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■製作年:2014年
■監督:ジョナサン・グレイザー
■主演:スカーレット・ヨハンソン、ポール・ブラニガン、他
映画雑誌に塩田時敏という評論家が、以下のようなことを書いてある映画がありました。『近年の異様な(!?)作品数の増加にともないちゃんと宣伝予算を組んだマスコミ試写会も行わずに劇場公開される作品が多々ある。本作もそんな一作。・・・これだDVDではなくやはりスクリーンで観るべき、観逃してはならない、本年屈指の拾い物のレベルの傑作だったのである。』 ( キネマ旬報2014年10月下旬号より引用 ) こうした記事を読むとその映画を見たくなります。で、ネットで調べてみると、それとは裏腹にあまり評判はかんばしくない。どうしょうかな?って考えて、結局、最近お気に入りの女優であるスカーレット・ヨハンソンが出演しているなら、まっ、いいかと映画館へ。
この映画、つい最近独立が話題になったスコットランドを背景に、ほとんど台詞がない映像中心で見せていくSF設定の作品でした。おそらくスカーレット・ヨハンソンが演じている女性は地球外生命体であり、タイトルに捕食とあるので、皮膚以外の肉体を何らかの形で食べるということを描いているらしい。らしい、というのは全くそうしたことが説明されていないので、ただただ映像を見て感じるしかないからだ。ヨハンソン演じる地球外生命体としての怪物は、その美貌を武器に男を誘い、捕食の舞台となる彼らの基地となっている?小屋へ連れ込みます。そこは暗黒の空間で女は服を脱ぎ後退り、男は我、意を得たりとばかり自らも服を脱ぎ女を追うのですが、黒い沼のようになっていおり男はずずっと身を沈めていきます。これがどうやら怪物の捕食らしく、その沼のかなで皮膚のみを残し黒い何ものかと一体化してしまいます。この怪物は男をナンパするにあたり終始一貫してクールな表情で、ヨハンソンはこうした極端な役を演じるとぷったりだなあと思ったりする。彼女はこの映画で全裸となり熱演してみせます。
この映画は、頭に書いたようにほとんど台詞がありません。説明はなく、登場する人物に見る側の想像力をぶつけていくしかありません。意味不明!と言いたくなる点は多々あり、それがこの映画の不評を買ったのでしょう。しかし、私はこの不親切な映画を見ていて何を感じたかというと、これは今では懐かしい実験映像、前衛映像の作品ではないかということだ。そうした点から見ると、逆にこの映像が雄弁に語っているように思えました。評判とは違い私はそれなりに映画を味わうことができました(塩田さんという映画評論家と同じです)。なぜなら、言葉少なしに映像中心に2時間もの時間を見せ続けていくのは、監督の力量がかなり問われるというものです。私は眠くなることなく、ほとんど画面にでずっぱりのクールなスカーレット・ヨハンソンを見ていました。映像のクォリティが高いのは当然として、演じる役者の力もあるのではと。そこで、思ったことは、もし女優がヨハンソンでなかったとしたら、どうだったか?もしかしたら眠くなっていたかもしれない。つまり、それだけ彼女の存在感が大きかったということだ。
ラストシーン、雪が降りしきる空へ向けたショットで終わります。子供の頃、降ってくる雪を食べようと口を開けて空を見上げていたことを思い出しました。そんなことを思い出させる不思議なとらえどころのない実験的な映画、それが「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」でした。
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