植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

負けて知るべきことがある それを収穫にせねば

2020年11月27日 | スポーツ
負け惜しみであります

 このところ巨人とソフトバンクで、日本シリーズという興行試合をやっていたようでありますな。(笑)
 
 野球はペナントレースが最大の目標、3月から7か月間戦い続けてリーグ覇者になる熱い戦い。それに比べて日本シリーズなどは、わずか4勝した方の勝ち、お遊びみたいなものです。数十年前まではどことなくドラマもあり、真剣勝負としても面白かったのですが、十数年前清原と新庄が解説者として出てきて以来考えが変わりました。おちゃらけて下らぬ雑談をする解説を聞いて、日シリなどは、ファン感謝デーとかマスターズ野球同様なのだと失望いたしました。

 彼我の差は誰の目にも明らかでありました。指揮官でさえ戦う前から結果は見えていたのではないでしょうか。大方のスポーツ新聞の予想も専門家の予想もソフトバンクの優勝で動きませんでした。客観的な情勢でも、すでに大きなハンディや負けの要素がてんこ盛りでした。
 
 まず、優勝マジックが出る前に、2位のチームと1ゲーム差辺りでうろうろしていたソフトバンクが、ペナントレースの終盤で、急に圧倒的に勝ちはじめ、終わってみれば2位と14ゲーム差でぶっちぎりました。終盤に来てトップコンデション、パリーグの猛者が全く歯が立たない「無双」状態になっていたのです。

 一方わが巨人軍は、9月末には2位阪神と12.5ゲーム差有ったものが、10月に突然失速し、負けが込んできました。主力の投打に疲れが見え脱落者が増え、打者は全く振りが鈍くなり、無得点試合が続きました。あれだけ完璧だった、左腕の中継ぎの投手たちも打たれ始めました。それまでの貯金で何とか逃げ切ったので、完全に調子は底に落ちて非勢は明らかでした。終盤の試合は、打てず守れず、もはや坂本の2千安打しか話題になりませんでしたね。

 セは、クライマックスシリーズを中止し、パは実施、ソフトは終盤の絶好調そのままで日本シリーズに突入いたしました。更に、巨人は本拠地の東京ドームが使えず、京セラドームというパリーグの球場での戦いを余儀なくされました。ずーっと戦い慣れていない球場というアウェーというのもハンディだったのですね。(実際東京Dではホームランと言うのが数本ありました)
 ただでさえ最も充実している黄金期のソフトバンクで、外国人含め選手層は断トツでした。エース東浜をケガで欠き、あのバレンティンも呼ばず、内川すら2軍で飼い殺しするほどの巨大戦力で余裕だったんです。

 巨人は、レギュラーシーズン前半からクリーンアップの不調、先発のコマ不足、中継ぎ・抑えの不安を抱えていながら、原さんのやりくりと菅野の獅子奮迅の働き、楽天からのトレードでやってきたウィーラー・高梨、育成とか2軍で予定外の松原・大江の覚醒で、奇跡的に勝ち進んだと言えます。外国人助っ人もその他はポンコツ、菅野・戸郷を除くピッチャーはもう2級品以下、打たれないのが不思議でありました。これは、このブログで何度も触れています。ドラフト戦略の失敗、対象選手の能力を見る目が無い、くじ運がさっぱりだった、ということに尽きます。
 ワタシに言わせれば、菅野以降のドラフト会議では7,8年ずっと1位指名選手をパスしてきたに等しいのであります。しかも、ピークを過ぎかけた大社の「即戦力」に拘った為、「削ぐ戦力」に終わっています。

 45年前にパリーグが導入したDH制が、パリーグの強さの秘密です。ピッチャーが投球に専念できるようにしたため、試合の戦況や打線の巡り合わせに関わることなく、ブルペンで調整できます(ブルペンで不必要に肩を何度も作る必要が無いのです)。練習でも無用のバント練習や打撃練習が軽減されます。登板している投手は、バッターボックスに立つリスクや無用な消耗の負担も無いのです。

 一方野手にとってDHの最大の利点は、9人の野手が実戦を経験できるということです。真剣勝負の投球を体感出来るし、投手や捕手の癖も覚えられます。セリーグは、8人が野手でプレーをするので経験値と言う意味では12.5%もパリーグが有利なのです。これが毎試合45年間続いたら選手の質量の違いが出ても何ら不思議がありません。
 
 もう一つ、交流戦で勝ち越したリーグから先にドラフト2巡目の指名権が与えられる制度です。交流戦が始まって15年、そのうち14回がパリーグの勝ち、つまりドラフト2位の指名はパリーグの球団がほぼずっとセリーグより先に指名出来ているのです。ドラ1と2位は実はほとんど大差がありません。ドラ1でも、競合するレベルのトップクラスの選手はわずか数名、その下と2位あたりはほとんど肩を並べる力量、セパ交互に指名するとしても、必ず先にパリーグの6球団が先に選べるというのは大変なアドバンテージになるのです。例えば巨人は、2位指名が12番目でしたから、理論的には24番目のレベルの選手になったわけです。(1位指名は恐らく2巡目以降で取れたような選手でした)

 そもそもドラフト会議の精神は公平かつ、下位球団に有利なようにするウエーバー方式を採用しています。しかし、下位(実力が劣る)セリーグに不利となるのが現行のドラフトでもあるのです。もし完全な公平を追求するなら、(くじ引きすら特定球団のくじ運の強さが際立っています)、1位だけは毎年順繰りにセパ交互に完全固定順位指名方式、を採用すべきなのです。今年1番目なら翌年は12番目という具合です。12年に一度は必ずその年で最高の選手を単独指名出来る。後は何巡目でも常に指名順位には関係なく各球団の希望をし、重複したら抽選にするのです。これが一番公平なのです。ワタシはこれにプロ志望選手の希望を入れ、せめて両リーグのいずれかの選択をさせるべきだとも思います。そうすれば、6年に一度は両リーグで球団の希望する最高の選手が獲得できるのです。

 最後に付け加えるなら、チームの力の源泉は、球団の母体となる親会社の資金力でしょうね。楽天・ソフトバンクなど売り上げ規模や収益の莫大な会社がつけば、どんな高年棒でも払い外国人助っ人やFA対応(有望選手の流出を防ぎ、他球団からとる)が出来ます。育成にかける資金も無尽蔵に出てまいります。成長するまで我慢できるのです。
 巨人のような斜陽の新聞社・民放などが母体では、もはや大した補強は出来なくなっているのです。育成選手を含めた「安物買い」は結果が見えています。金満球団と揶揄された時代はとうの昔に終わっています。

 2年連続でスイープされた現実は、いわば必然であったように思います。巷間言われるように、ソフトバンクなどの育成力や新戦力を発掘できる情報力、眼力は学ばねばなりません。勿論試合の戦術戦略も分析すべきでしょう。
 
 コロナの中での今年一年の戦い、ドラフト、日本シリーズ完敗が、セリーグとわが巨人の再生を果たす上での大きな糧になればよかろう、と切に思います。
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