ラミ・デュ・ヴァン・エフ シェフのブログ ~言葉の錬金術~

フランス料理に限らず、色んな話のブログ内容です。

食品をカスタマイズする際、量が増える事も公算しなければならない

2009-03-06 16:51:21 | Weblog
 先日の記事で、「牛スジ煮込み」の話を書きましたが、なぜかその話に触れられることが多く、「牛スジ、まだあるんですか?」や「今度はいつ煮込むんでか?」などのお言葉を頂くことがありました。(2件だけですけどね)
 「あの料理酒、なんて名前でしたっけ?」なんていう質問もありましたが、牛スジとは全然関係ありませんので割愛させていただきます。
 煮込んだ「牛スジ」のその後ですが、やはり、それだけで食べ進むのは口飽きしてしまい、カレーにカスタマイズしました。
 しかし私は、牛スジ煮込みに市販のカレールーを入れるほど単純な事はいたしません。
 市販のカレールーの中には予め(あらかじめ)牛エキスが入っているため、ダブル牛エキスで仕上がりがかなりヘビーになってしまう事は容易に想像できます。しかも、醤油味で味が決まっておりますから、塩分も過多になるでしょう、これではイカンですよ、体のことを考えれば。そこで、カレールーを作る事にしました。
 「おいおい、そんな時間あるんだったら仕込みしろよ。」そんな神の声も聞きながら作業に取り掛かったわけですが、そんなに難しいわけではありません。
 まず、

①サラダ油とオリーブオイルを半々、鍋に入れ加熱します。

②①に薄力粉を加え、かき混ぜます。

③②が香ばしい茶色になったら、カレー粉を加えます。

④カルダモンとシナモンも加え、若干加熱します。

⑤フォン・ド・ヴォライユを少しずつ加え、延ばしていきます。

 これでルーは完成です。
 これに、ケチャップ、冷凍庫の奥にあったトマトの種、などを加え、最後に牛スジ煮込みを加えます。
 今回はこれに、冷蔵庫に眠っていた「エイヒレの軟骨」というマニアックなものを加えましたので食感的にショッキングな感じが堪りませんぜ。
 「冷凍庫の奥」や「冷蔵庫に眠っていた」などの言葉が出てくるのは、基本的にカレーは冷凍冷蔵庫整理食品だと思っているからであります。
 もし、冷凍庫の奥から冷凍焼けしたコロッケなどが出てきた場合、私は迷う事無くカレーに投入するでしょう、いや、投入しなければなりません。
 前は、フランスパンの切れ端や人参の皮、蕪の茎や皮なども入れていた経験がありますから、最近、マネージャーは何が入っていても驚かなくなりました。人は慣れればOKなんですよ、「エコロジー」という言葉で括ってしまえば尚更です。
 しかし、このカレー、見た目はともかく、味はなかなかのものです。やはり、予想をはるかに超えた複雑味がもたらす何かなのでしょうか?
 もう「トロリ」という食感を超越した「牛スジ」、原形を留めない「じゃがいも」、かろうじて形が残っている「人参」、説明されなければ何なのか絶対分からない「エイヒレの軟骨」、勢いで入れたのはいいが現在行方不明の「キムチ」、もう探すことすら困難な「トマトの種」などが構築している世界は、カオスなどという言葉では表しきれないものを感じ、曼荼羅すら頭の中に浮かんでくるくらいです。(一部表現に大げさな部分が含まれています)

 しかし、作ってから思ったのですが、やっと無くなりかけた「牛スジ煮込み」。

 カレーとして復活したのはいいけど、量も増えたことになり、今度はカレー三昧な賄いになってしまいました。

 今は、早く終わらせてアッサリしたものを食べたい、と願っております。







 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする