植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

授業料も大して払わず、摸刻し印材を集める学習法

2022年11月25日 | 篆刻
ブログと園芸というルーティーンの作業と並行して、こつこつ篆刻を学び実践しております。ほぼ100%独学独習なので、才能が開花するとか、立派な作品を彫り受賞するなどといった栄誉に浴する将来があるとは思えませんが。

ワールドカップやら自治会・小イベントなどでなかなかまとまった時間がとれませんが、それでも30分の空きを見つければ大東文化大の篆刻テキストの摸刻に取り組んでお有ります。通いもせず授業料も払わず、ただで大学の講座を受講できるという、まことに厚かましくもお得なコースでありますな。

現時点では、篆刻で基礎となる「章法」に関わる造形の技法を学んでおります。印面に文字をどう配置するか、文字の変化や連繋などの調整・レイアウトに先人が培ったノウハウを会得しようということになります。この歳になるまで一度も目にしたことが無いような「均布・穿挿・屈曲・挪譲・・・」などといった特殊な用語が出てまいります。その各項目に該当する古の印人の印を摸刻するのであります。現段階ではやっと30数個、そのコンセプトはあれこれ考えず、テキストの順に片端から闇雲に彫る、彫残しや布字のミスは気にしないであります。(笑)、どう彫ろうが誰も指摘したり怒る人は居ませんから。

こんな感じであります。オリジナルは趙之謙・徐三庚・呉 昌碩・ 河井 荃廬 (敬称略)など錚々たる篆刻家さんの印影ですが、残念ながらワタシは片手間に彫っており、ほとんどワタシのオリジナルと化しております。

これと同時に、もう一つの大事な仕事が「印材」収集であり、ヤフオクのチェックが欠かせません。というわけで、ごく最近入手した印の紹介であります。ただし、予めお伝えしますが、ワタシの印材に投じる資金は乏しく、せいぜい数千円程度で落札している安物が殆どなのです。

まず、最初がこのブログで再三登場する印材の中国三寶「田黄・鶏血・芙蓉」の類似品であります。どれも、真正の品ならば数万円から軽く数十万円するものであります。

まずはコレ。
田黄まがいの大きな印材です。数人の高評価点の方が数件入札していたものが、5千円弱の落札価格(爆)。雑な側款と紐(持ち手の彫り)、共箱は安物で壊れており、真っ赤な偽物であることは明白で、ワタシはダメ元、せめて自然石であって欲しいと応札したのでした。これが本物の田黄石ならば、重量から計算すると50万円以上するでしょう。

届いたものは、やはり田黄とは程遠いものでした。それでも自然石である可能性は大であったのです。樹脂や石の粉を練って作った人造石は、印刀を入れるとすぐにわかります。ぐずぐずした彫り心地で、彫りカスは、プラスチックなどに似て薄い膜のようにくっつきます。しかし、これは、黄色い微細な粉が出るのです。角を深めに削って磨くと自然石のような艶が出ました。ただし、その生地は半透明な灰色であったのです。流通品の灰色の凍石を植物の樹液と一緒に長時間煮込んでそれらしく着色したものではなかろうか、と思います。全体を削って元の石の姿にするのも手間ですね・・・

お次はこの二つ。飴色に輝く透明度の高い石で、切り出した大きな石を薄く自然石形に整形したものでしょう。表裏共に、人物・風景の薄意が施されています。石自体は透明度が高いもので黄白色の層が流れており上品とは思えません。しかし、田黄石ではないにしてもさほど悪いものでは無いですね。
 一方、右の方形の石は昌化鶏血であります。血の割合がとても少ないので、新鶏血の中でも、安い下の方に分類されますが、千円なので文句は言いますまい。下手な彫りと側款はすでにすり潰しました。

