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ロンドンから徒然に

ノッティング・ヒルの思い出

2007-09-03 | 旅・イベント
 今日から学校生活が再開した子供達も多いでしょう。お母さん達は逆に楽になったのかな?暑さが戻ったとはいえ、さすがに風は優しく、夏の終わりを感じます。
 ところで、ロンドンではノッティング・ヒルの駅のすぐ近くに住んでいました。8月の最終の週末にはカーニヴァルが2日続きで盛大に行われ、翌日のゴミが風に吹かれるのを見て、あぁ夏も終わりだなと思ったものです。

 このカーニヴァル、一帯に住むアフロ・カリビアン系の人達を中心に行われるのですが、ロンドン中から同系の人達が集まって来て、ノッティング・ヒル一帯を埋め尽くします。
 スティール・ドラムの生演奏があったり、巨大なサウンドシステムを積んだトラックが停められて、さながら野外クラブ状態だったり、派手な衣装に身を包んだ一群が次々とサンバを踊りながら行進したり、リオのカーニヴァルを彷彿させる、わくわくするエネルギーに溢れたお祭りです。

 ノッティング・ヒルは他にもスペイン系やポルトガル系の人達など様々な人種が住む、コスモポリタンなロンドンの町を凝縮したような地域です。普通のうちに見えるようなところが、実は奥でお国の家庭料理を供してくれたりします。
 この雰囲気に惹かれた貧乏芸術家が住み着くかと思うと、かたやで大会社の社長や、超有名な芸能人が住んでいたりする高給住宅地も存在します。洒落たレストランやホテルもあり、本当に刺激的な街でした。

 行ったことのない人も映画『ノッティング・ヒルの恋人』でその様子を観たことがあるかもしれません。主人公ウィリアムが経営する旅行専門書店も(映画ではセットでしたが)実際に存在しますし、アナと一緒に映画を観るコロネット・シネマには僕もよく行きました。余談ですが、この映画館に初めて入った時、中でタバコを吸っている人がいて、ひどいなぁと思ったものですが、この映画館、実はロンドンで唯一タバコを吸える場所だったのです。今はどうなんでしょうね?さすがにもう禁止かな。

 この映画で多くの人が好きなシーンのひとつに挙げるでしょうね、失恋してノッティングヒルを歩くウィリアムを追ったトレッキング・ショットを。ワンショットの間に雪や花で季節の移ろいを見せ、最初に現れた妊婦が最後にもう一度現れた時には子供を抱いていて、十ヶ月の時が流れたと分からせたあのショットです。どんなに人が悲しみに沈んでいても時は流れるし、その時の経過が人を癒してもくれるんだ、とやさしく観ている人達に語りかけた場面です。
 あぁ、何だか感傷的になって来ました。やっぱり秋が近いのかな。