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ソビエト崩壊から20年 (3)ロシア 自由を求めた若者は今

2012-01-09 13:22:25 | 海外ネットワーク



  12月24日 NHK海外ネットワーク


  モスクワ中心部の高級デパートは客の多くが富裕層である。
  この20年で最も大きく変わったのが品揃え。
  デパートには世界中のブランドが集められ、
  お金さえあれば何でも買うことが出来るようになった。
  こうした繁栄を謳歌する女性たちの関心を集めているファッションデザイナー(30)は、
  今月、抗議集会に参加した。
  仕事も生活も順調だが豊かになった今、
  自分たちの声が政府に届かないと感じているからである。

  モスクワ市内に開店したばかりの高級ナイトクラブでは、
  若者たちが踊ったり、水タバコを楽しんだりしている。
  市内の各地では抗議集会の準備が進められていた。
  ビルの一室に集まった人々の熱い議論はインターネットで中継されている。
  集会への参加を呼びかける別のホームページでは、
  “白い帽子とマフラーを目印に集まろう”
  と訴えかけている。
    
  多くの人がこの20年の経済発展には満足している。
  中産階級が増え、富裕層も次々と生まれている。
  こうした裕福な人たちも今、政治に感心を持ち声をあげ始めている。
  プーチン氏の功績は否定しないものの、
  再び大統領選挙への立候補を表明し、
  権力を独占しようとしていることに嫌悪感を持ち始めている人もいる。
  
  20年前大学生だった40才のモスクワ在住の男性は、
  20年前の夏、今はロシア首相府となっている建物の前で
  ソビエト軍の部隊と向かい合っていた。
  1991年8月、
  改革を進めるソビエトのゴルバチョフ大統領に反発した保守派がクーデターを起こした。
  しかし、改革派の市民や学生が建物の前で激しく抵抗し、
  クーデターは失敗に終わり、
  ソビエト崩壊のきっかけとなった。
  男性は今は妻と3人の子供と暮らしている。
  来年には4人目が生まれる。
  月収は約20万円でロシアでは中流クラスである。
  長期休暇には家族揃って外国へバカンスに出かける。
  
  ソビエト崩壊後の10年間、
  急激な経済の自由化で社会が混乱し国民の生活を直撃した。
  その混乱に終止符を打ったのが2000年に大統領に就任したプーチン氏である。
  主な輸出品である原油・天然ガスの価格高騰を背景に、
  ロシア経済は急成長を遂げたが、
  社会のゆがみは広がった。
  汚職が広く蔓延し、
  大規模な事業の許認可から交通違反の揉み消しまで、
  年30兆円が賄賂に消えていくをいう指摘もあるが摘発は進んでいない。
  捜査機関にも汚職が広がっているとみられているのである。
  
  20年前、軍の戦車にともに立ち向かった仲間たちは
  40代になった今はそれぞれ守るべき暮らしがある。
  自分たちの力では国は変えられないと無力感を感じる。
  “今の政治にはかかわりたくない”と思っている。
  
  ソビエト時代を知らない若い世代にも国に見切りをつけて
  外国へ移住しようという動きが出ている。
  政府の統計によると、この3年間で125万人が外国へ移り住んだ。
  24歳の大学院生は妻と一緒にカナダで暮らすことを計画している。
  日本円で毎月7千円あまりの奨学金をもらっているが
  生活はぎりぎりで貯金もほとんどない。
  1冊数千円の専門書を買うお金にも不自由している。

  ソビエト崩壊後の混乱を乗り越えてプーチン政権のもとで安定を手にしたロシアの人たち。
  一方で汚職や格差が広がり、
  将来を展望できない閉塞感に包まれている。

  ソビエト崩壊後、経済が混乱する中で国営企業を次々と民営化した。
  安い価格で企業を買い取った新興財閥が富を蓄えた。
  大統領に就任したプーチン氏はそうした財閥にメスを入れ、
  政治に介入しようとしたトップを容赦なく排除し資産を没収した。
  その一方で忠誠を誓う人たちには便宜を図ってきたことから、
  野党は、詐欺師と泥棒だと政権を批判している。


  


  









  
 






  
  
  










  
  
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