植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

中国と台湾 今夜はどっち?

2020年10月10日 | 書道
書道学部半紙学科非常勤講師(笑)のワタシが使う半紙は、何十種類もあります。練習用が殆どで、大量に消費するので、安くて書きやすく、字が上手になるという条件を満たせば結構。

 入手するとき、ねらい目は、輸入物の手漉半紙であります。機械漉きの安い半紙(例えば学童用)は、探すまでもなく1枚1、2円で買えるのですが、これはさすがに鼻紙レベル、ワタシ達中級者にとっては論外であります。

 手漉きのものもネットで探せば、当然いくらでも見つかります。ヤフオクでも毎日出品されています。手漉き台湾製のもので、一枚4円位から15円ほどになります。国内産の手漉き和紙は、非常に価格が高いことがネックであります。また、国産品の値段=書きやすさにならないところが悩みなのです。

 
 中国の書道紙は、おおまかには唐紙(竹紙)に宣紙と言われるものが一般的です。唐紙といっても、襖ではありませんよ。
 竹を原料としたものでは、1番唐紙、2番唐紙、白唐紙で、そのうち2番唐紙が主流を占め、「毛辺半紙」や「白蓮」「粉連」などの名前で流通しています。因州半紙、ではもう国産半紙扱いで堂々と売られているという話もあります。白唐紙は、これに藁を混ぜ漂白したもののようです。

 これより上級と言われるものが「宣紙」であります。前述の唐紙が主に福建省で製造されるのに対し、宣紙は安徽省で国の管理のもとに作られているブランドものの高級書道紙であります。青檀と藁を混ぜて作られる最高峰の紙で「画仙紙」とも呼ばれました。(なぜ過去形にしたかというと、現在は区別が曖昧になり、画仙紙を乱用する業者が増えたのです)
 
 宣紙で有名なのは「紅星牌」で、書道家さんが好んで用います。ヤフオクなどでもこれだけは高値で落札されています。この紅星牌、内容(原材料の配合)や大きさによって8通りほどに区分されています。更に、どうやら品質やらなにやらでランク付けされているようです。

これが、手持ちの紅星牌、30年前のものでありますが、シミも無く十分に書ける優れものです。
 
 ここからワタシの推察であります。中国製の宣紙は、基本は、全紙かその半分の条幅用の大きさ(半切)で、正統ならばブランド名紅星牌という名前で売られます。これ以外をひっくるめて「宣紙または画仙紙」と表記されるようです。日本でナントカ箋というような名前で流通いたします。中には逆に紅星牌の名前を使ったまがい物粗悪品も出回っているでしょうな。中国だもの。

 日本でも、この手の中国産の半切書道紙が多く流通している様であります。なにしろ、国産に比べてはるかに安い仕入れ原価になるのですから。現在市販されている書道用紙は、手漉き・機械漉きの区別、国産・輸入のきちんとした表示も無ければ、産地・販売取扱店も記載されないものが多いのです。日本製の手漉きの半切は「和画仙」と呼ばれるようでありますが、余りこの表記を目にすることはありません。手漉きと書かれていなければ、まず機械漉きと考えるのが道理ではありますね。

 恐らく、その多くが中国または台湾から仕入れた紙が、名前を変えて売られるのでしょう。結局、清書・作品用に使うための手漉き半切が、真に上質か否かは、「書いて見なければわからん」というのがワタシなりの結論であります。
 ある程度は値段相応(値札が付いていれば)、更に「ナントカ箋」「宣紙」・高級画仙紙・手漉きなどの表示があれば、確率的には高品質なものに巡り合う可能性が高いという程度です。そこは、中国産も国産も関係ありませんね。ただし、通常ワタシが求める「漢字用」という条件だけであれば、台湾・中国からの輸入品に限りますな。仮名書き用の加工紙は作ってませんから。

 ですから例えば、ヤフオクでまとめて何束というような品物を落札するのは、届いて書かなければわからない、当たるも八卦、くじ引きと大差ないのです。

 そこで、半紙に話を戻します。中国産では、「毛辺・分蓮・白蓮」という半紙の名前がポピュラーで、あえて名前を変えるまでもなく、そのまま日本で販売されています。そこで、それ以外の名前がついた輸入物の手漉半紙とは、一体どこからくるのか?

 これもワタシの推論です。安価な手漉き半紙のほとんどは、中国ならば「白唐紙」、さもなければ台湾製であろうと。手漉の台湾製であれば、経験上、漢字用で大体品質も一定水準に達しています。まぁ、中国製でも構わないのですが、分蓮や毛辺などの竹を主成分とした紙は、さほど好きではありません。藁を混ぜて漂白したふっくらしっとり系であれば、書きやすく練習用には十分なのです。

 もし、産地がちゃんと示されているならば、なにも迷うこと無く「台湾産」を選びます。中国は信頼ならん、中国製品はなるべく買わん、台湾は親日家が多い、そういうもんです。

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