ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

大間ダム

2015-11-30 16:00:00 | 静岡県
2015年11月29日 大間ダム
 
大間ダムは左岸が静岡県榛原郡川根本町奥泉、右岸が同町千頭の一級河川大井川水系寸又川にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
包蔵電力豊富な大井川本支流では1931年(昭和6年)の大井川鉄道金谷~千頭間の開通を契機に複数の業者による電源開発が本格化します。
大井川右支流の寸又川では富士電力(株)による電源開発が進められ、1935年(昭和10年)の千頭ダム・湯山発電所に次いで次いで1938年(昭和13年)に建設されたのが大間ダムです。
大間ダムは併せて建設された大間発電所の取水ダムで約2キロの導水路による最大1万3200キロワットのダム水路式発電が稼働しました。
大井川流域の発電施設は電力管理法による日本発送電の接収ののち、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により新たに誕生した中部電力が事業を継承しました。 
その後1992年(平成4年)の改修で大間発電所の出力は最大1万6500キロワットまで増強されました。
大間ダムは戦前の貴重な土木建造物としてAランクの近代土木遺産に選ばれています。
 
寸又峡温泉に車を止め、森林鉄道軌道跡を利用した寸又峡の遊歩道を進むと右下に大間ダムが見えてきます。
戦前戦中のダムによくみられる、ゲートビアが一段高くなっている構造。
 
ダムへの立ち入りはできません。
遊歩道を進み上流にある夢の吊り橋を渡ります。
 
吊橋からは正面にダム上流面が見えます。
ダム右岸の斜面に管理建屋群が張り付くように建っています。
 
クレストラジアルゲート4門
右岸に大間発電所への取水口があります。
 
寸又峡温泉の駐車場に展示された千頭森林鉄道の機関車。
 
ダムの展望ポイントは限られていましたが、渇水期であれば下流の河原を遡上して堤体直下にたどり着けるようです。
また大間ダムからさらに10キロ上流には千頭ダムもあります。
機会があればぜひチャレンジしたいですね。
 
追記
大間ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。   

1155 大間ダム(0076)
左岸 静岡県榛原郡川根本町奥泉 
右岸         同町千頭 
大井川水系寸又川
46.1メートル
107メートル
1519㎥/741㎥
中部電力(株)
1938年
◎治水協定が締結されたダム


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