最後は凍石類の4本であります。凍石とは、緻密な材で一定以上の透明度・艶がある石に付属的につけられる名称であります。これを産地や外観・採掘抗などの後ろに付けて「〇〇〇凍(石)」と名付けられるのです。
最も高価で、まずお目にかかれない「燈火凍」はじめ、水晶凍・天藍凍・牛角凍などは、総じて一本数万円するような高級石材に分類されます。
そこで、このところそうした凍石、出来れば水晶凍や牛角凍を入手したいと物色しているのであります。
写真の石はいずれもそれなにりに手が込んだ紐・側款があるで決して駄石とはいえません。
左から「丹東黒緑凍石(5000)」「牛角凍(4290)」「老芙蓉石(2900)」「??(5000)」出品時の説明書き、( )内は落札額であります。
左から二番目は10本ほどまとめて出品されてた中にあって、なかなかのものに見えたのです。

まぁ。どれにせよ一個数千円の代物なので、無価値のつまらない石だとしても騙された・つかまされたと大騒ぎすることもありません。勉強代と思えば安いものであります。現在凍石系のコレクションが少ないこともあり、ヤフオクでもうしばらくは「授業料」を払いつつ、似たような材を集め、研究いたしたいと思うのです。
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予想外・想像外の2時間 ドイツに逆転勝ち!!!

2022年11月24日 | スポーツ
期待しなければ裏切られない これがワタシの愚かな半生で会得した人生訓の一つであります。過剰に期待して失望する、これを幾度となく繰り返すのが人生でもあります。

昨夜のワールドカップの初戦、ドイツ代表との試合もそんな心境でありました。従って今朝のブログは下手な篆刻の摸刻か、干し柿やカリフラワーといった収穫物のお題の予定であったのです。

果して、想像や予想はいくつも裏切られることになりました。大方の予想を覆して、森保ジャパンが「大金星・大番狂わせ」を演じたのであります。ワタシの、戦前の期待(予想)はこうでした。まずスタメンはGK権田ではなくシュミットダニエル、DFに冨安健洋 、中盤には柴崎か守田を起用する。しかし、やはり権田であり、富安と守田はベンチ、つまり万全な体調には戻っていなかったのです。

展開としては、恐らく攻め込まれる時間帯が多く、得点のチャンスはほとんど訪れないだろうと思いました。これは想像以上で、最初の10分こそ様子見をしていましたが、ドイツのトップチーム「バイエルン」のメンバーで固めた攻撃陣は、抜群の連携と華麗なパスワークで日本の守備を翻弄しました。ボールポゼッションは80%くらいで何度もシュートを打たれました。

一方日本の攻撃はたまに伊東が持ち込んでチャンスを作るも散発で、唯一の決定的なシーンで前田が、簡単にオフサイドとなってしまいました。目の前にドイツの選手がいるのに追い越したらダメでしょう。そして最も懸念していた権田のプレーでPKを献上しました。勿論その直前DFが左右にボールを振られたため相手の選手にゴールポストの傍で完全にフリーにしたせいでありますが。

権田は、この試合を通じて何度もボールをファンブルし前に落とすことで更にピンチを招きました。勿論後半に入って幾度となくファインセーブを連発して追加点を許さなかったのですが。また、日本はボールを前に運べず鎌田は徹底マークされて攻撃の形を作れませんでした。期待の久保君は、ほとんどボールに触れず攻守で消えている時間が多かったのです。また、たまにボールを持っても屈強なドイツ選手に奪取され倒されるシーンも多かったのです。

日本が勝つとしたら、前半0-0か1点ビハインドであろうと思っていました。攻めまくられても前半に失点を最低限に抑えれば、後半「ジョーカー三笘・町野」などで得点の可能性があると期待していたのです。前半ロスタイムで、決定的な2点目が入った時「あぁもう今回のWカップは終わった」と思いました。想像していた中で最悪のシナリオでありました。そもそも森保ジャパンは先制されたら逆転勝ちと言うのはほぼ皆無でした。ところが、ありがたや「VAR」これがオフサイド判定になって命拾いました。

