いつか君と

最近よく

君のことを思い出すようになった

もし君が生きていたら

どうだろうかって

でも君がそんなに

長生きするわけないよね

なんたって君は犬なんだから


あるときまるで

気まぐれに吹く風のように

わが家へやってきた君

これお宅さんの犬でねえかねと

区長さんがたずねた

君は首輪も

つけていなかった


そのまま普通なら

殺処分される運命だった君

遺失物としてわが家で預かり

あっという間に半年

なんとなく

うちの子になってしまった


病弱なくせに気が荒くて

すぐにかみつこうとした君

散歩に連れていっても

行きたくないところに行こうとすると

テコでも動かない

きっと野良としての経験が

そうさせたんだろうねえ


そんな君が

人間でいうガンだとわかったのは

４年が経ってから


いつか君と

また会えるときは来るのかな

僕はあれから

少し老けてオジサンになりました

願わくば君が

今頃は楽しいところに

導かれていることを