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受験生諸君

2012-01-18 12:55:47 | 編集手帳



  1月15日付 読売新聞編集手帳


  〈評者は昔、受験に失敗して一年浪人し、
   翌年合格後に知ったのは、
   母が塩断ちして神仏に祈願した事だった。
   母の有り難さ怖ろしさを痛感したものだ〉

  以前、
  読売歌壇の選者だった清水房雄さんが、
  母親への思慕を詠(うた)った投歌に対して、
  選評代わりにそんな自身の体験を記していた。
  似た思い出を持つ人はきっと多いだろう。
  本人が鉛筆を握りしめて答案用紙に向かっている時、
  親もまた、
  祈りながら過ごしている。
  受験生諸君はそれをお忘れなく。

  きのうときょう、
  大学入試センター試験が行われている。
  元受験生たちの中には、
  何十年たってもこの時期、
  問題をほとんど理解できずに時間切れ…といった夢にうなされる人が、
  これまた多いのではないか。
  皆、今の君たちと同様に不安だったのだよ、
  受験生諸君。

  被災地では、
  仮設住宅で暮らす受験生が共に追い込み勉強をし、
  寒風の中を会場に向かった。
  大変だろう。
  でも逆境に打ち克(か)つ気持ちがきっと良い結果を呼ぶ。

  入試シーズンは始まったばかりだが、
  まず第1ラウンドを乗り切った皆さんにこの句を。
  〈ともかくも寝(い)ねよ受験の終りたる 千原叡子〉

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