さて後半、予想に反して後半の最初から富安を入れ、久保を下げました。森保監督にしては珍しくいきなり5バックにシステム変更し、選手交代が早かったのです。更に、攻撃参加できていなかった長友も下げ、次々に攻撃的な選手を入れてきたのです。これはコロナなどの影響で、交代枠が従前の3人から5人に増えたおかげであります。

これが劇的に奏効いたしました。前半と全く違うチームが戦っている、と思える程内容が良くなりました。日本から見て右サイドの最前線に陣取っていて攻撃の起点であった選手に、5バックになったので酒井がマークにつきました。それで日本のサイドの伊東や遠藤などが守備のカバーに引っ張られることが減ったのです。更に三笘や浅野が入ったことで、ドイツが余裕で回していたDFラインが徐々に下がってきたのです。

その証拠に、前半わずか1本だったシュートが、浅野投入後3本立て続けに打てました。残念ながら彼はシュートの確実性がなく、足元の技術ははっきり言って下手です。これは想定通り、点が入る気がしませんでした。そして、三笘を起点にして作ったチャンスで南野拓実がシュート、そのこぼれ球を新たに入った堂安が決めて同点になりました。

ここで、今までのパターンだと強豪チームが本気を出して、点を奪い返すことが多いのです。

しかし、今回のドイツ代表はいささか日本を軽く見ていた節があります。後半に攻撃の脅威だったムシアラやミューラーを交代させたのもラッキーで、バイエルン勢頼みのドイツの攻撃陣の薄さが出ました。浅野と並走して膝を高く上げて小ばかにした走り方をしたリュディガー選手に注目が集まっていますが、あれが、決勝点浅野の奮起に繋がったのかもしれません。浅野が下手なのはワタシが決めつけているのではないです。あの元代表のツゥーリオが言ってるのです。その浅野がロングフィードの難しい頭越しのパスを「神トラップ」し、さらに持ち込んで守護神ノイアーの直前から真上に向かったシュートを叩き込んだのです。これこそ全く想像外の得点でありました。

望外の幸せでした。今大会、悪評の長すぎるロスタイム時間「7分」がどれだけ長く感じられたか。意外であったのは、いつもこうした夜中のサッカーは開始時間まで起きているくせに、試合が始まるとぐうぐう寝てしまうワイフが、終了まで起きていて「どう計算したら7分になるの」と憤慨したのであります。この終了のホイッスルが吹かれた瞬間から多くのLINEのメッセージが飛び交いました。

そのLINEの送り主の多くが、年配女性であったことも予想外でありました。少なくともワタシと同年代やそれ以上の女性4名、さらに長男の嫁(笑)など多くの妙齢の女性たちが夜中の12時過ぎまで起きていたことには驚かされました。

これで勝ち点3ではありますが、スペインには負けるとして、予選突破のためには、何が何でも「コスタリカ」戦では勝たねばなりません。 11月27日 19:00キックオフですが、こればかりは期待せねばなりますまい。

期待と言えばもう一つ忘れてはならないこと。それはサウジアラビアがアルゼンチンに勝ったので、翌日は祝日になったそうです。日本人の皆さん、岸田さん、今日は祝日でいいのではないですか(笑)
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ざわついていますよ ドイツ戦が迫ってきた

2022年11月23日 | スポーツ
さて言わずもがな、サッカーワールドカップの日本の初戦があと十数時間後に迫りました。4年に一度のスポーツの祭典で、世界中でオリンピック以上に熱狂する大会ですから、日本でもサッカーファンでなくても、観戦し応援を送るでしょう。

これまでの大会と異なる点は、わずか285万人の人口で、国土面積11,427㎢ という小国であることが真っ先に挙げられます。広島県の人口で秋田県と同じくらいの面積であります。しかもカタール国籍の人は13%ほどでそれ以外は外国人なんだそうな。気温は50度にもなるという砂漠の国で、通常は夏場に開催されるはずの大会は2か月も遅くして、なおかつ気温30度にもなるそうです。

