飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

「日本の映画ポスター芸術」展(東京国立近代美術館フィルムセンター)を見た

2012-01-18 | 美術&工芸とその周辺

東京国立近代美術館フィルムセンターで「日本の映画ポスター芸術」展を見ました。私が青年になった頃は映画産業は斜陽化していました。一人、角川映画が気を吐いていたように記憶しています。映画を公開する際の宣伝媒体として街角に貼られた映画ポスター、そこにはいろいろな方の才能が結集していたのだと…それがこの展覧会の趣旨?。

 

私としてはポスター芸術を語るときよく引き合いに出されるのは演劇のポスターのイメージが強いように思います。特に寺山修司、唐十郎らに代表されるアングラ演劇が華やかりし時、現代を代表するグラフィック・アーティストらが参加し斬新なビジュアルを生み出していたことがよく紹介されます。ポスターを見てるだけで楽しい、どんなお芝居なんだろうとワクワクしてしまう、斬新なビジュアルはきっと本編のお芝居でも強烈なものを提示してくれるのだろう、そんな想像をさせてくれる百花繚乱な演劇のポスター。代表的なのが横尾忠則のそれ?今では横尾のポスターは美術館で展示されるようになり、そこで見ることができるという案配なのです。

 

一方、映画においても時期を同じくしてATG映画なるものが海外の良質な映画を公開したり、低予算で実験的な映画を制作し公開したりしていました。私は後期のATGしか知らない世代です。若かりし当時、半ば憧れを持ってそれらの上映された作品の記事を眺めていたように記憶しています。そのATGで作られた映画のポスターが、やはり演劇と同じようにグラフィック・アーティストが参加し、斬新なビジュアルを生み出していました。横尾忠則や粟津潔、宇野亜喜良らの名前をそこに見ることができるのです。そうしたポスターがインパクトを与える時代は全盛期を過ぎてしまったようでちょっと残念です。意匠に工夫をこらしたポスターが、たとえば高架下のところなどでごくまれに見かけると昭和の時代にタイムスリップしたような感じになります。

 

ふと街を歩いていたら極彩色に彩られた怪しい感じのポスターを見かけその足を止め、いったいこの映画はどんな映画なんだろう。今までに見たことがない映画なのかしらんと刺激を受ける。そんな体験をもう一度味わってみたい…。

 

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