先日、魚屋さんに「エイヒレって・・・あります?」と聞いてみたところ、「入荷次第、お持ちします。」と不確定な約束をされてしまいました。
それから3日ほど経ち、完全に「エイヒレ」の存在を忘れていた時に、「安かったからいっぱい買ってきたよ。藤原さん、エイヒレ好きでしょ。」と大量に持ち込まれてしまい、「好きだからといって、こんなに大量に買ってくるというのもどうなのか?」と疑問に思いながらも、質の良さを確認すると「さて、仕込み、仕込み!」とそんな疑問どころではなくなってくるのでした。
普段ならば、エイヒレをブイヨン・ド・レギュウム(野菜のブイヨン。正式にはクール・ブイヨンと呼ぶが、私はあえてこう呼んでいます)で茹で、冷ましてから小麦粉をまぶして焼いたり、茹でたものにヴィネガーの効いたソースを合わせて提供したりしていますが、今回はポワソン用(魚料理用)の魚が他にありますので、前菜に加工できないか、と思った次第でした。
このブログを読み込まれている方ならば、「前菜に加工」という言葉を聞いただけで「どうせ、またテリーヌだろう・・・」とおぼろげに思ったのではないかと推測できますが、大いなるワンパターンというのは非常に大事なものですよ。
「エイヒレのテリーヌ」これだけでは春を感じさせる事は出来ません。爽やかな野菜を組み込まないといけませんな、春の緑、と言えば「アスパラガス」が浮かんできたのは私だけでしょうか?「山菜」が浮かんできた方は、考えすぎです、しかも、苦いし。それはまた別な料理に回しましょうぜ。余談ですが、「アスパラガス、バスガス爆発」という早口言葉は言いにくいものです、意味的にはまったく成立していませんが。
「エイヒレとグリーンアスパラガスのテリーヌ」。さっきより春らしいイメージが付いたでしょ、フランス語にすると「Terrine de aile de raie et asperge vert」で言い直すと「テリーヌ・ド・エール・ド・レ・エ・アスペルジュヴェール」 ですが、読んでいて舌を噛みそうになった人がいるのではないか、くらい言い難い料理名です。
作り方は名前と同じで簡単ではありません。この料理を作るのは初めてですが、作り方の考えとしては、ゼラチン質を含むエイヒレの肉を軟骨から外し、テリーヌ型に入れて冷やし固めようではないか、という単純な発想です。しかし、そこまでの下準備と作業というのが根気と迅速さを求められるものです。
まず、レモン、白ワイン、白ワインヴィネガーを加えたブイヨン・ド・レギュウム、つまり、クール・ブイヨンを作ります。
玉葱、人参、セロリ、レモン、をスライスにし、白ワイン、白ワインヴィネガー、水、塩と共に30分煮出します。ここで考えるのは、野菜をスライスする場合、野菜の断面の表面積を大きくして短時間でその味を出し切らなければならない、ということです。この辺を適当にしてはいけません。
クール・ブイヨンを濾し、冷ましてからエイヒレを入れ火にかけます。強火にしてしまうと沸騰時に肉が崩れてしまいますから注意しなければなりません。30分優しく火入れをしている間に、人参を縦に1~2ミリの間にスライスし、柔らかくなり過ぎないくらいにボイルします。これは、エイヒレを覆う人参ですので出来れば全て同じくらいの厚さにスライスしなければなりません、しかも、マンドリーヌ(スライサー)ではスライスできないため包丁でスライスするしかありません。これは、勿論、技術もさることながら、人参の目、と言いますか、包丁の入る場所がありますから集中してやるしかありません。
アスパラガスも掃除して硬めに茹でておきます。
エイヒレが茹で上がったら、骨から肉を外し、予め(あらかじめ)テリーヌ型に人参のスライスを敷いておいたところに並べていきます。この時、エイヒレの肉の繊維を横にして敷いていくと、切った時に繊維の断面が綺麗に現れますから、意識して敷きましょう。
テリーヌ形の半分くらいまでエイヒレを並べたらアスパラガスを並べ、更にエイヒレで覆うように並べていきます。
茹で汁をキッチンペーパーで濾して煮詰めます。それを冷やし、テリーヌ型に流します。これはキュイッソンといってこの中にもゼラチン質が含まれていますから肉に戻し入れて固めます。
テリーヌ型をラップで包み、上から板でプレッセ(プレス)しながら輪ゴムで固定し、冷蔵庫で1日冷やします。
これを切った時の断面は、薄いオレンジ色の人参に囲まれている白いエイヒレの肉に、埋め込めれているアスパラガスの緑が特徴であり、この料理は酸味の利いたソースに合います。
合わせるワインはブルゴーニュのシャルドネ系がよろしいのではないでしょうか。(暗にシャブリと言っているみたいだが、安価なシャルドネ種のワインでも合います)
この料理はまだございますので、興味のある方は一度お試しください。
久々に(でもないが)長文になってしまいました。料理説明系の文章はどうしても長くなってしまう傾向にありますから、ご容赦ください。