なぜ、こんな国が世界最大のワールドカップの開催国に選ばれたか、それはオイルマネー以外に考えられません。世界最大の液化天然ガス(LNG)輸出国で、産油国としてはOPEC第11位 であります。僅かな経済人口で莫大なオイルマネーを独占し、政府も潤沢な資金を保有しているので、誘致に必要な「各種の資金」と開催用のインフラ・会場・宿泊施設などの建設費用を簡単に賄えたのです。

しかしながら、今になってカタール開催は間違いだったとFIFAやサッカー関係者から声が上がっています。1万人と言われる外国人労働者が、建設に関わって命を落としたと言われ、灼熱の国での開催はそもそも無理だった、宿泊所や食事の提供などのサービスがあまりにも酷いなどと問題が噴出し、英BBCは開会式の放送を拒否したそうであります。

オリンピックの開催国選定と同じであります。莫大な誘致費用が飛び交い、選定に関わる人や団体に表向き・裏金に関係なくなりふり構わぬ札束攻勢がかかるのです。こうなることは誰でも想像しえたのに、カタールに決めたのはお金や欲に目がくらんだからであります。

ともあれ、問題山積ながらも試合が始まりました。各大陸での予選を突破した強豪32カ国が集まり、8グループに割り振られて、グループ予選を戦い、その上位各2チームが本戦に進出してトーナメント戦に突入します。日本はグループEで、ドイツ・スペイン・コスタリカと同組となり「死のグループ」と評価されています。実際は独・スペインが2強なので、通常なら結果が事前に分かっている無風のグループと見るべきかもしれません。

先日の最後の強化試合、カナダ戦では格下相手に1-2の逆転負けでありました。森保監督の意味が不明の選手起用や戦術、球際の弱さ、GKなど守備の不安、主力選手の体調不良などが際立った試合でありました。この程度ならば予選敗退決定!であります。中盤を支配するのに欠かせないボランチ遠藤・守田、ワントップを予定している前田を温存し、体調不良の三笘薫も欠場しました。

これが、日本の手の内を見せない、万全な体調の主力をあえて隠したという「高等戦略」であればいいと思うのです。ドイツとスペインを「組みやすし」と油断させる駆け引きであれば、まだ期待が持てます。逆にもし体調不良組が、本当に回復途上で、事前の調整不足で不安を抱えたままの出場になるとしたら、それは結果は自明というものです。

とは言うものの、昨日は優勝候補の一つメッシ率いるアルゼンチンがサウジアラビアンに敗れるという波乱がありました。予選突破は今後の戦い如何にかかってきますが、大変な衝撃であります。番狂わせがありうるのであります。

もし主力組が万全な体調で本来の能力が発揮できれば、そして守備的にならない布陣で戦えば、全くチャンスが無いとも言えません。失うものはないと開き直って、とにかくベストメンバーでスタートするのです。ぶっつけ本番の主力数選手が調子が出ないと見たら早めに交代のカードを切ることです。0-1で負けるのも0-5で負けるのも大差無いのです。対等な力だと思って、ギャンブルで攻撃にウエィトを置くのがいいのだと思います。

今夜のスタメンでは、GKは、権田ではなくシュミットダニエルが良かろうと思います。先のアメリカ戦でPKを止めるなど神セーブを見せていたシュミットは身長197cm であり、身長が高いドイツ相手には10㎝低く、カナダ戦で自信の無い守備を見せた権田は明らかに穴となります。またワントップならば、足元が下手な浅野拓磨 は外すべきでしょう。南野もいけません。ここ何試合も見ていますが、非常に劣化して点をとるあるいは決定的な仕事が出来なくなっています。あっさりPKを献上した山根視来も危なくて使えません。

システムやポジションはともかく、三笘・相馬勇紀 ・鎌田大地 ・伊東純也・ 上田綺世・ 久保建英 で攻撃陣を構成し、ボランチは遠藤・柴崎・守田の内二人がいいでしょう。サイドバックは酒井・長友のベテラン、DFには吉田・冨安健洋・板倉滉 といったところがベストメンバーになると思えます。そして、後半疲れた時間帯で我らがベルマーレの町野 修斗 を投入するのです。彼は、恐らく海外では全く無名でノーマークです。身長があり足元が上手い、そしてスピードと得点力も秀でています。今年Jリーグの日本人最多得点なのです。

