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ロンドンから徒然に

たった1ドルのリチャード・ロング作品

2010-03-14 | アート
 Affordable Art Fairに行ってきました。
 年に2回行われるこの催し、もう何回かこのブログにも書いたんですが、名前のaffordableが示す通り、一般の人にも購入可能な金額の範囲の美術品が展示されています。そのため上限は3,000ポンド(今のレートで42万円くらい)なんです。もちろんこれより安い作品が中心になっているということです。

 以前1点購入したこともあって、ある画廊からいつも招待状が来るので、挨拶も兼ねて立ち寄りました。すると同じ画家の作品が久々に並んでいます。
 主人が僕の顔を見ると、最近の作品で良いのがあるんだけれど、3,000ポンド以上するのでここには展示できないんだ、と奥の倉庫から出してきました。水彩画でこの値段というのは相当高いのですが、見合うような素晴らしい出来映え。
 いえ、買いませんでしたよ(笑)

 そのまま会場内を歩いているとRichard Longの名前が目に飛び込んできました。えっ、リチャード・ロングの作品が3,000ポンド以内で売ってるの?しかも、えっ1ドル?
 ターナー賞を受賞し、数々の個展を開き(最近ではテート・ブリテンで)、昨年は高松宮殿下記念世界文化賞なるものまで受賞している世界的なアーティストの作品がaffordable art fairに?
 ところがよく見ると、20,000ピースを1ドルずつで売るとの表示です。

 これ実はビル・ドラモンドBill Drummondというアーティストの新しいプロジェクトなのです。
 かつて90年代に20,000ドル(約180万円)で購入したリチャード・ロングの作品“A Smell of Sulphur in the Wind”を20,000片に切り取って、一片を1ドルで売り(レート換算してペンスでもらうみたいです)、そうして得た金をアイスランドに持っていき、その地に埋め写真を撮ろうということなのだそうです。
 これをオリジナル作品風にストーン・サークルを用い、タイトルも“A Smell of Money Underground”と付けるということですから、徹底してパロディにするわけですね。



 ちなみに壁には注意書きが貼られ、この1片は何の美的価値も投資価値もないかもしれないので注意を、とあります。
 ううん、面白いというべきか、もったいないというべきか...

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