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ロンドンから徒然に

ヴェニスで思い出した本木雅弘さんのこと

2009-02-22 | 旅・イベント
 カメラを持って旅に出ると、それこそ切りがないくらい撮りたいシーンに出くわします。でも躊躇するのは、昔からいやと言うほど誰もが扱ってきた典型的な観光名所を撮る時です。
 有名な場所を訪れた“確認のための記念写真”にはしたくないので、自分が美しいと感じる気持ちがうまく表現できればいいのになと思って、光の加減や被写体の偶然を期待してしまいます。



 そういう意味ではプロのカメラマンって本当に凄いですよね。偶然を必然として技術的に取り込んでいかなければならないんですから。風景もそうですが、人物の撮影となると、背景だけでなく多様なモデルの表情からベストを引き出さなければなりません。
 アカデミア橋のたもとでウェディング・ドレスの撮影をやっているのに出くわしました。真冬に(特にこの日は寒かったのです)ノー・スリーヴのドレス1枚というのは辛そうです。



 実は僕もプランナーとして制作の現場には何度も付き合っていますので、こういった大変さは何となく分かります。冬に夏のシーンの撮影の時なんて、薄着に耐えることだけでも大変なのに、氷を口に含んでもらって温度を下げ、息が白くならないようにすることもあるんです。こういうことに耐えるモデルさんや俳優さんも凄いですよね。

 この逆に真夏にセーターを着ての撮影なんてこともあります。思い出すのは随分昔のことですが、ある夏都内某所で撮影をして移動中に、同じく撮影で移動中だった部隊(男性ファッション誌じゃなかったかな)とすれ違いました。その相手のモデルがまだ随分と若かった本木雅弘さんだったのですが、ぶ厚いセーターを着ているにもかかわらず、爽やかな感じでカッコ良いのです。
 するとすれ違う時に彼が僕の方を向いて丁寧に挨拶してくれたのです。

 もしかして誰かと間違えたのかもしれませんし、あるいは同じ撮影隊ということでの挨拶だったのかもしれませんが、いずれにしろ、若くて人気者なのに(普通は天狗になりますよね)きちんとした礼儀正しい人だなという印象を持ちました。
 そういうイメージがあったので、映画『Departures おくりびと』を観た時も、死者に対して分け隔て無く、礼節を以て向き合う主人公の態度が自然に本人に重なりました。

 僕はもちろん彼のことを知っているわけでもなく、仕事上の付き合いも一度もありません。それでもたった一回の印象がずっと残ることもあるわけです。
 かたやでヴェニスのレストラン。某人気店に行ったのですが、観光客に対する態度の横柄さにはびっくり。きっと一見客だけでも成り立つ場所だから、そういう態度が習慣化しているんでしょうね。今回の旅で唯一後味の悪い経験でした。

 それやこれやでヴェニスで本木さんのことを思い出したという次第です。もうすぐアカデミー賞の発表ですが、『おくりびと』は外国語映画賞にノミネートされています。良い結果が出ればいいですね。

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