戦術としては、勝ちに行くつもりで絶対に引かないこと。自陣に押し込まれたまま守備に追いまくられるのが最悪の展開で、先のイングランドとイラン戦の二の舞になります。攻撃力がもっとも秀でたドイツ相手に守るだけでは何点も取られます。もともと自陣深い所からカウンター攻撃やロングパス一本で曲面が打開できない日本なので、とにかく攻撃的に中盤でのマークに徹して自由にさせないことであります。

もう一つは安易な「ボールロス」を防ぐことにあります。ただでさえボール支配率は低いので、マイボールにしたら出来るだけ失わないようミスを無くさないといけません。サッカーは、自陣近くでミスして相手のボールになることから失点になるのが極めて多いのです。弱いパス・トラップミス・不用意なファウル、こうしたミスが幾度もおきれば勝機はありません。

サッカーは言うまでもなく、運不運に左右され、試合の流れや偶然が織りなす、一秒先が予想できないスポーツであります。どんなタレント揃いで構成しても、いつも勝てるとは限りません。強豪チームであろうが弱小チームであろうが、同じピッチで一つのボールを追いかけ蹴っ飛ばしてゴールに入れるだけの世界で、何が起きるかわからない、だから多くの人が愛し熱狂するのだろうと思います。

今夜10時、倅からはドイツ戦に向けて心が「ざわついている」というLINEが届きました。更に(関係ないけど)、わが湘南ベルマーレにも、倅達の出身校「平塚学園・早稲田大学」出身の「柴田徹」選手が加入して、ざわついているそうであります。

ワタシは、もう半年も前からざわついていますが、多くは期待せず、その時を待とうと思います。
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「本物に出会う愉しみ」 石印材を集める(後編)

2022年11月22日 | 篆刻
篆刻家さんは、注文があって彫る印を「依頼印」と呼ぶようです。
篆刻家の立場からみて、印は初期的には練習で彫り、そのうちに色々な展示会や公募展に応募し、それなりの評価を受けたのちに師匠からお墨付きを貰って篆刻家を名乗るというのが一般的なのです。著名な先生に師事し、公募展では推挙されて受賞するというのは、習い事では「あるある」で、そのためなかなかの「謝礼」も必要なのだと聞きます。

晴れて篆刻家になると、それで生活費を稼ぐために「依頼印」を引き受けるというのが最も重要になるのです。会員として出品するのが「作品」であり、自分で書や日本画を書いて落款などを入れるための「自用印」、これらは自身の特徴を出した芸術性のある入魂の作となるでしょう。しかし、それでは1銭にもならないので、彫って売ることが欠かせません。あの巨匠斉白石先生ですら、晩年は糊口を凌ぐため「売印」を制作したのです。

本日は、先日ヤフオクで入手した印まとめて37個を子細に紹介し、その価値を調べてみようというわけであります。もったいをつけることも無いのでその落札価格を発表いたします。「18,000円」でありました。一個あたり500円(笑)

2個を除いて、印面には彫があり、3セットが姓名印・雅号印(と関防印)という落款用二顆 (三顆 )なので使っていた人の姓名が分かります。花井さんと草野さんとお二方の印なので、この印が一か所から出されたものか複数の出所なのかは不明です。共通するのは半分ほどが一流の篆刻家さんに彫って貰った「依頼印」であることです。ワタシが、この「篆刻印まとめて」をぜひ落札しようと思った最大のポイントが、篆刻家さんを特定できる、印の側面に彫られた「側款」であります。

