植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

円安・物価高・インフレ・低金利・低賃金 さてどうします?

2022年06月22日 | 時事
物価がじわじわと上昇しているようです。ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、原油価格から小麦価格まで様々な輸入品が値上がりしているのに追い打ちをかけたのが「円安」であります。

円安になると、輸入品に支払うお金が割高になります。通常ドル建て決済なので、1ドルの代金を払う場合、為替レート100円→120円とすると、ドルに換金する時、20円余計に払うことになります。一方、日本の製品を海外の会社や人が買う場合は、今までとあるいは他国と比較して割安になるので、売り上げが上がったり単価が上昇します。だったら輸出産業は潤うか、といえばさにあらず、国内で生産する製商品は、原料などが上昇して生産コストが上がるので、利益性は直ちに改善されるとは限らないのです。

テレビでは、ルイビトンなどの中古高級革製品が高値になって歓迎するというような、間抜けなコメントを出していましたが。日本経済全体を見れば、相対的に「日本経済」が今まで以上に衰退し、日本の円が売られ安く見られていることになります。1万円の価値や有難味が薄れるという感覚でしょうか。工業生産では、原油など大部分が輸入に依存している割合が大きいので、ダメージが極めて大きいと言えます。ガソリン価格も大幅に上がっています。カバンが高く売れたと喜んでいる場合では無いのです。

こうした経済情勢で、日銀は相変わらずじゃぶじゃぶの金融緩和・超低金利政策を変えようとしません。景気を上向かせるために大量の「マネーサプライ」を維持し、企業や個人の住宅ローンが低く抑えられるから有効だという理屈なのです。しかし、これもまやかしであります。2000兆円といわれる家計資産残高は、実質無利子のまま数十年も眠っています。この利息が1%増えるだけで年間20兆円という利益をもたらします。これが新たな消費を呼び起こするというのが、経済成長期→バブルの原動力でもありました。

日本は少子高齢化と実質賃金の低減、税金・社会保障費負担増などにより個人住宅需要は増えません。企業はバブル崩壊のトラウマから極端な投資リスクを避けるようになり、長期的な生産力・国際競争力を失いました。家電各社の実質倒産が続き、7割ほどあった国際的半導体のシェアを失ってしまったのがその象徴です。科学技術開発を惜しんだため、ワクチンの開発すら敵前逃亡してしまいました。

投資をけちるから借り入れをしない、銀行は、預貸金の利ザヤが極端に狭まり、企業が借りないので利益が確保できなくなりました。経済全体が沈没しているのはもとをただせば低金利が大きな原因の一つなのです。

そこでコロナとウクライナ、これで政府は財政規律のタガが外れ、大量に国債を発行し日銀が引き受けるという禁じ手に手を染め、今や日銀の引き受け残高は500兆円を超えています。どこの国でも中央銀行は政府や指導者から独立性自主性が求められますが、日本は自民党の言いなりであります。人事権を内閣が握っています。

これがどれだけ危険なことか。国債を引き受けるための資金は要りません。無尽蔵に引き受けします。日銀券は無限に発行できるからであります。結果として国がせっせと増刷する一万円札がどんどん社会に出回り、物品や商品・不動産など供給量とのアンバランスが増幅します。

これは開発途上の独裁者や軍政の政府が、資金調達のために紙幣を大量発行することにほとんど相違がありません。その先は急激なインフレ(ハイパーインフレ)が待っています。札束抱えてパンを買う、という光景ですね。勿論供給される物品が増大していけば値段の相関関係は変わりませんが、それであっても賃金の上昇が追いつかないので、多くの国民は物価高の影響をもろに受けるということになります。

今の日本に起きつつあること、それは「スタグフレーション」=不況下でのインフレであります。実質賃金は上がらず、コロナで消費は伸びず、原材料価格高騰で物価が上がり、教育費、医療費、税金などの負担が増えるばかりであります。

では、長期金利を上げる方針に転換できるか(あるいは自然と金利が上昇するか)でありますが、結論は「否」です。日本の政府が発行する国債は、1000兆円、これを仮に1%上げたら政府の負担する利払い資金は10兆円増えます。我が国の一般会計総額は107兆円、財源の2/3は税金ですが残りは国債依存です。もし10兆円が利払いに消えるとしたら、二年分の防衛予算がすっ飛んでしまうのです。

あぁこんな日本に誰がした。戦争やインフレに強いと言われる「金」が高騰するのも無理は無いのです。このたび倅がマンションを購入することになりました。現預金で持っていても、インフレになれば目減りするだけで 、せめて換金性がある不動産ならば将来ローン残高と資産価値が逆転すると思います。

倅から「固定金利と変動金利」どちらの住宅ローンがいいかと尋ねられました。現在、年利0.4%前後が変動金利で、固定金利は平均的には1.5%ほどで推移しております。即答です、低金利の恩恵に浴する変動金利を選べ、と。金利が1%も上昇する懸念は0であります。ワタシが生きているうちには無いでしょう。金利の安い変動金利で、早いうちに元金を減らすのが最も賢く「安心」だと思います。

もう一つ大事なことは選挙、我が国を八方ふさがりにした与党・政権にこれ以上期待してはならないということではなかろうか、でありますな。

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