飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

NHK教育「日曜美術館/レンブラント 夢の傑作10選」(2011.5.1)放送

2011-05-26 | 美術&工芸とその周辺

国立西洋美術館で開催されている「レンブラント展」を見に行ったことは昨日の記事の通りです。そこでも書いたのですが、小さな版画の作品が多くてあまり印象に残らなかったという感想を実は持ったのでした。丁度、展覧会に合わせるかのようにNHK教育テレビの番組「日曜美術館」で「レンブラント 夢の傑作10選」と題したものを放送(2011年5月1日)していて、それを録画しておき後から見たのですが私の展覧会の印象とは裏腹に、巨匠の名に相応しい光と闇を自在に操ったすごい画家であることがわかりました。ゲストは山本晋也監督と美術家・森村泰昌という異色な組み合わせ。レンブラントが映画にも影響を与えていることを知りました。今日はその番組を見た時のメモです。

 

No.1「夜警」

当時流行したのが集団肖像画、しかしこの絵の依頼主によりそれぞれの人物を均等に描かねばならなかった。レンブラントはその常識を破り、自警団の男達を皆それぞれ違う動きをさせて描いた。まるでそれはストップモーションのようで、一瞬の無音状態の絵のよう。彼等が動き出したらザワザワと音が聞こえてきそう。

 

No.2「目を潰されたサムソン」

旧約聖書の物語の一節を描く。劇的に仕上げていく光と影の演出は、のちの映画にも影響を与えて光の効果によるライティングをレンブラント・ライトと呼ばれている。山本晋也監督も映画界に入った時、レンブラント・ライトとな何のこと?と思ったそうだ。番組では実際の役者を使って絵画と同じような設定を作りライティングの違いでどのように変化するかを実験した。この絵ではサムソンを裏切ったデリラのしてやったりの顔が光によって効果的に描かれている。また森村泰昌は美術家の立場から、光の三角形と闇の三角形が描かれていること(黄色の線のところ)や、サムソンの足の向こうにデリラのハサミ。その先にはサムソンを捕らえる男の髪の毛が連なって描かれており(赤色の線のところ)構図的にも面白いものがあると言っていた。

 

No.3「自画像」

レンブラントが22歳の時の作品で、ボサボサの髪の毛、肝心の顔は影に沈んでいて目もハッキリしない。画家としての将来に不安を感じている感じがでている。その絵はいまどきの青年のようでもあり、自画像を理想的に描くのではなくどこにでもいる生身の人間として描いた。

 

No.4「居酒屋の放蕩息子」

妻と自分を描いた作品。逆玉の輿にのって弟子も雇っていて人生の絶頂期のころの作品。

 

No.5「自画像」

34歳の自画像は貴族風に高貴な雰囲気で自分を描いている。しかしその後、レンブラントに不運が襲う。若くして妻が死に、4人の子供も3人が死んでしまい1人の子供のみが残った。

 

No.6「三本の木」

今回の国立西洋美術館で開催されていた「レンブラント展」にも出展されていたもの。これからくる嵐を予感させる空、三本の木の右側には画家が一人ポツンといる様子が描かれている。超精密に描かれた版画。

 

No.7「ゼウクシスとしての自画像(笑う自画像)」

シワだらけとなった顔のレンブラントは異様な不気味な笑いをたたえている。レンブラントは生涯で100以上の自画像を描いた。ゲストの森村泰昌は自身の作品でいくつものレンブラントの自画像を演じたセルフポートレイトとして作品化している。彼は言う、自分とは一生付き合わねばならない存在。自分をテーマとすること=自画像を描くkことは病み付きになる?自分をテーマとするといろいろな表情が広がっていくのだと。

 

No.8「ユダヤの花嫁」

凹凸が出るほどの男性の衣装、内側からは静かな光が出ている。

 

No.9「自画像」

真っすぐ見る自分。それは画家としての自負なのか?悲哀なのか?その目は何を見つめている…。レンブラントは今の時代では流行らない気難しいおやじではなかったか?内省の人であり、いろいろな不安や罪の意識を抱えながら絵を描いたのだろう。また彼は非常に演出家的要素を持った画家であろう。

 

No.10「アトリエの画家」

22歳のレンブラント自身を描いた作品。こちらも国立西洋美術館の展覧会に出展されていたもの。光の描写が絶妙。

 

もっと知りたいレンブラント―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
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