そこに見つけたのが「七十八 石峯 老夫」の側款でした。これは韓国人の篆刻家、高石峯さんだと確信しました。高先生の側款に全く似通ったものが見つかります。また、その古寿山石の様子や肝心の印面も只ものではない、と感じたのです。高石峯先生は昭和の初期に活躍した篆刻家で、現代書道の父と呼ばれる比田井天来先生に見いだされ、金子鴎亭さん 石田栖湖さんなど一級の書道家と親交があった印人であります。

さらに青田石の頭部に彫られた側款「蔵六」の文字も目につきました。蔵六といえば、江戸時代から明治時代にかけて5代続いた篆刻家の名跡であります。その名前の由来となった初世から伝わる「亀紐」の銅印は国立博物館蔵 という位の凄い人だったようです。 


これ以外にも「成軒(辻成軒)」 、「楽園(林楽園)」「香城(植松香城 )」等という篆刻家さんの側款があったのです。また、「輝峰」「鑑海」「翠雨」などという雅号の側款もあり、由来を調べるのが楽しみなのです。こうしたことから、この花井さん・草野さんはかなりのお金持ちで立派な書人、また石に対するこだわりや造詣が深い方であったのだろうと思われるのです。

そこで、今度は石の種類であります。今回の「お宝」の中でも、石印材の本に出てくるようなブランド石が幾つも混じっていたのです。

写真左端は高山坑から出る「晩霞紅」や紅高山で二匹の猿の紐も可愛いのです。次の上下二本は、ワタシが好きな材「連江黄」か鹿目格と見ました。黒い印材は、特級の「楚石「ではなく、「吊耿 (ちょうこう )」かもしれません。うっすらと緑灰色の模様が流れていております。右の2石は、ねっとりとした灰白色で古寿山石の自然形の石です。底面に印泥の油が沁みこんだとおもえる風情が、長年愛用し使いこんだ古印の証でもあります。

そして、この丁寧な細工の草木紐がある二顆です。
一つは「水晶凍」かあるいは「田白」といわれる大変高価な希少石に見えます。「華月春秋」の彫りがある印面を除く全体に細かな細工があり、大変な銘品であろうと思います。

最後が「梅木紐」の大型の印であります。材は「古青田石」と見ました。
赤茶色の裂線のような筋が入り表面には擦り傷の様な細かい線が無数にあり、印面は一度潰したようであります。しかしながら、大変古色豊かで見事な紐は滅多にお目に書かれません。ワタシの収蔵物の中でもこんなのはありません。

ということで、今回の落札した品々は、ワタシのにらんだ通り、本物の素晴らしい逸品ぞろいでありました。金銭価値は分かりませんが、恐らく落札価格からしたらおよそ10倍といったところでしょうか。

これだから印材集めはやめられないのです。
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「騙されたっていいじゃないか」 石印材を集める(前編)

2022年11月21日 | 篆刻
最近、本ブログで幾度か取り上げているように、篆刻に欠かせない石印材、ヤフオクで落札になる金額が心なしか徐々に高くなっているのです。篆刻が実際に行われるのは、漢字文化が残っている日本・中国・韓国しかありません。ほぼ99%は日本人と中国人といってよかろうと思います。

失われた40年のおかげで、日本人と中国の平均所得は逆転し、金満中国と貧困日本人という図式となりつつあります。かつて中国の王朝が奨励し集めた骨董品や文物は列強や日本人が侵略・支配する都度国外に持ち出しました。財閥や大きな財を築いた日本人の政財界の金持ちは、安く中国のお宝を買い漁ったのです。

それが、長引く不況日本の産業力が衰えるに従い立場が逆転し、日本の産業機密やノウハウ・生産工場、優秀な技術者などがどんどん海外に流出しやすく買いたたかれるようになったのです。中国人は、今でも価格が下がった不動産を買っているそうであります。篆刻印も然りであろうと思います。

石の中でも三宝といわれる希少材「田黄石」はその象徴で、真正の物と思われる出品物は見る間に高値更新され、10万円を上回る落札額になってしまい、ワタシら年金生活者にはとうてい手が届かなくなっております。そこで、例によって、バッタ物・紛い物に見えるような田黄石もどき(人造石)の品に入札してしまうのです。

