植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

「騙されたっていいじゃないか」 石印材を集める(前編)

2022年11月21日 | 篆刻
最近、本ブログで幾度か取り上げているように、篆刻に欠かせない石印材、ヤフオクで落札になる金額が心なしか徐々に高くなっているのです。篆刻が実際に行われるのは、漢字文化が残っている日本・中国・韓国しかありません。ほぼ99%は日本人と中国人といってよかろうと思います。

失われた40年のおかげで、日本人と中国の平均所得は逆転し、金満中国と貧困日本人という図式となりつつあります。かつて中国の王朝が奨励し集めた骨董品や文物は列強や日本人が侵略・支配する都度国外に持ち出しました。財閥や大きな財を築いた日本人の政財界の金持ちは、安く中国のお宝を買い漁ったのです。

それが、長引く不況日本の産業力が衰えるに従い立場が逆転し、日本の産業機密やノウハウ・生産工場、優秀な技術者などがどんどん海外に流出しやすく買いたたかれるようになったのです。中国人は、今でも価格が下がった不動産を買っているそうであります。篆刻印も然りであろうと思います。

石の中でも三宝といわれる希少材「田黄石」はその象徴で、真正の物と思われる出品物は見る間に高値更新され、10万円を上回る落札額になってしまい、ワタシら年金生活者にはとうてい手が届かなくなっております。そこで、例によって、バッタ物・紛い物に見えるような田黄石もどき(人造石)の品に入札してしまうのです。

昨夜も、いくつかの魅力的な出品物に札を入れましたが、一個を除いて2~5万円くらいで落札されていました。ワタシが入札した金額のおよそ2,3倍になっております。そして一つだけ落札できたのが箱が壊れているいかにもインチキ臭い「田黄」で4,100円(笑)。眠気でぼーっとしていてうっかり入札していたのです。今朝調べたら、1000円から始まってワタシ以外で5人参加累計8件の入札があった結果、ワタシが最高値となっていました。ちょっと不思議なのがその5人中、評価点がワタシと同じくらいの人が一人、あとは一万点台が二人という猛者を含めずっと点数が高い(ヤフオクの経験値が高い)人たちであったのです。

いわばその道では相当な目利き、あるいは業者と思しき人たちが「人造石」に手を出すのは不自然でありましょう。いわゆる吊り上げ行為ならばもっと高値を出して少なくとも万単位までいかないと意味が無いのです。想像するに、今回参加した入札者の何人かは、偽物でも安く仕入れればやり方によっては高く売れると考えたのかもしれませんね。

ワタシはかねてより、田黄石欲しさに馬鹿にならない値段で数十の偽物を掴んでおります。今回もその一つに加わる可能性が極めて高いのであります。田黄石狙いで「安く」落札した品物は恐らく20回くらいとなるでしょう。安物買いの銭失い、を地で行く愚挙であろうかとも思います(笑)。しかしながら、結果として少なくとも5,6個は本物か、それに近似した石質の小石をゲットできているのです。宝くじや競輪競馬で何万円もお金を使っている人たちに比べたら、品物が残るだけでもはるかにマシであります。投資金額が数千円で、数回に一回本物に当たれば十分PAYするのであります。また無価値の石を買ったおかげで経済も回るし。

さて、ここまでは実は導入部分、本題はこれからです。ワタシが石を集める目的は、①練習用・作品(依頼品)用・自分用と彫る、②専門家篆刻家さんの作の石は、篆刻を学ぶ勉強用、③美しい紐(持ち手の飾り彫り)や側面の薄意(絵柄をレリーフにした装飾)のコレクション ④希少で高価な財産価値のある銘石を蒐集する などとなります。そうして石印材全てに渡って研究し、その知識知見を積み重ねて「篆刻家」に相応しい素養を備えようというわけであります。

それで、1週間ほど前に、とても魅力的な出品物を落札できたのです。上の目的別で言えば②と④に合致します。一流の篆刻家さんが用いる印材は、いい石(高価・見た目が美しい・彫りやすい・希少材)である確率が高いのです。依頼印の場合、大きさや文字数などによって1顆あたり1万円から3万円ほどの彫り賃がかかります。その依頼者は経済的な余裕がある書道家・日本画家さんがほとんどで、一度作れば何年もあるいは何十年も使えるので、印材も勢い高価なものを選ぶでしょう。金に糸目はつけないと(笑)。篆刻家さんは、それで飯を食っているわけなので、手持ちの良質で高価な印材を勧めることになりますね。

これが届いた「中国の古い印材まとめて37個」であります。

その出品中、一番気になってこいつは「ぜひ落札せねば」と思わせた印は、まずこれです。
いずれも紐が美しく一般的な「龍や獅子」などとは違う草木紐でありました。こいうのが好きなのです。

さらに下の石。上部に「蔵六」の款があり、印影も見事。 

もう一つこれ「七六 石峯」と側款がありました。
もう、これらは本物でかなり昔の篆刻家さんの手になる石に相違ないとピンと来たのであります。
また、これ以外に良石・希少石に見える石も数点ありました。

これが落札出来て、ワタシにとっては「欣喜雀躍」級の気分なのであります。
続きは明日に譲るとして、自治会の書類を作成して市役所に届けねばなりません。

それでは、後編を乞うご期待(笑)

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