植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

自己流 木彫りの木札を彫りました「四天王」

2023年12月08日 | 篆刻
昨日は、今年最後のゴルフ、いつもの仲間といつものコースで、いつものようにテキトーにプレーをしてまいりました。健康のためにカートに乗らないで歩く、という自分のルールがあるので、心身ともに不調な現在は疲労が酷くて、昨日ばかりはブログの更新などをやっている気力は御座いませんでした。

いつものように、まったく普通には役に立たないブログのお題で面目ないです。
題して「木彫りで四天王像の名前を彫った木札の作り方(自己流)」であります。事の起こりは、うちのご先祖様たちが眠るお墓のあるお寺の「全面改修事業」でありました。以前、亡くなった女性の住職がポツンと住んでいた庵、ぽっとん便所、プレハブのような隙間風が入る本堂などを、高野山から来られた高僧のご住職が、本堂・山門・事務所・庫裡に至るまですべて建て替えたのです。その仕上げが「四天王像」の設置でありました。中川大幹さんという仏師に頼んでヒノキを彫って作った四天王を搬入したのが今年10月。そして11月に、山門などの新築や住職の新旧交代と合わせて、入魂式と盛大な大法要を行いました。

その時、四天王にそれぞれ名札が無いと、参観者や関係者もわからないだろう、と世話人の一人であるワタシが、余計な気を回して紙に書いて張ってもらったのです。やっつけ仕事で、練習もせずに半紙に書いたその文字があまりにお粗末だったので、こちらの手すきになった頃合いにちゃんと作ります、と新住職に約束したのであります。↓後ろに隠れてちょっと見えるのがワタシの字(笑)


ワタシは、すでに自称ながら篆刻家の端くれだと思っておりますが、彫るのはもっぱら石印材であります。木の札に何かを書くとか彫る、というのは勿論専門外であります。しかしながら、この立派な立像4体に、なんとか恥ずかしくない程度の名前の木札をつけたい、もし、成就すればワタシの死後も、その仕事が100年200年と残るのでは、というやや邪な思惑もあって制作することにしたのであります。

その手順はこうでした。
①当初紙に書いた立札を作ってくれた工務店さんに、「檜」の板を発注する。出来れば面取りし、表面をきれいに研磨した乾燥材をお願いしたいと、頼みました。(これはお寺に届けてくれたので、ワタシはお金を払わずに済みました)

②全体のレイアウトや書体をあらかじめご住職に説明する。せっかく彫っても肝心のお坊さんが気に入らなかったら困ります。基本的には、字の部分を彫刻刀で彫り下げて、そこに濃墨か黒い塗料を流し塗るであります。本来篆刻ならば「篆書体」なのですが、これは一般の人には読みづらいという難点があるので、楷書と行書の中間程度で、書としての良さと名前をちょんと判読できるということを両立させる必要がありました。

③彫る文字を集字(字典でバランスのいい銘筆から探す)し、半紙に書いて見本を作る。実際そのまま彫るわけでないので、だいたいのバランスや字形を決めるという作業で、書道教室の師匠に指導を仰いだのです。これが作品ならもっと何度も書いて練習するのですが、あくまで全体のデザイン作りに止めます。

④書いた見本から木の板に鉛筆で下書きする。それぞれ4枚がすべて同じような字の大きさ、レイアウトにするための大事な作業であります。筆でひと筆書きするなら簡単ですが、それはプロの偉い先生に書いて貰うしかありません。わたしのような中途半端な書道家見習いには到底そんな芸当は出来ません。
さらに、下書きの上から細い油性ペンで、「彫るべき場所」がわかるように鉛筆の上をなぞります。彫刻刀でこのペン書きの部分を消していけば下書き通りに彫れた、ということになります。

⑤彫刻刀で彫る。ここからは全く私にとっては未知の領域でありました。まさに手探り。彫刻刀自体は、以前ヤフオクで落とした専門家さんが使っていたような上等なものです。基本的には小型の丸刀でやや斜めに立てて境界部分にきちんと段差が付くようにいたしました。彫ったところは平刀で出来るだけ平にし、木くずが残らないようにしました。東西南北の文字は、申し訳ないがサインペンで間に合わせました。

⑥次なる難関、墨入れであります。ワタシの計画では「墨汁」は光沢が無く、水濡れ・滲みが出ると考えて検討しませんでした。それでネットで探して見つけたのが「カシュ―塗料」でした。耐水性があって光沢がある、やや乾燥するペースが緩慢なので落ち着いて作業できる、というメリットがありました。
実際やってみると、ちょっと薄め液(専用のシンナー)を混ぜたら、アッという間に木目に添って滲んでしまいます。かといって原液のままだと、筆に付きすぎて太くなるし、木にははじかれて載らないという厄介な代物です。
四苦八苦しながらなんとか格好がつきました。



⑦仕上げ。表面の鉛筆や筆ペンの細い線を消しゴムやら彫刻刀で削りました。どのみち、筆で書いたようにはいきませんよ。木彫りして油絵具みたいな塗料を塗ったのですから。しかもあちこち滲みが出ます。仕方ありません。あとは、いかさまポイですが、細いサインペンで滑らかにそれらしくムラや細かな傷・塗り残しを消していきます。

本日これから、書道教室があるので、最終チェックで師匠に見てもらいます。濃墨を使って細かな修正をすることになるでしょう。それで「完成」であります。実際プロに見せたら多分60点位でしょうね。いいんです。こちらは素人で、初めてやったんです。板以外は自分の負担で材料やらなにやらを使いましたが、無報酬であります。このくらいで勘弁して貰おうと思います。


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2 コメント

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Unknown (uncle-ken2055)
2023-12-08 09:22:21
流石ですね

おはようございます。何をやってもさまになるから大したお手並みでござます。  
出来上がりを楽しみにお待ちしております。
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おはようございます。 (槐松亭主人)
2023-12-09 09:06:58
いつもご覧いただきありがとうございます。コメントまで頂戴して深謝でございます。こんなことは普通は生涯一度も巡り合えないような機会でした。

木に彫るのはもっと固い石よりはるかに難しかったんですよ。慣れてないせいもありますが。大変良い経験をさせてもらいました。なにより、明日お寺に持ち込みますが、そのまま展示されればずーーーっと残ることになりますから、ワタシにとっては生きた証が一つは残る、ということになりますね。
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