ご清読ありがとうございました。
それから3日ほど経ち、完全に「エイヒレ」の存在を忘れていた時に、「安かったからいっぱい買ってきたよ。藤原さん、エイヒレ好きでしょ。」と大量に持ち込まれてしまい、「好きだからといって、こんなに大量に買ってくるというのもどうなのか?」と疑問に思いながらも、質の良さを確認すると「さて、仕込み、仕込み!」とそんな疑問どころではなくなってくるのでした。
普段ならば、エイヒレをブイヨン・ド・レギュウム(野菜のブイヨン。正式にはクール・ブイヨンと呼ぶが、私はあえてこう呼んでいます)で茹で、冷ましてから小麦粉をまぶして焼いたり、茹でたものにヴィネガーの効いたソースを合わせて提供したりしていますが、今回はポワソン用(魚料理用)の魚が他にありますので、前菜に加工できないか、と思った次第でした。
このブログを読み込まれている方ならば、「前菜に加工」という言葉を聞いただけで「どうせ、またテリーヌだろう・・・」とおぼろげに思ったのではないかと推測できますが、大いなるワンパターンというのは非常に大事なものですよ。
「エイヒレのテリーヌ」これだけでは春を感じさせる事は出来ません。爽やかな野菜を組み込まないといけませんな、春の緑、と言えば「アスパラガス」が浮かんできたのは私だけでしょうか?「山菜」が浮かんできた方は、考えすぎです、しかも、苦いし。それはまた別な料理に回しましょうぜ。余談ですが、「アスパラガス、バスガス爆発」という早口言葉は言いにくいものです、意味的にはまったく成立していませんが。
「エイヒレとグリーンアスパラガスのテリーヌ」。さっきより春らしいイメージが付いたでしょ、フランス語にすると「Terrine de aile de raie et asperge vert」で言い直すと「テリーヌ・ド・エール・ド・レ・エ・アスペルジュヴェール」 ですが、読んでいて舌を噛みそうになった人がいるのではないか、くらい言い難い料理名です。
作り方は名前と同じで簡単ではありません。この料理を作るのは初めてですが、作り方の考えとしては、ゼラチン質を含むエイヒレの肉を軟骨から外し、テリーヌ型に入れて冷やし固めようではないか、という単純な発想です。しかし、そこまでの下準備と作業というのが根気と迅速さを求められるものです。
まず、レモン、白ワイン、白ワインヴィネガーを加えたブイヨン・ド・レギュウム、つまり、クール・ブイヨンを作ります。
玉葱、人参、セロリ、レモン、をスライスにし、白ワイン、白ワインヴィネガー、水、塩と共に30分煮出します。ここで考えるのは、野菜をスライスする場合、野菜の断面の表面積を大きくして短時間でその味を出し切らなければならない、ということです。この辺を適当にしてはいけません。
クール・ブイヨンを濾し、冷ましてからエイヒレを入れ火にかけます。強火にしてしまうと沸騰時に肉が崩れてしまいますから注意しなければなりません。30分優しく火入れをしている間に、人参を縦に1~2ミリの間にスライスし、柔らかくなり過ぎないくらいにボイルします。これは、エイヒレを覆う人参ですので出来れば全て同じくらいの厚さにスライスしなければなりません、しかも、マンドリーヌ(スライサー)ではスライスできないため包丁でスライスするしかありません。これは、勿論、技術もさることながら、人参の目、と言いますか、包丁の入る場所がありますから集中してやるしかありません。
アスパラガスも掃除して硬めに茹でておきます。
エイヒレが茹で上がったら、骨から肉を外し、予め(あらかじめ)テリーヌ型に人参のスライスを敷いておいたところに並べていきます。この時、エイヒレの肉の繊維を横にして敷いていくと、切った時に繊維の断面が綺麗に現れますから、意識して敷きましょう。
テリーヌ形の半分くらいまでエイヒレを並べたらアスパラガスを並べ、更にエイヒレで覆うように並べていきます。
茹で汁をキッチンペーパーで濾して煮詰めます。それを冷やし、テリーヌ型に流します。これはキュイッソンといってこの中にもゼラチン質が含まれていますから肉に戻し入れて固めます。
テリーヌ型をラップで包み、上から板でプレッセ(プレス)しながら輪ゴムで固定し、冷蔵庫で1日冷やします。
これを切った時の断面は、薄いオレンジ色の人参に囲まれている白いエイヒレの肉に、埋め込めれているアスパラガスの緑が特徴であり、この料理は酸味の利いたソースに合います。
合わせるワインはブルゴーニュのシャルドネ系がよろしいのではないでしょうか。(暗にシャブリと言っているみたいだが、安価なシャルドネ種のワインでも合います)
この料理はまだございますので、興味のある方は一度お試しください。
久々に(でもないが)長文になってしまいました。料理説明系の文章はどうしても長くなってしまう傾向にありますから、ご容赦ください。
ご清読ありがとうございました。