今回の第4次提言、参考資料から、大学入試のこれまでの変遷を見てみます。
大学入学者選抜の変遷
・各大学における入学者選抜(~昭和53年度)
推薦入試の実施(昭和42年度大学入学者選抜実施要項から明記)
昭和42年度
国立4大学、公立1大学、私立33大学
平成24年度
国立76大学、公立78大学、私立573大学
・ 共通一次学力試験(昭和54年度~平成元年度)
5教科7科目(昭和62年度から5教科5科目)
私立大学の参加は1校のみ(昭和57年度~)
・ 大学入試センター試験(平成2年度~)
国公私立大学で利用
「アラカルト方式」(教科数等、利用の仕方は各大学の自由)
多様な入試資料の一つ(大学入試センター試験、個別試験、小論文、調査書等の適切な組合せ)
AO入試の実施 平成2年度~慶応義塾大学で開始
平成12年度~国立3大学で開始
(東北大学、筑波大学、九州大学)
平成24年度
国立47大学、公立23大学、私立460大学
【国立大学の個別試験の変遷】
(~昭和53年度)
1期校・2期校
受験機会は1期校、2期校より各1回(複数大学合格後に入学大学の選択可)
【課題】
「受験競争」による高校教育への悪影響
難問・奇問の続出
特定の大学を中心に激しい「受験競争」
(46答申)
調査書を選抜の基礎資料とすること。
広域的な共通テストを開発し、高等学校間の評価水準の格差を補正するための方法として利用すること。
大学が必要とする場合、専門分野において重視される能力についてテストや論文、面接を行い、それらの
結果を総合的な判定の資料に加えること。
(昭和54~61年度)
受験機会は1回
【改善点】
共通一次学力試験の導入
高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定
難問・奇問を排した良質な問題
2次試験との組合せによる多様な選抜(面接,小論文,調査書等)
→これにより学力検査のみの「一発勝負」を是正
【課題】
画一的な利用による大学の序列化
輪切りの進路指導(「入りたい大学より入れる大学」)
受験機会は1回
私立大学の参加なし
昭和60年 臨教審一次答申
学力検査の点数の客観性と公正性への過度な依存から選抜方法
や基準の多様化、多元化の推進
偏差値偏重の受験競争の弊害を是正するため、大学は自由・個性
的な入学者選抜実施のため入試改革に取り組むべき。
国公私立大学が自由に利用できる「共通テスト」を創設すべき。そ
の際、資格試験的な取扱いや複数回実施を検討すべき。
偏差値重視の進路指導の改善、国立大学の受験機会の複数化な
どへの配慮の推進を図るべき。
(昭和62年度~平成8年度)連続方式
受験機会はA日程、B日程より各1回(複数大学合格後に入学大学の選択可)
(平成元年度~)分離・分割方式
受験機会は前期日程、後期日程より各1回(複数大学合格後の入学大学の選択不可)
【改善点】
大学入試センター試験の実施
多様な利用方法により共通試験による「大学の序列化」・「輪切り
の進路指導」を是正
私立大学の参加
国立大学の受験機会の複数化
【課題】
入試の競争性の緩和を受けた選抜から接続への視点の転換
入試の難易度等に基づく大学・卒業生の評価から卒業時における
質の確保の重視への転換
学力検査による選抜が最も公平であるという根強い観念
入試業務の負担の増大
平成11接続答申
アドミッションポリシーの明確化とそれに基づく選抜方法の多様化、
評価尺度の多元化の推進
外部試験の活用や作題における外部専門家の活用
AO入試の適正かつ円滑な推進
リスニングテストの導入
平成12改善答申
【改善点】
センター試験におけるリスニングテストの導入(平成
18年度試験~)
AO入試等を含めた入学方法の多様化の進展
【課題】
大学全入時代を迎え、選抜機能の低下と高校教育
における学習時間の減少
学力把握措置のないAO・推薦入試の増加
学力不問入学者への初年次教育や補習教育への
対応による大学の負担増
平成20学士課程答申
AO・推薦入試における適切な学力把握措置の実施
高校修了時点における到達度を測るための新たな
共通試験(高大接続テスト)の検討
高大の連携による入学前教育や入学後のリメディア
ル教育の充実
大学入試センター試験の概要
【目的】
大学入学志願者の高等学校段階における基礎的な
学習の達成の程度を判定することを主たる目的とし
て、大学が共同して実施。
【平成25年度大学入試センター試験】
1.試験期日
本試験:平成25年1月19日(土)20日(日)
追(再)試験:平成25年1月26日(土)27日(日)
※試験は1/13日以降の最初の土日に実施
3.志願者数、利用大学数等
・志願者数:573,344人[対前年度+17,807人]
・試験場数:707会場[対前年度▲2会場]
・利用大学数:683大学[対前年度+9大学]157短期大学[対前年度▲4短期大学]
(国公私別)
国立82大学[100%]
公立81大学[100%]
私立520大学[ 90%]
公立15短期大学[ 83%]
私立142短期大学[ 43%]
大学入試センター試験参加大学数および訴願者・受験者の推移
○平成2年度の第1回試験から平成25年度試験で24回目の実施(平成18年度試験から英語リスニングを実施し、平成25年度試験で8
回目の実施)。
○参加大学については、第1回から年々増加しており、平成25年度試験参加大学数は国公私合計840大学(うち157短期大学)。
○志願者数については、平成15年度試験の602,887人がピーク。平成25年度試験の志願者数は573,344人(対前年17,807人増)。
高校段階での教育と、大学などの高等教育機関での教育。それを連携する教育的な仕組みが新たに必要とされています。
こうした実態を踏まえ、改めて今回の提言の意味する所を明らかにし、改善点、問題点があればそれらについて、次回以降論じたい。