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石材新時代 秀吉と家康の眼力

2011-01-04 22:23:42 | 編集手帳
  12月27日 読売新聞編集手帳


  比叡山の南麓から、送り火で知られる大文字山にかけて、良質な石が分布している。
  切り出されて二条城の石垣や桂離宮の造営などに使われた。
  京都の石材の一つ、「白川石」である。

  宇治平等院の庭の灯籠の材料になった「太閤石」や「宇治石」なども京都を代表している。
  これらの石は千年以上にわたり、灯籠や茶道の水鉢などに加工され、
  独特の風味の京石工芸品として受け継がれた。

  国は約30年前に「伝統的工芸品」に指定し、振興策を支援してきたが、
  白川石や宇治石はもう採石されなくなり、在庫も乏しくなっている。
  このままでは、職人たちが京都の石で守ってきた伝統のピンチである。

  そこで新たに瀬戸内海の「小豆島石」や、
  神奈川県の真鶴半島一帯で採れる「小松石」を使用することにした。
  小豆島石は豊臣秀吉が大阪城を築城した時に使われ、
  小松石が関東の石材として有名になったのは、江戸幕府が開かれた頃という。

  京石工芸品の持ち味を変えずに、新たな石材で技法を継承する新時代の到来だろう。
  約400年後に自分たちの眼力が生きたと、
  秀吉と家康が胸を張っているかもしれない。

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