植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

今年初めてのぼかし肥料を仕込む

2023年02月06日 | 植物
昨日に続いて「もう2月になりましたねぇ」であります。

2月は、ワタシが自家用の果実畑で、待望の収穫時期を迎えるのです。
それが柑橘「セトカ・はるか・清見・はるみ」であります。
それまでに適期を迎える早生の「デコポン・はれひめ・レモン」などが例年にないくらい花が咲かず、数個しか食べられませんでした。

セトカは、今年も数多く結実し50個ほど実っています。これまで素人の悲しさで、毎年収穫時期がずれたりして満足に食べられませんでした。今年は、年初から小さなミカン大の出来損ないを一個ずつとっては味見してきました。酸味と渋みが強く収穫してからは追熟しないので、甘く完熟するまで樹上で育てるのがコツなのです。

今朝の試食で、ぐっと甘みが強くなりました。勿論、酸味がまだ勝っているので、もう少し我慢せねばなりません。同時に野鳥との戦いが本格化します。昨年末にセトカとはるみは目の小さなネットを被せてあります。特にセトカは皮が薄いので、メジロの大好物なのです。彼らも、やはり酸っぱいのは嫌いなので、今年に入って味見しているようです。そして昨朝見つけたのが、中をくりぬいて完食されてるセトカ一個でありました。

身体の小さなメジロは、ネットの継ぎ目や隙間を見つけては入り込んできているのです。彼らも命懸けで、昨年はネットに閉じ込められた状態を野良猫に見つかって、捕食されてしまいました。彼らが食べられないようにするためにも、ネットの隙間を塞がねばならないのです。

さて、合わせて作業したのが「ぼかし肥料」の仕込みであります。有機栽培・無農薬を標榜する槐松亭植物園では、野菜や果樹の肥料のほとんどを、自作の発酵肥料で賄っております。これを「ぼかし肥料」と呼びます。ネットでは高価な有機肥料として販売されており、これを安い材料でより高い施肥効果を出すために毎年何度もこのぼかし肥料を制作しているのです。ぼかし肥料は、いわば子供から大人まで食べたら噛まずにすぐ吸収する栄養ドリンク剤の様なものです。通常の腐葉土やたい肥は土中で、バクテリアやミミズなどが一旦分解しないと根っこは吸収できません。ぼかし肥料は、これを発酵させることによって粉状に細かく柔らかくなって水に溶け込むので、根が吸収しやすくなるのです。

一般には、家庭菜園は肥料が過多になる傾向があります。限られた植え込みや畑では少量の野菜などしか作れないので、大目に肥料を使っても構いません。ただ、植え付けする種類によっては多肥が、蔓ボケなど葉や茎ばかりが茂って、肝心な作物が育たないことも多いのです。かといって、肥料不足と連作によって病気や収量減少という「連作障害」もあるので、作付けローテーションやバランスの取れた肥料の調整がとても重要なのです。

さてそのぼかし肥料のレシピであります。
ワタシはある程度の量を確保する為に、大きめのプラ舟を使っています。表面積が広いので撹拌する作業が楽なのです。
これに準備する材料が有機物であります。なんでもいいのですが、やはり腐りやすい動物の肉や魚、骨、硬い枝などはやめておいた方が無難です。
今回使うのは「たい肥・腐葉土・牛糞・骨粉入り油粕・米ぬか」です。

ある程度の水分が必須なので、水道水(二日ほど汲み置きする)や雨水を溜めておきます。使いかけの肥料やらそこらに堆積している落ち葉などもみんな投入いたします。
これに、ゴミのコンポストなどで発酵させる「発酵促進剤」を適量入れて、よくかき混ぜる、だけであります。

こんなに簡単にできる、と思ったら間違いであります。ぼかし肥料は実は二通りの作り方があります。一つは、嫌気性の密封方式、今一つが有酸素好気性の各班方式であります。前者は厚いビニール袋に上記の材料を入れたら、出来るだけ固めて空気を抜いて口を堅く結わきます。それを、密閉容器に入れて密閉したままで数か月放置します。

一方好気性は、出来るだけ酸素に触れさせることで発酵を促進させるので、毎日かき混ぜる必要があります。ワタシは、日々その出来上がりをチェックできる好気性方式を採用しています。毎日混ぜる手間はありますが、約10日間と短期間で完成するのがメリットで、素手で作業すれば米ぬかなどの天然成分のおかげで手指の肌がつるつるになりますし、60度くらいになる発酵熱で血行が悪くこわばった指の、温熱マッサージさ効果も期待できるのです。

注意すべき点がいくつかあります。

まず、一番大事なのは水分量で、少ないと発酵しません。多すぎると腐敗します。水が足りなければ足せばいいのですが入れ過ぎたら始末に困ります。夏場は腐敗臭がしてウジ虫も湧きます。慣れないうちは極力少なくして様子を見ながら少しずつ水分量を増やすほうがいいでしょう。

次に好気性の場合は、攪拌を丁寧に行うことに尽きます。混ぜ方が足りないと底に水分が集まり部分的に腐ったり虫が発生します。全体を良くかき回して均等に発酵が進むようにいたします。

ぼかし肥料は即効性があって強力な「スーパー肥料」ですが、効き目が強すぎるので、施肥する時の留意点があります。バラなど根が弱い植物には根元から離して撒くのです。野菜の元肥にも不向きで、幼苗の肥料やけ・根やけを起こします。大きく育ってきたら株元にパラパラ撒く程度でいいのです。

さらにもう一点、自家製肥料は販売することが出来ません。肥料取締法で禁じられています。(勿論所定の手続きをとり、各種管理資料を完備すれば売れます)。肥料を作り過ぎたからと言ってネットで販売したら多分捕まりますね。

安い材料で、短期間で効果の高い肥料が自作できるのです。こうして、上手に作った完熟ぼかし肥を、タイミングよく優しく使うと見違えるように植物が大きく育ち、沢山の収穫が期待できるのであります。家庭菜園をやる方は是非試してみて下さい。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 違和感だらけの自治会ももう... | トップ | 原石を磨く その3 「カシプ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

植物」カテゴリの最新記事