1月20日 読売新聞編集手帳
活動弁士として活躍した故・丸山章治さんの句に
〈臘梅(ろうばい)のあわてふためき咲きにけり〉とある。
ロウバイと「狼狽」を掛けている。
ロウバイが見ごろを迎えたという便りが、各地から届く季節である。
きょうは「大寒」、
一年でいちばん冷え込みの厳しい頃に咲くその花にはたしかに、
春を待ちかねて小走りになったような「あわてふためき…」の感じが、ないでもない。
半透明の蝋(ろう)を引いたような光沢のある薄黄色の花びらは春の先触れでもある。
季節が前のめりでやってくるといえば、プロ野球の話題もそうだろう。
日本ハムに入団した斎藤佑樹投手(22)(早大)の合同自主トレが世の注目を浴びて、
“球春”到来も今年は駆け足のようである。
同じスポーツ新聞には、しかし、入団の喜びもつかの間、
ひじを手術した新人選手や、過去の栄光に背を向けて育成枠から出直すベテラン選手など、
冬に耐える人々の消息も載っていた。
丸山さんには〈立春や出世ののぞみ起りけり〉という句もある。
こちらは立春と「立身」を掛けている。
いまはじっと雌伏のときを過ごす人にも、やがては心弾む春の来ることを。
活動弁士として活躍した故・丸山章治さんの句に
〈臘梅(ろうばい)のあわてふためき咲きにけり〉とある。
ロウバイと「狼狽」を掛けている。
ロウバイが見ごろを迎えたという便りが、各地から届く季節である。
きょうは「大寒」、
一年でいちばん冷え込みの厳しい頃に咲くその花にはたしかに、
春を待ちかねて小走りになったような「あわてふためき…」の感じが、ないでもない。
半透明の蝋(ろう)を引いたような光沢のある薄黄色の花びらは春の先触れでもある。
季節が前のめりでやってくるといえば、プロ野球の話題もそうだろう。
日本ハムに入団した斎藤佑樹投手(22)(早大)の合同自主トレが世の注目を浴びて、
“球春”到来も今年は駆け足のようである。
同じスポーツ新聞には、しかし、入団の喜びもつかの間、
ひじを手術した新人選手や、過去の栄光に背を向けて育成枠から出直すベテラン選手など、
冬に耐える人々の消息も載っていた。
丸山さんには〈立春や出世ののぞみ起りけり〉という句もある。
こちらは立春と「立身」を掛けている。
いまはじっと雌伏のときを過ごす人にも、やがては心弾む春の来ることを。