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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

サルバドール・ダリに告ぐ#19・・・「白い恐怖」(1954年)

2007-01-08 | サルバドール・ダリ
~ダリ展を観た。そしてダリを感じダリを知るために~

◆「白い恐怖」(1954年)◆

■製作年:1954年
■監 督:アルフレッド・ヒッチコック
■主 演:イングリット・バーグマン、グレゴリー・ペック

ヒッチコック監督が映画に出てくる夢のシーンの美術にサルバドール・ダリを採用した作品。映画は無意識、精神分析といったところがテーマになっており、夢判断をする場面も出てきます。実際どうなのかはわかりませんがフロイトにはまったヒッチコックが、精神分析をテーマとした映画をどうしてもつりたくてつくったなんて想像させるほど、それに偏っている映画です。物語の展開もそのためか少々無理があります。(けっこうこじつけ?)

それはそれとして、ここに一冊の本があります。20年近く前書店で悩みに悩み買った「映画術 ヒッチコック/トリフォー」です。ヒッコッツク大ファンのトリフォー監督がじかにその作品についてインタビューしていく内容で、この「白い恐怖」についても言及しており、ダリ起用の理由についても書いてあります。


“わたしがなぜ悪夢のシーンにダリの美術を使いたかったというと、視覚的にシャープで明晰なイメージ―それも映画そのものよりもシャープで明晰なイメージ―がほしかったからなんだよ。あの鋭角的に構築されたイメージ―それはキリコにも似ている―がほしかった。長くのびた影、無限の距離感、あらゆる線がおどろくべき遠近法に収斂されて見事な空間をつくりだしている構図、形のない顔・・・・・。しかし、実際に仕事をしてみると、ダリはとても映画に撮れないような奇態なことをつぎからつぎへと考えだしてへきえきさせられたな。たとえば、彫像にひびが入り、亀裂から無数の蟻が這いだしてきて、イングリット・バーグマンの顔にうようよたかって真っ黒になるなんてシーンがあったんだよ!”(「映画術 ヒッチコック/トリフォー」晶文社より引用)


一方でダリはこんなことを言っています。


“ヒッチコックの映画では、私が残してほしいと思った最良の部分のほとんどがカットされた”(「ダリ」メレディス・イスリントン・スミス著/文藝春秋より引用)



(「ダリ回顧展」に出品されていた「白い恐怖」のデザイン)

カットされた映像や断念したアイデアが実現したら「アンダルシアの犬」以上のインパクトある映像表現を見ることができたのだろうか?

ところで「白い恐怖」の夢のシーンはヒッチコックが少し言及しているが、ダリというよりはむしろキリコを想起させるような出来になっていると実は見ながら感じたのでありました。

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2 コメント

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はじめまして (hippocampi)
2007-01-11 19:50:40
TBありがとうございます。
ダリ回顧展でヒッチコック映画にダリが貢献していることを初めて知り、昨日さっそく「白い恐怖」のDVDを購入してきました。バーグマンは大好きな女優なので、じっくり今夜はダリ回顧展を思い出しつつ映画を見てみようと思います。目も蟻もインパクトがものすご~くありましたねーー
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コメント (飾釦)
2007-01-11 22:04:57
ありがとうございます。

「白い恐怖」はいかがでしたか?

これからもよろしくです。
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