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ソビエト崩壊から20年 (4)ロシア ソビエト崩壊後もメディア管理

2012-01-10 09:13:04 | 海外ネットワーク



  25日 NHK海外ネットワーク


  
  ソビエト時代に放送されていた国営テレビのニュース番組は、
  指導部の活躍を延々と伝える宣伝放送だった。
  ソビエトが崩壊して20年、
  ロシアのテレビはプーチン氏とメドベージェフ大統領ふたりを伝えるのに
  多くの時間を割いている。
  ロシアの3大テレビ局はプーチン体制の元で事実上の管理下に置かれているからである。
  
  政府のテレビメディア支配に反発の声をあげるジャーナリストがいた。
  以前3大テレビ局の記者だった彼は、
  メディアへの監視を強めるプーチン政権の下で、
  政権に都合の悪い情報を伝えるのもためらわなかった。
  政権に大きな衝撃を与えたのが、
  2002年にモスクワで起きたチェチェンの武装勢力による劇場占拠事件である。
  取材班を劇場内部に送り込み、
  実行犯の独占取材に成功、
  ロシア軍による攻撃で子供や家をなくしたと訴える生の声を伝えた。
  こうした報道が政府の怒りを買うことになり、
  番組は2004年5月に突如打ち切られた。

  さらに報道の自由をおびやかす事件が起きた。
  チェチェン紛争などで批判的な報道を続けてきた新聞記者が
  自宅のアパートで何者かに銃で撃たれたのである。
  この新聞社は調査報道に基づく政権への厳しい批判で知られている。
  20年間で記者など6人が殺害された。
  
  メディアをコントロールする姿勢を変えないロシア政府。
  その管理体制に今、ほころびが出始めている。
  
  政府に対する抗議行動の原動力になっているのがインターネット。
  モスクワで予定される公正な選挙のための集会デモのサイトで
  参加予定者は前日までで4万人を超えた。
  政府のメディア支配に対しても人々が不満の声を上げ始めていると感じている。
  
  下院選挙のあとプーチン氏の支持率は51%に達した。
  他の野党候補を大きく引き離していて、
  来年3月の大統領選挙でも有利な情勢である。
  国民の多くが望んでいるのは自分たちの声が反映される政治。
  ソビエト崩壊後の混乱の記憶が生々しいため、
  政権の崩壊までは求めていない。
  しかしプーチン氏が大統領に復帰すればさらに2期12年間、
  閉塞した状況が続くかもしれないと思えてしまう。

  ソビエト時代に改革政策ペレストロイカを進めたゴルバチョフ元大統領
  「プーチン氏ら指導部に権力が集中する状態となり
   政権を維持すること事態が目的になっている。
   プーチン氏が自ら社会の刷新や民主主義の強化のために
   効果的に取り組むべきだ。」

  かつてプーチン氏に向けられた高い支持は
  ロシアに安定をもたらしたという実績に裏打ちされたものだった。
  ところが今は状況が大きく変わり、
  かつてのように原油高を背景にした経済成長は期待できない。
  プーチン氏が国民の不満にどう答えていくのか、
  これまで以上に厳しい視線が注がれていくことになる。

  これまでに表に出なかったさまざまな層の人の不満や怒り。
  アラブの春のように声無き人々の思いがネットを通じてあっという間に広がり、
  大きなうねりとなって社会を変える時代になっている。
  長期政権といえど国民を力で抑え込むことは出来ない。
  民衆の声に耳を傾け、改革を断行する覚悟があるのかどうか。
  20年の節目を迎えたロシアはその点が問われている。

  








  
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