原題は、Eastern plays
ソフィアは、女性の名前ではなく、ブルガリアの首都。
ブルガリアの映画を見るのは初めてだと思う。また、私は、ブルガリアについては知らない。
トルコ人がブルガリアで差別されていることも知らない。
主演したフリスト・フリストフはこの映画の撮影終了直後事故で亡くなったという。
主人公のイツォは、青年芸術家と紹介されているが、中年の様な感じ。
イツォ兄弟は閉塞した社会の中で、生きている実感・現在と将来の希望を持てず、屈折し、うごめき、
弟はネオナチに心引かれ、兄は鋭敏過ぎる感覚故少し精神を病み始め、ほとんどアル中状態である。
あるトルコ人家族が、ドイツにいる兄の所に行く途中、ソフィアに立ち寄り、ネオナチのチンピラに襲われる。
チンピラ見習いの弟はその見張り役であったが、彼は自分の居場所がここではないと気づく。
その場にたまたま出くわした兄は止めに入り、怪我をさせられるが、一家は助かる。
彼は、その一家の若い女性・ウシェルとささやかな交際を始める。
だが、彼女の父親は娘が異邦人とつきあいするのを認めることが出来ず、一家は彼に黙ってトルコへ帰国してしまう。
イツォは一人取り残されるのだが、弟とも心を通わし始め、何とか踏ん張った。
彼が暗闇のソフィアの町を彷徨う映像の後、
一瞬トルコ国旗が映り、その町の雑踏にたたずむイツォの姿が映し出され、映画は終わる。
映画の題材としては、取り立てて目新しいものでもないし、ドラマチックなストーリー展開があるわけではないのだが、
私は、はらはらして映画館にいた。
旧東欧諸国社会は、東の世界からユーロに目を向けたのだが、でもその道は決して平坦ではなく、大きな困難を抱えている。
この映画は、旧東欧社会が行き詰まるほど閉塞し、明るい兆しの見えない時代を映し出していると私は、強く思った。
私の感受性はもうかなり鈍感にはなっているのだが、イツォたちの抱える思いは、日本の若者達が抱くそれであると感じる。
イツォと彼女が結ばれる結末でもなく、絶望して酒やドラッグにはまり、ソフィアの町を彷徨うのでもなく、
トルコの旗が、一瞬映し出された時、あぁ彼は一歩前に踏み出したんだと安堵し、同時に
この終わり方は、すごくありふれているんだけど、私にとっては穏やかに映画館を去ることが出来る終わり方でした。
ちょっとエモーショナルだけど、この映画は佳作です。
イツォとトルコ人のウシェルの会話は、私にも聞き取ることが出来る、ゆっくりでやさしい英語でした。
異なる言語で向き合う民族や人々が、共通の言語やジェスチャーで会話し、気持ちを交わしあうことが出来るのは、やはり素敵です。
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原題は、Darbareye Elly[何語でどんな意味かはわからないが、Ellyはいなくなった女性の名前]
以下の様に色々な賞をもらっているようである。
ストーリーは簡単だが、ちょっと無理がある。
テヘランに住む中流の数家族がカスピ海沿岸にバカンスに出かける。
その目的の一つは、このバカンスを計画した女性・セピデーの、離婚したばかりの弟の見合い、である。
その相手が、エリ。彼女には婚約者がいるのだが、その婚約を破棄したいと思っている。
そうした細かい事情をセピデーは皆に隠していた。
つまりこれはかなり無理なストーリーなわけ。
男達がバレーボールに興じ、女達は部屋の掃除やバカンスの準備にいそしんでいる間、幼い子ども達が海で遊んでいた。
エリに子どもを見ていてと親は頼んだが、こんな荒い波の浜辺で子ども達を遊ばすのが次の無理筋。
たこ揚げを頼まれたエリが、たこ揚げに夢中になり、子守を忘れ、我を忘れるほどたこ揚げに興じてしまうのが、次の無理筋。
ストーリーにいくつもの無理が重なり過ぎで、イライラしました。
子どもの一人がおぼれ、またその頃エリも行方不明になってしまう。
エリもおぼれたのか、自分勝手に帰ってしまったのかでワイワイガヤガヤもストーリーとしては無理。
どんな変人であっても、勝手に帰ってしまうなんてあり得ないもの。
こうした事態に、各自がそれぞれ責任を転嫁したり、非難しあったりで、夫婦・友人の絆、信頼関係がどんどん怪しくなっていく。
そのうち、エリに婚約者がいることが皆にも知れ、その婚約者が登場し、さらに大騒ぎになるって話。
映画の始まりから、小一時間があまりにも冗舌というか退屈であった。
バカンスの場に行くまでの馬鹿騒ぎ、借りた別荘が使えなくなり、使用されていない別荘を新たに借り、その掃除や
バレーボールや皆でのジェスチャー遊びなどが延々と続いた。
この幸せは、不注意や偶然の重なりで、すぐ壊れてしまうもろいものだ、と言う暗喩を示したいのかもしれないが、
10分で十分である。
日本では婚約と婚約の破棄はかなりルーズだが、この映画を見る限りイスラム社会では厳格の様である。
エリは自分の意志で婚約した様なので、自分の意志で婚約を破棄すれば何の問題もないのに。
この映画は多くの賞を取っているが以上のようなわけで、私には佳作とは言えない。
出演している女優達は、息をのむほど、とびきりの美しさです。
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今回の大地震以後、初めての映画であった。
自粛していた訳ではない。
Movixは計画停電で閉館だし、あまりにも混雑する電車には乗りたくなかったからである。
土・日・休日は電車は座れるほど走っていて、ジムも休みだし、雨も降っているので出かけた。
12時過ぎからの回、館内は70%ほどの入りだろうか。おそらく雨の休日としては空いている方かもしれない。【3/21】