドン暴動

2011-08-10 01:17:42 | El mundo de futbol
ロンドンの暴動をテレビで見ていて、なぜか学習性無力感という言葉が何度も思い出された。ロンドンはあちこち民泊したんだけど、夜の暗さ、肌の色の濃さ、英語のアクセントが地区ごとに違っていたのがとても印象に残っている。

そして、失業率の高さと、失業者の固定化が明確で、リバプールの友人は、イングランドでは階級がすべてを決めていると言いきった。ほんの一握りの人を除いて、多くの若者は自分の出身階級を意識しながら学校を選び、仕事を選んでいく。そして、いったん世間が用意した道を外れてしまえば、永遠の敗残者、失業者という烙印を押されてしまう。もういくら頑張っても銀行員の100分の1しかもらえないし、経営者たちの1000分の1の収入で生活していかなくちゃならない。

「高給」は若者に夢を与えるとも言うけど、「高給」はみんながなれるわけじゃないから、結局、1人の若者に夢を与え、9,999人の若者に絶望を押しつけている。日本でもニッサンやソニーの社長が10億円近い年俸をもらっているけど、彼らの下請け会社の賃金は下がり、株主の資産を何分の1かにしいることを考えると、「若者に夢」からは程遠い。

とまれ、今回のロンドン暴動も、背景には、社会福祉の切り下げや公共料金の値上がりがある中、金融機関の経営者たちが億単位のボーナスをもらっているという報道が流れたからという人がいる。「自分は小さいときから何をやってもダメだった。これからも何をやってもダメだろう」と学習してしまった若者が暴徒化するまでのプロセスは、そう時間がかからない。暴徒を正当化するつもりはないけど、世界がアメリカ化して、貧富の差が大きくなり、階級が固定化されていくと、ある種の危険性が高まるのは避けられないような気がする。

不快な電気刺激から何をしても逃れられなかった犬が、やがて電気刺激から逃れようともしなくなるように、もうどうせ自分はこうなんだからと諦めてしまう若者が増えていくと、いつの日か、座して死を待つよりはいい、と行動を起こす危険性が高まる。

言いたいことは、強欲がまかり通り、既得権益ばかりが守られていると、望むと望まざるとにかかわらず社会の緊張は高まり、社会システムを維持するためのコストも高まるということ。アメリカのティーパーティのパーティなんかをテレビで見ると、どんな美しい言葉で演説してても、身の毛がよだつ。

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