9回裏、1:2と1点ビハインドの巨人。代打にベテランの高橋由伸。慶應義塾大学の後輩である彼のことは、ドラフト会議以降見守って来た。今年38歳の彼にとってまたとない場面での起用だった。さすが原監督。期待に応えて、見事1塁手の頭上を抜く、クリーンヒット。まさに、千両役者。これでゲームは一気に巨人に傾くかに見えた。しかし同点とされた楽天は、その裏、巨人の守護神といってよい西村投手から2点をもぎ取り、日本シリーズに大手をかけた。
一方、海の向こうでは、元巨人の投手、上原選手がワールドチャンピオンの胴上げ投手となっていた。かれも38歳。高橋とは同年である。1浪した上原の入団は高橋の1年後だった。高橋が千両役者なら、上原は万両役者になったといえる。対照的なこの二人。やんちゃ上原に、おりこう高橋。そんなイメージだった。とてもすごいことを達成した上原選手。ご本人は、優勝後のインタビューに対して、「実感がありません。当初想定していた目標よりはるかに高いところで戦ったので、実感がわきません。」おそらく、上原選手は無我無j中でこの1年、必死の思いでやってきた。そして気がついたら、リーグ優勝。当然ワールドシリーズも引き続き投げることとなった。監督の信頼が厚い分、クローザーとして、重用された。それが日本人初のワールドシリーズ胴上げ投手の栄冠を生んだ。おめでとう上原選手。そして、ご息子の一真君おめでとう。君の一言英語は素敵だったよ。
上原選手の胸中は誰も分からない。しかし、今年を振り返ると、長嶋監督、松井選手の国民栄誉賞の受賞が彼の励みとなったことは想像に難くない。川上元監督、長嶋監督と連綿とした巨人の伝統が、上原投手の快投を生んだのだと思う。
松井選手のワールドシリーズでの活躍(MVP獲得)にもしびれましたが、上原選手の今回の活躍にも大いにしびれました。
年齢的にも活躍はあと数年。怪我に注意し、有終の美をぜひ飾って頂きたいと存じます。