神は死んだ

むかし

哲学者ニーチェは

神は死んだと言った


そんなはずはない

この世界を創ったのが神ではないのか

その神が死んだらどうなるのか

多くの人は納得しなかった


そうではなくて

神の実在を前提として

ものごとを考えるのは

やめにしようと言ったのだろう


これは当時としてはたいへんな

変革だったが

少なくとも現代の社会では

神は妙な形で

生き延びているようだ


ある日僕を訪ねてきた

サラサラヘアーの女の子

挨拶もそこそこに

彼女は瞳を輝かせ

神について語り出した


残念だね

もし本当に

神が死んでいたら

君とも仲良くなれたかも

しれないのに


僕にとって神は

あるいは生きているのかも

しれない

だけど彼女の神に対しては

間に合ってますと

一言告げたのだった