昨夜も、いくつかの魅力的な出品物に札を入れましたが、一個を除いて2~5万円くらいで落札されていました。ワタシが入札した金額のおよそ2,3倍になっております。そして一つだけ落札できたのが箱が壊れているいかにもインチキ臭い「田黄」で4,100円(笑)。眠気でぼーっとしていてうっかり入札していたのです。今朝調べたら、1000円から始まってワタシ以外で5人参加累計8件の入札があった結果、ワタシが最高値となっていました。ちょっと不思議なのがその5人中、評価点がワタシと同じくらいの人が一人、あとは一万点台が二人という猛者を含めずっと点数が高い(ヤフオクの経験値が高い)人たちであったのです。

いわばその道では相当な目利き、あるいは業者と思しき人たちが「人造石」に手を出すのは不自然でありましょう。いわゆる吊り上げ行為ならばもっと高値を出して少なくとも万単位までいかないと意味が無いのです。想像するに、今回参加した入札者の何人かは、偽物でも安く仕入れればやり方によっては高く売れると考えたのかもしれませんね。

ワタシはかねてより、田黄石欲しさに馬鹿にならない値段で数十の偽物を掴んでおります。今回もその一つに加わる可能性が極めて高いのであります。田黄石狙いで「安く」落札した品物は恐らく20回くらいとなるでしょう。安物買いの銭失い、を地で行く愚挙であろうかとも思います(笑)。しかしながら、結果として少なくとも5,6個は本物か、それに近似した石質の小石をゲットできているのです。宝くじや競輪競馬で何万円もお金を使っている人たちに比べたら、品物が残るだけでもはるかにマシであります。投資金額が数千円で、数回に一回本物に当たれば十分PAYするのであります。また無価値の石を買ったおかげで経済も回るし。

さて、ここまでは実は導入部分、本題はこれからです。ワタシが石を集める目的は、①練習用・作品(依頼品)用・自分用と彫る、②専門家篆刻家さんの作の石は、篆刻を学ぶ勉強用、③美しい紐(持ち手の飾り彫り)や側面の薄意(絵柄をレリーフにした装飾)のコレクション ④希少で高価な財産価値のある銘石を蒐集する などとなります。そうして石印材全てに渡って研究し、その知識知見を積み重ねて「篆刻家」に相応しい素養を備えようというわけであります。

それで、1週間ほど前に、とても魅力的な出品物を落札できたのです。上の目的別で言えば②と④に合致します。一流の篆刻家さんが用いる印材は、いい石(高価・見た目が美しい・彫りやすい・希少材)である確率が高いのです。依頼印の場合、大きさや文字数などによって1顆あたり1万円から3万円ほどの彫り賃がかかります。その依頼者は経済的な余裕がある書道家・日本画家さんがほとんどで、一度作れば何年もあるいは何十年も使えるので、印材も勢い高価なものを選ぶでしょう。金に糸目はつけないと(笑)。篆刻家さんは、それで飯を食っているわけなので、手持ちの良質で高価な印材を勧めることになりますね。

これが届いた「中国の古い印材まとめて37個」であります。

その出品中、一番気になってこいつは「ぜひ落札せねば」と思わせた印は、まずこれです。
いずれも紐が美しく一般的な「龍や獅子」などとは違う草木紐でありました。こいうのが好きなのです。

さらに下の石。上部に「蔵六」の款があり、印影も見事。 

もう一つこれ「七六 石峯」と側款がありました。
もう、これらは本物でかなり昔の篆刻家さんの手になる石に相違ないとピンと来たのであります。
また、これ以外に良石・希少石に見える石も数点ありました。

これが落札出来て、ワタシにとっては「欣喜雀躍」級の気分なのであります。
続きは明日に譲るとして、自治会の書類を作成して市役所に届けねばなりません。

それでは、後編を乞うご期待(笑)
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