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ポロロッカ 人材“逆流”奮闘する日系人

2013-04-29 08:41:10 | 海外ネットワーク


  4月21日 NHK海外ネットワーク


  いま日本とブラジルで人の流れが大きく変化している。
  人口2億人の経済成長が続くブラジル。
  日本で技術を学んだ日系ブラジル人が相次いで帰国している。
  その動きはアマゾン川が逆流する現象ポロロッカに例えられるほど。
  明治41年 日本からの初めての移民が農園などでの仕事を求めて新天地ブラジルに渡った。
  ブラジルに移り住んだ日本人は26万人以上。
  しかし1980年代以降この流れが変わる。
  ブラジルに移住した人たちの子孫が日本に出稼ぎにやってくるようになった。
  日本に滞在する日系ブラジル人は最も多いときで30万人以上にのぼった。
  両国をまたがる人の流れに再び逆流が起きている。
  リーマンショック以降 日本経済が大きく落ち込んだのに対して
  ブラジルの経済は着実に成長を続けてきたため
  すでに10万人以上の日系人がブラジルに帰国している。
  母国に戻った人たちは現地に進出した日本企業の即戦力として活躍の場を見出している。

  自動車の販売台数で今や世界4位のブラジル。
  日本メーカーも競ってシェア拡大に力を入れている。
  大手繊維メーカーのクラボウは自動車用シートのクッション材を製造している。
  日本の同業他社に先行して2年前に進出した。
  社員70人のうち10人は日本で働いたことのある日系ブラジル人。
  日本とほぼ同じ製造ラインで各現場のリーダーを担っている。
  コオロ・ジュリアーノさん(32)は日本人幹部の指示をポルトガル語で伝える。
  (クラボウの現地法人 製造部長)
  「事故なり危険な行為を防ぐのは自分たちのやり方。
   自分で注意して事故を防がないといけない。」
  13年間大阪の自動車部品メーカーなどで働いていたコオロさんは
  日本での経験を生かしトラブルにも素早く対応する。
  この日は普段より多く不良品が出ていた。
  すぐに金型の温度にむらがあることを突き止め徹底的に清掃するよう指示した。
  (コオロさんの部下)
  「彼のプロ意識は本当にすごい。
   彼と一緒に仕事をしていると日本企業のいろんな技術を身につけられる。」
  (クラボウの現地法人 製造部長)
  「日本もブラジルのこともよく知っている。
   彼なしではまわらない。」
  コオロさんがブラジルに戻ったのは2年前。
  理由は日本の景気の急激な落ち込みだった。
  給与は30%減り待遇は一気に悪くなった。
  (コオロ・ジュリアーノさん)
  「日系の人がクビにされることが多かった。
   日本もすごい好きだったけど。」
  ブラジルに進出する日本企業で働かないかと
  登録していた日本の人材派遣会社に紹介され帰国を決断した。
  今の収入は同業の人たちの約3倍。
  (コオロ・ジュリアーノさん)
  「ちょうどいい時に帰ってきた。
   子どもをいい学校に行かせたい。
   大学まで卒業させたい。」
  日本でスキルを身につけた日系ブラジル人の帰国は今や大きな流れとなっている。
  東京で開かれた人材派遣会社の説明会には日本各地から40以上の企業が集まった。
  (人材派遣会社 フジアルテ)
  「日本語が話せる。
   日本人と変わらない。
   これはグローバル人材ではないか。」
  (説明会の参加者)
  「日系人は何人か探していてここは避けて通れないところ。」
  「お辞儀の仕方1つにしても
   どこで覚えたんだろうと驚いたことがあったので
   非常に興味がある。」  
  アマゾン川を逆流するポロロッカ。
  日系ブラジル人の逆流をとらえることこそがブラジルで成功する鍵なのである。
  (人材派遣会社 フジアルテ)
  「日系ブラジル人は一緒に仕事して信頼できる仲間。
   絶対必要になってくる。」
  母国ブラジルは日系人たちにとって日本で培った力を存分に発揮できる場となっている。  
  クラボウの現地工場で去年帰国し営業を任されたシモツ・ジュンさん(27)。
  日本流の足で稼ぐ営業スタイルにこだわっている。
  メールでの商談が一般的なブラジルにあって
  シモツさんは取引先に何度も足を運ぶ。
  自分の父親ほど年の差のある人たちとも関係を築いている。
  その熱意が実り大きなチャンスをつかもうとしている。
  大手自動車メーカーフォルクスワーゲンとの取引は受注できれば年間5万台以上
  去年1年間の生産量の2倍を超える大口のビジネスである。
  フォルクスワーゲンがシートの取引先に不満を持っているとの情報を聞きつけ
  商談を持ちかけたのがきっかけだった。
  (シモツ・ジュンさん)
  「最初は毎日何回も電話したり何回も行ったり
   信頼関係がどんどん深まった。」
  商談は今大詰めを迎えている。
  社用車は使わずマイカーのフォルクスワーゲンで向かう。
  日本式の細やかな心配りである。
  契約成立まであとは価格の詰めを残すのみ。
  会社では
  シモツさんたち日系ブラジル人の力なくしてブラジルでの成功はない
  と確信している。
  (クラボウの現地法人 吉田朋昭社長)
  「正直期待していなかった億訳さんにも飛び込み話をつかんできてくれた。
   非常に彼のパワーには感謝している。」
  (シモツ・ジュンさん)
  「日本の真似をしてお客さんを大事に親切にしようかと。
   工場をもう1つ建てたいという気持ちはある。」

  逆流する日系ブラジル人と日本企業との新たなタッグ。
  巨大市場を切り開く原動力になっている。

  
  
  
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